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第二部
第92話 俺と膝枕
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ん? もう朝か?
ちょっと寝足りない気が……。
ああ、いや違ったな。俺は殴られて気絶したんだった。
負け……か。
はは、負けるにしてももうちょっとカッコいい負け方をするべきだったぜ。
ザスター・ドルセウスは明らかにまだまだ余力を残していた。
仕掛けられた攻撃なんて、大剣と光る剣の投擲、気絶させるための殴打、この三度だけだ。
つまりあの試合の結果は、俺の惨敗以外の何物でもない。
個人的に得たものは山程あったが……ロナには失望されたかもしれない。あんなノリノリで挑戦を受けといてこれだから、な。
くそ、目を開くのが億劫だ。
マジで愛想を尽かれていたらどうしよう。
いや、その考え自体がジェントルじゃないか。
ロナからどんな反応をされようと、それが結果だ。現実を素直に受け入れるのもまた紳士にとって必要なことだろう。
……ゆっくりとまぶたを持ち上げた。
まず、視界に入ってきたのはロナの上半身だった。
こうして下から見るとよりスタイルの良さがより際立って……。
いやまて。違うだろう。まず考えるべきはそこじゃない。
なんだ、これは一体……? えー、頭もなんかアレなんだよな。人のぬくもりがあるって言うか。肌の弾力を感じると言うか。
うん。クレバーに考えて、導きだされる答えは一つだ。
膝枕だこれっ!
「……あっ! ザン起きたっ」
黄色く美しい眼が、心配そうにこちらを覗いている。
この様子だと、失望されたという憶測は杞憂だったかもしれない。
今はむしろ、なんでこんなご褒美を恵んでくれているのかを訊きたいところだが。
「どう、痛むところない? 大丈夫?」
「あ、ああ……」
そういえばどこも痛まないな。骨にヒビくらいは入ってたはずだ。
この状況が嬉しすぎて痛みが吹っ飛んだというわけでもなさそうだ。おそらく、魔法で回復してくれたのだろう。
「よかったぁ……!」
「ありがとう。治療してくれたんだな」
「うん! 治しきれたみたいでなによりだよ」
ニッコリと微笑むその顔が眩しい。
改めて俺はなんという幸せ者なのだろうか、こんな最高のレディと相棒だなんて。
「おい小僧。目を覚ましたのならさっさと体を起こしたらどうだ?」
呆れたようなザスターの声が真隣から聞こえた。
……となると、つまり。
ロナは叔父に見られながら俺を膝枕してたってことだよな。おいおい、二人ともどういう心境で過ごしてたんだ?
まあ、名残惜しいが指摘されたのなら仕方がない。素直に起きるか。
「言う通りだ、悪かった。居心地が良くてつい」
「よ、良かった? 良かったんだ……そ、そっか! い、言ってくれれば、いつでもまたしてあげるよ?」
「え! ま、マジでっ⁉︎」
「ま、まじまじぃ!」
なんだ? どうしてさっきからそんな急に積極的に?
ますます訳がわからんない。俺が気を失ってる間に、彼女に一体何があったんだ?
叔父は何か知……ん?
今明らかに、俺に向かってニヤつきながら親指を立てたな。素早く一瞬だけ。つまり彼がロナになんか吹き込んだんだな?
なるほどな、合点がいった。そうかそうか。
何を言ったかは知らないが、なんともありがたいことをしてくれたものだ。
しかし、こんなことを吹き込めるとなると、そこそこの時間は気を失っていたんじゃないか?
