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第0章
第0章2幕
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お風呂上りにベットに行ったらそのまま寝てしまいました。
風邪ひかなくてよかった。
9時間ほど経っていましたが、<Imperial Of Egg>にログインしました。
リアルでは日曜日の午後7時なのでみんなログインしていました。
「こんばんわ。先ほどはすみませんでした」
さすがに悪いことをしてしまったので謝ります。
「気にしてないよ! チェリー今日はどこ行く?」
「気にすんなよ。リアルのほうが大事だぜ」
「それより早く狩り行こう」
エルマ、ファンダン、ジュンヤがそう言ってくれたので少し気が楽になりました。
「あっでもごめんなさい。VR化に向けて武器の変更と<転生>とレベ上げを済ませておきたいので今日は一緒に狩りに行けません」
この<Imperial Of Egg>においてレベルの上限は100です。ですが<転生>と呼ばれる高難易度のソロクエストをクリアすることでさらにレベルを上げることができます。
私の現在のレベルは転生Lv.2+Lv100、つまり2度目の転生後にレベルをカンストしている状態です。3度目の転生のクエストはかなり難しく、<Imperial Of Egg>全体でも数人しかいなかったはずです。
私も所属しているギルド『虎の子(prized possession)』ではギルドマスターのジュンヤとエルマの2人しか到達していません。
「ん? チェリーは武器更新するの? 今の武器かなり補正いいし、それ以上の武器となるとそう簡単には手に入らないんじゃ?」
「いえ。更新ではなくて変更です。魔法系に転職しようかなと思いまして」
<Imperial Of Egg>では職業という概念がありませんが、みんなわかりやすいので職業といっています。
「そうか……転職かぁ……武器制作大変だろうし、もしなにかあったら言ってくれ。俺もギルメンもみんな手伝ってくれる……と思う」
「ありがとうございます。気合いれてまずは<転生>を終わらせてきます」
「がんばれー」
「あたしは近くで見守るよ! 今日の狩りはパス! じゃねー!」
<転生>クエストを受けるべくギルドのホームと私のホームがある『花の都 ヴァンヘイデン』から『商都 ディレミアン』まで転移魔法で飛びます。
インベントリから転移魔法の固有スキルが付いた【ゲートブック】という装備品を取り出し唱えます。
「≪ディメンション・ゲート≫」
数瞬の後、景色が一変し、『商都 ディレミアン』に到着します。
私のステータスではMPが少なく、必須スペルである空間転移魔法でも枯渇寸前です。
「さすがにこの距離の≪テレポート≫はきついねー!」
「うん。燃費のいい≪ディメンション・ゲート≫でも私のMPだとギリギリだった」
涼しい顔で隣に≪テレポート≫してきたエルマを見つつMPポーションのショートカットボタンを叩きます。
「エルマは余裕そうだね」
「そりゃー魔法よりの武器使ってるしね! でもMPよりもENのほうが多いよ!」
そうでした。エルマは【召喚士】と呼ばれるモンスターやペットを使役して戦う人達にも入っていました。
MPというのはゲームをする人たちはみんな知っている有名なステータスですが、ENというステータスはあまり聞き覚えがないかもしれません。
「召喚獣の召喚維持につかうENがMPより高いのはちょっと想像できない」
あえて説明のようなセリフを言ってみました。
「いやいや! 魔法の威力に重点を置いてるINT型の人には結構多いよ! MPはMND×100+INT×10じゃん? ENはその逆でINT×100+MND×10だからね!」
エルマも説明のようなセリフにのってくれました。
「エルマ威力重視の魔法使わないじゃん」
「たはー! バレましたか!」
バレるもバレないもないです。2年近く一緒に遊んでいるのですから。
そう話しながらクエストが受けられる案内所に向かっています。
案内所は大きな町や都市にもありますし、小さな村のようなところにもあります。
