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132話 久しぶりの故郷でございます! 2
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「いやぁ…本当によく頑張った…ん?」
ドヤ顔する可愛い孫の頭を撫でたおじいちゃんは、ふと、リンネちゃんが装備している腕輪に目をつける。
「その腕輪は?」
「あ、これ? アーティファクトだよ!」
「ほおおお!」
見せびらかすようにリンネちゃんは腕輪をつけている方の手をおじいちゃんに突き出した。
おじいちゃんは驚く……というより感心するようにその腕輪を見つめている。
「もうアーティファクトを手に入れたんか……」
「それだけじゃないんだよおじいちゃん!」
「ん?」
今度はロモンちゃんがテントウムシの盾を取りだす。
「これもアーティファクトなの!」
「も…もうアーティファクトを二個も!? すごいのぉ…流石のノアもこのころにアーティファクト二個なんて無理じゃったぞ」
今度はしっかりと驚いたおじいちゃん。
……アーティファクト二個は無理だったってことはお母さんはこのころにはもう一個は手に入れてたんだろうか。
私の場合リンネちゃんの腕輪はお金の力に頼ったものだから実力で手に入れたわけではないけれど…。
「えへへ…でもこれアイリスちゃんがぼくに買ってくれたの」
「これは私達3人で近くにあった野良ダンジョンをクリアして手に入れたんだよ!」
「…ダンジョンクリア…はわかるが…買った!?」
おじいちゃんは私の方を驚きの形相で振り向いた。
まあ、私たちが旅立った時の所持金なんて魔物を売ったぶんの代金も含めてほんの数十万ストン。
それが数億円のアーティファクトを買えるまでになるなんて考えにくいよね。
「まあ、それにはいろいろ理由がありまして…詳しく説明すると__________」
私は細かめにリンネちゃんのイダテンの腕輪を買った経緯を話したの。とくにおじいさんが感心したのはやっぱり賭けでお金を増やすところみたい。
「ともかくアイリスちゃんは普通の人間として考えてもすごいの。やはり人間になることはほぼ確実だったと言えるじゃろう」
えへへ、なんかそう言われると照れるな。
おじいさんは言いおわると、椅子に腰を深くかけた。
「…ともかく話がたくさんあるようじゃな。これからゆっくり話そうか。時間は作って来たんじゃろ?」
「「うん!」」
「はい!」
私達3人はこの数ヶ月間で起こったことすべてをおじいさんに報告し始める。
◆◆◆
かなりの時間をかけて、定期的に送っていたお手紙では言い切れなかったような内容を、細かく細かく。
冒険者になってからの初仕事のこと。
宿屋の娘を助けたこと。
大会にでて…頑張った結果、優勝することができたこと。
そして……魔王軍の幹部サナトスファビドのことを話している最中に、おじいさんはリンネちゃんを抱きしめた。
「ノアやグライド君から詳しく聞いていたが……。サナトスファビドの毒、辛かったじゃろう」
「……うん。死んじゃうかと思うくらい」
「そうじゃろ」
魔物に深く携わっているおじいさんだからこそ、その強烈さは身にしみてわかるのかもしれない。
「おじいちゃん、ぼくはもう大丈夫だよ! アイリスちゃんが治してくれたし、みんな優しくしてくれたし!」
「そうか…リンネは強いの。さすが幼い頃は『可愛い妹のロモンはぼくが守るんだ』と言っていただけのことはある」
「そ、そんな昔の話ししないでよ……!」
リンネちゃんがおじいさんに頭を撫でられながら、照れ臭そうに言った。
…と、思ったら今度はロモンちゃんがリンネちゃんに抱きつくの。
「お姉ちゃん大好きっ!」
「…うん! ばくもロモン大好きだよ!」
リンネちゃんは慌てつつも、嬉しそうにロモンちゃんを抱きしめた。みてて眼福。美少女同士がいちゃついてるのは素晴らしい。
「しかし魔王の幹部が復活したか…。わしが戦う日もいつか来そうじゃの」
「え、おじいちゃん戦えるの!?」
「え、おじいちゃん戦えるよ!?」
おじいさんのしみじみとしたその宣言に、2人は別々の反応をした。
「そうか、リンネは知らなかったか。ワシは昔、列記とした魔物使いでの。…まあしかし所持している魔物が強すぎて、普段は封書から出すのと、ワシが戦闘をするのを禁止されてるのじゃよ。……国からな」
ああ、だからおじいさん強そうなオーラが出てるのに、ゴブリンたちが攻めて来た時に戦わなかったんだね。
国から禁止させるほどの力ってどのくらいだろう。
想像もつかない。
「1匹復活したんだし、このままもう何匹か復活してると思っても良さそうじゃの」
「警戒しなきゃダメっぽいね。いつでも戦えるようにしなきゃ」
一度倒したことがある経験からか、ロモンちゃんがそういう風に何気なく言った。
そこにツッコミを入れたのがリンネちゃんで。
