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210話 ガーベラさんを試すのでございます!
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「武器も魔法も使わずにやり合う気か……」
「おいこら、ガーベラ! アイリスちゃんから売った喧嘩だし怪我させるなとは言わないけど、どさくさに紛れて変なとこ触るなよ!」
「あんたじゃないんだから、そんなことしないでしょ」
前世で格闘技をやっていた私と、たぶん同じ流派。そしてガーベラさんの言動からして……前世は同じ世界。
これは……なんだろう、久しぶりに楽しめそう…って言うべきなのかしらね。こんな状況じゃなかったらもう少し驚いたりしたいものだけど。
「どちらかが気絶するか、負けを認めたら終わりです」
「わかった。ただ、俺から負けを認めることはないとだけ言っておく」
「そうですか」
私とガーベラさんは見つめ合う。
……立ち振る舞いだけでわかる、槍使いだから気がつかなかったけど、ガーベラさんも私の習っていた武術を相当使える。
「行きます!」
「押忍!」
私はガーベラさんに向かって一歩踏み込んだ。小手調べに左ローキックを入れる。しかしそれは簡単に払われ、左のジャブが飛んでくる。私はそれをはたき落した。
ついでに私から右、左、右、左、左の順番で突いて行く。
ガーベラさんはそれを上手いフットワークで回避すると、下段蹴り、上段狩りを連続で繰り出してきた。私はそれをさばき、足を戻す最中のガーベラさんの足を払った。
体勢を崩すガーベラさんを私が見逃すはずがなく、そのまま横蹴りを入れる。
主軸の急所にな逸らされたけど、初めてのちゃんとしたヒット。
「……アイリスさん、今日スカートのままなんですね」
「あ、さっき俺パンツ見たよ。綺麗な足にあう純白」
「いますぐ忘れなさい、アイリスちゃん終わった後相当恥ずかしがると思うから」
「一度見たものは忘れられねぇなぁ」
「よし、私からげんこつ100発のプレゼントだ!」
「お、お助けーっ」
「や、やめましょうよ!」
スカート? ああ、そういえばそうだったわね。でも恥ずかしがるなんて後よ、後。いまは目の前にいる好敵手と戦いを楽しむのが先決なんだから。
「まだまだ」
今度はガーベラさんか攻めて来た。
そのまま突撃してくるかと思いきや、うち回し蹴りをかましてくる。私はそれを一歩下がって回避したけど、ガーベラさんは手刀で追い討ちをかけてきた。
しかしそれこそ選択を間違ったと言うもの。
私はその手刀を掴み、素早く襟もつかみ、相手の腕を極めつつ体を放り、投げる。
「投げ技が得意なのはなんとなくわかっていた」
「えっ」
ガーベラさんはそう言うと、本来なら綺麗に投げられるところから抜け出し、隙だらけの私の脇腹に鋭い一発をおみまいしてくれた。
「うぐっ」
「あっ…ごめんっ…!」
「あ、謝らないでください、これは勝負です!」
今のは効いた。でも寸前で手を抜いたんでしょう、このくらいならこの、ステータス補正がないふつうの女性の身体でもまだ耐えられる。
「ふむ……二人とも徒手格闘がかなりの実力のようだね」
「ああ、にいちゃん。でもな、アイリスちゃんが得意なのは知ってたけど、まさかあのガーベラまでおんなじくらいやれるとは思ってなかっんだぜ、付き合いの結構ある俺らも」
「そうなのか。……しかし戦い方のベースが同じに見える」
時点でどうするか。なぜかはわからない、過去に投げ技が得意な相手と数多く対戦してきたのか、私の一番得意な柔術・柔道系列の技に対して耐性があるみたいだ。
この試合、私から挑戦したのだから勝たなければならない。別にガーベラさんとお付き合いしたくないわけじゃない。いや、むしろ拳を交えてわかったのは、この人ならお付き合いしてもいいってこと。
「ふう、行きます!」
次は私から。投げ技がダメなんだから、ふつうに行くしかない。投げ技や極め技ほどじゃないけど、他の分野もふつうに得意だ。
