上 下
33 / 378

33話 出発の時でございます…

しおりを挟む

 ロモンちゃんとリンネちゃんが14歳になった3ヶ月後……。

 



「ハァッ! 『剛炎撃斬』っ!」
【アイリスちゃん、受け流して!】
【御意】


 私はロモンちゃんの指示通りに、リンネちゃんの、中級炎魔法と剣技を掛け合わせた特技による攻撃を受け流す。
 しかし、人間離したスピードで、すぐさまリンネちゃんは大勢を立て直し、私に向かって剣を振るう。
 また、私はそれを捌き、受け流す。


「まだまだっ! 『断裂鬼斬』!」
【『デフェルオ』! アイリスちゃん、耐えて!】
【はい】


 ロモンちゃんの魔法により、防御が強化された私の身体は、その断裂鬼斬を……耐えた。
 でも残念だけど、すこし傷がついてしまったみたいだね。
 
 
【ハーイ、5フン、タッタワヨ!】


 ガーナさんのその念話と共に、私達はその場にそっと座り込む。
 

「はぁ…はぁ…アイリスちゃん…硬すぎ……」
【いえいえ、リンネちゃんも、私に鉄の剣で傷をつけられるようになったじゃないですか!】
「えへへ……3ヶ月、ずぅっと鍛錬したもん! ね、ロモン」
「うん、お姉ちゃん! じゃあ次は私とアイリスちゃんで試合を……」


 今のはロモンちゃんが私を操り、リンネちゃんと闘うという特訓をしていた。
 次は私個人と、リンネちゃんが魔法を使って特訓をしようとしていたその時だ。


「おーい、3人とも馬車が来たぞー!」


 そう、ウォルクおじいさんの私達を呼ぶ声が聞こえた。


「うん、今いくよ!」
「はぁ……この村ともついにお別れか……」
【淋しかったりはしないのですか?】


 そう、今日は村を出て城下町へと向かう日だ。
 その直前まで私達は特訓をしていた。
 無論、3ヶ月の間、毎日、毎日、何十時間もだ。
 
 おかげでお父さんたちに教えてもらった魔法は全て習得できたどころか、上級にすることができた。
 私の拳、リンネちゃんの双剣、ロモンちゃんの棍技も各々で属性技や上級技を習得し、さらにはかなりの練度となった。

 今じゃ、リンネちゃんは岩石の塊を剣でほうれん草でも斬るかのように斬れるし、ロモンちゃんの魔法攻撃は、本職が魔法使いなのではないかと勘違いされないか心配なほどの威力となっている。
 私も無論、彼女達と同じように強くなっている。
 それに、ステータスが本当に酷いことになっている。
 ボーナスが積もりに積もり、ついに防御が900を超えてしまった。

 これが、今の私のステータスだ。
 因みに私は拳技を完全にメインとし、剣は使わなくなったため、剣技は豊富じゃない。


==============

アイリス (リトルリペアゴーレム)

Lv.13 〈極至種〉
Master: ロモン
Rank: D→

HP: 365/365
MP: 456/456
攻撃:381
魔力:372
防御:549
器用:398
素早:362

特技: [無限念話][挑発][大探索][魔流の気]
    [魔集爆][魔流極波][魔爆極砲]
    [魔流真斬][魔爆真斬][双斬月舞]
    [滝鏡一閃][断裂鬼斬][大蛇剣昇]
    [金剛正拳][七重連撃][韋駄疾拳]
    [金剛炎拳][金剛水拳][金剛風拳]
    [金剛土拳][金剛雷拳][金剛氷拳]

魔法: [リペアム][スペアラ]
    [リファイム][スファイラ]
    [リバシャム][スバシャラ]
    [リビューム][スビューラ]
    [リドゴドム][スドゴドラ]
    [リゴロゴム][スゴロゴラ]
    [エクスプロージョン]
    [リヒョウム][スヒョウラ]
    [オフェルオ][デフェルオ]
    [スフェルオ][ワフェルオ]
    [エフェルオ]

特殊:[極みに至る身体再生]
   [極みに至る知能]
   [極みに至る補助・回復の凌駕]
   [極みに至る自然治癒]

種族:[手腕完全操作]

個体:[小石視点][習得の叡知]
   [教授の凌駕][家事の達人]
   [料理の名人][拳を極めし者]

==============


 リ○○ム、ス○○ラは上級魔法。
 リ○○ムは範囲は狭いけど重い一撃の魔法。
 その属性のエネルギー弾のようなものが飛ばされる。
 ス○○ラは広範囲低威力の魔法。
 例えば氷属性なら、あたり一面が氷漬けになったりする。