「いや、普通に考えてぼくたち普通の冒険者だから」
「まあそれもそうだね!」
そうそう、私達一般の冒険者は本当ならあんなボス級の魔物とは縁なんてあるはずないんだから、あれは偶然で今後はちゃんとのんびり暮らせていけるわよね。
「……しかしの、警戒するだけしとけばいいとは思うぞい」
「うん、それもそうだね」
とは言ったもののあれはロモンちゃんもリンネちゃんも…あとジエダちゃんもが美少女だから襲われたのよね。あんな美少女ばっかり付け狙う変態もあんまりいないと思うんだけれど。
「さてさて、まだ話を聞かせておくれ」
おじいさんはまだ話を聞きたがっている。
私たちはサナトスファビドを倒してからの話を再開したの。
まず、私が進化して人間になったこと。
次に仕事目的で有名な観光地に行ったこと。
そして最後に、ダンジョンの攻略をしてしまったこと。
ここ最近であった大きいことはこれくらいだけど、結構富んだ内容だったと思う。
「なるほど、かなり冒険者らしく冒険してる生活を送ってるのじゃな」
「えへへ…まあね」
「スリル満点だよね」
そっか、結構痛い目にあったりしてると思うんだけどこの2人にとっては楽しいことなのか。ずっと冒険者に憧れてたしね。
「ところで、わしの単純な興味なのじゃが…」
おじいさんは私の方をちらりとみた。
「アイリスちゃんのことについて教えてもらえんかの? 進化してからの特徴とかな」
どこからともなくあの分厚い辞書のようなメモ帳をおじいさんは持ってくる。成る程、今までは孫たちの近況把握、これからは魔物研究家としてのお仕事ってことね。
「わかった! アイリスちゃん、とりあえずエンジェルゴーレムに戻ってくれる?」
「承知しました」
私はゴーレムの姿へと戻ったの。
頭と天井がスレッスレ。
「じゃあおじいちゃん、アイリスちゃんのステータス見ていいよ! いいよね、アイリスちゃん」
【もちろん、構いませんよ】
いくら血の繋がっている家族といえど、ほかの魔物使いの魔物のステータスを見るのは許可制。
おじいさんは私のステータスをしばらく眺め、それから必死にメモを取った。
「光魔法と闇魔法が使えるか…」
「でも闇魔法はアイリスちゃんが自力で習得したんだよ! サナトスファビドが闇魔法使ってるのを見てできるようになったんだって」
「ふむふむ……」
おじいさんはそれもメモする。
「それで幼体化もできるようじゃの」
「うん、自由自在だよ! アイリスちゃん、一通り見せてあげて!」
【わかりました】
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ドヤ顔する可愛い孫の頭を撫でたおじいちゃんは、ふと、リンネちゃんが装備している腕輪に目をつける。
「その腕輪は?」
「あ、これ? アーティファクトだよ!」
「ほおおお!」
見せびらかすようにリンネちゃんは腕輪をつけている方の手をおじいちゃんに突き出した。
おじいちゃんは驚く……というより感心するようにその腕輪を見つめている。
「もうアーティファクトを手に入れたんか……」
「それだけじゃないんだよおじいちゃん!」
「ん?」
今度はロモンちゃんがテントウムシの盾を取りだす。
「これもアーティファクトなの!」
「も…もうアーティファクトを二個も!? すごいのぉ…流石のノアもこのころにアーティファクト二個なんて無理じゃったぞ」
今度はしっかりと驚いたおじいちゃん。
……アーティファクト二個は無理だったってことはお母さんはこのころにはもう一個は手に入れてたんだろうか。
私の場合リンネちゃんの腕輪はお金の力に頼ったものだから実力で手に入れたわけではないけれど…。
「えへへ…でもこれアイリスちゃんがぼくに買ってくれたの」
「これは私達3人で近くにあった野良ダンジョンをクリアして手に入れたんだよ!」
「…ダンジョンクリア…はわかるが…買った!?」
おじいちゃんは私の方を驚きの形相で振り向いた。
まあ、私たちが旅立った時の所持金なんて魔物を売ったぶんの代金も含めてほんの数十万ストン。
それが数億円のアーティファクトを買えるまでになるなんて考えにくいよね。
「まあ、それにはいろいろ理由がありまして…詳しく説明すると__________」
私は細かめにリンネちゃんのイダテンの腕輪を買った経緯を話したの。とくにおじいさんが感心したのはやっぱり賭けでお金を増やすところみたい。
「ともかくアイリスちゃんは普通の人間として考えてもすごいの。やはり人間になることはほぼ確実だったと言えるじゃろう」
えへへ、なんかそう言われると照れるな。
おじいさんは言いおわると、椅子に腰を深くかけた。
「…ともかく話がたくさんあるようじゃな。これからゆっくり話そうか。時間は作って来たんじゃろ?」
「「うん!」」
「はい!」
私達3人はこの数ヶ月間で起こったことすべてをおじいさんに報告し始める。
◆◆◆
