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第4章 精霊駆動
第4章53幕 白熱<heated discussion>
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「早速だが嬢ちゃん絵は描けるか?」
「絵ですか? 人並みには描けますよ?」
「そいつは助かるぜ。どんな形にするかちょっと描いてみてくれ」
「わかりました」
私は受け取った紙にそこらに転がっていたペンでイメージを描きだします。
数分ペンを走らせ、完成した絵を見せます。
「これでどうでしょうか?」
「「「…………」」」
「チェリー……。これ……」
「ん? 何か変?」
エルマにまで疑問をぶつけられますが、私はちゃんと自分のイメージを絵に起こしたので何故不思議がられてるか分かりません。
「脚の生えた竹輪……」
「はぁ? 酷くない?」
エルマにそう言われ、憤慨した私はエルマから紙をむしり取り、改めて確認します。
「あれ? さっきと違う?」
「違くないよ! まさかチェリーがこんなに下手くそだとは……」
あれ? なんかショック。
「あー。うん。まー。あー」
デュレアルから語彙力が欠落します。
「あの……なんかすいませんでした……」
「気にすんなよ。嬢ちゃん。絵が下手くそでも生きていけるぜ」
死にたい……。
分かりますか? 自信満々で描いた絵が他人の語彙力を奪うレベルの殺傷力あるんですよ? 想像したくもありません。
「まぁなんだ。イメージを伝えてくれ。俺達が起こしてやるよ」
「ではお願いします……」
人並みには描ける方だと思っていたんです。信じてください。
私がイメージを伝えると、3DCGかと見間違ってしまう程の絵が完成しました。
「これです。これ。私はこれを描きたかったんです」
「お、おうよ。んでな、ここと、ここに精霊駆動を積もうと思ってる」
デュレアルは前輪のちょうど上らへんと、後輪のちょうど上らへんを木の細長い棒で指します。
「これで理論上は上手く行けると思うんだがな。一度、仮で組んでみないと分からんがな」
「デュレアル。俺の工房からフレーム取って来るわ。余りでいいパーツあんだわ」
「そういうことなら俺も精霊駆動を突っ込む筒の改良品あるから取って来るわ」
アインとリベラルがそう言って工房から出て行きました。
「おう。わりいな。すまんな嬢ちゃん達」
「いえ。大丈夫です」
一人で少し思考し、心を落ち着けることができたのでまともな返答ができるようになりました。
「みんな精霊駆動と乗り物が大好きでよ。かくいう俺も精霊駆動を模倣した疑似精霊駆動で二輪車作ってあいつらとひとっ走り行くのが毎週の楽しみなんだ」
「みなさん本当に好きなんですね。楽しそうなのが伝わってきます」
「そういやそっちのちんまい嬢ちゃんは二輪車いらねぇのか?」
デュレアルがそうエルマに聞きます。
するとエルマは少ししょんぼりした顔をしながら答えます。
「正直欲しい。でも精霊駆動取ってきてないし」
「出力と燃費は悪くなるが、俺が作った改良型疑似精霊駆動で一台組むか?」
「えっ? いいの?」
「あぁ。構わねぇ。代金もいらねぇぞ。こんな面白い事に首突っ込ませてもらってる礼だと思ってくれ」
「わーい!」
子供の用にはしゃぎまわるエルマを微笑ましく眺め、二人の帰りを待ちます。
「デュレアル待たせたな。予備フレーム2種類あったから持って来たわ。新人の【鍛冶職人】雇ったかいがあったわ」
「おう。アイン、もどったか。まだリベラルは帰ってねえぞ」
「しゃーねー。あいつの工房汚えからな!」
「だよな!」
ガッハッハと二人して笑っています。
「現実のバイクと似たようなフレームだね」
エルマが私にそう言います。
「現実のバイクってあんまり見たことないから分からないや」
「そっか。まぁチェリーだもんね。竹輪!」
「ねぇ。お願い。本当に忘れて?」
「おっと。口が滑った。っとまぁ現実のバイクと大差ない感じになると思うってね。ガソリンの代わりに魔力を使ってるんのかな?」