まずは前蹴り。それはいなされてしまうから、続け様に横蹴上。隙ができたと思ったのか、上段蹴上をガーベラさんはしてきたから、私は素早く戻した足でガーベラさんを蹴った。
「ぐっ……!!」
「あはははははは!」
「うわぁ……いたそ……」
「うへぇ」
「えっ…? あっ……」
やってしまった。
いくらなんでも金的はダメだろう私。これから付き合うかも知れない人に向かって金的はダメだって。
「き、気にするなアイリスっ……! これは勝負だ、試合じゃないっ……」
「わ、わかってます! 少しやりすぎたと思っただけです! つ、続けましょう」
さっき謝られた時にああ言った手前、私から謝れない。ガーベラさんは構え直したから容赦なく行かせてもらう。
「はぁぁっ!」
少し気合のこもった突き。先ほどより動きが鈍くなったガーベラさんはそれを回避せず、腕で払った。
その間に私はまた下段蹴りを打ち、それが足で塞がれるとともに中断突き。
ガーベラさんはそれをまともにくらい少し顔を歪めるけど、構わず可変蹴りでやり返してくる。
ここで可変蹴りが飛んでくることを予測できなかった私はそれを下手に受けてしまい、少しダメージを負った。
まあなんとか耐えられるくらいだったなら構わず攻撃を続けることにする。
「なかなか面白い試合だな、パンツは見えるし」
「ロングスカートなのになんであんなに見えるんだろう」
「武器なし、ステータスなし、魔法なしってどうなるかと思ってたけど、金とれるぜこれ」
私、どれだけパンツ見えてるんだろう。もう蹴りは控えようかな。……いや、そうはいかない。恥ずかしがるのは終わってからって決めたんだもの。
ガーベラさん、ここで攻め方を変えてきた。
一度攻撃するたびに、少しだけ下がり防御を固めてくる。安定的な攻撃方法に変えるみたい。
それなら私は逆に攻めていこうと思う。先ほども同じように、かつパターンを変えて突きを連続で出しつつ、ガーベラさんが攻撃をしたところで上段蹴りで迎え撃つ。
腕一本じゃガードが難しいだろうに。ガーベラさんは少し後退。しかし私は、今度は蹴りを続ける。
また攻撃パターンを変えたのか、ガッチガチに構えるのをやめ、すこし身を軽くして攻撃を回避することに専念し始めた。私は構わず攻撃をし続け……ついにガーベラさんに重い一撃を入れれるような一瞬を見つけた。
脇腹が一瞬だけ手薄になったので、そこに向かって回し蹴りを打ち込む。
「かかった!」
「わっ」
しまった、罠だった。
ガーベラさんは私の足を掴むとその内側に引っ張り、手を離し、今度は襟と手首を掴む。なるほど、この私に投げ技をしようとしてるのね。
「アイリスちゃんの足を触っている!」
「変なとこらを触るなと言ったはずなのに!」
べ、別に試合中だし、やましい心はないはずだから足くらい掴んでもいいんだけど。問題なのは胸やお尻なのであって。
それはそうと、この投げ流のが得意な私に投げ技を仕掛けようとしたガーベラさん、悪いけど……お付き合いはできないみたい。また強くなってから挑んできてほしい。
その、こうきて戦って……まあ、ガーベラさんなら一緒になってもいいかな……って、そんな気がしたから。
「残念でしたね!」
私は逆に肩を掴み返し、勢いに任せて強引に私の有利な組み方にまで持っていき、有利対面をひっくり返した。
これであとは思いっきり投げて仕舞えば勝ち。
「では……」
「アイリス、俺の勝ちだ」
ガーベラさんはそう言った。その途端、ガーベラさんが私の拘束から素早くすっぽ抜け、私の肩を掴んだと思ったら勢いよく後ろに回り込んできて、そのまま腕で首を絞めてきた。とても優しく。
……このまま男の人の力でクイっとやられたら、ステータス補正がないならふつうに死んでしまう。
なるほど、2、3回重ねて釣られてしまったわけね。
「まいりました」
ガーベラさんの勝ち。
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次の投稿は2/16です!
「おいこら、ガーベラ! アイリスちゃんから売った喧嘩だし怪我させるなとは言わないけど、どさくさに紛れて変なとこ触るなよ!」
「あんたじゃないんだから、そんなことしないでしょ」
前世で格闘技をやっていた私と、たぶん同じ流派。そしてガーベラさんの言動からして……前世は同じ世界。
これは……なんだろう、久しぶりに楽しめそう…って言うべきなのかしらね。こんな状況じゃなかったらもう少し驚いたりしたいものだけど。
「どちらかが気絶するか、負けを認めたら終わりです」
「わかった。ただ、俺から負けを認めることはないとだけ言っておく」
「そうですか」
私とガーベラさんは見つめ合う。
……立ち振る舞いだけでわかる、槍使いだから気がつかなかったけど、ガーベラさんも私の習っていた武術を相当使える。
「行きます!」
「押忍!」
私はガーベラさんに向かって一歩踏み込んだ。小手調べに左ローキックを入れる。しかしそれは簡単に払われ、左のジャブが飛んでくる。私はそれをはたき落した。
ついでに私から右、左、右、左、左の順番で突いて行く。
ガーベラさんはそれを上手いフットワークで回避すると、下段蹴り、上段狩りを連続で繰り出してきた。私はそれをさばき、足を戻す最中のガーベラさんの足を払った。
体勢を崩すガーベラさんを私が見逃すはずがなく、そのまま横蹴りを入れる。
主軸の急所にな逸らされたけど、初めてのちゃんとしたヒット。
「……アイリスさん、今日スカートのままなんですね」
「あ、さっき俺パンツ見たよ。綺麗な足にあう純白」
「いますぐ忘れなさい、アイリスちゃん終わった後相当恥ずかしがると思うから」
「一度見たものは忘れられねぇなぁ」
「よし、私からげんこつ100発のプレゼントだ!」
「お、お助けーっ」
「や、やめましょうよ!」
スカート? ああ、そういえばそうだったわね。でも恥ずかしがるなんて後よ、後。いまは目の前にいる好敵手と戦いを楽しむのが先決なんだから。
「まだまだ」
今度はガーベラさんか攻めて来た。
そのまま突撃してくるかと思いきや、うち回し蹴りをかましてくる。私はそれを一歩下がって回避したけど、ガーベラさんは手刀で追い討ちをかけてきた。
しかしそれこそ選択を間違ったと言うもの。
私はその手刀を掴み、素早く襟もつかみ、相手の腕を極めつつ体を放り、投げる。
「投げ技が得意なのはなんとなくわかっていた」
「えっ」
ガーベラさんはそう言うと、本来なら綺麗に投げられるところから抜け出し、隙だらけの私の脇腹に鋭い一発をおみまいしてくれた。
「うぐっ」
「あっ…ごめんっ…!」
「あ、謝らないでください、これは勝負です!」
今のは効いた。でも寸前で手を抜いたんでしょう、このくらいならこの、ステータス補正がないふつうの女性の身体でもまだ耐えられる。
「ふむ……二人とも徒手格闘がかなりの実力のようだね」
「ああ、にいちゃん。でもな、アイリスちゃんが得意なのは知ってたけど、まさかあのガーベラまでおんなじくらいやれるとは思ってなかっんだぜ、付き合いの結構ある俺らも」
「そうなのか。……しかし戦い方のベースが同じに見える」
時点でどうするか。なぜかはわからない、過去に投げ技が得意な相手と数多く対戦してきたのか、私の一番得意な柔術・柔道系列の技に対して耐性があるみたいだ。
この試合、私から挑戦したのだから勝たなければならない。別にガーベラさんとお付き合いしたくないわけじゃない。いや、むしろ拳を交えてわかったのは、この人ならお付き合いしてもいいってこと。
「ふう、行きます!」
次は私から。投げ技がダメなんだから、ふつうに行くしかない。投げ技や極め技ほどじゃないけど、他の分野もふつうに得意だ。
まずは前蹴り。それはいなされてしまうから、続け様に横蹴上。隙ができたと思ったのか、上段蹴上をガーベラさんはしてきたから、私は素早く戻した足でガーベラさんを蹴った。
「ぐっ……!!」
「あはははははは!」
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「うへぇ」
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「き、気にするなアイリスっ……! これは勝負だ、試合じゃないっ……」
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さっき謝られた時にああ言った手前、私から謝れない。ガーベラさんは構え直したから容赦なく行かせてもらう。
「はぁぁっ!」
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