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第6章
第6章2幕 地図<map>
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しばらく他愛のない話をし、ゲームでオフ会などに参加したことがあるか、という話になりました。
「私はないよ」
「あたしも。あるのは専用端末買いに行くときにチェリーにあったくらいかな?」
「僕はあるよー」
「「あるんだ!」」
エルマと絶妙なハーモニーを奏で、ステイシーに聞き返します。
「結構そういうの楽しく思えるタイプでねー」
「ステイシーは出会い厨って情報屋に売っていい?」
「いいよー。って違うからー」
ステイシーの乗りツッコミがきれいに決まると、無言の時間が流れ始めます。
その沈黙を破るように、エルマがステイシーに問いかけます。
「リアルで会うのって怖くない?」
「んー。昔のゲームとは違って最近はそんなに危なくないかなー」
ステイシーは思い出すように天井を眺めながら答えます。
「行く。みたいなこと言っちゃったけど、リアルで懇親会となると顔とかばれちゃうし、誰が来るかも分からないじゃん? 正直なところ乗り気じゃないかも」
ステイシーの話を聞いても、私の不安はなくならず、正直な気持ちを話しました。
「でもたぶんキャラクターとリアルが一致しないようにはしてくれるんじゃない?」
「だといいけど」
「してくれると思うよー。ゲーム内のことをリアルに持ち込んで傷害事件になったことだってあるしー」
「あー。あったね。あたしその時学生でさ、それについてめっちゃレポート書いた記憶ある」
「だから大丈夫だと思うよー。実は今日ログインする前に、ここの運営のこと調べたんだー」
私とエルマが視線で続きを促します。
「他のゲームでも公式オフ会みたいなのやってるみたいなんだけどー、そこはキャラクターネームとかわからない様にしてたみたいだよー」
そこまで聞くと、私の不安も多少ですが、解消され、行ってもいいという方に心が揺れます。
「さて、ワタシも話に混ぜてもらっていいかな?」
私が少しほっとすると背後からサツキから声がかかりました。
「おはよ、サツキ」
「あぁ。おはよう。皆が話しているのは、懇親会のことでいいのかい?」
「そうだねー」
「参加はどうするんだい?」
「僕は参加するー」
「あたしも一応」
「私はまだ揺れてるけど、皆行くならちゃんと行く」
サツキの質問に答えると、ふっ、と笑いながらサツキが話し始めます。
「実はね、こういうイベントは初めてだから少しワクワクしている自分がいるんだ。無論、リスクも承知しているが、参加してみたいってワタシは思っているよ」
そう言ってサツキが自身の髪の毛をバッとかきあげます。
「懇親会でもその行動やるの……?」
エルマの呟きにサツキは返事をしませんでした。
その後マオも合流し、私以外の4人は参加を決めているようでした。
そうなると私一人行かないのは寂しいので私も参加を決めます。
「まずは待ち合わせ場所決めないとね。あたし、実家に一回戻って永谷に大きい車出してもらうから、そこでチェリーを拾って……」
「聞いてはいたが、本当に近所なのだな」
「近所っていうかお向かいさんだよ」
サツキの言葉に私が返します。
「みんなどの辺にすんでるの?」
「ちょっと待ってくれ。ここで話すよりTACのほうが良くないか? あそこなら現実の地図も出せる」
「たしかにー」
「じゃぁTACに行こ」
すぐにエルマがログアウトしたので私達も続いてログアウトしていきます。
現実で意識を覚醒させた私は一度トイレをすませ、今度はTACにログインします。
<窓辺の紫陽花>のホームにある自室へと久々に降り立ちます。
部屋を出て、リビングに向かうと、声が掛かります。
「チェリー一番乗り!」
エルマがすでに地図を机の上に広げ、待っていました。
「おまたせ。結構ノリノリだね」
「あたぼーよ。実はサプライズ考えてる」
「なに?」
「まだ誰も来てないし、言っちゃおうかなー? どうしよっかなー?」
言いたくてたまらないといった表情のエルマに、聞かせてよ、と言おうとすると目の前にステイシーがログインしてきました。
「うわー。びっくりしたー」
<Imperial Of Egg>よりも多少男の子らしい顔になっているステイシーが驚いているのかいないのかよくわからない声を上げます。
「みんなはー?」
「まだマオとサツキ来てないよ」
「そうだった。忘れてた。この顔しっかり覚えておいてね。別のアバターに変えてくる」
そう言ってステイシーは一度ログアウトしていきました。
「ねぇチェリー?」
「ん?」
「あたしさ、ステイシーって馬鹿じゃないって思ってる」
「うん? そ、そうだね」
「今ここでアバター変えたとこで、懇親会の待ち合わせで顔合わせたらばれるよね」
「ぶっ……あっはっはは!」
笑いを堪えられませんでした。
「おまたせ。おや? まだステイシーとマオが来ていないようだね」
サツキがコツコツと音をたてこちらに歩いてきます。
