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281話 新しいステータスでございます!

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「ふむふむふむ、ほうほうほう」
「どうでした?」


 ロモンちゃん達がケル君のステータスの確認をし終えた。首が二つになったことで色々やれることも増えてるだろうし、気になるところ。


「やっぱりかなり強くなってるよ」
「Aランクの上位、超越種……実質Sランクじゃな」
「口に出したらベスが泣いて悔しがるようなものがたくさんあったわ」
【エェ!?】


 ベスさんの顔面がすでに驚愕であふれている。それにしてもケル君はAランクの上位か。亜種だと位が一つ、超越種だと二つ分上という解釈をしてもいいらしいからおじいさんの言う通り実質Sランクね。お母さんやおじいさんが唖然とした様子だし、それほどのものが揃っているのでしょう。


「じゃあアイリスちゃんとお姉ちゃんにも、どんな感じだったか教え……」
【オイラから教えるゾ! 自分で教えてえっへんするんだゾ!】
「そう? じゃあお願いね」


 というわけでケル君が自分から新しく手に入れた個人としての特技について説明してくれた。
 まずはずっと憧れだった『重複魔法』。ベスさんの必殺技とも言えるこの特技をケル君は習得してしまったみたい。ベスさんとお母さんで努力して手に入れたこの特技、ケル君は進化で手に入れたのね。……って言いたいところだけど、ケル君も来るべき時のために備えていたし、努力していないなんて全く言えないわ。
 効果はベスさんのものと同じ。本来なら同時に別々に放てる魔法を、重ねて一つの重複魔法陣として形成することで一撃の威力を跳ね上がらせる。これ一つでものすごい強化ね。
 そしてさすがはケル君というべきかオリジナルで『重複付与』なんてのができたらしい。これは『炎の爪』などの属性攻撃の物理技を一点に集中できるというもの。つまり『重複魔法』の物理版。左手と右手に魔法を付与するはずのところを、右手に両手分付与するって感じ。ただケル君本人曰く、重複魔法の方が使い勝手はいいだろうとのこと。
 また『天の才』っていう個人特性が『神童』というものに進化していた。本人曰く本を読みまくったからっぽい。内容は前回の強化版……もっと頭良くなってどうするつもりなのかしら。残りの個人特性はそのまま。
 次に種族として増えた特性。オルトロスになって頭が二つに増えたので、そのもう一方の頭を管理できるようになる『双頭の法』というのができたらしい。
 それによってなのか、自身の雷・火・光属性を強化し敵のものは格下ならば無効化するという効果の『天界の番犬』という特性が『楽園の双頭犬』というものに進化。効果は上の三つの属性に風属性が加わり、また該当する属性による格下の攻撃無効化から同格の攻撃吸収になった。MPを回復できるらしい。強い。
 あとは超越種としての特性。新しく加わったのは一つだけ。『超越の輝き』というもの。これは明るい場所ならMPとHPが毎秒一定の割合で回復するというもの。指輪の効果と相まって強力になることは間違いない。あとケル君のMP切れを昼間は考えなくて良くなったわね。好きなだけ特訓できる。
 そして特技は新しく覚えたものはなく、補助魔法系は統一され『フェルオール』まで進化、回復魔法も最上級まで。あとそれぞれ私たちから教わった特技が最終段階まで進化してるらしい。
 ステータスは全体的に上がった。前回同様に魔力、攻撃力、素早さの伸びがえげつないほどだって。
 ……Sランク超越種あたりとタイマンで戦っても勝てるんじゃないかしら、ここまできたら。


【えっへんなんだゾ!】
「す、すごいですね……」
【……ワタシヨリ ツヨクナッタ……?】
【いやー、まだまだママには及ばないゾ】


 ケル君はそういったけど、お母さんとおじいさんの表情を見るにそうではないっぽい。私の予想でも、お母さんの力が加わったベスさんには勝てずとも、ベスさん単身ならばケル君に軍配があがるんじゃないかと思うほど。
 

「まあ、実力は近いうちに難しいクエストでも受けてみてみようよ! 次はアイリスちゃんだよ!」
「実は私、進化するときにステータス見そびれまして……皆さんと一緒に見ますよ」
「わかった!」


 おじいさん以外は人間のステータスは見れないため、私は魔物に戻ってそのまま自分のステータスを覗いた。
 まず特技ね、特技は新しいものは特になく、リンネちゃんと一緒に覚えたものが軒並み進化していたわ。これは予想通りだから特に触れる必要もない。効果も強くなっただけだしね。牙とか爪とかを使った攻撃以外はほとんどケル君と同じだと思われる。
 極至種としての特性に『極みに至る体技』というのが増えていた。リンネちゃんのおかげね。魔法以外の特技がすごく上がるみたい。属性としてのダメージではなく、物理攻撃としてのダメージが上がるため光属性を含んだ物理攻撃をすれば二つのものが適応されるってことね。この特性は武器を使った攻撃にも適用されるけど、専門の物(例えばあるとしたら極み至る剣技とか)よりは威力が上がらないみたい。
 それと『極みに至る耐性』ってのもできた。弱体化魔法を無効にし、属性への耐性全ても大幅強化するというもの。つまり物理攻撃以外ほとんどを無効化できるようになったってことかしらね? 酸とか毒とかはどうかわかんないけど。
 種族としては、今まで空中浮遊して体から離れてる腕が自由に操れるようになった『手腕完全操作』が『真・手腕完全操作』になった。どうやら手だけじゃなく、新しく分離した肘も対象になったらしい。
 そして新しく増えたのは『主天使の支配』という特性。これはどうやら私の『真流の創気』の上位互換にあたるものみたい。今まで私は魔力の塊を身にまとってそれで腕を生やしたりしていたけれど、今度は身体の一定の場所から自分の一部である青緑色の模様部分が延長して腕が生えてくるらしい。生えてくる部位は、分離した両肘の断面、腕の断面、背中の突起から。MPは消費せず、しかも自分の体をそのまま腕の形状にするわけだから非常に安定している。真流の創気と合わせたら何十本腕を増やせるのかしらあとで挑戦してみよう。また、この特性を手に入れたことによって、背中の突起から生えてくる羽の数が六つになった。……これは特に意味はなく、見た目が良くなるだけみたいだけど。さらに頭の天使の輪っかの大きさを調節できるだけでなく、ブーメランのように投げることもできるようになったらしい。要約すると『主天使の支配』った特性は私の身体の青緑色の部分を操るものだってことね。
 個人としては『拳を極めし者』に似た『武を極めし者』というのが増えていた。『極みに至る体技』と同じように物理攻撃全体の威力が上がる。
 ステータスは全体的にそのまま同じ分だけ加算された感じね、素早さを除いて。素早さだけゴーレムのくせに飛躍的にも上がってるわ。まあそれでも全ステータスの中で一番低いけど……。
 総じて言えば、耐性付与によって防御面が、極みに至る体技と武を極めし者によって物理攻撃が、腕を増やせるようになったことによって魔法の手数が増えたってところかな。悪くないんじゃないかしら。特にこれからゴーレムの姿でも武器を使えるわけだから、物理攻撃が強化されたのは嬉しい。


「はわ……はわわわ……」
「どうしましたか? ロモンちゃん」


 ロモンちゃんが私のことをみてアワアワしてて可愛い。何かあったのかしら。


「あ、アイリスちゃん……え、エスランクになってるよ……?」
「ええ……あ、そうでした。はい、今日から私、Sランクですよ!」


 つまりロモンちゃんもSランクの魔物を所持している超一流の魔物使いってことになるわね!



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