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イエローシャドウ 井上黄雅(いのうえ こうが)編
2 王子の婚活
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相変わらず店先でキラキラ笑顔を振りまいている黄雅に、黒彦は声を掛ける。
「よお」
「やあ黒彦。今日もいい天気だね」
「ん? 曇りだろ? 天気なんかどっちでもいいんだ」
「そう? 大事なことだけどね」
「それよりもこっちだ。ほら」
一枚のチラシを黄雅に渡す。
「神社で婚活……?」
「そうだ。お前は室内の婚活は向かないようだ」
「室内が向かないって……」
「ふわふわしたトークで真剣さが足りない」
「えーっ。俺、結構真剣だよ? 真面目に婚活してるのになあ」
「わかってる。しかし女性側がそう取らないみたいだ」
「はあ……」
「で、屋外にした。今、神社仏閣婚活が結構多いみたいだし、緑丸のじいさんが神主の知り合いで会場にしていいと言ってくれたからな」
「そっかあ。縁結びって感じだねえ。えーっとプログラムは……。まずは祝詞をあげてもらって、自己紹介して、自由に神社散策で精進料理か」
「ああ、もうそんなにガツガツ肉が食べたいわけじゃないだろう。大人向けだ」
「まあね。もともと俺そんなに食べる方じゃないし、チーズとかたこ焼とか思ったより食べられなかったよ」
「あれもいっぱい食べるための婚活じゃなかったんだぞ?」
「青音に頼んで着物でも着てみようかなあ」
「やめておけ。残念ながら黄雅は洋装向きだ」
「じゃ、なんで神社? 思いっきり和風だけど」
「会場を洋風にするとお前はまり過ぎて婚活にならない。ただの社交界だ」
「はあー。まあ、おまかせするよ」
「ん。じゃ当日。ついでに、これ店先に貼っておいてくれ」
「オッケー。じゃあね」
立ち去る黒彦に「世話焼きになったなあ」と感想を持った。昔から面倒見が良い方ではあったが、最近はますます気配りが行き届いているようだ。
「桃ちゃんに愛されてるってことだ」
黒彦の情緒の安定感はやはり愛情なのだろうと思う。黄雅もぼんやりとした感覚だが桃香が好きだった。彼女とは手をつないで雲の上に居られるような感覚があった気がする。
「でも俺ももうオジサンなんだよねえー」
雲から降りて地に足とつけようと思うが、黄雅は自分よりも周囲を優先してしまうので少し出遅れる。それが習慣になってしまっているので自分の意志が今一つつかめにくかった。おかげで黒彦にいつも説教を受けてしまう。
「今のままでも幸せなんだけどな」
このおっとりした品の良さがメンバーをいつも明るく救う。誰もが愛するムードメーカーなのだ。だからこそ黒彦はもっと黄雅に幸せになって欲しいと願う。その気持ちを黄雅もよく分かっていた。
「俺にも恋人が出来たら、きっとみんなも嬉しいだろな」
やはり周囲の幸せを願うのだった。
婚活のチラシを配り終えて黒彦は『黒曜書店』に戻る。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「どうでした? 黄雅さん参加しそうです?」
「うん。あいつが断ることはまずない」
「そうなんですね」
「でも神社と黄雅さんってなんか不思議な取り合わせですねえ。青音さんとかピッタリだけど」
「青音だと神主に間違えられそうだ。ミスマッチっぷりが黄雅の存在を濃くする」
「なるほどー」
神社を歩く貴公子然たる黄雅を想像する。まるでよその国の王子が視察に来ているような雰囲気だった。
「うーん。やっぱり不思議」
「まあ、またダメなら考える」
「黒彦さんって面倒見いいんですねえ」
「あいつはいつも自分を後回しにするからな。今回もそうだ」
「黄雅さん、優しいもんなあ」
