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115話 お仕事からの帰還後でございます!
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「「たっだいまーーっ!」」
ロモンちゃんとリンネちゃんが、誰もいない宿屋の部屋に向かって他の人の迷惑にならない程度にそう叫んだ。
オークションが終わって無事にいいものを買うことができた私は、グラブアとかいう人のナンパを拒否。
それから街に滞在していた3日間は特に大きなこともなく、湖周りを中心に観光していたの。
グラブアとかいう人にも会う事はなかったしね。
帰りの馬車の中は、同業者達とチェスの再戦やカードゲームを楽しんで終わった。
だからと言って仕事をサボってたわけじゃなく、きちんと魔物も討伐したし。
そして勿論、報酬もたーっぷり!
こんな美味しい仕事はない。
ロモンちゃんとリンネちゃんもまたやりたいって言ってるし。あの二人の場合は味覚的な意味もあるかもだけど。
「帰ってきたねぇ…。そんなに疲れる仕事じゃなかったけど、明日くらい休もうよ」
「あ、すいません二人とも。私、明後日用事あるんですけど…」
「そうなの?」
同時に顔を上げてこちらを見てくる二人。
「ん、じゃあ明後日もやすもー」
「そだね、ゆっくりしよ」
何があるかとは一切訊かずに、ロモンちゃんとリンネちゃんはベッドの上に転がった。
助かる…ありがたい。
「……あっ」
ガバッと、何かを思い出したようにリンネちゃんが起き上がる。
「どしたの、お姉ちゃん」
「ギルドマスターからね、ランクが上がるから、一旦帰ったらすぐに来てくれって言われてたの、忘れてた」
「本当っ?」
「うん、本当っ!」
ロモンちゃんもベッドから勢いよく起き上がる。
急いで二人とも身だしなみを整え直し始めた。
ちなみに私は上着をほっぽってベッドに転がったりしてないから、そんなの必要ない。
それにしてもランクが…あがるんだね、また…というかついに。
「「よし、いこーっ」」
二人は迅速で準備を終え、私の手を引いて玄関から出る。
迅速で終わるほど、その分いい見た目なんだよ。
可愛いって本当に良いわぁ…なんて。
でも、私もナンパされたし捨てたもんじゃないのかもしれない。やっぱり。
◆◆◆
「おめでとさん!」
「「わぁーい、やったあ!」」
ギルドに着くなりすぐに受付へ。
ついにCランクへ。実力はBランクでもおかしくないかもしれないけど、それでもこれは異例の速さだからよろこぶべきだよね。
「いやー。まさかこんなに早く…いや、早いってレベルじゃないな。瞬足と言って良いかもしれない。これにて騎士団長二人の二人娘はCランクだ! Bランクの依頼も受けることができるぜ!」
Bランクの依頼かぁ…。
ダンジョンで助けたヘリオトロープの人達も個人ランクDランク、4人でBランクだっけ。
ランク-1の魔物がちょうど適正だから、あの人達もCランクの魔物を倒したりしてるのかしらん。
「しかしよぉ…ここだけの話だが、アイリスちゃんがBランクの魔物だろ? それも極至種の。チームランク、本気出せばAランクにもすぐなれるんじゃないか?」
ギルドマスターはグビリとビールを豪快にあおる。
「はい、そのうちなるつもりです!」
「ぼく達、これ以上に頑張ります!」
眉毛をキリッと吊り上げて二人はそう言った。
「ところで、仲間を増やすつもりはないのか?」
「仲間…?」
「まあ、仲間だけじゃなく仲魔もなんだがな」
うーん、うーーん。
攻撃役…いわゆる前衛がリンネちゃん。
物理攻撃兼壁役前衛が私。
回復・補助がロモンちゃん。
