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280話 三回目の進化でございます! 3

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【どうでしょうか、見た目の方は】
「んー、そうだねぇ……正直自分で見たほうが早いかも」
「そうですか」


 それならば小石視点を生かして自分の姿を観察するのみ。私は自分の身体をぐるりと観察してみた。今までのように身体が磨いた鉄や銀のような色で、それに緑が濃い目の青緑の線や模様や装飾がついてるのは変わらない。
 ただ……今までは腕から手が離れていたけれど今度は肘も離れてる。つまり、腕の空中浮遊している部位が四つに増えたってことね。もちろん断面は手と同じで青緑色に発光してる。これはこの肘も自由に動かせることを期待していいんじゃないかしら。
 あと今まで手の甲にだけついていた半球体が肩の上と膝小僧にもついたわね。主にそれらと、前にもあった胸のハートマークを中心に青緑色に光るラインが走ってる。あ、でもハートマークが今回は丸みを帯びて出っ張ってるわね。何かが中に入っていそうな感じがする。
 そして顔は丸い目に逆三角形の口。前と比較して目にもラインが走るようになったくらいかしらね、変わったのは。頭についてたエネルギーの塊でできた天使の輪っかみたいなものは、前より頭との比率的に少し大きくなり、四方にトゲがついてる。
 次に背中部分。前面同様に私好みのかっこいい感じにラインが走っている。そして背中に新しく楕円形の突起が増えてる。前まで羽のような模様があった場所ね。なんとなくだけど、今度はここから羽根が生えてくるような気がするわ。デザイン的に改良されてるのかしら。
 それで、何より一番大きな変化は背中から離れたところでなにか輪っかがあること。手、肘とおなじように浮遊してる。……素材やデザインは私の身体と同じ感じで大きさは背中ほど。頂点は頭の上の輪っかとおなじ位置ね。しかしまあ、これはなんの部位かしら。見た目は良いとして、カッコつけるだけの装飾品なら邪魔なんだけどなぁ……。
 ともかく全体的にかっこいい感じになってるわ。頭のボウルをひっくり返したような丸さと胸のハートマークで無理やり女性らしさを出してる感は否めないけどね、かっこいい方が私は好きよ。なかなか強そうになったと思う。Sランクに相応しいと言えるでしょう。


【前よりカッコいいデザインになったと思います。この後ろのが邪魔で動きにくそうですが、基本的に不満はありませんね】
「そっか、よかった! じゃあステータス先に見る?」
【いえ、先に幼体化してみてもいいでしょうか】
「うん、いいよ!」


 というわけで私は今まで慣れ親しんできた1回目の進化の形態に幼体化した。つまり私の2段階目ね。天使の輪っかに四つのトゲがついたままで、羽のマークが楕円形の突起に変わっているけれど、あとはほとんど今まで通り。背中の変な浮遊物もなくてスッキリしてるわ。やっぱり基本的に今後もこの姿を多用しそう。3段階目の形態は1回目のをただ単に巨大化させただけみたいね。そんなに変わらない。
 一番可愛がられる一番最初の形態にもなってみたけれど、他二つと共通したもの以外特に大きな変化はなかった。
 さて、ゴーレムの姿は大体把握した。たしかに結構変化はあったけれど雰囲気は今まで通りで悪くなかったわ。となると次に見るのは必然的に人間形態よね。
 人間形態も実は魔物の進化が影響する。だいたいは魔物としての名残りの部位が進化形態に準じたものになって、身体自体も成長するといったように。正確に言えば成長段階が増える。
 今まで私は、十歳、十四歳、十八歳程度の姿があったけど次は二十二歳の姿が増えるかもしれない。……十八歳と二十二歳ってそんなに差があるかしらね? 身長が伸びたり胸が大きくなったりするのかな。


【あの、今度は人間としての姿で……】
「いいよいいよ、見る順番はアイリスちゃん自身で決めてね。でも人間の姿はアイリスちゃん一番気になるんじゃない?」
「そうだよね、もう彼氏だっているんだから!」


