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84話 街に一時帰宅でございます!
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揺れていた馬車が止まった。
私とロモンちゃんは上半身だけを起こす。
「着いたのかな…?」
【そう…みたいですね】
この寝床から見える外の景色は、この国の城の、馬車の停留所だった。サナトスファビドが私達をピンポイントで襲ってくるんじゃないかって危惧してたけど、大丈夫だったみたい。
「お姉ちゃんの容態は?」
ロモンちゃんが心配そうな顔をして、私にそう問う。
隣のベットを覗き込んで、私はリンネちゃんを見た。
顔色は良い。
【まだ寝てますが、全然大丈夫そうです】
「よかった…」
安堵して、私とロモンちゃんがそのベットから降りたその時、馬車の戸が勢い良さげに開かれた。
その先には目に涙を浮かべている、お母さんが佇んでいた。
「あっ! …お母さん!」
「…ロモン、リンネは……?」
「そっちのベットだよ」
パタパタと急ぎ足でリンネちゃんが眠っているベットまで来たお母さんは、リンネちゃんを覆っていた布団を剥ぎ、服を少しはだけさせて体を無言で調べ始めた。
一通り調べ終わったのか、お母さんはリンネちゃんの服を正し、優しく抱きしめつつ頭を撫でてから、布団を掛け直した。
私達の方を振り向き、こっちに来た。
涙目だったその目は、今や赤くなり、滝のように涙が溢れている。
「あぅぅ…リンネが…リンネがサナトスファビドにやられたって聞いた時…もうダメかもって思ったけど…っ!けど!」
「お母さん、アイリスちゃんが治してくれたんだよ?」
【あ…いえ。ロモンちゃんと一緒にですよ】
「うん…パパから聞いたわ…。グスッ…そんなことができるなんてっ…やっぱりアイリスちゃんは変わってるわね…とっても」
静かにそうつぶやくと、お母さんは私とロモンちゃんを同時にぎゅっと抱きしめた。
肩に雫が落ちてくる。
「ありがと…ありがとう、アイリスちゃんっ…! それと…よく頑張ったわね、ロモン」
「……うんっ」
ロモンちゃんが照れながら頷くと、お母さんはロモンちゃんの頭を優しく撫でた。
そのあと、私達は馬車から降りて、リンネちゃんは私がおんぶしつつ、お父さんとお母さんの屋敷へ。
ちなみに、村の人たちは国が用意してくれた場所に泊まるみたい。
オーニキスっていう方と会うのも明日みたいだね。
屋敷に着くなり、まず私達は、リンネちゃんの身体拭いてあげて、着替えさせて、寝床に寝かせておいた。
そひてリビングへと移動する。
「さて…と、お夕飯食べましょう? もうこんな時間だけど…まだよね?」
「うん! アイリスちゃんも食べよ」
【お言葉に甘えます】
お母さんは見た目の年齢通りの、若々しく可愛らしいエプロンを着けて、あり合わせの食材で軽い夕飯を作り始めた。
そのあいだ、ロモンちゃんは私の頭を、御礼を言いながら、何度も何度も撫で回していたの。
「はい、できたわよ」
「えへへ…いただきます…っ!」
【いただきます】
お母さんも食事は摂ってなかったのか、一緒に食べた。
いや、ほんと、美味しかった。
そして、お風呂に入るんだけど、お母さんと、ロモンちゃんと、私の2人と1匹で入ることになった。
む…胸が…大きい…!