かなりの時間をかけて、定期的に送っていたお手紙では言い切れなかったような内容を、細かく細かく。
冒険者になってからの初仕事のこと。
宿屋の娘を助けたこと。
大会にでて…頑張った結果、優勝することができたこと。
そして……魔王軍の幹部サナトスファビドのことを話している最中に、おじいさんはリンネちゃんを抱きしめた。
「ノアやグライド君から詳しく聞いていたが……。サナトスファビドの毒、辛かったじゃろう」
「……うん。死んじゃうかと思うくらい」
「そうじゃろ」
魔物に深く携わっているおじいさんだからこそ、その強烈さは身にしみてわかるのかもしれない。
「おじいちゃん、ぼくはもう大丈夫だよ! アイリスちゃんが治してくれたし、みんな優しくしてくれたし!」
「そうか…リンネは強いの。さすが幼い頃は『可愛い妹のロモンはぼくが守るんだ』と言っていただけのことはある」
「そ、そんな昔の話ししないでよ……!」
リンネちゃんがおじいさんに頭を撫でられながら、照れ臭そうに言った。
…と、思ったら今度はロモンちゃんがリンネちゃんに抱きつくの。
「お姉ちゃん大好きっ!」
「…うん! ばくもロモン大好きだよ!」
リンネちゃんは慌てつつも、嬉しそうにロモンちゃんを抱きしめた。みてて眼福。美少女同士がいちゃついてるのは素晴らしい。
「しかし魔王の幹部が復活したか…。わしが戦う日もいつか来そうじゃの」
「え、おじいちゃん戦えるの!?」
「え、おじいちゃん戦えるよ!?」
おじいさんのしみじみとしたその宣言に、2人は別々の反応をした。
「そうか、リンネは知らなかったか。ワシは昔、列記とした魔物使いでの。…まあしかし所持している魔物が強すぎて、普段は封書から出すのと、ワシが戦闘をするのを禁止されてるのじゃよ。……国からな」
ああ、だからおじいさん強そうなオーラが出てるのに、ゴブリンたちが攻めて来た時に戦わなかったんだね。
国から禁止させるほどの力ってどのくらいだろう。
想像もつかない。
「1匹復活したんだし、このままもう何匹か復活してると思っても良さそうじゃの」
「警戒しなきゃダメっぽいね。いつでも戦えるようにしなきゃ」
一度倒したことがある経験からか、ロモンちゃんがそういう風に何気なく言った。
そこにツッコミを入れたのがリンネちゃんで。
「いや、普通に考えてぼくたち普通の冒険者だから」
「まあそれもそうだね!」
そうそう、私達一般の冒険者は本当ならあんなボス級の魔物とは縁なんてあるはずないんだから、あれは偶然で今後はちゃんとのんびり暮らせていけるわよね。
「……しかしの、警戒するだけしとけばいいとは思うぞい」
「うん、それもそうだね」
とは言ったもののあれはロモンちゃんもリンネちゃんも…あとジエダちゃんもが美少女だから襲われたのよね。あんな美少女ばっかり付け狙う変態もあんまりいないと思うんだけれど。
「さてさて、まだ話を聞かせておくれ」
おじいさんはまだ話を聞きたがっている。
私たちはサナトスファビドを倒してからの話を再開したの。
まず、私が進化して人間になったこと。
次に仕事目的で有名な観光地に行ったこと。
そして最後に、ダンジョンの攻略をしてしまったこと。
ここ最近であった大きいことはこれくらいだけど、結構富んだ内容だったと思う。
「なるほど、かなり冒険者らしく冒険してる生活を送ってるのじゃな」
「えへへ…まあね」
「スリル満点だよね」
そっか、結構痛い目にあったりしてると思うんだけどこの2人にとっては楽しいことなのか。ずっと冒険者に憧れてたしね。
「ところで、わしの単純な興味なのじゃが…」
おじいさんは私の方をちらりとみた。
「アイリスちゃんのことについて教えてもらえんかの? 進化してからの特徴とかな」
どこからともなくあの分厚い辞書のようなメモ帳をおじいさんは持ってくる。成る程、今までは孫たちの近況把握、これからは魔物研究家としてのお仕事ってことね。
「わかった! アイリスちゃん、とりあえずエンジェルゴーレムに戻ってくれる?」
「承知しました」
私はゴーレムの姿へと戻ったの。
頭と天井がスレッスレ。
「じゃあおじいちゃん、アイリスちゃんのステータス見ていいよ! いいよね、アイリスちゃん」
【もちろん、構いませんよ】
いくら血の繋がっている家族といえど、ほかの魔物使いの魔物のステータスを見るのは許可制。
おじいさんは私のステータスをしばらく眺め、それから必死にメモを取った。
「光魔法と闇魔法が使えるか…」
「でも闇魔法はアイリスちゃんが自力で習得したんだよ! サナトスファビドが闇魔法使ってるのを見てできるようになったんだって」
「ふむふむ……」
おじいさんはそれもメモする。
「それで幼体化もできるようじゃの」
「うん、自由自在だよ! アイリスちゃん、一通り見せてあげて!」
【わかりました】
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