75 / 378
75話 私vs毒蛇王でございます…!
しおりを挟む
「お姉ちゃん…この魔物…」
「サナトス…ファビド…Sランクの…」
ああ、ロモンちゃんの嫌な予感は当たってたのかもしれない。いや、当たってた。
どう考えたってこいつのせいだよね、ここら辺に魔物が多くなったのって。
それにしても…敵として初めてSランクと遭遇したけれど、とてもじゃないけど勝てそうにないや…。
そして…図鑑とは姿がそれなりに違うことから、亜種…あるいは超越種だと考えないと。
とにかく今はリンネちゃんが何もなくて良かったと考えるべきだね。反射神経が高くて良かったよ。
だけど…探知が三人いても誰一人気づかなかったなんて…。
さてどうするかな。とりあえず美少女である二人は逃すべきだよね。……どう考えても私が治療してきた女の子達を毒したのはコイツだし。
まさかこんな場所で遭遇するとは思わなかったけど。
「ど…どうする?」
「とりあえず逃げなきゃ…今の私達じゃどう頑張っても勝てない…」
しかし…相手もSランク、相当素早いハズ。
逃げ切れるのかな?
なんなら、私がここで足止めして……。
…よし、足止めだ。今の私は勝てはしない。だけど…死ぬことも無いよね。
【お二人とも、逃げてください。スフェルオの効果はまだ残ってますよね? あと受け答えは念話で。相手は人の言葉を理解できる可能性があるので】
私はそう念話をしながら、ジリジリと少しずつ二人を守るように腕を広げながら前に出る。
【二人って……アイリスちゃんは? アイリスちゃんはどうするの?】
【私はここでコイツを足止めします。なに、死ぬことはありません。……村の場所が知られても困るので、少し遠回りをして逃げて下さい】
【アイリスちゃん…】
【なんとかなるかもしれない…一緒に逃げようよ!】
【____村に着いたら貴女方はすべきことがあります】
サナトスファビドからジロジロと睨まれている。
すごい迫力、湧き上がる恐怖心…本気を出されたら私、死ぬかもしれない…まあ、死なないけど。
私はロモンちゃんとリンネちゃんに、村に着いたらすべきことを簡潔に伝えた。
まずは救助を頼むこと。Sランク以上の冒険者さんや、お父さんやお母さんが来たら尚良し。その来るまでの間の数時間やり過ごさなければならないが…。
次に、村の人たちをすぐに避難させること。
これは絶対にして貰わなければならない。
もし、私が瞬殺されて、このサナトスファビドが村に向かって…なんて事になったら、最悪だ。
【____良いですね、逃げて下さい】
【アイリスちゃん……わかった、お姉ちゃん逃げよ】
【……うん。アイリスちゃん…無理しないでね】
なんの合図も無しに唐突に、二人には逃げてもらった。
猛スピードでリンネちゃんがロモンちゃんの手を握りながら、逃げていく。私はそれを探知で確認する。
サナトスファビドはそれを追おうと動き始め、私はより、それを遮るように立ち塞がった。
【ジャマ】
サナトスファビドは立ちはだかっている私を一睨みし、その太い頭で私を払いのける。
辛うじて腕でガードするも、私は軽く吹っ飛び、その腕はもはや力任せに曲げた鉄パイプのようにひん曲がっていた。
大きく欠け割れてる箇所も。
HP…大分持ってかれてしまったみたい。
凄まじい攻撃力…人にしろ魔物にしろ、Sランクは異常だね。
今の衝撃によって軽く飛ばされた私だけど、すぐにサナトスファビドの前に立ち塞がり直す。
【……なんだこいつ。ヤケにガンジョウだな…。あのカワイイコふたりは…ミウシなったか。どっちもヤるのタノしみたかったんだがなぁ…コイツのせいで…】
相手は素早く1回転すると、その尾を私に向かって叩きつけてきた。
それをひしゃげた方の腕でガードする。
バキバキという音を立て、左腕は折れ、取れてしまった。ミスリルの私の身体を打撃でへし折るとは…。
まあだけど、とっさに自分に掛けたデフェルオ数回のおかげで致命傷にはならなかったね。
掛けてなかったら腕ごと頭から真っ二つになってた気がする。
【……なんなんだ…オマエ? ミるからにE~Dランクのただのゴーレムだよな? どうしてイきている?】
なんか質問されたし。
なんて答えれば良いんだろう…ただのゴーレムだって思われてるのを生かして……普通のゴーレムらしく返答しよう。
そうすれば相手に私という存在なら対応できる隙ができるかもしれない。
えーっと…ゴーレムの喋り方はどうだったかな…スヒョウゴーレムを思い出して…えっと…。
あとそれと、会話にならないように会話しなきゃ。
【こ…ゴゴバト…トオザナインダ…ドー。ジュジンタデ…ノモドニバ…イガゼナーイ】
よし、これはうまくできたと思うの!
