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172話 ケルくんと魔法の練習でございます!
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【ゾォォ! デタンダゾ! ファイ ガ!】
【やったね、ケル!】
【ヤッタゾ!】
ケルくんは尻尾をせわしなく動かし、ぴょんぴょんはね飛びながらロモンちゃんに抱きついた。そんなケルくんをロモンちゃんは受け入れ、抱き上げる。頭も撫でてるわね。
「もう成功しちゃったね」
「ええ、ですがお二人も易々とやってのけてましてよ」
「ふふふ、やっぱりアイリスちゃんの教え方がうまいんだよ」
「恐縮です」
いきなりこんなに簡単に成功したら、もうほんとに後は覚えやすいはずね。
ケルくんは一度も進化しておらず、また、私みたいに中身が大人(?)じゃないちゃんとした子供だから、中級呪文までしか覚えれないかもしれないけど。
どっちみち魔物の初段階で中級魔法を撃てたら十二分にすごい。
【モウナンカイカ、レンシュウスルンダゾ! ファイ!】
ケルくんの口の中から火が再び吹かれる。
犬があくびしてるみたいで可愛い…じゃなくて、まだ首は一つだけど、ケロベロスとしての面影があるわね。
【ファイ ハ、マスター シタノカゾ?】
【うーん、まだ2回しか撃ってないし…】
【ファイ! ファイ!】
【ああ、でもそれだけ簡単に撃ててたらものにしたってことでいいかな。おめでとうケル】
【ゾー! レンシュウ ハジメテ マダ スウフン ダケレド…ウレシインダゾ!】
やっぱりあまりにも簡単に覚えちゃったってのは本人も自覚してるのね。
まだそんなに月日は経ってないけど、ロモンちゃんとリンネちゃんが私と本格的に魔法を練習し始めた時のことが懐かしく思う。
うれしいけど拍子抜け。そんな感じ。
【それで次はなにを教えればいいの?】
【ヒカリ ト ヤミ ナンダゾ! ナンナラ、ゴロゴ カ ファイ ノ チューキューマホーデモ イインダゾ!】
【あれ、そういえばなんで光魔法と闇魔法覚えたいんだっけ】
【レア ダカラダゾ! オボエタラ カッコイイン ダゾ!】
なんとも子供らしく単純な理由ね。
ロモンちゃんがこちらをちらりと見てきた。なにから教えたらいいのか迷ってるのかしら。
ならちょっとアドバイス。
「私は一番慣れている雷の、中級魔法から教えてあげたら良いと思いますよ」
「わかった! そうする!」
再びロモンちゃんはケルくんに向き合い、言いだすの。
【じゃあ、次は雷…ゴロゴの中級魔法である、リゴロゴとスゴロゴを覚えようか】
【リョウカイナンダゾ! サ、サ、ユックリ マホウジンヲ ミセテホシインダゾ!】
ねだるケルくんにニコニコしながらロモンちゃんはまず、『リゴロゴ』の魔法陣をゆっくりと見せてあげた。
ケル君は首を横にかしげる。
【ゾー? ナンカ フクザツ ナンダゾ…ワカルヨウデ ワカラナイ…モヤモヤ スルゾ】
【ケルはまだ1個も中級魔法を2種とも覚えてないから仕方ないよ。最初はさすがに見てるだけじゃわからないと思うから、一緒に本を見てお勉強しよ?】
【オベンキョー! ガンバルンダゾ!】
さすがに中級魔法はちょっと複雑になるから、いきなり見て習得するというのは難しかったわね。
リ~やス~と名前のつく魔法をそれぞれ1個でも覚えちゃえばその後は楽なんだけど(ちなみにそれは魔流の気を会得した私達だけね。普通の人は一個一個ちゃんと勉強するしなきゃ身につかない)。
「今日はケル、どこまでいけるかな?」
「リゴロゴとスゴロゴを習得できるかできないかのギリギリではないでしょうかね」
「じゃああとはロモンが頑張って教えればいいね。本で仕組みから勉強するんだから、アイリスちゃんが離れても大丈夫かな。となると、ぼくたち暇なわけだけど…どうしようか? 2人でデートでもしちゃう? ふふ、なーんてねっ」
リンネちゃんとデートですか、いいかも、いや最高ね。
イタズラっぽく笑ったリンネちゃんが、なんだか妙に色っぽかったし。
大人の魅力が付いてきたのかしらね。それとも私の変態度が増しただけかな? ま、どっちでもいいか。
「そうですね、デートしましょうか」
「うん、行こう!」
「あ、ずるいよ! アイリスちゃん、今度時間があったら私もね!」
ロモンちゃんからもお誘いが!