「むっ。何を想像しているんだ?」
「え? 別に、何も……」
黄雅を想像して夢見るような表情をする桃香に、黒彦は軽く嫉妬する。そこへちょうど客が入ってきた。
「あ、いらっしゃいませ」
軽く頭を下げ女性は文房具のコーナーに進む前に、ちらっとこちらを見て、またあれっと顔を上げた。
「黒彦くん?」
「ん? あっ委員長」
「また委員長呼ばわり……」
山崎菜々子だった。
「お知合いですか?」
桃香が尋ねると「ああ、小学校が一緒で学級委員だった山崎菜々子だ」と答える。
「あら、よく覚えていてくれたわね。こちらは?」
「嫁だ」
「あ、まだですけど。初めまして。鈴木桃香です」
「へえっ! 黒彦くんの奥さんになるひとかあー。大変そうねえ! 頑張って!」
「えっ? あ、はい! ありがとうございます」
黒彦が割って入る。
「何が大変なんだ」
「え、そりゃあ俺様だしわがままだし、女子には優しかったけど――」
「あのー。黒彦さんってどんな小学生でした?」
「そりゃあもう普通じゃなくてさあー」
「委員長。暇なのか?」
「あっ、違う違う。暇じゃない万年筆のインク買いに来たの。あるかしら」
「カートリッジでいいのか?」
「ええ」
すぐに商品を用意し菜々子に渡す。
「ありがとう、じゃこれで」
「ありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
目当ての物を手に入れた菜々子はすぐに去って行った。
「キャリアウーマンって感じだなあー。かっこいいー」
「ああ委員長は昔からああだな。変わっていない」
「でも話から察すると、黒彦さんも当時とあんまり変わってないようですねえ」
「むっ。俺は昔から完成度が高かっただけだ」
「そ、そうですか。さて、ちょっと本の整理しよーっと」
そそくさと桃香は店頭に雑誌を並べ始める。
「でも万年筆のインクって売れたの初めてじゃないですか?」
「確かにそうだな。一応仕入れてはいたが使っているものが少ないせいだな」
「やっぱり、なんかかっこいいんだあ。私も万年筆使ってみたいな」
「長く使うと愛着も沸くしいいかもしれないな」
「今度一緒にお揃いで買ってみましょうか」
「そうだな」
趣味嗜好があまり似ていない二人だが、少しずつお揃いの物が増えていることが嬉しかった。
「そうだ、さっきの委員長ーじゃない菜々子さんでしたっけ。彼女は結婚してるんですかね?」
「うーん。委員長は男を見る目も厳しそうだからなあ。しかもあの感じじゃ独身だろう」
「神社婚活お誘いすれば良かったですねえ」
「ああ、そうだな。でもそういう場にも来そうにない。委員長というか孤高の女王というか。合う男の想像がつかないな……」
「そうですかあ? 黄雅さんとか?」
桃香が軽く思いついた黄雅の名前を出すと、黒彦は雷に打たれたような表情をする。
「それはいいアイディアだ」
「え? どれです?」
「黄雅と委員長をくっつける」
「えー!?」
「お前が言ったんじゃないか」
「あ、すみません。ちょっと思いついただけで」
「発言には責任を持て」
「はーい」
黒彦はなかなか相手の決まらない黄雅に、菜々子がいい相手だと思い始める。確かに小学校時代あの二人は少し他のクラスメイト達と違った親密さがあったように思う。
――保健委員だった黒彦は、少し熱っぽいという黄雅を保健室に連れて行った。養護教諭がベッドに横になっててというので黄雅を寝かせる。
「俺の作った解熱剤飲むか?」
「えー。何が入ってるの?」
「企業秘密だ」
「副作用は?」
「それは飲んでみないとわからない」
「うーん、どうしようかなあ。そこまで辛くないし」
微熱であるが白いつるりとした黄雅の頬は紅色に染まって気だるそうだ。ちょうど休み時間になるチャイムが鳴り、すぐに保健室の外が騒がしくなった。クラスメイトの女子たちが黄雅の見舞いにやってきたのだ。養護教諭が静かにしなさいと諭しに行った。