長距離攻撃も私で良いし、スピード役もリンネちゃん。魔物使いは勿論ロモンちゃん。
魔法攻撃は私を筆頭に、ロモンちゃんもリンネちゃんもできてしまう。
これで完璧なんだよ。
ならあと残ってるジャンルとして空飛べる魔物を仲魔にすれば良いかもしれないけど、それは……私ができてしまう。簡単にとはいかないけど。
「仲魔は…私が仲魔にしたいなって子がいれば、いつか。それで仲間は…」
「仲間は増やすつもりないかなぁ…というのが今の考えです」
はっきりと自分達の意見を述べたリンネちゃんとロモンちゃん。
「んー、まあ、そう考えるよな。俺も今はそれで問題ないと思うぜ」
「ですよねっ」
それに私達のパーティに入る第一条件として、女性じゃなきゃいけないというのがある。
いや、明確にそう決めたわけしわけじゃないけど。
どんなに良い人だったとしても、このパーティに男を入れるのはちょっとねぇ。
イケメンなら許しちゃうかもだけど。
「んま、とにかく頑張れや! 今は個人ランクは…」
「私達二人ともDです」
「です!」
「いつか二人とも個人ランクS。これを目指せよ、な!」
グーと親指を立てるギルドマスター。
続けてロモンちゃんとアイリスちゃんもグー。
慌てて私もグー。
そんなやりとり後に一杯、飲み物と小さめのケーキを頼んで食べてからギルドを出た私達はすぐに部屋に戻ったの。
「ところで、私以外の仲魔がどうだとか」
そう、少し意地悪っぽく言ってみる。
そりゃあ勿論、魔物使いなのだから1匹では足りないだろうけど、その時が来たらヤキモチ妬いちゃうかも。
「ん。いつかの話だよ、いーつーか。今後もエースはアイリスちゃんだし…一番可愛がるのもアイリスちゃんだよ」
「ぼくは魔物使いじゃないけど、それでも一番可愛がるのはアイリスちゃん! …かな」
ちょっとうるってくるっ。
完全にペット心みたいなものなんだけど…とても嬉しい。
一度、私はトゥーンゴーレムの姿に戻り、二人に抱きついた。
「よしよし」
「やっぱりアイリスちゃんはかわいいねー!」
なんて言いながら、二人は抱きしめ返すなり、頭を撫でてくるなりしてくれる。
すぐさま10歳の頃である人間に戻り、抱きつき直した。
◆◆◆
〈……あ○○…ってさ、可愛いよな。え? や、からかったわけじゃない…〉
〈仕事頑張ってるか? 職場でいじめられたりは? してないのか…。は? お嬢様が居るから毎日満足? このロリコンめ!〉
〈だめだ…行くな、行くな、あ○○!!〉
〈あ○○っ…死ぬなよっ……絶対死ぬんじゃないぞ!〉
〈あ…あの…俺、実は________〉
ちょっと久々に見た前世の夢。
死ぬなって…やっぱり私は死んでこの世界に来てるのかな? うーん。
それにしても、あの最後の、赤面しながらあのセリフって、やっぱり…そういうこと?
ま、でもやっぱり死んじゃってるもんなー。
仮にあれが告白だったとして、結果も覚えてないし。
もうどうでもいいや!
ふへへ…こっちの世界ではやっぱりイケメンでお金持ちと結婚したいし。
ついでに可愛い女の子なんて産んじゃって…。
あれ?
半間半人って人の子産めたっけ?
ああ、産めるわね。うん。
そんなこんなで私は目が覚めてしまい、起き上がる。
もう二人とも起きていた。
「あー今日はアイリスちゃん起きるの一番遅かったね!」
「何日かに一回あるよね。…えっと、今日は用事あるんだっけ」
そっか。
もう帰って来て二日たったのね。
武器を取りに行かなきゃ。
「はい、申し訳ございません」
「えー、謝ることなんてないよっ! でもどんな用事なの? ちょっと気になる」
「えっと…秘密です」
そう言うと、一瞬にやけた二人は何やらコショコショと互いに耳打ちを始めた。
む、私には良聴があるんだぞ!