「おっ? ちんまい嬢ちゃんいい線ついてるな!」
「ほんと!?」
「あぁ。本当なら燃料を入れる方が効率がいいんだが、いい燃料が無くてな。それで精霊の原型を閉じ込めた球体の精霊駆動ってわけだ。俺が作った疑似精霊駆動は燃料で動くぞ」
「へぇ!」
エルマの目が輝きを増します。
まぁ高級外車に乗ってるわけですし、こういう話題は好きなのかもしれませんね。
そう言えばサツキも高級外車乗ってるらしいです。あっ。精霊駆動式二輪車できたらサツキにも乗ってもらおう。たぶんめっちゃ似合う。
私が思考の海を泳いでいると裏口がバーンと開かれ、リベラルが帰ってきます。
「デュレアル。戻ったぜ。改良型の筒二つだ。でもよ。ちょっと戻ってくる間に思いついたことあるからやってみていいか?」
「おっ? どんな感じだ?」
「気になるな」
デュレアルとアインが身を乗り出し、リベラルの話に耳を傾けます。よく見たらエルマも押しつぶされそうになりながら聞いています。
「この筒の内側にもう一個筒を入れんだよ。こう。コップを二つ重ねるみたいに」
「それで?」
「んで精霊駆動に魔力を流し込んで膨張させるだろ? そうすっとこのコップが離れる」
「おぉ! 流石だな!」
「んでよ? このコップの側面に棒と歯車をくっつけて動かせば効率いいんじゃねぇか?」
「お前天才かよ」
お前天才かよ。エンジンという概念はなかったはずですが、かなり近いものになってきました。そのうちこの人たちがエンジンを作るかもしれませんね。『科学都市 サイエンシア』を差し置いて。
白熱する議論を経て今日はお開きになりました。彼らはこれから居酒屋で死ぬほど語らうと言っていたので遠慮した形になっています。
「思ったよりも遅くなっちゃったね」
「そうだね。ステイシー達には事情言ってあるし、皆自分のやりたいことやるって言ってたから別にいいかなってね」
ステイシーは素材探しの旅に、サツキは修行に、愛猫姫はお酒を飲みに行くと言っていました。
「とりあえずいい物ができるといいね」
「ねー! じゃぁまた明日工房に行こうか」
「そうだね」
その後エルマと晩御飯を食べ宿屋に戻ってきた私達は、宿屋の部屋の前で別れます。
「じゃまた明日ねー」
「また明日」
エルマと別れ部屋に入ろうとすると奥から一人の人物がこちらに向かって歩いてくるのに気が付きました。
「あっ。チェリーさん」
仕事終わりのような姿のアンナでした。
「アンナさん。お仕事終わりですか?」
「はい」
「少しお話でもしませんか?」
少し話したいこともありますし、私は会話に誘います。
「いいですね。では行きつけのバーがあるのでそちらに行きませんか」
「分かりました」
一度開けた扉をそっと閉め、アンナとともに宿屋を出ます。
「どの辺にあるのですか?」
「えっと。そのバーは私の家のすぐ近くなんですよ。だいたい歩いて10分くらいでしょうか」
「意外と近いんですね」
「都市は意外と狭いですからね」
「そうですね」
仕事の話を少し聞きながら歩いているとあっという間についてしまいました。
「こちらです」
「おお。なかなかおしゃれですね」
「女性に大人気ですよ」
「期待できますね」
「お酒も料理も期待にそぐわないと思います」
「おー!」
そのまま扉を開け入るアンナに続き私も入ります。
「こんばんわ」
「お邪魔します」
「おっ? アンナちゃん今日もありがとね! そちらはお連れさんかい? ならいい席用意してやんなきゃね。パフェ。二階の1番用意して」
「あいあい!」
パフェと呼ばれたNPCの少女が敬礼をして二階へと走っていきました。
「常連さんなんですね」
「お仕事のある日は毎日寄ってますから」
「そうなんですね」
「悪いね。アンナちゃん、もうちっと待ってくれ」
「ゆっくりでいいですよ」
そうアンナが返事をした瞬間、どこからともなく現れた、パフェがご案内します!と言ってアンナの荷物を持って二階へ上がっていきました。
「仕事はほんとにできるやつなんだけどなぁ」
そう呟くマスターの声は一階にいた客全てが聞き取れたと思います。
to be continued...