お母様、着痩せするタイプだったんですね。
だとしたら、ロモンちゃん達も、今からこうなるのかぁ…楽しみだなぁ…なんてね。
本音、私は小学生から高校生くらいが1番好きなんだよ。うん。
「ところで、どうやってアイリスちゃんはその…サナトスファビドの呪毒を治したのかしら? あれって、治らないはずよね?」
お風呂はびっくりするほど広い。
魔物をお風呂に入れたりするから、広く作ったのだとか。そんなお風呂場でお母さんの声が響く。
ロモンちゃんはその問いに答えた。
「アイリスちゃんはとにかく回復魔法を連発してたよ?」
「なるほどね…。うーん…それでもやっぱり治るものなのかしらね? あの魔物はまだ、160年間で2匹しか発見されてないから、わからないことも多いけど」
お母さんでもわからないとなると、厳しいな。
私は、考察を含めて発言してみる。
【私の考察ですが…。もしかしたら、ある特技を持っているか、あるいはその呪毒の使用者より種として高位な魔物しか治すことができないのではないかと】
「たしかにそれも一理あるわね。完全に確証できることは、あの呪毒はアイリスちゃんにしか治せないということ……か」
お風呂で話し合いを終えた私達はあがる。
そのあと、ロモンちゃんはすぐに寝巻きに着替えた。
お母さんは、さっきまで来てた服に着なおしたみたい。
「今日は…疲れちゃった、お母さん」
歯磨きも終え、眠そうに目をこするロモンちゃん。
「お疲れ様。明日も忙しいけど…大丈夫?」
「うんっ…大丈夫! えへへ…! アイリスちゃんが居るし、明日にはお姉ちゃんも起きるらしいから」
「そう」
ロモンちゃんは、リンネちゃんを寝かせた寝室へと行ってしまった。今日は私とは添い寝はしないみたい。
私はリビングで立ったまま眠ることにしよう。
【私も…そろそろ】
「あ、ちょっとまって、アイリスちゃん」
お母さんはそう言いってどこかに行ったかと思うと、瓶に入った液体を持って、すぐに戻ってきた。
「アイリスちゃん…かなり、MP使っちゃったでしょ? 怠いんじゃない? 身体」
【あ…はい】
「ほらこれ、飲んだら少しはマシになるわ」
【ありがとうございます】
お母さんは私にその薬を飲ませてくれた。
…トゥーンゴーレムだったら飲めなかったよね、この薬。……なんだか、身体がスッとする。
と、同時にさらに激しい眠気が襲ってきた。
【ふぁ…ふぁぁ。あの…お母様、おや…すみなさい】
「ふふ。おやすみなさい。本当に…本当にありがとうね」
お母さんは私のことを抱きしめた…のかな?
よくわかんない、眠くて。
……お休みなさい。
◆◆◆
「以上が今ある情報だ」
グライドは援軍としてやってきた者達に、アイリスや村人達から得た情報を話した。
念のために女性の団員・兵士らは、皆、彼らの待機拠点である、村人の居ないモンゾニ村の警備をするなどの作戦も含めて。
「それでは今日は日の入りまで、散策をする。1班と2班は_____」
兵達を班に分け、手分けしてサナトスファビドを見つける作戦へと出た。
計20班の兵士達は、拠点から、東、西、南、北、北東、北西、南東、南西に2~3班、主に、アイリスが爆発した箇所がある方角には多めに人員を割り振った。
「言っておく。相手はただの魔物ではない。Sランクだ。さらに、ただのSランクではないこともわかっている。ゆえに皆…仮に対象と接触したとしても、戦わずに逃げろ。良いな。連絡だけ…連絡だけだ」
「「「ハッ____!」」」
男達は、定められた方角に、全員重装備をして捜索を始めた。捜索時間は日の入りまでだ。
#######
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私とロモンちゃんは上半身だけを起こす。
「着いたのかな…?」
【そう…みたいですね】
この寝床から見える外の景色は、この国の城の、馬車の停留所だった。サナトスファビドが私達をピンポイントで襲ってくるんじゃないかって危惧してたけど、大丈夫だったみたい。
「お姉ちゃんの容態は?」
ロモンちゃんが心配そうな顔をして、私にそう問う。
隣のベットを覗き込んで、私はリンネちゃんを見た。
顔色は良い。
【まだ寝てますが、全然大丈夫そうです】
「よかった…」
安堵して、私とロモンちゃんがそのベットから降りたその時、馬車の戸が勢い良さげに開かれた。
その先には目に涙を浮かべている、お母さんが佇んでいた。
「あっ! …お母さん!」
「…ロモン、リンネは……?」
「そっちのベットだよ」
パタパタと急ぎ足でリンネちゃんが眠っているベットまで来たお母さんは、リンネちゃんを覆っていた布団を剥ぎ、服を少しはだけさせて体を無言で調べ始めた。
一通り調べ終わったのか、お母さんはリンネちゃんの服を正し、優しく抱きしめつつ頭を撫でてから、布団を掛け直した。
私達の方を振り向き、こっちに来た。
涙目だったその目は、今や赤くなり、滝のように涙が溢れている。
「あぅぅ…リンネが…リンネがサナトスファビドにやられたって聞いた時…もうダメかもって思ったけど…っ!けど!」
「お母さん、アイリスちゃんが治してくれたんだよ?」
【あ…いえ。ロモンちゃんと一緒にですよ】
「うん…パパから聞いたわ…。グスッ…そんなことができるなんてっ…やっぱりアイリスちゃんは変わってるわね…とっても」
静かにそうつぶやくと、お母さんは私とロモンちゃんを同時にぎゅっと抱きしめた。
肩に雫が落ちてくる。
「ありがと…ありがとう、アイリスちゃんっ…! それと…よく頑張ったわね、ロモン」
「……うんっ」
ロモンちゃんが照れながら頷くと、お母さんはロモンちゃんの頭を優しく撫でた。
そのあと、私達は馬車から降りて、リンネちゃんは私がおんぶしつつ、お父さんとお母さんの屋敷へ。
ちなみに、村の人たちは国が用意してくれた場所に泊まるみたい。
オーニキスっていう方と会うのも明日みたいだね。
屋敷に着くなり、まず私達は、リンネちゃんの身体拭いてあげて、着替えさせて、寝床に寝かせておいた。
そひてリビングへと移動する。
「さて…と、お夕飯食べましょう? もうこんな時間だけど…まだよね?」
「うん! アイリスちゃんも食べよ」
【お言葉に甘えます】
お母さんは見た目の年齢通りの、若々しく可愛らしいエプロンを着けて、あり合わせの食材で軽い夕飯を作り始めた。
そのあいだ、ロモンちゃんは私の頭を、御礼を言いながら、何度も何度も撫で回していたの。
「はい、できたわよ」
「えへへ…いただきます…っ!」
【いただきます】
お母さんも食事は摂ってなかったのか、一緒に食べた。
いや、ほんと、美味しかった。
そして、お風呂に入るんだけど、お母さんと、ロモンちゃんと、私の2人と1匹で入ることになった。
む…胸が…大きい…!