「ステイシーはアバター変えに行った」
「ん? どうしてだい?」
「マオにばれるから」
「ふっ。遅かれ早かればれるというのに」
サツキもクスクスと笑っています。
マオだけが知らない、マオとステイシーの秘密はいつばれるのでしょうか。
「おまたせ」
椅子に座った状態でマオが現れました。
「結構目の前でやられると心臓にわるいね。あとはステイシーだけだ」
「僕もただいまー」
椅子の横にステイシーが現れ、全員集まりました。
「んじゃ早速決めよう!」
「あたしの実家がこのへん、チェリーも同じ。みんな家は?」
「私はこの辺だ」
「マオはここよ」
「僕はここー」
三人が地図に指をさし、マーカーを付けていきます。
「それ会場が、ここだから……順番に拾っていけそうだね。サツキ、ステイシー、マオの順で」
「マオ、お迎え、いらない、くらい近い」
マオが指をさしていたところは、会場となる[Multi Game Corporation]本社とそれほど離れていませんでした。
「それでも一応いくよ。これあたしの携帯端末の番号。登録しておいて」
そう言ってエルマが名刺みたいなものをシュッと投げました。
私はすでに登録済みなので貰ってはいませんが、たしかこの名刺は受け取ると、同期してある携帯端末に勝手に登録してくれる便利な物だった気がします。
「すまないね。ワタシだけ遠くて」
「気にしなくていいよ。運転するのはうちの永谷だし」
「そ、そうか」
「じゃぁこのルートで行くからね。あたしとチェリーが合流したら連絡するね」
「了解だ」
「りょうかいー」
「りょう、かい」
ところで、この懇親会の次の日開いてる?」
「あぁ開いている」
「僕もー」
「マオも」
「わた……」
「じゃぁ開けておいて!」
「…………」
「どしたん? チェリー?」
「私聞かれてない」
「だって空いてるって知ってるもん」
「もしかしたら予定あるかもしれないでしょ!」
「ないね!」
少しエルマとギスギスしてきたので将棋で決着をつけることになりました。
「この勝負見たくないんだが」
「どうしてー?」
「見てればわかるさ」
結構な時間私とエルマは将棋を指していましたが決着がつかず、ステイシー、マオ、サツキの顔をちらりと見たら凄く渋い顔をしていました。
「ひどいわ」
「言わないであげよー?」
「だから言ったんだ」
結局私に加担したサツキとエルマに加担したステイシーで決着を付け、TACから<Imperial Of Egg>へと戻ってきます。
「少しふわふわした気分だが、さて、何する?」
「面白い話があるよー」
ステイシーは何かあるようでニヤリと笑いました。
to be continued...
「私はないよ」
「あたしも。あるのは専用端末買いに行くときにチェリーにあったくらいかな?」
「僕はあるよー」
「「あるんだ!」」
エルマと絶妙なハーモニーを奏で、ステイシーに聞き返します。
「結構そういうの楽しく思えるタイプでねー」
「ステイシーは出会い厨って情報屋に売っていい?」
「いいよー。って違うからー」
ステイシーの乗りツッコミがきれいに決まると、無言の時間が流れ始めます。
その沈黙を破るように、エルマがステイシーに問いかけます。
「リアルで会うのって怖くない?」
「んー。昔のゲームとは違って最近はそんなに危なくないかなー」
ステイシーは思い出すように天井を眺めながら答えます。
「行く。みたいなこと言っちゃったけど、リアルで懇親会となると顔とかばれちゃうし、誰が来るかも分からないじゃん? 正直なところ乗り気じゃないかも」
ステイシーの話を聞いても、私の不安はなくならず、正直な気持ちを話しました。
「でもたぶんキャラクターとリアルが一致しないようにはしてくれるんじゃない?」
「だといいけど」
「してくれると思うよー。ゲーム内のことをリアルに持ち込んで傷害事件になったことだってあるしー」
「あー。あったね。あたしその時学生でさ、それについてめっちゃレポート書いた記憶ある」
「だから大丈夫だと思うよー。実は今日ログインする前に、ここの運営のこと調べたんだー」
私とエルマが視線で続きを促します。
「他のゲームでも公式オフ会みたいなのやってるみたいなんだけどー、そこはキャラクターネームとかわからない様にしてたみたいだよー」
そこまで聞くと、私の不安も多少ですが、解消され、行ってもいいという方に心が揺れます。
「さて、ワタシも話に混ぜてもらっていいかな?」
私が少しほっとすると背後からサツキから声がかかりました。
「おはよ、サツキ」
「あぁ。おはよう。皆が話しているのは、懇親会のことでいいのかい?」
「そうだねー」
「参加はどうするんだい?」
「僕は参加するー」
「あたしも一応」
「私はまだ揺れてるけど、皆行くならちゃんと行く」
サツキの質問に答えると、ふっ、と笑いながらサツキが話し始めます。
「実はね、こういうイベントは初めてだから少しワクワクしている自分がいるんだ。無論、リスクも承知しているが、参加してみたいってワタシは思っているよ」