「で、俺が寝てからどれくらい経ったんだ?」
そう尋ねると、ロナがすぐに答えてくれた。
「一時間半かな? だよね、叔父さん」
「ああ、そのくらいだ。貴様が眠っている間に、オレ様はそいつから色々と聞いた」
そういうと、ザスターは立ち上がって俺の前まで来た。
そして真っ直ぐ俺のことを見つめてくる。かなり気持ちがこもっているような、そんな力強い眼で。
「……身内がほんとうに世話になったようだな。心から礼を言うぞ、ザン」
そうか。
つまり、俺とロナの運命的な出会いの話もしたわけだな。
はは、最強の冒険者から本気で礼を言われるのってなんかむずがゆくなるぜ。ずいぶん立派なことをしたような気分になる。
いや、実際にしたんだが。
なんにせよ、俺にとってレディを救うのは至極当然のことだ。
それが彼女を大切に思う家族の心も救ったっていうなら、まさしくそれは素晴らしくジェントルなことだよな。
うん、間違いなく俺はサイコーなジェントルメンだ。
試合には無様に負けたけど。
「俺は、ただ自分のできることをしただけさ」
「フン、キザな奴め。貴様のような男はどうせそう言うだろうと思っていた。この借りはいつか返すぞ」
「え、それ私が……!」
「オレはオレで返すんだ。いいだろう?」
「……うぅ。い、いいよ」
いやはや、本当に恩返しが好きな種族だな、竜族ってのは。
別に俺としちゃあ礼の一言で済ませてもらって構わないんだが。
……それからザスターはニヤけたような表情に戻ると、パンッと強く手を叩き、気持ちを入れ替えるような仕草をとった。
「さて小僧! それはそれとして、貴様が魔力無しに自由に宝具を操れた種明かしをしてくれッ! 気になって仕方がなかったんだ。ついでに抵抗がなければステータスカードも見せろッ」
あ、結局その話はしなきゃダメなのか。
まあ、ロナの叔父っていう信用できる立場の相手だから、元からステータスカードも見せて、種明かしもするつもりでいたからいい。
ただ、必要な一言は添えないとな。
「構わないが、俺の力については……」
「心配するな、他言はしないッ! 貴様の力は凶悪だ。それを自覚し、悪用されることを恐れているんだろう?」
「はは、言わなくてもそこまでお見通しか。なら安心だな」
俺はステータスカードを取り出し、ザスターに渡した。
彼はそれを無言で眺め、称号の欄を見て眉をしかめる。
そういや俺のような田舎者以外にはかなり醜い代物だったっけな、それ。
「悪いな、呪いなんて見苦しいもんを見せてしまって」
「いや……そうじゃない。足りなくないか? 貴様の称号」
え? は、なに……称号が足りない?
どう言う意味なんだそれ?
=====
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ちょっと寝足りない気が……。
ああ、いや違ったな。俺は殴られて気絶したんだった。
負け……か。
はは、負けるにしてももうちょっとカッコいい負け方をするべきだったぜ。
ザスター・ドルセウスは明らかにまだまだ余力を残していた。
仕掛けられた攻撃なんて、大剣と光る剣の投擲、気絶させるための殴打、この三度だけだ。
つまりあの試合の結果は、俺の惨敗以外の何物でもない。
個人的に得たものは山程あったが……ロナには失望されたかもしれない。あんなノリノリで挑戦を受けといてこれだから、な。
くそ、目を開くのが億劫だ。
マジで愛想を尽かれていたらどうしよう。
いや、その考え自体がジェントルじゃないか。
ロナからどんな反応をされようと、それが結果だ。現実を素直に受け入れるのもまた紳士にとって必要なことだろう。
……ゆっくりとまぶたを持ち上げた。
まず、視界に入ってきたのはロナの上半身だった。
こうして下から見るとよりスタイルの良さがより際立って……。
いやまて。違うだろう。まず考えるべきはそこじゃない。
なんだ、これは一体……? えー、頭もなんかアレなんだよな。人のぬくもりがあるって言うか。肌の弾力を感じると言うか。
うん。クレバーに考えて、導きだされる答えは一つだ。
膝枕だこれっ!