「相変わらずファンが多いな……」
「そうでもないよ」
「本命はいるのか?」
「ううん。みんなも仲良くしてくれるけど俺のことが本命じゃないよ」
「ふーん」
小学校時代、一番女子に囲まれ華やかな存在だったのは黄雅だが、実際にモテたり彼女がいたのは体育委員の赤斗と風紀委員の白亜だった。廊下が静かになった後、一人生徒が入ってきた。学級委員の山崎菜々子だ。
「失礼します」
礼儀正しく騒がない彼女を養護教諭は通してくれる。
「どう? 調子。学級日誌に書くから様子教えてくれる?」
「うーん。ちょっとぼんやりするくらい」
「そう。うさぎのエサやっておこうか?」
「お願いしていい? うさぎに風邪うつすといけないし」
「ぷっ。うさぎに人間の風邪うつるのかよ」
思わず笑う黒彦に菜々子がきつく言う。
「うつらない保証ないじゃない」
「う……」
黒彦は強い態度の菜々子に反論することはなかった。
「じゃ、俺、教室帰るよ」
「うん。ありがとう」
養護教諭に「失礼しました」と挨拶をして黒彦は先に教室へ戻る。
「委員長と黄雅って仲良かったっけ?」
いつも厳しい雰囲気の菜々子だが、黄雅には優しいようだ。他の女子に囲まれているときは黄雅は王子様のようだが、菜々子といるときはなぜか普通に見えた。それは菜々子も同様で、他の男子といるときは女王様のようだが、黄雅と2人だと平凡だった。
しかしそのことには特に言及せず、黄雅の体力をあげる薬を作ってやろうと、黒彦はノートに成分を書き始めた。
相反する二人のようだが相性がいいのかもしれない。
「ちょっと本気で考えてみるか……」
黄雅と菜々子をどうにかしようかと考え始めたが、彼女の連絡先も何も知らないことに気づく。
「名刺の一つでももらっておくんだったな。まあいい。いざとなったらアレがある。くっくっく」
黒彦は押し入れの奥にしまわれているだろう、みんなの黒歴史でもある卒業アルバムを探し始めた。
「よお」
「やあ黒彦。今日もいい天気だね」
「ん? 曇りだろ? 天気なんかどっちでもいいんだ」
「そう? 大事なことだけどね」
「それよりもこっちだ。ほら」
一枚のチラシを黄雅に渡す。
「神社で婚活……?」
「そうだ。お前は室内の婚活は向かないようだ」
「室内が向かないって……」
「ふわふわしたトークで真剣さが足りない」
「えーっ。俺、結構真剣だよ? 真面目に婚活してるのになあ」
「わかってる。しかし女性側がそう取らないみたいだ」
「はあ……」
「で、屋外にした。今、神社仏閣婚活が結構多いみたいだし、緑丸のじいさんが神主の知り合いで会場にしていいと言ってくれたからな」
「そっかあ。縁結びって感じだねえ。えーっとプログラムは……。まずは祝詞をあげてもらって、自己紹介して、自由に神社散策で精進料理か」
「ああ、もうそんなにガツガツ肉が食べたいわけじゃないだろう。大人向けだ」
「まあね。もともと俺そんなに食べる方じゃないし、チーズとかたこ焼とか思ったより食べられなかったよ」
「あれもいっぱい食べるための婚活じゃなかったんだぞ?」
「青音に頼んで着物でも着てみようかなあ」
「やめておけ。残念ながら黄雅は洋装向きだ」
「じゃ、なんで神社? 思いっきり和風だけど」
「会場を洋風にするとお前はまり過ぎて婚活にならない。ただの社交界だ」
「はあー。まあ、おまかせするよ」
「ん。じゃ当日。ついでに、これ店先に貼っておいてくれ」
「オッケー。じゃあね」
立ち去る黒彦に「世話焼きになったなあ」と感想を持った。昔から面倒見が良い方ではあったが、最近はますます気配りが行き届いているようだ。
「桃ちゃんに愛されてるってことだ」