そう言ってサツキが自身の髪の毛をバッとかきあげます。
「懇親会でもその行動やるの……?」
エルマの呟きにサツキは返事をしませんでした。
その後マオも合流し、私以外の4人は参加を決めているようでした。
そうなると私一人行かないのは寂しいので私も参加を決めます。
「まずは待ち合わせ場所決めないとね。あたし、実家に一回戻って永谷に大きい車出してもらうから、そこでチェリーを拾って……」
「聞いてはいたが、本当に近所なのだな」
「近所っていうかお向かいさんだよ」
サツキの言葉に私が返します。
「みんなどの辺にすんでるの?」
「ちょっと待ってくれ。ここで話すよりTACのほうが良くないか? あそこなら現実の地図も出せる」
「たしかにー」
「じゃぁTACに行こ」
すぐにエルマがログアウトしたので私達も続いてログアウトしていきます。
現実で意識を覚醒させた私は一度トイレをすませ、今度はTACにログインします。
<窓辺の紫陽花>のホームにある自室へと久々に降り立ちます。
部屋を出て、リビングに向かうと、声が掛かります。
「チェリー一番乗り!」
エルマがすでに地図を机の上に広げ、待っていました。
「おまたせ。結構ノリノリだね」
「あたぼーよ。実はサプライズ考えてる」
「なに?」
「まだ誰も来てないし、言っちゃおうかなー? どうしよっかなー?」
言いたくてたまらないといった表情のエルマに、聞かせてよ、と言おうとすると目の前にステイシーがログインしてきました。
「うわー。びっくりしたー」
<Imperial Of Egg>よりも多少男の子らしい顔になっているステイシーが驚いているのかいないのかよくわからない声を上げます。
「みんなはー?」
「まだマオとサツキ来てないよ」
「そうだった。忘れてた。この顔しっかり覚えておいてね。別のアバターに変えてくる」
そう言ってステイシーは一度ログアウトしていきました。
「ねぇチェリー?」
「ん?」
「あたしさ、ステイシーって馬鹿じゃないって思ってる」
「うん? そ、そうだね」
「今ここでアバター変えたとこで、懇親会の待ち合わせで顔合わせたらばれるよね」
「ぶっ……あっはっはは!」
笑いを堪えられませんでした。
「おまたせ。おや? まだステイシーとマオが来ていないようだね」
サツキがコツコツと音をたてこちらに歩いてきます。
「ステイシーはアバター変えに行った」
「ん? どうしてだい?」
「マオにばれるから」
「ふっ。遅かれ早かればれるというのに」
サツキもクスクスと笑っています。
マオだけが知らない、マオとステイシーの秘密はいつばれるのでしょうか。
「おまたせ」
椅子に座った状態でマオが現れました。
「結構目の前でやられると心臓にわるいね。あとはステイシーだけだ」
「僕もただいまー」
椅子の横にステイシーが現れ、全員集まりました。
「んじゃ早速決めよう!」
「あたしの実家がこのへん、チェリーも同じ。みんな家は?」
「私はこの辺だ」
「マオはここよ」
「僕はここー」
三人が地図に指をさし、マーカーを付けていきます。
「それ会場が、ここだから……順番に拾っていけそうだね。サツキ、ステイシー、マオの順で」
「マオ、お迎え、いらない、くらい近い」
マオが指をさしていたところは、会場となる[Multi Game Corporation]本社とそれほど離れていませんでした。
「それでも一応いくよ。これあたしの携帯端末の番号。登録しておいて」
そう言ってエルマが名刺みたいなものをシュッと投げました。
私はすでに登録済みなので貰ってはいませんが、たしかこの名刺は受け取ると、同期してある携帯端末に勝手に登録してくれる便利な物だった気がします。
「すまないね。ワタシだけ遠くて」
「気にしなくていいよ。運転するのはうちの永谷だし」
「そ、そうか」
「じゃぁこのルートで行くからね。あたしとチェリーが合流したら連絡するね」
「了解だ」
「りょうかいー」
「りょう、かい」
ところで、この懇親会の次の日開いてる?」
「あぁ開いている」
「僕もー」
「マオも」
「わた……」
「じゃぁ開けておいて!」
「…………」
「どしたん? チェリー?」
「私聞かれてない」
「だって空いてるって知ってるもん」
「もしかしたら予定あるかもしれないでしょ!」
「ないね!」
少しエルマとギスギスしてきたので将棋で決着をつけることになりました。
「この勝負見たくないんだが」
「どうしてー?」
「見てればわかるさ」
結構な時間私とエルマは将棋を指していましたが決着がつかず、ステイシー、マオ、サツキの顔をちらりと見たら凄く渋い顔をしていました。
「ひどいわ」
「言わないであげよー?」
「だから言ったんだ」
結局私に加担したサツキとエルマに加担したステイシーで決着を付け、TACから<Imperial Of Egg>へと戻ってきます。
「少しふわふわした気分だが、さて、何する?」
「面白い話があるよー」
ステイシーは何かあるようでニヤリと笑いました。
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