大きな案内所では多種多様なクエストを受けることができ、小さな案内所ではその地域でしか受けられない限定クエスト等を受けることができます。
「おっ? あっちがなにか騒がしいねー!」
そういってエルマが騒ぎの方向に走り出してしまいました。
まったく……と思いましたが、ちょっと興味はあったので、私も見に行くことにします。
「俺たちが最初に目をつけたクエストだ!」
見るからに悪役のような鎧を着た大男がそう叫んでいます。
「先着クエストの権利をかけて野良試合だってさ!」
先着クエストという一番最初に申し込んだパーティーのみが受けられる高報酬のクエストがあるのでたびたびこういうことが起きます。
「まて。このクエストは人命がかかっている。確実にクリアできる拙者に譲るのだ」
こちらは細身の太刀を背負った武士のような人でした。
「ちっ……なんのための先着なんだか……いいぜ。俺とサシで殺りあって勝ったほうがクエストを受けられる。いいな?」
「是非もない」
<Imperial Of Egg>においてNPCの命は無限ではありません。死んだらそこでそのNPCはゲームから永久に消えてしまいます。似たようなNPCが生まれますが、それはまったくの別人になります。
「いくゾォオ!!」
「来い」
野良試合が始まります。
大きな斧を両手に1本づつ装備した大男が武士に向かって駆けていきます。
武士のほうは抜刀する素振りも見せません。
「チェリーしってる? あの太刀使い」
いつもより真面目なエルマの声が隣から聞こえてきます。
「いや……私は知らないけど」
「そうだよね。私も知らない。でも知ってる」
どういうこと? とエルマに聞こうと顔を向けた瞬間、視界の隅で一瞬武士のほうがぶれたように見えました。
「えっ?」
その呟きは誰の口から漏れたのでしょうか。
武士は2人になっており、大男の姿がどこにもありません。
何が起きたのかはわかりませんが、この後の展開はだいたい読めます。大男のパーティーメンバーが「イカサマだ!」「チートだ!」と言って武士に詰め寄るでしょう。
「卑怯者!」
「チート使うなよ!」
少し言葉が違いましたが概ね一緒でした。
「イカサマなどしておらぬ、拙者のスキルとステータス故。こうなる」
きっとAGI型で忍者刀のスキルかなにか使ったのかな?と思っていると隣のエルマが「やっぱり……」とつぶやいたのが聞こえました。
「やっぱりってどういうこと?」
「あー……うん。あの人多分【影忍】と【最速】の【称号】持ってる人だよ。たぶんだけど」
それを聞いた私はメニュー画面の装備構成のセットから『研究者セット』と書いておいた装備に転換しました。
余談ですがメニュー画面上部にある装備構成にはセット装備が4種類まで登録でき、使用後5分のクールタイムが必要になりますが、一瞬で変えられる便利な機能があります。
「うん。そうだね。【影忍】の【称号】が読めたよ。でもステータスとかレベルとか名前までは見えない」
「チェリーの鑑定装備でも読めないのかぁ……でも間違いないね。彼が〔天地阿修羅〕だね」
〔天地阿修羅〕私も聞いたことがありました。
NPCにとても肩入れする珍しいタイプのプレイヤーだとか、悪人を殺した数が1000人を超えるとか、過去から未来に飛ばされてきたとか。
ユニークの【称号】数個持っているだけでも恐ろしいほどの強者なのに、それがすべて速度系でシナジーしているようです。
【称号】は何個でも持つことができますが、アクティブにできるのは10個までという制限もあります。
そのすべてが速度に関するものなのだとしたらAGIはおそらく4桁に到達しているはずです。
そしてそこまでAGIをあげているのに攻撃を外さないプレイヤースキル。
私は<最強>と呼ばれるプレイヤー達の恐ろしさを知りました。
<Imperial Of Egg>でのデスペナルティーは3種類に分かれます。
一定時間ステータスを直接ダウンさせるもの。
対象モンスターからのドロップや経験値の獲得制限。
インベントリからのランダムドロップ。
このうち2種類です。
モンスターに殺された場合とプレイヤーに殺された場合で異なります。
モンスターに殺された場合は、そのモンスターから経験値やドロップはもらえませんし、プレイヤーに殺された場合はランダムに何かドロップしてしまいます。