 属性に関しては、『ファイ』が炎属性、『バシャ』が水属性、『ビュー』が風属性、『ドゴド』が土属性、『ゴロゴ』が雷属性、『ヒョウ』が氷属性となっている。

 エクスプロージョンは、『魔集爆』と『ファイ』『ビュー』の魔法を使い、新しい技ができないか試していたところ、出来た魔法だ。
 『魔集爆』よりも威力が低く、MPも多く使うこれど、遠距離に爆発を起こすことができる。 

 その他にも、特技を新しく2つ、属性付きも合わせたら8つ増えた。
 それにより[拳を極めし者]というユニーク特技を習得し、体術で攻撃した時、威力が上がるようになったらしい。
 因みに、拳なんて名前ついてるけど蹴りにも対応してるから、これら全部。

 おじいさん曰く、今の私ならば、Bランクの上の魔物にも、余裕で勝てる程度には強いとの事。
 ………まだDランクなんだけどね!

 リンネちゃん、ロモンちゃんのステータスは二人合わせたら私のステータスの1.3倍になるくらい。
 まだ、お母さんとお父さんには追いついてないみたいだけど、そのうち追いつくでしょう。
 勉学は、それぞれの専門家試験を合格できる程度には勉強した。
  
 それもこれも、全部、私の頭よくなるシリーズ3種と、彼女達の努力の賜物だ。


「おーーい! アイリスちゃん早く!」


 向こうからロモンちゃんの私を呼ぶ声が聞こえる。
 二人はどうやらすでに、馬車乗り場まで行ったようだ。


【はい! 今行きます!】


 私はそう返事をし、瞬時にトゥーンゴーレムになる。
 カラーリングはリトルリペアのままだけどね。
 これは、ロモンちゃんが習得した『仲魔幼体化』という特技。
 私のマスターであるロモンちゃんが使えるようになったことにより、ロモンちゃんが一度許可さえすれば、私は自由に進化前の姿に特技に表示されてなくても、戻れるんだ。
 無論、自分の意思で幼体化するとMPを少し取られるけどね。
 
 この特技は街を練り歩く時や、馬車に乗る時に役に立つ。なんせ小さくなるんだから。
 おかげで、ロモンちゃんが習得してからの2ヶ月は毎日、ロモンちゃんか、リンネちゃんのどちらかと添い寝をしたり、お風呂に入ったりできたの。
 本当は私程度の大きさだと幼体化する必要無いんだけど……まぁ、可愛いし。この方が。
 他人に受けがいいの。


 私は二人の元に、えっちらおっちらと歩いて向かった。
 既に、馬車停留所には、二人を見送りに来た村人でごった返している。
 村人全員いるんじゃないかな?


「元気でねー!」
「たまには帰ってこいよな!」
「……べっ、別に寂しくなんてないんだからね!」
「いんやぁ、梨、持ってけや」


 それぞれ皆んな、彼女らに思い思いに声を掛けている。
 そんな人混みを私はくぐり抜け、馬車のなかにはいる。


「3人とも、思い残す事とか、忘れ物とかないいんじゃろうな?」


 おじいさんは、馬車の外窓から顔をのぞかせ、私達に声をかける。
 そうか、おじいさんともこれでしばらくお別れか。
 

「大丈夫! ぼく達昨日、あんなに確認したじゃない」
「うんうん!」
【そうですね】


 どうやら、二人の覚悟は完璧に固まっているみたいだ。よかった。
 これから先、どんなことがあっても私達3人ならやっていける気がする。


「じゃ、そろそろでますぜ」


 馬車を操縦する御者さんが、私達の方をくるりと振り向きそう言った。


「「はい、お願いします!」」


 馬車はその声を合図に走り出した。
 二人の少女と一匹の(元)小石を乗せて。
 梨が名産の、少女達が産まれたこの村を後に。
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

