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第1章 転生したけど・・・
久しぶりの
しおりを挟む目が覚めると見慣れた天井が見えた。
どうやら僕は自分の屋敷に帰ってきていたらしい。
どうしてここにいるのか眠る前の記憶が朧げであったが部屋に入ってきた両親が涙ながらに説明してくれた。
王妃様のお茶会の途中で僕は魔力暴走を起こし倒れてしまったそうだ。
その後に来た先生が魔力暴走について教えてくれた。
魔力が暴走してしまう原因の一つには身心への強い負担があるらしい。その原因には心当たりしかない。
本来僕のような年齢の子供は耐えきれなくて体内にある魔力をそのまま放出してしまうらしいのだけれど僕の場合精神力で押さえていたみたいで先生は驚いていた。
でも、押さえ込むことで周りへの被害が防げても自身にその矛先が向くから次は無理しないよう言われてしまった。
「次なんて起こさせませんがね」と言う先生は僕が魔力暴走を起こすような状況に持ち込んだ人物に強く腹を立てていた。
相手はこの国の王妃様なのだからどうにもならないと思うが。。。
もし僕が我慢していなければあの場にいた人たちはただでは済まなかっただろうし、王城で王妃様のお気に入りの令息たちに危害を加えたとなると公爵位を持ってしても何らかの処罰は免れなかっただろう。
僕を公爵邸まで運んでくれたのはセフィウスらしい。
前に倒れた時からそう時間は立っていないのでとても心配をかけていると思う。きっとセフィウスのことだから前みたいに明日には飛びついてきてくれるのかな。
そうしたら思い切りあの天使に癒されよう・・・
そんなことを悠長に考えていたが、セフィウスにはなかなか会えなかった。
何度か王城を訪れたりしていたが国王様はセフィウスが最近特に忙しくしていると言うだけで何をしているのかまでは教えてくれなかった。
王妃様には茶会を途中で抜けたことを詫びに行こうとしたが国王様にその必要はないと止められてしまった。
あの後茶会を抜けたのは僕だけではなくあの場にいた令息全員が退席したらしい。
僕のせいではないと言っていたけれど何かしら影響があったのではないかと不安になった。
茶会の後は何の問題もなく平和な日々を過ごしていた。
ただ一つセフィウスに会えていないことを除いて・・・
セフィウスに再び会えたのは2ヶ月後のことだった。
これまで毎日のようにセフィウスに会っていた僕からすれば珍しいことだった。
「会いたかった」
と言って僕に抱きつくセフィウスはふっくらほっぺが少し小さくなってしまったような気がして。
このこの2ヶ月何をしていたのかと聞いたがお勉強が忙しかったの・・・としか答えてもらえなかった。
セフィウスは僕に甘えてくれるけどあくまでも一国の王子だ。
天才とはいえ大変なこともたくさんあるのかもしれない。
無理は禁物だよと言ってほっぺたほ撫でると、すりすりと自分から僕の手に顔を近づけてくる。
可愛い・・・
一体どこでこんなのを覚えたのか。
天性の天使だ。
それどころか「テオの方が痩せてしまっているけど大丈夫?」と心配してくれている。
僕は僕で、この天使を守ろうと意気込んだ矢先にあんな事故を起こしてしまったためにこの2ヶ月間先生の元で魔力の制御の訓練に励んでいた。
魔法の構成と理論という前世でも頭が痛くなるような座学を受けながら自分の中の魔力を感じ取ったり動かしたりする感覚を磨いていった。
正直先生の教え方が上手すぎて自分でも驚くくらい成長した。
まだまだ赤子が掴まり立ちを覚えた程度だと先生入っていたが僕の熱心な授業態度と熱意には満足しているようだった。
先生にも認められるくらい魔法が上達したらセフィウスに披露して驚かせようと計画中だ。
僕が「何でもないよ。少し運動を始めたんだ。」
と誤魔化すと「そう・・・」
とセフィウスは少し顔に影を落とした。
いけない。心配させてしまったかもしれないと僕は元気位なのを見せるようにセフィウスの手を引っ張って散歩に誘った。
セフィウスが前に訪れた時と庭園の様子はまた少し変わっている。
公爵家専属の庭師はとても優秀で季節ごとだけではなく定期的に庭の飾りや植物の配置、品種を変えて楽しませてくれている。
僕の誕生月にはお祝いの意味も込めてそれはそれは豪華な庭が出来上がる。それも毎年違うスタイルで。
そして庭は僕とセフィウスのお気に入りの場所の一つでもある。
僕は再びセフィウスに会えたことに舞い上がっていてその後告げられた衝撃的な事実を受け入れる心の準備ができていなかった。
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