そういった仕様なのでプレイヤーキラーと呼ばれる者達もうようよしています。
そうエルマと話しているうちに、大男のパーティーが〔天地阿修羅〕に斬りかかっていましたが、まさに鎧袖一触といった感じでデスペナにされていました。
「拙者がこのクエストを受領することに異議があるものはおらぬか?」
さすがにあの強さを見せられて挑みかかるようなプレイヤーはいませんでした。
「では拙者はこれにて」
バフッと音を立てて煙を撒き散らした後には彼の姿はありませんでした。
「いやーいいものみれたね!」
「ほんとにね。あれが<最強>のプレイヤーなんだなぁって思うと少し遠い気がする」
「うちのギルマスも<最強>の一人だけどあそこまでイカレポンチじゃないもんね!」
「だよね」
「んーでもチェリーはそう遠くないうちに<最強>の仲間入りしてそうだね!」
「それはないと思う。エルマのほうが早いと思うよ」
「よーし! じゃぁどっちが早く<最強>に仲間入りするか勝負だね!」
「私勝てない勝負しない主義だよ」
他愛もない話をしながら案内所へと歩いていると見知った顔がこちらに向かってきます。
「おやー? エルマさんにチェリーさんじゃないですかー」
間延びしたしゃべり方をする彼はステイシーというよく私達とパーティーを組むプレイヤーです。
「こんばんわステイシー」
「ばんわわー!」
「これから二人でクエストかなー?」
「いや! これからチェリーの<転生>クエストだよ!」
「なるほどー。VR化に向けて鍛え上げてる感じなのかなー?」
「そんなところです」
「ふむふむー。何かあったら言ってねー。たぶん力にはなれるからー」
「はい。ありがとうございます」
「ステイシーまたねー!」
予期せぬ友人との遭遇もありましたが無事に案内所へ着きました。
これから<転生>クエストを受けて、武器変更のための準備をします。
幾度となく失敗してきたクエストですが、今日こそは必ず成功させます。
to be continued...
風邪ひかなくてよかった。
9時間ほど経っていましたが、<Imperial Of Egg>にログインしました。
リアルでは日曜日の午後7時なのでみんなログインしていました。
「こんばんわ。先ほどはすみませんでした」
さすがに悪いことをしてしまったので謝ります。
「気にしてないよ! チェリー今日はどこ行く?」
「気にすんなよ。リアルのほうが大事だぜ」
「それより早く狩り行こう」
エルマ、ファンダン、ジュンヤがそう言ってくれたので少し気が楽になりました。
「あっでもごめんなさい。VR化に向けて武器の変更と<転生>とレベ上げを済ませておきたいので今日は一緒に狩りに行けません」
この<Imperial Of Egg>においてレベルの上限は100です。ですが<転生>と呼ばれる高難易度のソロクエストをクリアすることでさらにレベルを上げることができます。
私の現在のレベルは転生Lv.2+Lv100、つまり2度目の転生後にレベルをカンストしている状態です。3度目の転生のクエストはかなり難しく、<Imperial Of Egg>全体でも数人しかいなかったはずです。
私も所属しているギルド『虎の子(prized possession)』ではギルドマスターのジュンヤとエルマの2人しか到達していません。
「ん? チェリーは武器更新するの? 今の武器かなり補正いいし、それ以上の武器となるとそう簡単には手に入らないんじゃ?」
「いえ。更新ではなくて変更です。魔法系に転職しようかなと思いまして」
<Imperial Of Egg>では職業という概念がありませんが、みんなわかりやすいので職業といっています。
「そうか……転職かぁ……武器制作大変だろうし、もしなにかあったら言ってくれ。俺もギルメンもみんな手伝ってくれる……と思う」
「ありがとうございます。気合いれてまずは<転生>を終わらせてきます」
「がんばれー」
「あたしは近くで見守るよ! 今日の狩りはパス! じゃねー!」
<転生>クエストを受けるべくギルドのホームと私のホームがある『花の都 ヴァンヘイデン』から『商都 ディレミアン』まで転移魔法で飛びます。
