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272話 アンデットのダンジョンでございます! 3
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アンデットナイトは体を大きくのけぞらせた。倒れそうなところで踏ん張っている。でもむしろ倒れてしまった方がケル君の攻撃に被弾する確率は低くなるわけで、バランスを取ろうとしているアンデットナイトに向かって次の光属最上級魔法が放たれた。形作られた光弾はアンデットナイトの両脚に被弾した。
「お、転んだ!」
「うまいねー! さすがケル!」
今度はケル君、水属性最上級のリスバシャラムを唱えてアンデットナイトの下半身を中心に攻めた。十分に水浸しにしてからリスヒョウラムで氷漬けに。これは私がよくやる戦法ね。アンデットナイトは頭から胸部あたりまでを除いて全てがカチコチに凍ってしまった。
【さてと、何発耐えられるか見ものだゾ……!】
「ダンジョンのボスってことと亜種以上ってことを踏まえたら、たぶんあとリスシャイラム六発くらいだと思うよ」
【そ、そうなのかゾ】
おそらく小説を読んでてそういう悪役のセリフでも覚えたのでしょう。カッコつけて言ったはいいけど見事にロモンちゃんが答えを出してしまった。魔人融体を使ってる時以外で久しぶりにロモンちゃんが喫水の魔物使いだってことを認識したわ。
ケル君は丁寧に六発の魔法を打ち込んだ。探知からAランクの魔物の反応が消える。
【よし、勝ったゾ】
「すごいっ! 圧倒的だね!」
「SランクとAランクの魔物が戦ってるんじゃないかってくらいだったよ」
【ゾッゾッゾ!】
氷魔法を解除したケル君は幼体化しながら得意げな顔している。とっても可愛い。思わず頭から顎にかけて撫で回してしまった。
……さて、お宝漁りタイムといきましょうか。
「何から回収しようか」
「まずは斧からですね。……んー、これと言って特別そうな装飾ではないのですが」
「でもこれすごく大きよね。アイリスちゃんの身長と同じくらいはあるんじゃない?」
「まともに戦ってたらかなり強敵だっただろうね」
そうね、普通に剣と盾を持ってちゃんとした方法で挑んでたら大怪我していたような気がするわ。あっさり決着がついたから実感できなかったけど、自身にとって弱点である光属性に補正がかかってる一発の魔法の威力がかなり高いケル君の攻撃を直に食らっもこのアンデットナイトは何発か耐えたんだから相当耐久力もあるわよね。他の属性の魔法なら倍はかかってたかも。
とりあえずロモンちゃんのスペーカウの袋に斧はしまわれた。
「鎧……どうする? いる?」
「ケル君の攻撃をあれだけ受けても大丈夫だったんだしかなり丈夫なんだよ。高く売れそうだよ」
「でもこれ中身いるんだよね」
中には人の死体が入ってる。ダンジョン産だから本物ではないとはいえ、私もロモンちゃんもリンネちゃんも正直言って触れたくない。だからこそこのダンジョンに入った時から魔法しか使ってないわけだし。
【ふっ……仕方ないゾ。レディーである三人の手を煩わせる必要もない。オイラ……いや、この私めにお任せを……なんだゾ】
「普通に喋ろうよ。でもありがと!」
「ケルが紳士っぽく私っていうと違和感あるね」
【……ゾ!? オイラはカッコいい紳士だゾ!?】
「カワイイの間違いだよ」
ケル君は少ししょんぼりしながら、魔流創気を人間の手のような形ちして鎧をアンデットナイトだったものから剥ぎ取り始めた。流石のケル君も直に触るのは嫌みたい。
脱がし終わったあとに残った本体は普通のアンデットだった。
【ダンジョンの魔物だから腐臭がそこまで酷くないのが救いなんだゾ】
「とりあえず鎧一式は私の袋に入れておくね」
【それを売ったお金でお肉を極上のお肉をたっぷり食べたいゾ】