生まれ変わり大魔法使いの自由気まま生活?いえ、生きる為には、働かなくてはいけません。

光子
ファンタジー
 昔むかしーーそう遠くない50年程前まで、この世界は魔王に襲われ、人類は滅亡の一手を辿っていた。  だが、そんな世界を救ったのが、大魔法使い《サクラ》だった。 彼女は、命をかけて魔王を封印し、世界を救った。  ーーーそれから50年後。 「……あ、思い出した」  すっかり平和になった世界。  その世界で、貧乏家庭で育った5人兄弟姉妹の真ん中《ヒナキ》は、財政難な家族を救う為、貴族様達金持ちが多く通う超一流学校に、就職に有利な魔法使いになる為に入学を決意!  女子生徒達の過度な嫌がらせや、王子様の意地悪で生意気な態度をスルーしつつ懸命に魔法の勉学に励んでいたら、ある日突然、前世の記憶が蘇った。  そう。私の前世は、大魔法使いサクラ。  もし生まれ変わったらなら、私が取り戻した平和を堪能するために、自由気ままな生活をしよう!そう決めていたのに、現実は、生きる為には、お金が必要。そう、働かなきゃならない!  それならせめて、学校生活を楽しみつつ、卒業したらホワイトな就職先を見付けようと決意を新たに、いつか自由気ままな生活を送れるようになるために、頑張る!  不定期更新していきます。  よろしくお願いします。

糞ゲーと言われた乙女ゲームの悪役令嬢(末席)に生まれ変わったようですが、私は断罪されずに済みました。

メカ喜楽直人
ファンタジー
物心ついた時にはヴァリは前世の記憶を持っていることに気が付いていた。国の名前や自身の家名がちょっとダジャレっぽいなとは思っていたものの特に記憶にあるでなし、中央貴族とは縁もなく、のんきに田舎暮らしを満喫していた。 だが、領地を襲った大嵐により背負った借金のカタとして、准男爵家の嫡男と婚約することになる。 ──その時、ようやく気が付いたのだ。自分が神絵師の無駄遣いとして有名なキング・オブ・糞ゲー(乙女ゲーム部門)の世界に生まれ変わっていたことを。 しかも私、ヒロインがもの凄い物好きだったら悪役令嬢になっちゃうんですけど?!

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

転生幼女具現化スキルでハードな異世界生活

高梨
ファンタジー
ストレス社会、労働社会、希薄な社会、それに揉まれ石化した心で唯一の親友を守って私は死んだ……のだけれども、死後に閻魔に下されたのは願ってもない異世界転生の判決だった。 黒髪ロングのアメジストの眼をもつ美少女転生して、 接客業後遺症の無表情と接客業の武器営業スマイルと、勝手に進んで行く周りにゲンナリしながら彼女は異世界でくらします。考えてるのに最終的にめんどくさくなって突拍子もないことをしでかして周りに振り回されると同じくらい周りを振り回します。  中性パッツン氷帝と黒の『ナンでも?』できる少女の恋愛ファンタジー。平穏は遙か彼方の代物……この物語をどうぞ見届けてくださいませ。  無表情中性おかっぱ王子?、純粋培養王女、オカマ、下働き大好き系国王、考え過ぎて首を落としたまま過ごす医者、女装メイド男の娘。 猫耳獣人なんでもござれ……。  ほの暗い恋愛ありファンタジーの始まります。 R15タグのように15に収まる範囲の描写がありますご注意ください。 そして『ほの暗いです』

【完結】異世界で急に前世の記憶が蘇った私、生贄みたいに嫁がされたんだけど!?

長船凪
ファンタジー
サーシャは意地悪な義理の姉に足をかけられて、ある日階段から転落した。 その衝撃で前世を思い出す。 社畜で過労死した日本人女性だった。 果穂は伯爵令嬢サーシャとして異世界転生していたが、こちらでもろくでもない人生だった。 父親と母親は家同士が決めた政略結婚で愛が無かった。 正妻の母が亡くなった途端に継母と義理の姉を家に招いた父親。 家族の虐待を受ける日々に嫌気がさして、サーシャは一度は修道院に逃げ出すも、見つかり、呪われた辺境伯の元に、生け贄のように嫁ぐはめになった。

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

目覚めれば異世界!ところ変われば!

秋吉美寿
ファンタジー
体育会系、武闘派女子高生の美羽は空手、柔道、弓道の有段者!女子からは頼られ男子たちからは男扱い!そんなたくましくもちょっぴり残念な彼女もじつはキラキラふわふわなお姫様に憧れる隠れ乙女だった。 ある日体調不良から歩道橋の階段を上から下までまっさかさま! 目覚めると自分はふわふわキラキラな憧れのお姫様…なにこれ!なんて素敵な夢かしら!と思っていたが何やらどうも夢ではないようで…。 公爵家の一人娘ルミアーナそれが目覚めた異なる世界でのもう一人の自分。 命を狙われてたり鬼将軍に恋をしたり、王太子に襲われそうになったり、この世界でもやっぱり大人しくなんてしてられそうにありません。 身体を鍛えて自分の身は自分で守ります!

処理中です...