インベントリから転移魔法の固有スキルが付いた【ゲートブック】という装備品を取り出し唱えます。
「≪ディメンション・ゲート≫」
数瞬の後、景色が一変し、『商都 ディレミアン』に到着します。
私のステータスではMPが少なく、必須スペルである空間転移魔法でも枯渇寸前です。
「さすがにこの距離の≪テレポート≫はきついねー!」
「うん。燃費のいい≪ディメンション・ゲート≫でも私のMPだとギリギリだった」
涼しい顔で隣に≪テレポート≫してきたエルマを見つつMPポーションのショートカットボタンを叩きます。
「エルマは余裕そうだね」
「そりゃー魔法よりの武器使ってるしね! でもMPよりもENのほうが多いよ!」
そうでした。エルマは【召喚士】と呼ばれるモンスターやペットを使役して戦う人達にも入っていました。
MPというのはゲームをする人たちはみんな知っている有名なステータスですが、ENというステータスはあまり聞き覚えがないかもしれません。
「召喚獣の召喚維持につかうENがMPより高いのはちょっと想像できない」
あえて説明のようなセリフを言ってみました。
「いやいや! 魔法の威力に重点を置いてるINT型の人には結構多いよ! MPはMND×100+INT×10じゃん? ENはその逆でINT×100+MND×10だからね!」
エルマも説明のようなセリフにのってくれました。
「エルマ威力重視の魔法使わないじゃん」
「たはー! バレましたか!」
バレるもバレないもないです。2年近く一緒に遊んでいるのですから。
そう話しながらクエストが受けられる案内所に向かっています。
案内所は大きな町や都市にもありますし、小さな村のようなところにもあります。
大きな案内所では多種多様なクエストを受けることができ、小さな案内所ではその地域でしか受けられない限定クエスト等を受けることができます。
「おっ? あっちがなにか騒がしいねー!」
そういってエルマが騒ぎの方向に走り出してしまいました。
まったく……と思いましたが、ちょっと興味はあったので、私も見に行くことにします。
「俺たちが最初に目をつけたクエストだ!」
見るからに悪役のような鎧を着た大男がそう叫んでいます。
「先着クエストの権利をかけて野良試合だってさ!」
先着クエストという一番最初に申し込んだパーティーのみが受けられる高報酬のクエストがあるのでたびたびこういうことが起きます。
「まて。このクエストは人命がかかっている。確実にクリアできる拙者に譲るのだ」
こちらは細身の太刀を背負った武士のような人でした。
「ちっ……なんのための先着なんだか……いいぜ。俺とサシで殺りあって勝ったほうがクエストを受けられる。いいな?」
「是非もない」
<Imperial Of Egg>においてNPCの命は無限ではありません。死んだらそこでそのNPCはゲームから永久に消えてしまいます。似たようなNPCが生まれますが、それはまったくの別人になります。
「いくゾォオ!!」
「来い」
野良試合が始まります。
大きな斧を両手に1本づつ装備した大男が武士に向かって駆けていきます。
武士のほうは抜刀する素振りも見せません。
「チェリーしってる? あの太刀使い」
いつもより真面目なエルマの声が隣から聞こえてきます。
「いや……私は知らないけど」
「そうだよね。私も知らない。でも知ってる」
どういうこと? とエルマに聞こうと顔を向けた瞬間、視界の隅で一瞬武士のほうがぶれたように見えました。
「えっ?」
その呟きは誰の口から漏れたのでしょうか。
武士は2人になっており、大男の姿がどこにもありません。
何が起きたのかはわかりませんが、この後の展開はだいたい読めます。大男のパーティーメンバーが「イカサマだ!」「チートだ!」と言って武士に詰め寄るでしょう。
「卑怯者!」
「チート使うなよ!」
少し言葉が違いましたが概ね一緒でした。
「イカサマなどしておらぬ、拙者のスキルとステータス故。こうなる」
きっとAGI型で忍者刀のスキルかなにか使ったのかな?と思っていると隣のエルマが「やっぱり……」とつぶやいたのが聞こえました。
「やっぱりってどういうこと?」
「あー……うん。あの人多分【影忍】と【最速】の【称号】持ってる人だよ。たぶんだけど」