「……あっ! ザン起きたっ」
黄色く美しい眼が、心配そうにこちらを覗いている。
この様子だと、失望されたという憶測は杞憂だったかもしれない。
今はむしろ、なんでこんなご褒美を恵んでくれているのかを訊きたいところだが。
「どう、痛むところない? 大丈夫?」
「あ、ああ……」
そういえばどこも痛まないな。骨にヒビくらいは入ってたはずだ。
この状況が嬉しすぎて痛みが吹っ飛んだというわけでもなさそうだ。おそらく、魔法で回復してくれたのだろう。
「よかったぁ……!」
「ありがとう。治療してくれたんだな」
「うん! 治しきれたみたいでなによりだよ」
ニッコリと微笑むその顔が眩しい。
改めて俺はなんという幸せ者なのだろうか、こんな最高のレディと相棒だなんて。
「おい小僧。目を覚ましたのならさっさと体を起こしたらどうだ?」
呆れたようなザスターの声が真隣から聞こえた。
……となると、つまり。
ロナは叔父に見られながら俺を膝枕してたってことだよな。おいおい、二人ともどういう心境で過ごしてたんだ?
まあ、名残惜しいが指摘されたのなら仕方がない。素直に起きるか。
「言う通りだ、悪かった。居心地が良くてつい」
「よ、良かった? 良かったんだ……そ、そっか! い、言ってくれれば、いつでもまたしてあげるよ?」
「え! ま、マジでっ⁉︎」
「ま、まじまじぃ!」
なんだ? どうしてさっきからそんな急に積極的に?
ますます訳がわからんない。俺が気を失ってる間に、彼女に一体何があったんだ?
叔父は何か知……ん?
今明らかに、俺に向かってニヤつきながら親指を立てたな。素早く一瞬だけ。つまり彼がロナになんか吹き込んだんだな?
なるほどな、合点がいった。そうかそうか。
何を言ったかは知らないが、なんともありがたいことをしてくれたものだ。
しかし、こんなことを吹き込めるとなると、そこそこの時間は気を失っていたんじゃないか?
「で、俺が寝てからどれくらい経ったんだ?」
そう尋ねると、ロナがすぐに答えてくれた。
「一時間半かな? だよね、叔父さん」
「ああ、そのくらいだ。貴様が眠っている間に、オレ様はそいつから色々と聞いた」
そういうと、ザスターは立ち上がって俺の前まで来た。
そして真っ直ぐ俺のことを見つめてくる。かなり気持ちがこもっているような、そんな力強い眼で。
「……身内がほんとうに世話になったようだな。心から礼を言うぞ、ザン」
そうか。
つまり、俺とロナの運命的な出会いの話もしたわけだな。
はは、最強の冒険者から本気で礼を言われるのってなんかむずがゆくなるぜ。ずいぶん立派なことをしたような気分になる。
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なんにせよ、俺にとってレディを救うのは至極当然のことだ。
それが彼女を大切に思う家族の心も救ったっていうなら、まさしくそれは素晴らしくジェントルなことだよな。
うん、間違いなく俺はサイコーなジェントルメンだ。
試合には無様に負けたけど。
「俺は、ただ自分のできることをしただけさ」
「フン、キザな奴め。貴様のような男はどうせそう言うだろうと思っていた。この借りはいつか返すぞ」
「え、それ私が……!」
「オレはオレで返すんだ。いいだろう?」
「……うぅ。い、いいよ」
いやはや、本当に恩返しが好きな種族だな、竜族ってのは。
別に俺としちゃあ礼の一言で済ませてもらって構わないんだが。
……それからザスターはニヤけたような表情に戻ると、パンッと強く手を叩き、気持ちを入れ替えるような仕草をとった。
「さて小僧! それはそれとして、貴様が魔力無しに自由に宝具を操れた種明かしをしてくれッ! 気になって仕方がなかったんだ。ついでに抵抗がなければステータスカードも見せろッ」
あ、結局その話はしなきゃダメなのか。
まあ、ロナの叔父っていう信用できる立場の相手だから、元からステータスカードも見せて、種明かしもするつもりでいたからいい。
ただ、必要な一言は添えないとな。
「構わないが、俺の力については……」
「心配するな、他言はしないッ! 貴様の力は凶悪だ。それを自覚し、悪用されることを恐れているんだろう?」
「はは、言わなくてもそこまでお見通しか。なら安心だな」
俺はステータスカードを取り出し、ザスターに渡した。
彼はそれを無言で眺め、称号の欄を見て眉をしかめる。
そういや俺のような田舎者以外にはかなり醜い代物だったっけな、それ。
「悪いな、呪いなんて見苦しいもんを見せてしまって」
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