ふへへ、うれしい。
それはともかくバラバラに行動することになったんだから、時間とかも決めなきゃね。
「ええ、近いうちに! 今日は午後6時半にはお互い宿に戻るようにしましょう」
「わかったよ! じゃあ、2人っきりでデート楽しんできて!」
「悪いねロモン、じゃ、アイリスちゃんいこーね!」
「はいっ」
◆◆◆
「楽しかったねっ」
「楽しかったですねっ」
久しぶりにお洋服のお店を回ったりした。貴重なリンネちゃんのスカートをはいた姿を見ることができまして、私は満足ですぜ。ふへへ。
「あ、おかえりー。お洋服買ってきたんだ」
どうやらロモンちゃんが先に戻ってきてたみたい。
私達の持ってる紙袋を見て、そう言ってきたの。
「ただいまです。ええ、何着かだけ。……ところでどうでした?」
「んー? どこまでできるようになったか聞きたい? 今ケルは魔力切れで寝ちゃってるんだけど」
「うん、聞かせてよ! 気になるよ!」
お部屋に入り、荷物をとりあえず置いて私達はテーブルに座る。
この会話が終わったらすぐにお夕飯作らなきゃ。今日もお高めのお肉買ってきてるし。
ほんとはご飯作りながら聞いてもいいんだけど、大事なことだししっかり聞くわ。
「えーっとね、スゴロゴとリゴロゴ、どちらも撃てるようになったかな」
「おお! 私が考えていたより少し早い……」
「だけじゃないの。スファイとリファイまでケルは覚えちゃったんだよ!」
「なんと!」
素質はあると見込んでたし、天才だとは思ってたけど、1日で中級魔法を4つ、2属性覚えてしまうだなんて。
「どんな感じだった? 覚えるとき」
「あのね、スゴロゴとリゴロゴを覚えるまでは確かに時間かかったの。お姉ちゃたちとアイリスちゃんと別れて4時間くらいかな」
「じゃあその二つは4時間でマスターしたってことですね」
「うん」
ふむ…それも許容範囲内かな。ていうか私たちと別れてからの5時間だなんて、今から1~2時間前程度じゃないかな。その残りの時間で火属性中級魔法を覚えたってことよね。
「それでその二つを教科書と実演で覚えさせて…それが思ったより早くて、まだお部屋に戻るのに1時間くらいあったから、明日の予行演習として炎属性の中級魔法を教えてあげたの」
「すると…?」
「ケルはなにか掴んだみたいで、『もっかいみせて!』とか『本のさっきのページ再確認したい!』だとか言い出したからその通りにしてあげたんだよ」
「で、覚えちゃったんだ」
「うん」
魔流の気を覚えて魔法の習得と理解が早まってるとはいえ、なるほど…ケル君ってば私の想像以上にできる子さんだったようね。
「ケル君はすごいですね、あんなにちっちゃいのに才能をひしひしと感じますよ」
「だねー。さすがべスの息子だよ」
「だから明日は光魔法と闇魔法を教えようと思うの。アイリスちゃん、協力お願い」
「ええ、任せて下さい!」
文献もすくないこの2属性は私が直接教えた方が早いって方針。だからロモンちゃんを手伝うことにしてる。
「お話はここまで! ……アイリスちゃん、ごはんー!」
「ぼくもお腹が減ったー! ごはんー!」
「はい、待っててくださいね。今から作りますからね」
「「わーい!」」
さて、今日も明日の励みになるために美味しいお料理を腕によりをかけて作らなきゃね!