「(アイリスちゃん、彼氏かな…?)」
「(そうかもよ。でもアイリスちゃんって男嫌いだと思ってた)」
「(うんうん、私も)」
いや…男嫌いってわけじゃなく、あまり信用してないってだけなんですけど…。
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ロモンちゃんとリンネちゃんが、誰もいない宿屋の部屋に向かって他の人の迷惑にならない程度にそう叫んだ。
オークションが終わって無事にいいものを買うことができた私は、グラブアとかいう人のナンパを拒否。
それから街に滞在していた3日間は特に大きなこともなく、湖周りを中心に観光していたの。
グラブアとかいう人にも会う事はなかったしね。
帰りの馬車の中は、同業者達とチェスの再戦やカードゲームを楽しんで終わった。
だからと言って仕事をサボってたわけじゃなく、きちんと魔物も討伐したし。
そして勿論、報酬もたーっぷり!
こんな美味しい仕事はない。
ロモンちゃんとリンネちゃんもまたやりたいって言ってるし。あの二人の場合は味覚的な意味もあるかもだけど。
「帰ってきたねぇ…。そんなに疲れる仕事じゃなかったけど、明日くらい休もうよ」
「あ、すいません二人とも。私、明後日用事あるんですけど…」
「そうなの?」
同時に顔を上げてこちらを見てくる二人。
「ん、じゃあ明後日もやすもー」
「そだね、ゆっくりしよ」
何があるかとは一切訊かずに、ロモンちゃんとリンネちゃんはベッドの上に転がった。
助かる…ありがたい。
「……あっ」
ガバッと、何かを思い出したようにリンネちゃんが起き上がる。
「どしたの、お姉ちゃん」
「ギルドマスターからね、ランクが上がるから、一旦帰ったらすぐに来てくれって言われてたの、忘れてた」
「本当っ?」
「うん、本当っ!」
ロモンちゃんもベッドから勢いよく起き上がる。
急いで二人とも身だしなみを整え直し始めた。
ちなみに私は上着をほっぽってベッドに転がったりしてないから、そんなの必要ない。
それにしてもランクが…あがるんだね、また…というかついに。
「「よし、いこーっ」」
二人は迅速で準備を終え、私の手を引いて玄関から出る。
迅速で終わるほど、その分いい見た目なんだよ。
可愛いって本当に良いわぁ…なんて。
でも、私もナンパされたし捨てたもんじゃないのかもしれない。やっぱり。
◆◆◆
「おめでとさん!」
「「わぁーい、やったあ!」」
ギルドに着くなりすぐに受付へ。
ついにCランクへ。実力はBランクでもおかしくないかもしれないけど、それでもこれは異例の速さだからよろこぶべきだよね。
「いやー。まさかこんなに早く…いや、早いってレベルじゃないな。瞬足と言って良いかもしれない。これにて騎士団長二人の二人娘はCランクだ! Bランクの依頼も受けることができるぜ!」
Bランクの依頼かぁ…。
ダンジョンで助けたヘリオトロープの人達も個人ランクDランク、4人でBランクだっけ。
ランク-1の魔物がちょうど適正だから、あの人達もCランクの魔物を倒したりしてるのかしらん。
「しかしよぉ…ここだけの話だが、アイリスちゃんがBランクの魔物だろ? それも極至種の。チームランク、本気出せばAランクにもすぐなれるんじゃないか?」
ギルドマスターはグビリとビールを豪快にあおる。
「はい、そのうちなるつもりです!」
「ぼく達、これ以上に頑張ります!」
眉毛をキリッと吊り上げて二人はそう言った。
「ところで、仲間を増やすつもりはないのか?」
「仲間…?」
「まあ、仲間だけじゃなく仲魔もなんだがな」
うーん、うーーん。
攻撃役…いわゆる前衛がリンネちゃん。
物理攻撃兼壁役前衛が私。
回復・補助がロモンちゃん。
長距離攻撃も私で良いし、スピード役もリンネちゃん。魔物使いは勿論ロモンちゃん。
魔法攻撃は私を筆頭に、ロモンちゃんもリンネちゃんもできてしまう。
これで完璧なんだよ。
