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270話 アンデットのダンジョンでございます!
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【リスシャイラム!】
目の前に現れたアンデットをケル君が魔法で蹴散らした。アンデット系の魔物は光属性の魔法が大の苦手で、喰らわせることによって浄化されたように溶けていく。もっとも光魔法は普通の人間には覚えられないからアンデットという魔物の分類はそこそこ強いっていうのが一般常識。
アンデットの魔物の出現条件は正式な手順で葬式を行なわれず、なおかつ埋葬されなかった死体の一部から出現する。だから一人の人間の遺体から複数匹出てくるってこともある。ただ貧困地域ですらアンデット化を恐れてお葬式と埋葬だけはかならずきちんと行うため、アンデット自体かなり珍しい。あとは今みたいにダンジョンから出てくるくらい。
ちなみに、仲魔にもすることはできるけど基本的にそんな物好きはいない。人の死体を配下として扱うのってもう魔物使いかどうかすら怪しいわよね。
「んー、ここはアンデットのダンジョンなのかな」
「おそらくそうなのでしょうね」
「ぼく、一旦帰りたいな。この服装は間違ってたよ」
「そうかもしれませんね。汚れてもいい服を買いに街に戻りましょうか」
幸いにおいはケル君でやっと臭いなと感じる程度だから気にしなくていいのだけれど、アンデットを倒した際に噴出される腐った元内臓や血などは不潔。服についたら気分がブルーになる。特にリンネちゃんはおへそが出てる練習着のままきちゃったから気にしてるのね。
ケル君以外みんな賛成したので、転移魔法陣を用いて街に帰り、汚れてもいい服をケル君の分まで買って再びダンジョンに挑戦することにした。
その中断した地点から数十秒歩いた頃、最初のと同じアンデットが5体現れる。
【あれもオイラがやるゾ】
「Dランクはなかなか練習になりませんし、あんまり剣などでの物理攻撃はアンデットには控えたいので、いいですよ」
【じゃあやるゾ。リスシャイラム!】
またたった一発で5体のアンデットが消し飛んだ。最上級の魔法をそんなペースで放って大丈夫なものかと心配になるけど、ケル君は想像以上に魔力量が膨大だからきにしなくていいのかしら。
【……うー、物足りないゾ……】
「そうですね、ケル君は私と同じBランクの魔物ですが、もうAランク以上じゃないと練習にすらならないかもしれませんね」
【ってことはオイラまた進化近い?】
「かもしれないね、ケル!」
明らかに早すぎるけどね。そう言う私もしばらく進化してなかったから、Sランクの魔物をあと一匹くらい倒せたら進化できるかもしれない。順当に行けばAランクになって今の上位互換のような見た目と能力になるはずだけど……私はただのゴーレムじゃないし、前回同様に飛び級だってありえるわね。そしたらもっとみんなの力になれると思うのだけれど。
【とりあえずどんどん進んでいくんだゾ、せめてCランクが出てくれないとお話にならないんだゾ】
「そうですね」
私たち女子よりは比較的アンデットの不潔さを気にしないケル君が先陣を切って進む。ただ、その後も現れるのはDランクの魔物ばかりで数が増えるだけだった。最上級魔法は範囲も広いのでケル君は一撃か二撃で全滅させてしまう。私たちは一切の介入をしていない。
十五匹のアンデットの群れを消しとばした時、ケル君は私の方を振り向いた。
【アイリス、そろそろオイラMPの温存をしようと思うんだゾ。Cランクのアンデットが現れるまで交代して欲しいんだゾ】
「いいですよ、わかりました」
「じゃあ幼体化してよ、ケル。私がおぶっていってあげる。その間、お昼寝すればMPの回復も早いでしょ?」
【そだゾ。お言葉に甘えるんだゾ】
と言うわけで今度は私が先頭を進むことに。ケル君はロモンちゃんに背負われてすぐにぐっすり眠ってしまった。スタートから現在まで数十体のアンデットを倒してきたケル君。……これだけ頑張ってるけど、アンデットの出現頻度が高すぎて実はあんまり歩を進められていなかったりする。
「ねぇ、もしかしてこのダンジョン、光属性の広範囲魔法覚えてないととんでもない難易度の高さなんじゃないかな……」
「やっぱりそう思いますか? 火属性の広範囲魔法でも良いとは思いますが、ともかく一気に攻撃できるような特技を習得してないと相当厳しいですよね」
「アイリスちゃん! またアンデットが現れたよ!」
前方に腐ったゾンビみたいな人型の魔物が十匹以上いる。正直あんまり直視はしたくない。さっさとケル君と同じようにリスシャイラムで倒してしまった。……うーん、アンデットを倒しても元は人なわけだから素材は売れないし、そもそも光魔法で全部消し飛ぶのよね。お金面に関してはボスの部屋に行くまで赤字になりそうだわ。てんとう虫の時みたいにがっつり稼ぎたい。
そう考えながら歩いていると、また十匹以上の集団が現れる。ただその真ん中の一匹だけ他のアンデットと様子が違った。武器を持っている。ってことは……。
「あの真ん中にいるアンデットはCランクですね」
「じゃあケルおこす?」
「いえ、まだ5分も経っていません。もう少し休ませてあげましょう」
Cランクが一匹混じった程度でそんなに強さは変わらないと思うわ。リスシャイラムでさっさと倒してしまいましょう。
#####
いつもより短めです、申し訳ありません!