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次の投稿は9/17です!
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【やったね、ケル!】
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ケルくんは尻尾をせわしなく動かし、ぴょんぴょんはね飛びながらロモンちゃんに抱きついた。そんなケルくんをロモンちゃんは受け入れ、抱き上げる。頭も撫でてるわね。
「もう成功しちゃったね」
「ええ、ですがお二人も易々とやってのけてましてよ」
「ふふふ、やっぱりアイリスちゃんの教え方がうまいんだよ」
「恐縮です」
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ケルくんは一度も進化しておらず、また、私みたいに中身が大人(?)じゃないちゃんとした子供だから、中級呪文までしか覚えれないかもしれないけど。
どっちみち魔物の初段階で中級魔法を撃てたら十二分にすごい。
【モウナンカイカ、レンシュウスルンダゾ! ファイ!】
ケルくんの口の中から火が再び吹かれる。
犬があくびしてるみたいで可愛い…じゃなくて、まだ首は一つだけど、ケロベロスとしての面影があるわね。
【ファイ ハ、マスター シタノカゾ?】
【うーん、まだ2回しか撃ってないし…】
【ファイ! ファイ!】
【ああ、でもそれだけ簡単に撃ててたらものにしたってことでいいかな。おめでとうケル】
【ゾー! レンシュウ ハジメテ マダ スウフン ダケレド…ウレシインダゾ!】
やっぱりあまりにも簡単に覚えちゃったってのは本人も自覚してるのね。
まだそんなに月日は経ってないけど、ロモンちゃんとリンネちゃんが私と本格的に魔法を練習し始めた時のことが懐かしく思う。
うれしいけど拍子抜け。そんな感じ。
【それで次はなにを教えればいいの?】
【ヒカリ ト ヤミ ナンダゾ! ナンナラ、ゴロゴ カ ファイ ノ チューキューマホーデモ イインダゾ!】
【あれ、そういえばなんで光魔法と闇魔法覚えたいんだっけ】
【レア ダカラダゾ! オボエタラ カッコイイン ダゾ!】
なんとも子供らしく単純な理由ね。
ロモンちゃんがこちらをちらりと見てきた。なにから教えたらいいのか迷ってるのかしら。
ならちょっとアドバイス。
「私は一番慣れている雷の、中級魔法から教えてあげたら良いと思いますよ」
「わかった! そうする!」
再びロモンちゃんはケルくんに向き合い、言いだすの。
【じゃあ、次は雷…ゴロゴの中級魔法である、リゴロゴとスゴロゴを覚えようか】
【リョウカイナンダゾ! サ、サ、ユックリ マホウジンヲ ミセテホシインダゾ!】
ねだるケルくんにニコニコしながらロモンちゃんはまず、『リゴロゴ』の魔法陣をゆっくりと見せてあげた。
ケル君は首を横にかしげる。
【ゾー? ナンカ フクザツ ナンダゾ…ワカルヨウデ ワカラナイ…モヤモヤ スルゾ】
【ケルはまだ1個も中級魔法を2種とも覚えてないから仕方ないよ。最初はさすがに見てるだけじゃわからないと思うから、一緒に本を見てお勉強しよ?】
【オベンキョー! ガンバルンダゾ!】
さすがに中級魔法はちょっと複雑になるから、いきなり見て習得するというのは難しかったわね。
リ~やス~と名前のつく魔法をそれぞれ1個でも覚えちゃえばその後は楽なんだけど(ちなみにそれは魔流の気を会得した私達だけね。普通の人は一個一個ちゃんと勉強するしなきゃ身につかない)。
「今日はケル、どこまでいけるかな?」
「リゴロゴとスゴロゴを習得できるかできないかのギリギリではないでしょうかね」
「じゃああとはロモンが頑張って教えればいいね。本で仕組みから勉強するんだから、アイリスちゃんが離れても大丈夫かな。となると、ぼくたち暇なわけだけど…どうしようか? 2人でデートでもしちゃう? ふふ、なーんてねっ」
リンネちゃんとデートですか、いいかも、いや最高ね。
イタズラっぽく笑ったリンネちゃんが、なんだか妙に色っぽかったし。
大人の魅力が付いてきたのかしらね。それとも私の変態度が増しただけかな? ま、どっちでもいいか。
「そうですね、デートしましょうか」
「うん、行こう!」
「あ、ずるいよ! アイリスちゃん、今度時間があったら私もね!」
ロモンちゃんからもお誘いが!