お母様、着痩せするタイプだったんですね。
だとしたら、ロモンちゃん達も、今からこうなるのかぁ…楽しみだなぁ…なんてね。
本音、私は小学生から高校生くらいが1番好きなんだよ。うん。
「ところで、どうやってアイリスちゃんはその…サナトスファビドの呪毒を治したのかしら? あれって、治らないはずよね?」
お風呂はびっくりするほど広い。
魔物をお風呂に入れたりするから、広く作ったのだとか。そんなお風呂場でお母さんの声が響く。
ロモンちゃんはその問いに答えた。
「アイリスちゃんはとにかく回復魔法を連発してたよ?」
「なるほどね…。うーん…それでもやっぱり治るものなのかしらね? あの魔物はまだ、160年間で2匹しか発見されてないから、わからないことも多いけど」
お母さんでもわからないとなると、厳しいな。
私は、考察を含めて発言してみる。
【私の考察ですが…。もしかしたら、ある特技を持っているか、あるいはその呪毒の使用者より種として高位な魔物しか治すことができないのではないかと】
「たしかにそれも一理あるわね。完全に確証できることは、あの呪毒はアイリスちゃんにしか治せないということ……か」
お風呂で話し合いを終えた私達はあがる。
そのあと、ロモンちゃんはすぐに寝巻きに着替えた。
お母さんは、さっきまで来てた服に着なおしたみたい。
「今日は…疲れちゃった、お母さん」
歯磨きも終え、眠そうに目をこするロモンちゃん。
「お疲れ様。明日も忙しいけど…大丈夫?」
「うんっ…大丈夫! えへへ…! アイリスちゃんが居るし、明日にはお姉ちゃんも起きるらしいから」
「そう」
ロモンちゃんは、リンネちゃんを寝かせた寝室へと行ってしまった。今日は私とは添い寝はしないみたい。
私はリビングで立ったまま眠ることにしよう。
【私も…そろそろ】
「あ、ちょっとまって、アイリスちゃん」
お母さんはそう言いってどこかに行ったかと思うと、瓶に入った液体を持って、すぐに戻ってきた。
「アイリスちゃん…かなり、MP使っちゃったでしょ? 怠いんじゃない? 身体」
【あ…はい】
「ほらこれ、飲んだら少しはマシになるわ」
【ありがとうございます】
お母さんは私にその薬を飲ませてくれた。
…トゥーンゴーレムだったら飲めなかったよね、この薬。……なんだか、身体がスッとする。
と、同時にさらに激しい眠気が襲ってきた。
【ふぁ…ふぁぁ。あの…お母様、おや…すみなさい】
「ふふ。おやすみなさい。本当に…本当にありがとうね」
お母さんは私のことを抱きしめた…のかな?
よくわかんない、眠くて。
……お休みなさい。
◆◆◆
「以上が今ある情報だ」
グライドは援軍としてやってきた者達に、アイリスや村人達から得た情報を話した。
念のために女性の団員・兵士らは、皆、彼らの待機拠点である、村人の居ないモンゾニ村の警備をするなどの作戦も含めて。
「それでは今日は日の入りまで、散策をする。1班と2班は_____」
兵達を班に分け、手分けしてサナトスファビドを見つける作戦へと出た。
計20班の兵士達は、拠点から、東、西、南、北、北東、北西、南東、南西に2~3班、主に、アイリスが爆発した箇所がある方角には多めに人員を割り振った。
「言っておく。相手はただの魔物ではない。Sランクだ。さらに、ただのSランクではないこともわかっている。ゆえに皆…仮に対象と接触したとしても、戦わずに逃げろ。良いな。連絡だけ…連絡だけだ」
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