ならあと残ってるジャンルとして空飛べる魔物を仲魔にすれば良いかもしれないけど、それは……私ができてしまう。簡単にとはいかないけど。
「仲魔は…私が仲魔にしたいなって子がいれば、いつか。それで仲間は…」
「仲間は増やすつもりないかなぁ…というのが今の考えです」
はっきりと自分達の意見を述べたリンネちゃんとロモンちゃん。
「んー、まあ、そう考えるよな。俺も今はそれで問題ないと思うぜ」
「ですよねっ」
それに私達のパーティに入る第一条件として、女性じゃなきゃいけないというのがある。
いや、明確にそう決めたわけしわけじゃないけど。
どんなに良い人だったとしても、このパーティに男を入れるのはちょっとねぇ。
イケメンなら許しちゃうかもだけど。
「んま、とにかく頑張れや! 今は個人ランクは…」
「私達二人ともDです」
「です!」
「いつか二人とも個人ランクS。これを目指せよ、な!」
グーと親指を立てるギルドマスター。
続けてロモンちゃんとアイリスちゃんもグー。
慌てて私もグー。
そんなやりとり後に一杯、飲み物と小さめのケーキを頼んで食べてからギルドを出た私達はすぐに部屋に戻ったの。
「ところで、私以外の仲魔がどうだとか」
そう、少し意地悪っぽく言ってみる。
そりゃあ勿論、魔物使いなのだから1匹では足りないだろうけど、その時が来たらヤキモチ妬いちゃうかも。
「ん。いつかの話だよ、いーつーか。今後もエースはアイリスちゃんだし…一番可愛がるのもアイリスちゃんだよ」
「ぼくは魔物使いじゃないけど、それでも一番可愛がるのはアイリスちゃん! …かな」
ちょっとうるってくるっ。
完全にペット心みたいなものなんだけど…とても嬉しい。
一度、私はトゥーンゴーレムの姿に戻り、二人に抱きついた。
「よしよし」
「やっぱりアイリスちゃんはかわいいねー!」
なんて言いながら、二人は抱きしめ返すなり、頭を撫でてくるなりしてくれる。
すぐさま10歳の頃である人間に戻り、抱きつき直した。
◆◆◆
〈……あ○○…ってさ、可愛いよな。え? や、からかったわけじゃない…〉
〈仕事頑張ってるか? 職場でいじめられたりは? してないのか…。は? お嬢様が居るから毎日満足? このロリコンめ!〉
〈だめだ…行くな、行くな、あ○○!!〉
〈あ○○っ…死ぬなよっ……絶対死ぬんじゃないぞ!〉
〈あ…あの…俺、実は________〉
ちょっと久々に見た前世の夢。
死ぬなって…やっぱり私は死んでこの世界に来てるのかな? うーん。
それにしても、あの最後の、赤面しながらあのセリフって、やっぱり…そういうこと?
ま、でもやっぱり死んじゃってるもんなー。
仮にあれが告白だったとして、結果も覚えてないし。
もうどうでもいいや!
ふへへ…こっちの世界ではやっぱりイケメンでお金持ちと結婚したいし。
ついでに可愛い女の子なんて産んじゃって…。
あれ?
半間半人って人の子産めたっけ?
ああ、産めるわね。うん。
そんなこんなで私は目が覚めてしまい、起き上がる。
もう二人とも起きていた。
「あー今日はアイリスちゃん起きるの一番遅かったね!」
「何日かに一回あるよね。…えっと、今日は用事あるんだっけ」
そっか。
もう帰って来て二日たったのね。
武器を取りに行かなきゃ。
「はい、申し訳ございません」
「えー、謝ることなんてないよっ! でもどんな用事なの? ちょっと気になる」
「えっと…秘密です」
そう言うと、一瞬にやけた二人は何やらコショコショと互いに耳打ちを始めた。
む、私には良聴があるんだぞ!
「(アイリスちゃん、彼氏かな…?)」
「(そうかもよ。でもアイリスちゃんって男嫌いだと思ってた)」
「(うんうん、私も)」
いや…男嫌いってわけじゃなく、あまり信用してないってだけなんですけど…。
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