「倒したのはケル君ですしね、そうしましょうか」
【……ゾ? ところでこいつもスペーカウの袋を持ってるゾ?】
ケル君の言った通り、たしかにこのアンデットはズボンから袋を下げていた。何か入っていたりするのかしら。ケル君はそのま気を操ってその袋を外し、袋の口を逆さまに向けて中身を地面にあけた。出てきたのは指輪だった。
「あ、これ私見たことあるよ!」
そう言ったロモンちゃんの顔は輝いていた。察するにたぶんアーティファクトのようね。見たことあるってことはよく出てくるタイプのものかしら。
「そういえばぼくも見たことあるな。確か村の誰かの家に遊びに言った時、本棚にアーティファクト図鑑が置いてあっで……それに書いてあったんじゃなかったっけ」
「そう、それだよ! 確か効果は……魔法で消費する魔力を半分にして、回復する速さを二倍にする…だったかな」
なるほど、それは単純だけど強いわね。そして単純だからこそ図鑑に載るくらいたくさん排出されてるってわけね。今これをつけるべき人物は決まってると思う。いや、人じゃないけど。
「ケル君にぴったりですよね」
「そうだね。お姉ちゃんは剣士だし私は魔物使いだし、アイリスちゃんは魔力があっという間に回復しちゃうから、一番いいのはケルだよね」
「異議なし!」
【でもオイラこれどうやってつけるのかゾ?】
「コンパクトにした鎧をいつもぶら下げてる首輪に通したら如何ですか?」
【じゃあそうするゾ】
ケル君はさっそく普段つけてる首輪に指輪を通した。ちょっと違和感がある。
「うーん、装備したことにはなっただろうけど、似合わないなぁ」
「街に戻ったらお店でケル君に合うように作り直してもらおう?」
「そうだね、それがいい」
物一つでケル君がさらに強くなってしまった。これでもし次進化するなんてことになったらどれほどになるんだろう。
【ゾッゾッゾ、もらっちゃって悪いんだゾ】
「いいんだよー」
【でもアイリスが戦闘用のアーティファクト一つ持たないままなんだゾ、いいのかゾ?】
「全くもって構いませんよ」
これでロモンちゃんは一つ、ケル君とリンネちゃんが二つ、アーティファクトを所持していることになるけど、私に合うものがなかなか見つからないから別に気にしていない。
「じゃあそろそろ下に戻ろうか」
「アイリスちゃん、お願いね」
「はい」
私たちはまた空を飛んでゆっくりとこの天井にある隠し部屋から元のダンジョンへと戻った。足元に待ち構えていたかのように大量のアンデットが再出現していたけれど、それはケル君が私たちより少し先に降りて蹴散らしてしまった。
「待ち構えてるなんて意地悪いね」
「ダンジョンだしそんなものだよ」
「ところでどうします? まだ代わり番こできてませんが、区切りが良いので今日はもう帰りますか?」
「あー、じゃあそうしよっか! お腹空いちゃった」
「次の番は明日からまたやればいいね」
ただちょっとアンデットを見るのが嫌になったから帰ろうって提案してみたんだけど、乗ってくれたわね。安全そうな場所に転移魔法陣を置いてから私たちは街へ戻った。ガーベラさんは戻ってきてるのかしら……いや、あの人は単独行動だし夜遅くまで頑張ってそうね。
「先にご飯にしようと思ったけど、おふろ入ろうよおふろ! 直接触ったわけじゃないけどアンデットたくさん倒したんだし」
「そだね。ぼくもお風呂入りたいよ」
「ではそうしましょうか。ケル君も一緒に入りますか?」
【そうするゾ】
いくら本来のアンデットより腐臭が少ないと言っても、するものはする。だからこそロモンちゃんの提案には全員乗ったの。特に私はいつも通りこのあとギルドに行くつもりだから念入りに身体を洗った。……もしかしたらガーベラさんも戻ってるかもしれないのに、私から腐臭したら引かれちゃいそうだし。でも彼はそんなこと気にしないかな?
