僕たちは青春を余らせる

私立高校に通う主人公『戸石 春希』は、学校が嫌いだった。正確に言えば、『青春』が嫌いだった。

戸石は『匂いで人の感情が分かる』という共感覚の持ち主だった。その特性により周囲に馴染めず孤立していた戸石だったが、ある日、全国の学校がウイルスの影響で閉鎖された。

翌年から学校が再開されたが、友人関係が変わったことも重ねって、戸石はクラスの人気者になっていた。孤立して、半ばいじめを受けていた去年とは大違いの、『表面上の青春』を送る戸石。

一抹の空虚さを感じながらも、充実した学校生活を送るある日、戸石はクラスメイトの女子『青景 一誠』に話しかけられる。青景は、「『ほんもの』の青春を取り戻そう」と戸石に持ちかける。

明るくない、仄暗い。けれど鮮やかな青春を、彼らは傷つけ合いながら取り戻していく。
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