「絵ですか? 人並みには描けますよ?」
「そいつは助かるぜ。どんな形にするかちょっと描いてみてくれ」
「わかりました」
私は受け取った紙にそこらに転がっていたペンでイメージを描きだします。
数分ペンを走らせ、完成した絵を見せます。
「これでどうでしょうか?」
「「「…………」」」
「チェリー……。これ……」
「ん? 何か変?」
エルマにまで疑問をぶつけられますが、私はちゃんと自分のイメージを絵に起こしたので何故不思議がられてるか分かりません。
「脚の生えた竹輪……」
「はぁ? 酷くない?」
エルマにそう言われ、憤慨した私はエルマから紙をむしり取り、改めて確認します。
「あれ? さっきと違う?」
「違くないよ! まさかチェリーがこんなに下手くそだとは……」
あれ? なんかショック。
「あー。うん。まー。あー」
デュレアルから語彙力が欠落します。
「あの……なんかすいませんでした……」
「気にすんなよ。嬢ちゃん。絵が下手くそでも生きていけるぜ」
死にたい……。
分かりますか? 自信満々で描いた絵が他人の語彙力を奪うレベルの殺傷力あるんですよ? 想像したくもありません。
「まぁなんだ。イメージを伝えてくれ。俺達が起こしてやるよ」
「ではお願いします……」
人並みには描ける方だと思っていたんです。信じてください。
私がイメージを伝えると、3DCGかと見間違ってしまう程の絵が完成しました。
「これです。これ。私はこれを描きたかったんです」
「お、おうよ。んでな、ここと、ここに精霊駆動を積もうと思ってる」
デュレアルは前輪のちょうど上らへんと、後輪のちょうど上らへんを木の細長い棒で指します。
「これで理論上は上手く行けると思うんだがな。一度、仮で組んでみないと分からんがな」
「デュレアル。俺の工房からフレーム取って来るわ。余りでいいパーツあんだわ」
「そういうことなら俺も精霊駆動を突っ込む筒の改良品あるから取って来るわ」
アインとリベラルがそう言って工房から出て行きました。
「おう。わりいな。すまんな嬢ちゃん達」
「いえ。大丈夫です」
一人で少し思考し、心を落ち着けることができたのでまともな返答ができるようになりました。
「みんな精霊駆動と乗り物が大好きでよ。かくいう俺も精霊駆動を模倣した疑似精霊駆動で二輪車作ってあいつらとひとっ走り行くのが毎週の楽しみなんだ」
「みなさん本当に好きなんですね。楽しそうなのが伝わってきます」
「そういやそっちのちんまい嬢ちゃんは二輪車いらねぇのか?」
デュレアルがそうエルマに聞きます。
するとエルマは少ししょんぼりした顔をしながら答えます。
「正直欲しい。でも精霊駆動取ってきてないし」
「出力と燃費は悪くなるが、俺が作った改良型疑似精霊駆動で一台組むか?」
「えっ? いいの?」
「あぁ。構わねぇ。代金もいらねぇぞ。こんな面白い事に首突っ込ませてもらってる礼だと思ってくれ」
「わーい!」
子供の用にはしゃぎまわるエルマを微笑ましく眺め、二人の帰りを待ちます。
「デュレアル待たせたな。予備フレーム2種類あったから持って来たわ。新人の【鍛冶職人】雇ったかいがあったわ」
「おう。アイン、もどったか。まだリベラルは帰ってねえぞ」
「しゃーねー。あいつの工房汚えからな!」
「だよな!」
ガッハッハと二人して笑っています。
「現実のバイクと似たようなフレームだね」
エルマが私にそう言います。
「現実のバイクってあんまり見たことないから分からないや」
「そっか。まぁチェリーだもんね。竹輪!」
「ねぇ。お願い。本当に忘れて?」
「おっと。口が滑った。っとまぁ現実のバイクと大差ない感じになると思うってね。ガソリンの代わりに魔力を使ってるんのかな?」
「おっ? ちんまい嬢ちゃんいい線ついてるな!」
「ほんと!?」
「あぁ。本当なら燃料を入れる方が効率がいいんだが、いい燃料が無くてな。それで精霊の原型を閉じ込めた球体の精霊駆動ってわけだ。俺が作った疑似精霊駆動は燃料で動くぞ」
「へぇ!」
エルマの目が輝きを増します。
まぁ高級外車に乗ってるわけですし、こういう話題は好きなのかもしれませんね。
そう言えばサツキも高級外車乗ってるらしいです。あっ。精霊駆動式二輪車できたらサツキにも乗ってもらおう。たぶんめっちゃ似合う。
私が思考の海を泳いでいると裏口がバーンと開かれ、リベラルが帰ってきます。
「デュレアル。戻ったぜ。改良型の筒二つだ。でもよ。ちょっと戻ってくる間に思いついたことあるからやってみていいか?」
「おっ? どんな感じだ?」
「気になるな」
デュレアルとアインが身を乗り出し、リベラルの話に耳を傾けます。よく見たらエルマも押しつぶされそうになりながら聞いています。
「この筒の内側にもう一個筒を入れんだよ。こう。コップを二つ重ねるみたいに」
「それで?」
「んで精霊駆動に魔力を流し込んで膨張させるだろ? そうすっとこのコップが離れる」
「おぉ! 流石だな!」
「んでよ? このコップの側面に棒と歯車をくっつけて動かせば効率いいんじゃねぇか?」
「お前天才かよ」
お前天才かよ。エンジンという概念はなかったはずですが、かなり近いものになってきました。そのうちこの人たちがエンジンを作るかもしれませんね。『科学都市 サイエンシア』を差し置いて。
白熱する議論を経て今日はお開きになりました。彼らはこれから居酒屋で死ぬほど語らうと言っていたので遠慮した形になっています。
「思ったよりも遅くなっちゃったね」
「そうだね。ステイシー達には事情言ってあるし、皆自分のやりたいことやるって言ってたから別にいいかなってね」
ステイシーは素材探しの旅に、サツキは修行に、愛猫姫はお酒を飲みに行くと言っていました。
「とりあえずいい物ができるといいね」
「ねー! じゃぁまた明日工房に行こうか」
「そうだね」
その後エルマと晩御飯を食べ宿屋に戻ってきた私達は、宿屋の部屋の前で別れます。
「じゃまた明日ねー」
「また明日」
エルマと別れ部屋に入ろうとすると奥から一人の人物がこちらに向かって歩いてくるのに気が付きました。
「あっ。チェリーさん」
仕事終わりのような姿のアンナでした。
「アンナさん。お仕事終わりですか?」
「はい」
「少しお話でもしませんか?」
少し話したいこともありますし、私は会話に誘います。
「いいですね。では行きつけのバーがあるのでそちらに行きませんか」
「分かりました」
一度開けた扉をそっと閉め、アンナとともに宿屋を出ます。
「どの辺にあるのですか?」
「えっと。そのバーは私の家のすぐ近くなんですよ。だいたい歩いて10分くらいでしょうか」
「意外と近いんですね」
「都市は意外と狭いですからね」
「そうですね」
仕事の話を少し聞きながら歩いているとあっという間についてしまいました。
「こちらです」
「おお。なかなかおしゃれですね」
「女性に大人気ですよ」
「期待できますね」
「お酒も料理も期待にそぐわないと思います」
「おー!」
そのまま扉を開け入るアンナに続き私も入ります。
「こんばんわ」
「お邪魔します」
「おっ? アンナちゃん今日もありがとね! そちらはお連れさんかい? ならいい席用意してやんなきゃね。パフェ。二階の1番用意して」
「あいあい!」
パフェと呼ばれたNPCの少女が敬礼をして二階へと走っていきました。
「常連さんなんですね」
「お仕事のある日は毎日寄ってますから」
「そうなんですね」
「悪いね。アンナちゃん、もうちっと待ってくれ」
「ゆっくりでいいですよ」
そうアンナが返事をした瞬間、どこからともなく現れた、パフェがご案内します!と言ってアンナの荷物を持って二階へ上がっていきました。
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