 というわけで今度は人間の姿になった。ひとまずは十歳の一番幼い姿。そして早速変化を一つ見つけた。天使の輪っかに四つのトゲがついてるの。……まあ、このくらいなら別に問題ないわ。輪っか自体消そうと思えば消せるし。最近あまり消してないけど。
 あと確認しなきゃいけないのは胸のハートマークと背中の羽マークと成長段階ね。


「すいません、胸と背中の痣を確認するので別室に移動しますね」
「いってらっしゃい」


 私は別室へ行き真っ裸になった。下半身に変化はなし。相変わらずお臍の中と爪が青緑色だけど。
 上半身は……ああ、ハート形の痣がすこし大きくなって二重になってるわ。ふむ……いつかこれを来るべき時にガーベラさんに見せなきゃいけないと思うと恥ずかしいけど、刺青だと考えれば割り切れるわね。
 背中の羽の痣は特になにも変わらなかった。ゴーレムの方は一貫して楕円形の突起になってたのに。不思議に思ってゴーレムに戻り背中の突起を確認してみると、楕円形の中にガラス細工のように羽根が埋め込まれているのがわかった。多分これね。……楕円形の刺青が背中に二つ並んでるなんてわけわかんないから、これは助かったわ。
 次に人間に戻って十八歳の姿へ。そこから次の姿へ進もうとした。私はいつものように光に包まれる。そして全身を見渡してみたけれど……体に変化が全くなかった。身長が伸びたわけでもなく、胸も大きくなっていない。結構自信のあったスタイルも変わってない。まず年齢すら変わっていないよう。でも、なぜか髪の毛が伸びていたの。
 今までの私の髪型は前髪をぱっつん、顎下より数センチだけ長い程度の髪の毛の先もぱっつん。なのだけれど今は前髪以外が腰あたりまで伸びている。まあ先端はあいかわらずぱっつんなのだけど。
 いろいろ試してわかったのは、どうやら全年齢形態で髪をショートかロングに切り替えられるようになったらしいということ。私はショートが動きやすいから好きだけど、気分転換に髪を長くして三つ編みにしたりしてみるのもわるくないかも。
 というわけで次の形態はなかったけれど、髪型を変更できるようになったわ。それだけだけど悪くはない。むしろ変に成長しなくてよかった。
 ガーベラさんはなんて言うかしらね、やっぱり男の人だしお母さん並みに胸が大きい方が良かったかな? 今も割とある方だとは思うんだけど。……いや、やっぱりガーベラさん以外の目線が嫌だしこれで完璧ね。髪型に関しては見せて感想を聞きたい。
 私は服をきてわざと髪型をロングにし、みんなの元に戻った。


「ただいま戻りました」
「お、おおお! アイリスちゃんの髪の長さが私のと同じくらいになってる!」
「ほ、ほんとだ。ぼくと同じくらいじゃなくなってる……!」
「もちろん今までの髪型にもすぐに戻れますよ。どの年齢の姿になっても髪を伸ばせるみたいです。身体の成長はなかったので、この髪型の変更が進化の特典かと」
「そうなんだ、じゃあほとんど今までのアイリスちゃんもかわらないんだね」
「そうなりますね。成長は止まったとみていいかもしれません」
「今度からはアイリスちゃんの髪型で遊べるね!」
「ねー! どこかの国で流行ってるって言う巻き髪ヘアーとかやってみようよ」
「遊ばないでください……」


 似合うのならいいんだけど。……むしろ、いろんな髪型に合わせた服とか買ってもいいかもしれない。ちょっと楽しみ。
 

【じゃあそろそろオイラとアイリスのステータスを見るんだゾ、ロモン。戦力の把握は大事なんだゾ】
「おっと、そうだね! じゃあケルから見ようか」


 ロモンちゃん、あとお母さんとおじいさんはケル君のステータスを見始めた。さて、頭が二つに増えたことによってどのくらい強くなってるのかしら。


#####

すいません、日にち間違えてますよね。……前回に続き1日遅れです。申し訳ありません。いっそのこと投稿日時を変えようかしら……。
次の投稿はできたら4月1日、遅くても4月2日です!
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