ふへへ、うれしい。
それはともかくバラバラに行動することになったんだから、時間とかも決めなきゃね。
「ええ、近いうちに! 今日は午後6時半にはお互い宿に戻るようにしましょう」
「わかったよ! じゃあ、2人っきりでデート楽しんできて!」
「悪いねロモン、じゃ、アイリスちゃんいこーね!」
「はいっ」
◆◆◆
「楽しかったねっ」
「楽しかったですねっ」
久しぶりにお洋服のお店を回ったりした。貴重なリンネちゃんのスカートをはいた姿を見ることができまして、私は満足ですぜ。ふへへ。
「あ、おかえりー。お洋服買ってきたんだ」
どうやらロモンちゃんが先に戻ってきてたみたい。
私達の持ってる紙袋を見て、そう言ってきたの。
「ただいまです。ええ、何着かだけ。……ところでどうでした?」
「んー? どこまでできるようになったか聞きたい? 今ケルは魔力切れで寝ちゃってるんだけど」
「うん、聞かせてよ! 気になるよ!」
お部屋に入り、荷物をとりあえず置いて私達はテーブルに座る。
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「えーっとね、スゴロゴとリゴロゴ、どちらも撃てるようになったかな」
「おお! 私が考えていたより少し早い……」
「だけじゃないの。スファイとリファイまでケルは覚えちゃったんだよ!」
「なんと!」
素質はあると見込んでたし、天才だとは思ってたけど、1日で中級魔法を4つ、2属性覚えてしまうだなんて。
「どんな感じだった? 覚えるとき」
「あのね、スゴロゴとリゴロゴを覚えるまでは確かに時間かかったの。お姉ちゃたちとアイリスちゃんと別れて4時間くらいかな」
「じゃあその二つは4時間でマスターしたってことですね」
「うん」
ふむ…それも許容範囲内かな。ていうか私たちと別れてからの5時間だなんて、今から1~2時間前程度じゃないかな。その残りの時間で火属性中級魔法を覚えたってことよね。
「それでその二つを教科書と実演で覚えさせて…それが思ったより早くて、まだお部屋に戻るのに1時間くらいあったから、明日の予行演習として炎属性の中級魔法を教えてあげたの」
「すると…?」
「ケルはなにか掴んだみたいで、『もっかいみせて!』とか『本のさっきのページ再確認したい!』だとか言い出したからその通りにしてあげたんだよ」
「で、覚えちゃったんだ」
「うん」
魔流の気を覚えて魔法の習得と理解が早まってるとはいえ、なるほど…ケル君ってば私の想像以上にできる子さんだったようね。
「ケル君はすごいですね、あんなにちっちゃいのに才能をひしひしと感じますよ」
「だねー。さすがべスの息子だよ」
「だから明日は光魔法と闇魔法を教えようと思うの。アイリスちゃん、協力お願い」
「ええ、任せて下さい!」
文献もすくないこの2属性は私が直接教えた方が早いって方針。だからロモンちゃんを手伝うことにしてる。
「お話はここまで! ……アイリスちゃん、ごはんー!」
「ぼくもお腹が減ったー! ごはんー!」
「はい、待っててくださいね。今から作りますからね」
「「わーい!」」
さて、今日も明日の励みになるために美味しいお料理を腕によりをかけて作らなきゃね!
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