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第47話 恐怖
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「きゃあっ!」
「リアナ様っ!」
イーシャが驚きの声をあげ、すかさずリアナを守るように前に立ちはだかった。鋭い視線を周囲へと向け、ナイフを投げた主を探す。
街には人が多く、誰が犯人なのか見つけ出せそうになかった。ざわざわと驚く人々の視線を浴びることになり、リアナは怖気づく。
「リアナ様、お怪我はありませんか」
その場に座り込んでしまったリアナの傍にしゃがみ、イーシャが問いかけた。リアナは恐怖に震えていたが、なんとか声を絞り出した。
「……髪の毛が、ちょっと切れただけ」
「すぐに馬車に戻りましょう。やはりあなたは間違いなくフレングス家の唯一の生き残りなのです。庶民の衣服を着て紛れ込んでいても、敵の目は誤魔化せないということです」
「ど、どういう……こと?」
リアナはわけがわからなかったが、イーシャの言う通りにするしかないと、急いで馬車へと戻った。イーシャがダルテに事情を話すと、すぐに馬車は出発した。
ナイフが飛んできた時に荷物は落としてしまったが、拾い上げて持ち帰ってきた。幸いなことに、壊れたものもなさそうだ。
リアナはバクバクと鳴り響いたまま静まらない鼓動を持て余しながら、イーシャに問いかけた。
「……イーシャ、私は命を狙われているの……?」
「それはまだわかりません。ですが、それしか考えられません。私も聞いた話なので詳しくはないのですが、フレングス家はある日突然、そこに暮らしているすべての人が惨殺されたのです。戦ではなかったそうです。城も焼かれ、何が起きたのか、はっきり知る者はおりません。そして何故か、リアナ様だけご無事だったのです」
「私はその日のことは何も覚えてないの。それ以前のことも、何も覚えてないの」
リアナは大きく息をついた。手の震えが止まらない。誰かがイタズラでナイフを投げただけかもしれない、偶然飛んできただけかもしれない、そんな風に思う反面で、わざと頬スレスレに投げられる腕を持った者の仕業かもしれないとも思った。
震える手を、イーシャが強く握ってくれた。安心させるようになのか、背中もさすってくれた。
何者かが馬車を追ってくるようなことはなかったようだ。道中何事もなく無事に城に到着し、リアナはようやく安心することができた。
ダルテともイーシャとも別れ、部屋のベッドに倒れ込む。これまで経験したことのない恐怖に打ちのめされていた。
「リアナ様っ!」
イーシャが驚きの声をあげ、すかさずリアナを守るように前に立ちはだかった。鋭い視線を周囲へと向け、ナイフを投げた主を探す。
街には人が多く、誰が犯人なのか見つけ出せそうになかった。ざわざわと驚く人々の視線を浴びることになり、リアナは怖気づく。
「リアナ様、お怪我はありませんか」
その場に座り込んでしまったリアナの傍にしゃがみ、イーシャが問いかけた。リアナは恐怖に震えていたが、なんとか声を絞り出した。
「……髪の毛が、ちょっと切れただけ」
「すぐに馬車に戻りましょう。やはりあなたは間違いなくフレングス家の唯一の生き残りなのです。庶民の衣服を着て紛れ込んでいても、敵の目は誤魔化せないということです」
「ど、どういう……こと?」
リアナはわけがわからなかったが、イーシャの言う通りにするしかないと、急いで馬車へと戻った。イーシャがダルテに事情を話すと、すぐに馬車は出発した。
ナイフが飛んできた時に荷物は落としてしまったが、拾い上げて持ち帰ってきた。幸いなことに、壊れたものもなさそうだ。
リアナはバクバクと鳴り響いたまま静まらない鼓動を持て余しながら、イーシャに問いかけた。
「……イーシャ、私は命を狙われているの……?」
「それはまだわかりません。ですが、それしか考えられません。私も聞いた話なので詳しくはないのですが、フレングス家はある日突然、そこに暮らしているすべての人が惨殺されたのです。戦ではなかったそうです。城も焼かれ、何が起きたのか、はっきり知る者はおりません。そして何故か、リアナ様だけご無事だったのです」
「私はその日のことは何も覚えてないの。それ以前のことも、何も覚えてないの」
リアナは大きく息をついた。手の震えが止まらない。誰かがイタズラでナイフを投げただけかもしれない、偶然飛んできただけかもしれない、そんな風に思う反面で、わざと頬スレスレに投げられる腕を持った者の仕業かもしれないとも思った。
震える手を、イーシャが強く握ってくれた。安心させるようになのか、背中もさすってくれた。
何者かが馬車を追ってくるようなことはなかったようだ。道中何事もなく無事に城に到着し、リアナはようやく安心することができた。
ダルテともイーシャとも別れ、部屋のベッドに倒れ込む。これまで経験したことのない恐怖に打ちのめされていた。
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