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次の投稿は2/4です!
Levelmaker2巻の発売と発売日(4/10)が決まりましたよッ!!
「お、転んだ!」
「うまいねー! さすがケル!」
今度はケル君、水属性最上級のリスバシャラムを唱えてアンデットナイトの下半身を中心に攻めた。十分に水浸しにしてからリスヒョウラムで氷漬けに。これは私がよくやる戦法ね。アンデットナイトは頭から胸部あたりまでを除いて全てがカチコチに凍ってしまった。
【さてと、何発耐えられるか見ものだゾ……!】
「ダンジョンのボスってことと亜種以上ってことを踏まえたら、たぶんあとリスシャイラム六発くらいだと思うよ」
【そ、そうなのかゾ】
おそらく小説を読んでてそういう悪役のセリフでも覚えたのでしょう。カッコつけて言ったはいいけど見事にロモンちゃんが答えを出してしまった。魔人融体を使ってる時以外で久しぶりにロモンちゃんが喫水の魔物使いだってことを認識したわ。
ケル君は丁寧に六発の魔法を打ち込んだ。探知からAランクの魔物の反応が消える。
【よし、勝ったゾ】
「すごいっ! 圧倒的だね!」
「SランクとAランクの魔物が戦ってるんじゃないかってくらいだったよ」
【ゾッゾッゾ!】
氷魔法を解除したケル君は幼体化しながら得意げな顔している。とっても可愛い。思わず頭から顎にかけて撫で回してしまった。
……さて、お宝漁りタイムといきましょうか。
「何から回収しようか」
「まずは斧からですね。……んー、これと言って特別そうな装飾ではないのですが」
「でもこれすごく大きよね。アイリスちゃんの身長と同じくらいはあるんじゃない?」
「まともに戦ってたらかなり強敵だっただろうね」
そうね、普通に剣と盾を持ってちゃんとした方法で挑んでたら大怪我していたような気がするわ。あっさり決着がついたから実感できなかったけど、自身にとって弱点である光属性に補正がかかってる一発の魔法の威力がかなり高いケル君の攻撃を直に食らっもこのアンデットナイトは何発か耐えたんだから相当耐久力もあるわよね。他の属性の魔法なら倍はかかってたかも。
とりあえずロモンちゃんのスペーカウの袋に斧はしまわれた。
「鎧……どうする? いる?」
「ケル君の攻撃をあれだけ受けても大丈夫だったんだしかなり丈夫なんだよ。高く売れそうだよ」
「でもこれ中身いるんだよね」
中には人の死体が入ってる。ダンジョン産だから本物ではないとはいえ、私もロモンちゃんもリンネちゃんも正直言って触れたくない。だからこそこのダンジョンに入った時から魔法しか使ってないわけだし。
【ふっ……仕方ないゾ。レディーである三人の手を煩わせる必要もない。オイラ……いや、この私めにお任せを……なんだゾ】
「普通に喋ろうよ。でもありがと!」
「ケルが紳士っぽく私っていうと違和感あるね」
【……ゾ!? オイラはカッコいい紳士だゾ!?】
「カワイイの間違いだよ」
ケル君は少ししょんぼりしながら、魔流創気を人間の手のような形ちして鎧をアンデットナイトだったものから剥ぎ取り始めた。流石のケル君も直に触るのは嫌みたい。
脱がし終わったあとに残った本体は普通のアンデットだった。
【ダンジョンの魔物だから腐臭がそこまで酷くないのが救いなんだゾ】
「とりあえず鎧一式は私の袋に入れておくね」
【それを売ったお金でお肉を極上のお肉をたっぷり食べたいゾ】
「倒したのはケル君ですしね、そうしましょうか」
【……ゾ? ところでこいつもスペーカウの袋を持ってるゾ?】
ケル君の言った通り、たしかにこのアンデットはズボンから袋を下げていた。何か入っていたりするのかしら。ケル君はそのま気を操ってその袋を外し、袋の口を逆さまに向けて中身を地面にあけた。出てきたのは指輪だった。
「あ、これ私見たことあるよ!」
そう言ったロモンちゃんの顔は輝いていた。察するにたぶんアーティファクトのようね。見たことあるってことはよく出てくるタイプのものかしら。
「そういえばぼくも見たことあるな。確か村の誰かの家に遊びに言った時、本棚にアーティファクト図鑑が置いてあっで……それに書いてあったんじゃなかったっけ」
「そう、それだよ! 確か効果は……魔法で消費する魔力を半分にして、回復する速さを二倍にする…だったかな」
なるほど、それは単純だけど強いわね。そして単純だからこそ図鑑に載るくらいたくさん排出されてるってわけね。今これをつけるべき人物は決まってると思う。いや、人じゃないけど。
「ケル君にぴったりですよね」
「そうだね。お姉ちゃんは剣士だし私は魔物使いだし、アイリスちゃんは魔力があっという間に回復しちゃうから、一番いいのはケルだよね」
「異議なし!」
【でもオイラこれどうやってつけるのかゾ?】
「コンパクトにした鎧をいつもぶら下げてる首輪に通したら如何ですか?」
【じゃあそうするゾ】
ケル君はさっそく普段つけてる首輪に指輪を通した。ちょっと違和感がある。
「うーん、装備したことにはなっただろうけど、似合わないなぁ」
「街に戻ったらお店でケル君に合うように作り直してもらおう?」
「そうだね、それがいい」
物一つでケル君がさらに強くなってしまった。これでもし次進化するなんてことになったらどれほどになるんだろう。
【ゾッゾッゾ、もらっちゃって悪いんだゾ】
「いいんだよー」
【でもアイリスが戦闘用のアーティファクト一つ持たないままなんだゾ、いいのかゾ?】
「全くもって構いませんよ」
これでロモンちゃんは一つ、ケル君とリンネちゃんが二つ、アーティファクトを所持していることになるけど、私に合うものがなかなか見つからないから別に気にしていない。
「じゃあそろそろ下に戻ろうか」
「アイリスちゃん、お願いね」
「はい」
私たちはまた空を飛んでゆっくりとこの天井にある隠し部屋から元のダンジョンへと戻った。足元に待ち構えていたかのように大量のアンデットが再出現していたけれど、それはケル君が私たちより少し先に降りて蹴散らしてしまった。
「待ち構えてるなんて意地悪いね」
「ダンジョンだしそんなものだよ」
「ところでどうします? まだ代わり番こできてませんが、区切りが良いので今日はもう帰りますか?」
「あー、じゃあそうしよっか! お腹空いちゃった」
「次の番は明日からまたやればいいね」
ただちょっとアンデットを見るのが嫌になったから帰ろうって提案してみたんだけど、乗ってくれたわね。安全そうな場所に転移魔法陣を置いてから私たちは街へ戻った。ガーベラさんは戻ってきてるのかしら……いや、あの人は単独行動だし夜遅くまで頑張ってそうね。
「先にご飯にしようと思ったけど、おふろ入ろうよおふろ! 直接触ったわけじゃないけどアンデットたくさん倒したんだし」
「そだね。ぼくもお風呂入りたいよ」
「ではそうしましょうか。ケル君も一緒に入りますか?」
【そうするゾ】
いくら本来のアンデットより腐臭が少ないと言っても、するものはする。だからこそロモンちゃんの提案には全員乗ったの。特に私はいつも通りこのあとギルドに行くつもりだから念入りに身体を洗った。……もしかしたらガーベラさんも戻ってるかもしれないのに、私から腐臭したら引かれちゃいそうだし。でも彼はそんなこと気にしないかな?
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