それを聞いた私はメニュー画面の装備構成のセットから『研究者セット』と書いておいた装備に転換しました。
余談ですがメニュー画面上部にある装備構成にはセット装備が4種類まで登録でき、使用後5分のクールタイムが必要になりますが、一瞬で変えられる便利な機能があります。
「うん。そうだね。【影忍】の【称号】が読めたよ。でもステータスとかレベルとか名前までは見えない」
「チェリーの鑑定装備でも読めないのかぁ……でも間違いないね。彼が〔天地阿修羅〕だね」
〔天地阿修羅〕私も聞いたことがありました。
NPCにとても肩入れする珍しいタイプのプレイヤーだとか、悪人を殺した数が1000人を超えるとか、過去から未来に飛ばされてきたとか。
ユニークの【称号】数個持っているだけでも恐ろしいほどの強者なのに、それがすべて速度系でシナジーしているようです。
【称号】は何個でも持つことができますが、アクティブにできるのは10個までという制限もあります。
そのすべてが速度に関するものなのだとしたらAGIはおそらく4桁に到達しているはずです。
そしてそこまでAGIをあげているのに攻撃を外さないプレイヤースキル。
私は<最強>と呼ばれるプレイヤー達の恐ろしさを知りました。
<Imperial Of Egg>でのデスペナルティーは3種類に分かれます。
一定時間ステータスを直接ダウンさせるもの。
対象モンスターからのドロップや経験値の獲得制限。
インベントリからのランダムドロップ。
このうち2種類です。
モンスターに殺された場合とプレイヤーに殺された場合で異なります。
モンスターに殺された場合は、そのモンスターから経験値やドロップはもらえませんし、プレイヤーに殺された場合はランダムに何かドロップしてしまいます。
そういった仕様なのでプレイヤーキラーと呼ばれる者達もうようよしています。
そうエルマと話しているうちに、大男のパーティーが〔天地阿修羅〕に斬りかかっていましたが、まさに鎧袖一触といった感じでデスペナにされていました。
「拙者がこのクエストを受領することに異議があるものはおらぬか?」
さすがにあの強さを見せられて挑みかかるようなプレイヤーはいませんでした。
「では拙者はこれにて」
バフッと音を立てて煙を撒き散らした後には彼の姿はありませんでした。
「いやーいいものみれたね!」
「ほんとにね。あれが<最強>のプレイヤーなんだなぁって思うと少し遠い気がする」
「うちのギルマスも<最強>の一人だけどあそこまでイカレポンチじゃないもんね!」
「だよね」
「んーでもチェリーはそう遠くないうちに<最強>の仲間入りしてそうだね!」
「それはないと思う。エルマのほうが早いと思うよ」
「よーし! じゃぁどっちが早く<最強>に仲間入りするか勝負だね!」
「私勝てない勝負しない主義だよ」
他愛もない話をしながら案内所へと歩いていると見知った顔がこちらに向かってきます。
「おやー? エルマさんにチェリーさんじゃないですかー」
間延びしたしゃべり方をする彼はステイシーというよく私達とパーティーを組むプレイヤーです。
「こんばんわステイシー」
「ばんわわー!」
「これから二人でクエストかなー?」
「いや! これからチェリーの<転生>クエストだよ!」
「なるほどー。VR化に向けて鍛え上げてる感じなのかなー?」
「そんなところです」
「ふむふむー。何かあったら言ってねー。たぶん力にはなれるからー」
「はい。ありがとうございます」
「ステイシーまたねー!」
予期せぬ友人との遭遇もありましたが無事に案内所へ着きました。
これから<転生>クエストを受けて、武器変更のための準備をします。
幾度となく失敗してきたクエストですが、今日こそは必ず成功させます。
to be continued...
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※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも先行投稿しております。
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