どうかな…相手の反応は?
【やっぱりゴーレムはゴーレムなのか…? だが…ゴーレムってこんなにチュウセイシンあったか? まあ…どうでもいいな。しね】
サナトスファビドは口を開く。
そこから黒がかった紫色の魔法陣が現れた。
ラッキー! 闇魔法『シャド』の魔方陣じゃん。まだ覚えてないんだよね…先天的でなく、後で覚えるならかなり難しい魔法だから、魔法の教科書とかにも存在する程度にしか書かれてないし…。
でもこれでどう出すかは覚えた。
生きて帰れたら習得しよう。闇魔法ともう一つ、光魔法は他の魔法との応用がし易いんだよね。
そう考えてる間に、リシャドム…あるいは最上級のリスシャドラムと思われる闇魔法の塊が、私に向かって放たれた。
普通のゴーレムは魔法弱いからねー。それで魔法なんだろうけれど…私は普通じゃないから…。
ドゴンと大きな音と共に、私はまた、吹き飛ばされる。
見てみると私のお腹は大きく凹んでた。
あと1~2発撃たれたら、ベスさんにやられた時のように身体が四散しちゃうかも。
【たえた…。そうか、たえるか…。ただのリトルゴーレムやリトルファイゴーレムなどとはチガうようだな…】
そう言いながら、私にシュルシュルと近づいてくる。
なるほど…ならばそろそろ私からも攻撃していいかな?
このサナトスファビドが私を何ゴレームだと思ってるかは知らないけれど、とりあえず、回復系のゴレームだとは思わせないようにしないと。
できるだけコイツから情報を引き出して、死んだふりして逃れて……ってことしたいからね。
欲しい情報は、こいつが魔王の部下なのか、それとも普通の亜種・超越種のサナトスファビドなのかを知る事。
それと生息地とか個人的な何かとか、その情報を元に討伐しやすくなるような情報。この二つを知りたい。
だから、自分を回復するのは、ペアかリペアか…少しだけだ。肉体再生なんて魔法でしたらいけない。
てなわけで今、放つべきなのは打撃…は身体がボロボロで無理だから、魔法だよね。
辞典には載ってなかった、コイツの弱点属性も知りたいし…。……雷系と…応用が利く氷系の魔法だけで闘ってみよう。
そして、そういう魔法を使う特殊なゴレームだと思わせるんだ。
私は、リゴロゴを1発、サナトスファビドに向かって放った。
#######
次の更新は8/23です。
「サナトス…ファビド…Sランクの…」
ああ、ロモンちゃんの嫌な予感は当たってたのかもしれない。いや、当たってた。
どう考えたってこいつのせいだよね、ここら辺に魔物が多くなったのって。
それにしても…敵として初めてSランクと遭遇したけれど、とてもじゃないけど勝てそうにないや…。
そして…図鑑とは姿がそれなりに違うことから、亜種…あるいは超越種だと考えないと。
とにかく今はリンネちゃんが何もなくて良かったと考えるべきだね。反射神経が高くて良かったよ。
だけど…探知が三人いても誰一人気づかなかったなんて…。
さてどうするかな。とりあえず美少女である二人は逃すべきだよね。……どう考えても私が治療してきた女の子達を毒したのはコイツだし。
まさかこんな場所で遭遇するとは思わなかったけど。
「ど…どうする?」
「とりあえず逃げなきゃ…今の私達じゃどう頑張っても勝てない…」
しかし…相手もSランク、相当素早いハズ。
逃げ切れるのかな?