次の投稿は1/21です!
目の前に現れたアンデットをケル君が魔法で蹴散らした。アンデット系の魔物は光属性の魔法が大の苦手で、喰らわせることによって浄化されたように溶けていく。もっとも光魔法は普通の人間には覚えられないからアンデットという魔物の分類はそこそこ強いっていうのが一般常識。
アンデットの魔物の出現条件は正式な手順で葬式を行なわれず、なおかつ埋葬されなかった死体の一部から出現する。だから一人の人間の遺体から複数匹出てくるってこともある。ただ貧困地域ですらアンデット化を恐れてお葬式と埋葬だけはかならずきちんと行うため、アンデット自体かなり珍しい。あとは今みたいにダンジョンから出てくるくらい。
ちなみに、仲魔にもすることはできるけど基本的にそんな物好きはいない。人の死体を配下として扱うのってもう魔物使いかどうかすら怪しいわよね。
「んー、ここはアンデットのダンジョンなのかな」
「おそらくそうなのでしょうね」
「ぼく、一旦帰りたいな。この服装は間違ってたよ」
「そうかもしれませんね。汚れてもいい服を買いに街に戻りましょうか」
幸いにおいはケル君でやっと臭いなと感じる程度だから気にしなくていいのだけれど、アンデットを倒した際に噴出される腐った元内臓や血などは不潔。服についたら気分がブルーになる。特にリンネちゃんはおへそが出てる練習着のままきちゃったから気にしてるのね。
ケル君以外みんな賛成したので、転移魔法陣を用いて街に帰り、汚れてもいい服をケル君の分まで買って再びダンジョンに挑戦することにした。
その中断した地点から数十秒歩いた頃、最初のと同じアンデットが5体現れる。
【あれもオイラがやるゾ】
「Dランクはなかなか練習になりませんし、あんまり剣などでの物理攻撃はアンデットには控えたいので、いいですよ」
【じゃあやるゾ。リスシャイラム!】
またたった一発で5体のアンデットが消し飛んだ。最上級の魔法をそんなペースで放って大丈夫なものかと心配になるけど、ケル君は想像以上に魔力量が膨大だからきにしなくていいのかしら。
【……うー、物足りないゾ……】
「そうですね、ケル君は私と同じBランクの魔物ですが、もうAランク以上じゃないと練習にすらならないかもしれませんね」
【ってことはオイラまた進化近い?】
「かもしれないね、ケル!」
明らかに早すぎるけどね。そう言う私もしばらく進化してなかったから、Sランクの魔物をあと一匹くらい倒せたら進化できるかもしれない。順当に行けばAランクになって今の上位互換のような見た目と能力になるはずだけど……私はただのゴーレムじゃないし、前回同様に飛び級だってありえるわね。そしたらもっとみんなの力になれると思うのだけれど。
【とりあえずどんどん進んでいくんだゾ、せめてCランクが出てくれないとお話にならないんだゾ】
「そうですね」
私たち女子よりは比較的アンデットの不潔さを気にしないケル君が先陣を切って進む。ただ、その後も現れるのはDランクの魔物ばかりで数が増えるだけだった。最上級魔法は範囲も広いのでケル君は一撃か二撃で全滅させてしまう。私たちは一切の介入をしていない。
十五匹のアンデットの群れを消しとばした時、ケル君は私の方を振り向いた。
【アイリス、そろそろオイラMPの温存をしようと思うんだゾ。Cランクのアンデットが現れるまで交代して欲しいんだゾ】
「いいですよ、わかりました」
「じゃあ幼体化してよ、ケル。私がおぶっていってあげる。その間、お昼寝すればMPの回復も早いでしょ?」
【そだゾ。お言葉に甘えるんだゾ】
と言うわけで今度は私が先頭を進むことに。ケル君はロモンちゃんに背負われてすぐにぐっすり眠ってしまった。スタートから現在まで数十体のアンデットを倒してきたケル君。……これだけ頑張ってるけど、アンデットの出現頻度が高すぎて実はあんまり歩を進められていなかったりする。
「ねぇ、もしかしてこのダンジョン、光属性の広範囲魔法覚えてないととんでもない難易度の高さなんじゃないかな……」
「やっぱりそう思いますか? 火属性の広範囲魔法でも良いとは思いますが、ともかく一気に攻撃できるような特技を習得してないと相当厳しいですよね」
「アイリスちゃん! またアンデットが現れたよ!」
前方に腐ったゾンビみたいな人型の魔物が十匹以上いる。正直あんまり直視はしたくない。さっさとケル君と同じようにリスシャイラムで倒してしまった。……うーん、アンデットを倒しても元は人なわけだから素材は売れないし、そもそも光魔法で全部消し飛ぶのよね。お金面に関してはボスの部屋に行くまで赤字になりそうだわ。てんとう虫の時みたいにがっつり稼ぎたい。
そう考えながら歩いていると、また十匹以上の集団が現れる。ただその真ん中の一匹だけ他のアンデットと様子が違った。武器を持っている。ってことは……。
「あの真ん中にいるアンデットはCランクですね」
「じゃあケルおこす?」
「いえ、まだ5分も経っていません。もう少し休ませてあげましょう」
Cランクが一匹混じった程度でそんなに強さは変わらないと思うわ。リスシャイラムでさっさと倒してしまいましょう。
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