黒彦の情緒の安定感はやはり愛情なのだろうと思う。黄雅もぼんやりとした感覚だが桃香が好きだった。彼女とは手をつないで雲の上に居られるような感覚があった気がする。
「でも俺ももうオジサンなんだよねえー」
雲から降りて地に足とつけようと思うが、黄雅は自分よりも周囲を優先してしまうので少し出遅れる。それが習慣になってしまっているので自分の意志が今一つつかめにくかった。おかげで黒彦にいつも説教を受けてしまう。
「今のままでも幸せなんだけどな」
このおっとりした品の良さがメンバーをいつも明るく救う。誰もが愛するムードメーカーなのだ。だからこそ黒彦はもっと黄雅に幸せになって欲しいと願う。その気持ちを黄雅もよく分かっていた。
「俺にも恋人が出来たら、きっとみんなも嬉しいだろな」
やはり周囲の幸せを願うのだった。
婚活のチラシを配り終えて黒彦は『黒曜書店』に戻る。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「どうでした? 黄雅さん参加しそうです?」
「うん。あいつが断ることはまずない」
「そうなんですね」
「でも神社と黄雅さんってなんか不思議な取り合わせですねえ。青音さんとかピッタリだけど」
「青音だと神主に間違えられそうだ。ミスマッチっぷりが黄雅の存在を濃くする」
「なるほどー」
神社を歩く貴公子然たる黄雅を想像する。まるでよその国の王子が視察に来ているような雰囲気だった。
「うーん。やっぱり不思議」
「まあ、またダメなら考える」
「黒彦さんって面倒見いいんですねえ」
「あいつはいつも自分を後回しにするからな。今回もそうだ」
「黄雅さん、優しいもんなあ」
「むっ。何を想像しているんだ?」
「え? 別に、何も……」
黄雅を想像して夢見るような表情をする桃香に、黒彦は軽く嫉妬する。そこへちょうど客が入ってきた。
「あ、いらっしゃいませ」
軽く頭を下げ女性は文房具のコーナーに進む前に、ちらっとこちらを見て、またあれっと顔を上げた。
「黒彦くん?」
「ん? あっ委員長」
「また委員長呼ばわり……」
山崎菜々子だった。
「お知合いですか?」
桃香が尋ねると「ああ、小学校が一緒で学級委員だった山崎菜々子だ」と答える。
「あら、よく覚えていてくれたわね。こちらは?」
「嫁だ」
「あ、まだですけど。初めまして。鈴木桃香です」
「へえっ! 黒彦くんの奥さんになるひとかあー。大変そうねえ! 頑張って!」
「えっ? あ、はい! ありがとうございます」
黒彦が割って入る。
「何が大変なんだ」
「え、そりゃあ俺様だしわがままだし、女子には優しかったけど――」
「あのー。黒彦さんってどんな小学生でした?」
「そりゃあもう普通じゃなくてさあー」
「委員長。暇なのか?」
「あっ、違う違う。暇じゃない万年筆のインク買いに来たの。あるかしら」
「カートリッジでいいのか?」
「ええ」
すぐに商品を用意し菜々子に渡す。
「ありがとう、じゃこれで」
「ありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
目当ての物を手に入れた菜々子はすぐに去って行った。
「キャリアウーマンって感じだなあー。かっこいいー」
「ああ委員長は昔からああだな。変わっていない」
「でも話から察すると、黒彦さんも当時とあんまり変わってないようですねえ」
「むっ。俺は昔から完成度が高かっただけだ」
「そ、そうですか。さて、ちょっと本の整理しよーっと」
そそくさと桃香は店頭に雑誌を並べ始める。
「でも万年筆のインクって売れたの初めてじゃないですか?」
「確かにそうだな。一応仕入れてはいたが使っているものが少ないせいだな」
「やっぱり、なんかかっこいいんだあ。私も万年筆使ってみたいな」
「長く使うと愛着も沸くしいいかもしれないな」
