27 / 49
第26話 むりやり
しおりを挟む
書物庫にこもって本を読みふけっているうちに、相当時間が過ぎて行ったようだ。地下で窓がないので、また昼なのか夜なのかわからなくなってしまう。
ざっと見ただけでも何百冊もありそうなので、ここにあるすべての本を読破するのは難しそうだが、どうせ何もすることがなくて暇なのだから、知識を仕入れたほうが建設的だ。
おかげでこの世界のことが少しわかってきた。
文化やしきたりなど、まだまだ知らなくてはならないことは多いだろう。
ギイイと扉のきしむ音がして、驚いたリアナは慌てて振り返った。すると、険しい表情のデュレンと目が合った。
「ここで何をしている」
「勉強です」
「誰が入っていいと許可した」
「勝手に本を触ったことは謝ります。ごめんなさい。暇だったから勉強しようと思って」
「俺の妻になるなら、子を産み母となればいいだけだ。余計な知識も勉強も必要ない」
「必要とか必要じゃないとか、そういう問題じゃなくて、知りたいことがたくさんあるんです。それに、まだ妻になるとは言ってません」
デュレンと真っ向から対峙した。
殺気立った気配を感じるのは、デュレンが狩り人として獣と戦ってきた後だからなのだろうか。よく見ると手にもうっすらと傷がある。頬や髪にも土汚れがついている。
「青狼と戦ったんですか」
「惜しいところで逃げられた」
目標の敵はそうやすやすとは捕まってくれないようだ。
「来い」
ガシっと腕をつかまれ、引っ張られた。リアナはつんのめりそうになりながら、半ば引きずられるように小走りになる。書物庫から出て廊下を進んで行く。
「ちょっ……乱暴にしないで」
大股で歩くデュレンについて行くには、小走りになるしかなかった。歩幅すら合わせてくれない男の後頭部をにらみつけたが、腕を振り払う勇気はなかった。殺気を纏うデュレンが少し怖かったのだ。
行き先は浴場だった。脱衣所でようやく腕を離され、リアナは痛む箇所をそっとさする。
「どうしてこんなところに」
「脱げ」
「は?」
「これから俺は風呂に入る。おまえも入れ」
「はあ?」
いったいどういうことなのか。リアナは自分の耳を疑った。
「一緒になんて入りませんけど」
「脱がないならそのまま連れて行くぞ」
そう言いながらデュレンはどんどん服を脱いでいく。目のやり場に困ったリアナは、慌てて脱衣所から出て行こうとした。しかし再び腕をつかまれ、また強引に引っ張られた。
ざっと見ただけでも何百冊もありそうなので、ここにあるすべての本を読破するのは難しそうだが、どうせ何もすることがなくて暇なのだから、知識を仕入れたほうが建設的だ。
おかげでこの世界のことが少しわかってきた。
文化やしきたりなど、まだまだ知らなくてはならないことは多いだろう。
ギイイと扉のきしむ音がして、驚いたリアナは慌てて振り返った。すると、険しい表情のデュレンと目が合った。
「ここで何をしている」
「勉強です」
「誰が入っていいと許可した」
「勝手に本を触ったことは謝ります。ごめんなさい。暇だったから勉強しようと思って」
「俺の妻になるなら、子を産み母となればいいだけだ。余計な知識も勉強も必要ない」
「必要とか必要じゃないとか、そういう問題じゃなくて、知りたいことがたくさんあるんです。それに、まだ妻になるとは言ってません」
デュレンと真っ向から対峙した。
殺気立った気配を感じるのは、デュレンが狩り人として獣と戦ってきた後だからなのだろうか。よく見ると手にもうっすらと傷がある。頬や髪にも土汚れがついている。
「青狼と戦ったんですか」
「惜しいところで逃げられた」
目標の敵はそうやすやすとは捕まってくれないようだ。
「来い」
ガシっと腕をつかまれ、引っ張られた。リアナはつんのめりそうになりながら、半ば引きずられるように小走りになる。書物庫から出て廊下を進んで行く。
「ちょっ……乱暴にしないで」
大股で歩くデュレンについて行くには、小走りになるしかなかった。歩幅すら合わせてくれない男の後頭部をにらみつけたが、腕を振り払う勇気はなかった。殺気を纏うデュレンが少し怖かったのだ。
行き先は浴場だった。脱衣所でようやく腕を離され、リアナは痛む箇所をそっとさする。
「どうしてこんなところに」
「脱げ」
「は?」
「これから俺は風呂に入る。おまえも入れ」
「はあ?」
いったいどういうことなのか。リアナは自分の耳を疑った。
「一緒になんて入りませんけど」
「脱がないならそのまま連れて行くぞ」
そう言いながらデュレンはどんどん服を脱いでいく。目のやり場に困ったリアナは、慌てて脱衣所から出て行こうとした。しかし再び腕をつかまれ、また強引に引っ張られた。
0
お気に入りに追加
1,555
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜
茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。
☆他サイトにも投稿しています
悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
快楽漬けの日々を過ごすことになる!
そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!?
※この物語はフィクションです。
R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる