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第5章
第5章23幕 価値観<values>
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「やっぱり……」
仲間にチャットをするために離れていたプフィーが戻って来てぽつりと呟きました。
「どうだったの?」
「えっと……」
私がそう聞くと少し言いにくそうな雰囲気でこちらを見返してきます。
「じゃぁあたしが他に資料見ておくから、二人とも外で少し休憩してくるといいよ」
こちらの様子を察してか、エルマがそう言ってくれました。
「ありがと。エルマ」
そう言ったプフィーが私の手を握り、図書館から出て行きます。
「ここなら大丈夫かな」
図書館を出て、階段を降りた先にあった休憩スペースのような所を見つけ、そこに座ります。
「率直に言うと、『パラリビア』から結構な国や都市にそれっぽい名目で薬品の輸出がされていたみたい」
「『ヴァンヘイデン』とかも?」
「そこだけじゃないよ。『ヨルダン』、『ノキア』、『エレスティアナ』とか大きい国も」
まさか三大大国の『月光都市 ノキア』まで取引先に選んでいるとは思いませんでした。
「結構やばい……?」
「そのうち使用したことがわかっているのは大きいところで『ヴァンヘイデン』、『ディレミアン』、『ブラルタ』みたい。小国だと分からない」
「…………」
「そこで一つニュースがあるよ」
「なに?」
「これから『キャンドラ』で取引があるみたい」
「ほんと!?」
その取引現場を押さえられれば……。
「でも……『キャンドラ』か」
さすがに遠すぎです。私が【神器】を装備して転移してもここからじゃ半分も飛べません。
「レディンを頼るしかない」
「そうだね。レディンにここまで来てもらおう。ちょっと『ヴァンヘイデン』にはあまり行きたくないから」
「事情は分かるよ。ちょっと連絡してみる」
「私はエルマに伝えてくる」
そうプフィーに伝え、再び図書館へ戻ります。
シュレッダーにもう一度臨時顧問切符を通し、排出される紙を握り、図書館へ入ります。
「エルマ」
「んにゃ? 話は終わったのかい?」
「まだだけど、プフィーの仲間がこれから取引されるところを掴んだらしい」
「まじかーい。行くしかないね」
「うん。レディンを呼んで転移させてもらう……帰りも必要だからレディンにいてもらわなきゃいけないじゃん」
「たしかに。とりあえずプフィーと合流しなきゃね」
呼んでいた資料を元あった場所に戻し、エルマとともにプフィーのいる休憩所に戻ります。
「おまたせ」
「そういえば行先聞いてない。レディン呼ぶくらいだから相当遠いんでしょ?」
「『風鈴街 キャンドラ』」
エルマの質問にプフィーが答え、一瞬エルマがきょとんとします。
「遠すぎ。マップの端っこじゃん。サーバーが違うくらいの距離が離れてる」
VRになる前、『風鈴街 キャンドラ』は『花の都 ヴァンヘイデン』から馬車で24時間分現実時間を消費する距離でした。
当時、サーバーが違うと言われるほど離れていた場所にVRで行くことになるとは思いませんでした。
合流した私達は、プフィーの話を聞きながらレディンの到着を待ちます。
「戦闘装備準備してからくるからもう少しかかるって」
「わかった。レディンの転移に必要なお金足りるかな?」
「チェリーいまいくら持ってる?」
「3000万金」
「厳しいね。往復だと足りないかも。あたしも少し出すよ」
「ごめんね」
所持金の確認等を済ませた頃、レディンが到着しました。
「おまたせですね。『風鈴街 キャンドラ』への転移ですね!」
「お願い。供物が足りるかわからないけど……」
「片道分なら全然足りるです」
つまり往復では足りないと。
どうしよう。このクエスト超大赤字……。
などと私が考えていると、レディンの詠唱魔法が発動し、私達は転移しました。
「ここが『キャンドラ』……」
「和風のサムライゲームをやった時によく見る風景だね」
私とエルマの感想の違いは置いておいて、純和風な雰囲気とチリンチリンとかすかに聞こえる風鈴の音色が心地よいです。
「情報だと反政府側が取引するらしいよ。潜入系スキルは使える?」
「私は一応【暗殺者】あるから」
「あたしはこのキャラじゃ無理」
「言うまでもないですね! お留守番します!」
「潜入は私とチェリー。状況報告と退路は二人にお願いするね」
「あぁっと。一応長距離で≪シフト≫することがあるかもですね。パーティーを組んだ方が得かもです」
「忘れてた」
一度パーティーから脱退するという内容をログインしていたマオに伝え、パーティーを組みなおしました。
「何かあったら指示をくださいです。あとこれをお預けしますです!」
レディンが小さな鈴を渡してきます。
「これはマーカーです。それを持っていてくれればすぐにこちらに転移させられますです」
「ありがとう」
受け取った鈴を髪にくくり付け、普段来ているメイド服の上に黒いローブを羽織ります。
「暗い所だったら目立たないね。それ。〔黒変色竜 マエ・レオニデ〕倒した時のドロップだっけ?」
「明るい所でも目立たないよ。これ。そうそう」
視覚妨害効果付の特殊装備品ですね。
暇すぎて、いつもの5人で〔ユニーク・モンスター〕狩りをしてる時に拾いました。
「なかなかいいもの持ってるね。とりあえずチェリー。潜入しに行くよ」
プフィーも何かインベントリから取り出し、羽織ります。やはり偵察には黒い服ですよね。スパイ感あって私は好きです。
エルマ達と別れ、私達は『風鈴街 キャンドラ』へと入り、プフィーの仲間が待っていると言っていた場所まで向かいます。
「チェリーこっち」
「おっけー」
二人でこそこそしているとなかなか楽しいです。
「ここ。入って」
プフィーがマンホールのようなものを持ち上げて、下を指さします。
「わかった」
返事をしながら私はマンホールに飛び込みました。
タッパーンという音と、減ったHPを見ながら私は手すりに掴まります。
「最初に下は水だって言っておいてほしかった」
「地面だったら死んでたよ」
「たしかに」
軽口を言いながら、泳ぐプフィーについて行きます。
「ここ」
そう言ってプフィーが水面から身体を引き上げます。
「ほい」
そして手を差し出してきたので捕まり私も上がります。
「なかなか面白い体験できた」
「この先にいるみたい」
「わかった」
水路から脇道を入り、しばらく歩くと灯りが見えてきました。
「『情報ギルド 叡智会 キャンドラ支部』……」
初めて聞くギルドです。
「プフィーはこのギルドに入ってるの?」
「違うよ。もこちン来たヨ!」
「入りや」
突然ロールプレイスイッチが入ったプフィーに驚きながらも、開いた扉から入ります。
「プフィー久しぶりやね」
声を発したのは、薙刀を携えた和服の黒髪眼鏡美人でした。
「もこちン! 最近会えなくテ寂しかったヨ。こちらがチェリー」
「チェリー。初めまして。うちはもこちねる言います。皆、もこちんって呼んでくれるんで、そう呼んでくださいな」
「もこちんさん、初めましてチェリーです」
「早速本題に入りましょ。プフィーからもろた情報で気になることがあって、すぐに調べさせたんやけど、結果が今日の取引ってことです」
「ありがとネ。ということでチェリー」
「なに?」
「私とチェリーが潜入して情報を掴んでくる。その代わりにさっきの情報を貰った」
「そう言うことです。うちの知らない情報を掴んできてくれればなんも言いません。知ってる情報やったら、今やってるクエストの内容全部聞かせてもらいます」
「あの……クエストの内容なんて全部話しても構わないんですけど……」
私がそう言うと、もこちねるは目を丸くし、口を開けながら驚愕の表情を浮かべていました。
「普段情報屋としかやり取りしてへんかったから普通の人と価値観違うてかなわんわ!」
顔を真っ赤にしながらもこちねるが大声で叫びました。
to be continued...
仲間にチャットをするために離れていたプフィーが戻って来てぽつりと呟きました。
「どうだったの?」
「えっと……」
私がそう聞くと少し言いにくそうな雰囲気でこちらを見返してきます。
「じゃぁあたしが他に資料見ておくから、二人とも外で少し休憩してくるといいよ」
こちらの様子を察してか、エルマがそう言ってくれました。
「ありがと。エルマ」
そう言ったプフィーが私の手を握り、図書館から出て行きます。
「ここなら大丈夫かな」
図書館を出て、階段を降りた先にあった休憩スペースのような所を見つけ、そこに座ります。
「率直に言うと、『パラリビア』から結構な国や都市にそれっぽい名目で薬品の輸出がされていたみたい」
「『ヴァンヘイデン』とかも?」
「そこだけじゃないよ。『ヨルダン』、『ノキア』、『エレスティアナ』とか大きい国も」
まさか三大大国の『月光都市 ノキア』まで取引先に選んでいるとは思いませんでした。
「結構やばい……?」
「そのうち使用したことがわかっているのは大きいところで『ヴァンヘイデン』、『ディレミアン』、『ブラルタ』みたい。小国だと分からない」
「…………」
「そこで一つニュースがあるよ」
「なに?」
「これから『キャンドラ』で取引があるみたい」
「ほんと!?」
その取引現場を押さえられれば……。
「でも……『キャンドラ』か」
さすがに遠すぎです。私が【神器】を装備して転移してもここからじゃ半分も飛べません。
「レディンを頼るしかない」
「そうだね。レディンにここまで来てもらおう。ちょっと『ヴァンヘイデン』にはあまり行きたくないから」
「事情は分かるよ。ちょっと連絡してみる」
「私はエルマに伝えてくる」
そうプフィーに伝え、再び図書館へ戻ります。
シュレッダーにもう一度臨時顧問切符を通し、排出される紙を握り、図書館へ入ります。
「エルマ」
「んにゃ? 話は終わったのかい?」
「まだだけど、プフィーの仲間がこれから取引されるところを掴んだらしい」
「まじかーい。行くしかないね」
「うん。レディンを呼んで転移させてもらう……帰りも必要だからレディンにいてもらわなきゃいけないじゃん」
「たしかに。とりあえずプフィーと合流しなきゃね」
呼んでいた資料を元あった場所に戻し、エルマとともにプフィーのいる休憩所に戻ります。
「おまたせ」
「そういえば行先聞いてない。レディン呼ぶくらいだから相当遠いんでしょ?」
「『風鈴街 キャンドラ』」
エルマの質問にプフィーが答え、一瞬エルマがきょとんとします。
「遠すぎ。マップの端っこじゃん。サーバーが違うくらいの距離が離れてる」
VRになる前、『風鈴街 キャンドラ』は『花の都 ヴァンヘイデン』から馬車で24時間分現実時間を消費する距離でした。
当時、サーバーが違うと言われるほど離れていた場所にVRで行くことになるとは思いませんでした。
合流した私達は、プフィーの話を聞きながらレディンの到着を待ちます。
「戦闘装備準備してからくるからもう少しかかるって」
「わかった。レディンの転移に必要なお金足りるかな?」
「チェリーいまいくら持ってる?」
「3000万金」
「厳しいね。往復だと足りないかも。あたしも少し出すよ」
「ごめんね」
所持金の確認等を済ませた頃、レディンが到着しました。
「おまたせですね。『風鈴街 キャンドラ』への転移ですね!」
「お願い。供物が足りるかわからないけど……」
「片道分なら全然足りるです」
つまり往復では足りないと。
どうしよう。このクエスト超大赤字……。
などと私が考えていると、レディンの詠唱魔法が発動し、私達は転移しました。
「ここが『キャンドラ』……」
「和風のサムライゲームをやった時によく見る風景だね」
私とエルマの感想の違いは置いておいて、純和風な雰囲気とチリンチリンとかすかに聞こえる風鈴の音色が心地よいです。
「情報だと反政府側が取引するらしいよ。潜入系スキルは使える?」
「私は一応【暗殺者】あるから」
「あたしはこのキャラじゃ無理」
「言うまでもないですね! お留守番します!」
「潜入は私とチェリー。状況報告と退路は二人にお願いするね」
「あぁっと。一応長距離で≪シフト≫することがあるかもですね。パーティーを組んだ方が得かもです」
「忘れてた」
一度パーティーから脱退するという内容をログインしていたマオに伝え、パーティーを組みなおしました。
「何かあったら指示をくださいです。あとこれをお預けしますです!」
レディンが小さな鈴を渡してきます。
「これはマーカーです。それを持っていてくれればすぐにこちらに転移させられますです」
「ありがとう」
受け取った鈴を髪にくくり付け、普段来ているメイド服の上に黒いローブを羽織ります。
「暗い所だったら目立たないね。それ。〔黒変色竜 マエ・レオニデ〕倒した時のドロップだっけ?」
「明るい所でも目立たないよ。これ。そうそう」
視覚妨害効果付の特殊装備品ですね。
暇すぎて、いつもの5人で〔ユニーク・モンスター〕狩りをしてる時に拾いました。
「なかなかいいもの持ってるね。とりあえずチェリー。潜入しに行くよ」
プフィーも何かインベントリから取り出し、羽織ります。やはり偵察には黒い服ですよね。スパイ感あって私は好きです。
エルマ達と別れ、私達は『風鈴街 キャンドラ』へと入り、プフィーの仲間が待っていると言っていた場所まで向かいます。
「チェリーこっち」
「おっけー」
二人でこそこそしているとなかなか楽しいです。
「ここ。入って」
プフィーがマンホールのようなものを持ち上げて、下を指さします。
「わかった」
返事をしながら私はマンホールに飛び込みました。
タッパーンという音と、減ったHPを見ながら私は手すりに掴まります。
「最初に下は水だって言っておいてほしかった」
「地面だったら死んでたよ」
「たしかに」
軽口を言いながら、泳ぐプフィーについて行きます。
「ここ」
そう言ってプフィーが水面から身体を引き上げます。
「ほい」
そして手を差し出してきたので捕まり私も上がります。
「なかなか面白い体験できた」
「この先にいるみたい」
「わかった」
水路から脇道を入り、しばらく歩くと灯りが見えてきました。
「『情報ギルド 叡智会 キャンドラ支部』……」
初めて聞くギルドです。
「プフィーはこのギルドに入ってるの?」
「違うよ。もこちン来たヨ!」
「入りや」
突然ロールプレイスイッチが入ったプフィーに驚きながらも、開いた扉から入ります。
「プフィー久しぶりやね」
声を発したのは、薙刀を携えた和服の黒髪眼鏡美人でした。
「もこちン! 最近会えなくテ寂しかったヨ。こちらがチェリー」
「チェリー。初めまして。うちはもこちねる言います。皆、もこちんって呼んでくれるんで、そう呼んでくださいな」
「もこちんさん、初めましてチェリーです」
「早速本題に入りましょ。プフィーからもろた情報で気になることがあって、すぐに調べさせたんやけど、結果が今日の取引ってことです」
「ありがとネ。ということでチェリー」
「なに?」
「私とチェリーが潜入して情報を掴んでくる。その代わりにさっきの情報を貰った」
「そう言うことです。うちの知らない情報を掴んできてくれればなんも言いません。知ってる情報やったら、今やってるクエストの内容全部聞かせてもらいます」
「あの……クエストの内容なんて全部話しても構わないんですけど……」
私がそう言うと、もこちねるは目を丸くし、口を開けながら驚愕の表情を浮かべていました。
「普段情報屋としかやり取りしてへんかったから普通の人と価値観違うてかなわんわ!」
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