「今度一緒にお揃いで買ってみましょうか」
「そうだな」
趣味嗜好があまり似ていない二人だが、少しずつお揃いの物が増えていることが嬉しかった。
「そうだ、さっきの委員長ーじゃない菜々子さんでしたっけ。彼女は結婚してるんですかね?」
「うーん。委員長は男を見る目も厳しそうだからなあ。しかもあの感じじゃ独身だろう」
「神社婚活お誘いすれば良かったですねえ」
「ああ、そうだな。でもそういう場にも来そうにない。委員長というか孤高の女王というか。合う男の想像がつかないな……」
「そうですかあ? 黄雅さんとか?」
桃香が軽く思いついた黄雅の名前を出すと、黒彦は雷に打たれたような表情をする。
「それはいいアイディアだ」
「え? どれです?」
「黄雅と委員長をくっつける」
「えー!?」
「お前が言ったんじゃないか」
「あ、すみません。ちょっと思いついただけで」
「発言には責任を持て」
「はーい」
黒彦はなかなか相手の決まらない黄雅に、菜々子がいい相手だと思い始める。確かに小学校時代あの二人は少し他のクラスメイト達と違った親密さがあったように思う。
――保健委員だった黒彦は、少し熱っぽいという黄雅を保健室に連れて行った。養護教諭がベッドに横になっててというので黄雅を寝かせる。
「俺の作った解熱剤飲むか?」
「えー。何が入ってるの?」
「企業秘密だ」
「副作用は?」
「それは飲んでみないとわからない」
「うーん、どうしようかなあ。そこまで辛くないし」
微熱であるが白いつるりとした黄雅の頬は紅色に染まって気だるそうだ。ちょうど休み時間になるチャイムが鳴り、すぐに保健室の外が騒がしくなった。クラスメイトの女子たちが黄雅の見舞いにやってきたのだ。養護教諭が静かにしなさいと諭しに行った。
「相変わらずファンが多いな……」
「そうでもないよ」
「本命はいるのか?」
「ううん。みんなも仲良くしてくれるけど俺のことが本命じゃないよ」
「ふーん」
小学校時代、一番女子に囲まれ華やかな存在だったのは黄雅だが、実際にモテたり彼女がいたのは体育委員の赤斗と風紀委員の白亜だった。廊下が静かになった後、一人生徒が入ってきた。学級委員の山崎菜々子だ。
「失礼します」
礼儀正しく騒がない彼女を養護教諭は通してくれる。
「どう? 調子。学級日誌に書くから様子教えてくれる?」
「うーん。ちょっとぼんやりするくらい」
「そう。うさぎのエサやっておこうか?」
「お願いしていい? うさぎに風邪うつすといけないし」
「ぷっ。うさぎに人間の風邪うつるのかよ」
思わず笑う黒彦に菜々子がきつく言う。
「うつらない保証ないじゃない」
「う……」
黒彦は強い態度の菜々子に反論することはなかった。
「じゃ、俺、教室帰るよ」
「うん。ありがとう」
養護教諭に「失礼しました」と挨拶をして黒彦は先に教室へ戻る。
「委員長と黄雅って仲良かったっけ?」
いつも厳しい雰囲気の菜々子だが、黄雅には優しいようだ。他の女子に囲まれているときは黄雅は王子様のようだが、菜々子といるときはなぜか普通に見えた。それは菜々子も同様で、他の男子といるときは女王様のようだが、黄雅と2人だと平凡だった。
しかしそのことには特に言及せず、黄雅の体力をあげる薬を作ってやろうと、黒彦はノートに成分を書き始めた。
相反する二人のようだが相性がいいのかもしれない。
「ちょっと本気で考えてみるか……」
黄雅と菜々子をどうにかしようかと考え始めたが、彼女の連絡先も何も知らないことに気づく。
「名刺の一つでももらっておくんだったな。まあいい。いざとなったらアレがある。くっくっく」
黒彦は押し入れの奥にしまわれているだろう、みんなの黒歴史でもある卒業アルバムを探し始めた。
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