なんなら、私がここで足止めして……。
…よし、足止めだ。今の私は勝てはしない。だけど…死ぬことも無いよね。
【お二人とも、逃げてください。スフェルオの効果はまだ残ってますよね? あと受け答えは念話で。相手は人の言葉を理解できる可能性があるので】
私はそう念話をしながら、ジリジリと少しずつ二人を守るように腕を広げながら前に出る。
【二人って……アイリスちゃんは? アイリスちゃんはどうするの?】
【私はここでコイツを足止めします。なに、死ぬことはありません。……村の場所が知られても困るので、少し遠回りをして逃げて下さい】
【アイリスちゃん…】
【なんとかなるかもしれない…一緒に逃げようよ!】
【____村に着いたら貴女方はすべきことがあります】
サナトスファビドからジロジロと睨まれている。
すごい迫力、湧き上がる恐怖心…本気を出されたら私、死ぬかもしれない…まあ、死なないけど。
私はロモンちゃんとリンネちゃんに、村に着いたらすべきことを簡潔に伝えた。
まずは救助を頼むこと。Sランク以上の冒険者さんや、お父さんやお母さんが来たら尚良し。その来るまでの間の数時間やり過ごさなければならないが…。
次に、村の人たちをすぐに避難させること。
これは絶対にして貰わなければならない。
もし、私が瞬殺されて、このサナトスファビドが村に向かって…なんて事になったら、最悪だ。
【____良いですね、逃げて下さい】
【アイリスちゃん……わかった、お姉ちゃん逃げよ】
【……うん。アイリスちゃん…無理しないでね】
なんの合図も無しに唐突に、二人には逃げてもらった。
猛スピードでリンネちゃんがロモンちゃんの手を握りながら、逃げていく。私はそれを探知で確認する。
サナトスファビドはそれを追おうと動き始め、私はより、それを遮るように立ち塞がった。
【ジャマ】
サナトスファビドは立ちはだかっている私を一睨みし、その太い頭で私を払いのける。
辛うじて腕でガードするも、私は軽く吹っ飛び、その腕はもはや力任せに曲げた鉄パイプのようにひん曲がっていた。
大きく欠け割れてる箇所も。
HP…大分持ってかれてしまったみたい。
凄まじい攻撃力…人にしろ魔物にしろ、Sランクは異常だね。
今の衝撃によって軽く飛ばされた私だけど、すぐにサナトスファビドの前に立ち塞がり直す。
【……なんだこいつ。ヤケにガンジョウだな…。あのカワイイコふたりは…ミウシなったか。どっちもヤるのタノしみたかったんだがなぁ…コイツのせいで…】
相手は素早く1回転すると、その尾を私に向かって叩きつけてきた。
それをひしゃげた方の腕でガードする。
バキバキという音を立て、左腕は折れ、取れてしまった。ミスリルの私の身体を打撃でへし折るとは…。
まあだけど、とっさに自分に掛けたデフェルオ数回のおかげで致命傷にはならなかったね。
掛けてなかったら腕ごと頭から真っ二つになってた気がする。
【……なんなんだ…オマエ? ミるからにE~Dランクのただのゴーレムだよな? どうしてイきている?】
なんか質問されたし。
なんて答えれば良いんだろう…ただのゴーレムだって思われてるのを生かして……普通のゴーレムらしく返答しよう。
そうすれば相手に私という存在なら対応できる隙ができるかもしれない。
えーっと…ゴーレムの喋り方はどうだったかな…スヒョウゴーレムを思い出して…えっと…。
あとそれと、会話にならないように会話しなきゃ。
【こ…ゴゴバト…トオザナインダ…ドー。ジュジンタデ…ノモドニバ…イガゼナーイ】
よし、これはうまくできたと思うの!
どうかな…相手の反応は?
【やっぱりゴーレムはゴーレムなのか…? だが…ゴーレムってこんなにチュウセイシンあったか? まあ…どうでもいいな。しね】
サナトスファビドは口を開く。
そこから黒がかった紫色の魔法陣が現れた。
ラッキー! 闇魔法『シャド』の魔方陣じゃん。まだ覚えてないんだよね…先天的でなく、後で覚えるならかなり難しい魔法だから、魔法の教科書とかにも存在する程度にしか書かれてないし…。
でもこれでどう出すかは覚えた。
生きて帰れたら習得しよう。闇魔法ともう一つ、光魔法は他の魔法との応用がし易いんだよね。
そう考えてる間に、リシャドム…あるいは最上級のリスシャドラムと思われる闇魔法の塊が、私に向かって放たれた。
普通のゴーレムは魔法弱いからねー。それで魔法なんだろうけれど…私は普通じゃないから…。
ドゴンと大きな音と共に、私はまた、吹き飛ばされる。
見てみると私のお腹は大きく凹んでた。
あと1~2発撃たれたら、ベスさんにやられた時のように身体が四散しちゃうかも。
【たえた…。そうか、たえるか…。ただのリトルゴーレムやリトルファイゴーレムなどとはチガうようだな…】
そう言いながら、私にシュルシュルと近づいてくる。
なるほど…ならばそろそろ私からも攻撃していいかな?
このサナトスファビドが私を何ゴレームだと思ってるかは知らないけれど、とりあえず、回復系のゴレームだとは思わせないようにしないと。
できるだけコイツから情報を引き出して、死んだふりして逃れて……ってことしたいからね。
欲しい情報は、こいつが魔王の部下なのか、それとも普通の亜種・超越種のサナトスファビドなのかを知る事。
それと生息地とか個人的な何かとか、その情報を元に討伐しやすくなるような情報。この二つを知りたい。
だから、自分を回復するのは、ペアかリペアか…少しだけだ。肉体再生なんて魔法でしたらいけない。
てなわけで今、放つべきなのは打撃…は身体がボロボロで無理だから、魔法だよね。
辞典には載ってなかった、コイツの弱点属性も知りたいし…。……雷系と…応用が利く氷系の魔法だけで闘ってみよう。
そして、そういう魔法を使う特殊なゴレームだと思わせるんだ。
私は、リゴロゴを1発、サナトスファビドに向かって放った。
#######
次の更新は8/23です。
0
お気に入りに追加
1,776
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる