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晴天に歌う雀
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「ただいま」
自室へ帰ってきた姫は扉を丁寧に閉めると、辛抱ならない様子で鳥籠のそばへ駆け寄った。
「ふふふ。良い子にしていたのね。偉いわ」
姫が籠の隙間から指を伸ばすと、「チチッ チチッ」と雀は甘えてその指をつつく。焚かれた暖炉のおかげか部屋は過ごしやすい温度で、雀も元気が溢れているようだった。
「なあに、もう。寂しかったの? 待って。今、籠から出してあげるから」
姫は指先で雀を宥めると、「窓も扉も閉まっているし」と部屋を見回してから扉を開けた。
「さあ、おいで」
優しい誘いに雀は喜び勇んで籠を飛び出した。パタパタと姫の周りばかりを飛び回る。
「お前は相変わらず飛ぶのが下手ね」
言葉を理解しているのかいないのか、雀は姫の顔を覗き込むように何度も前を飛んで見せる。
「それが良いのよ。私のそばにずっと居てくれるのでしょう?」
口を押さえて笑うその手に雀は留まると、あざとく小首を傾げて見せる。その頭を撫でながら、姫は窓辺の椅子に腰かけた。曇った硝子の向こうに、雪のしんしんと降るのが薄く見える。
「今日はね、お箏のお稽古をしていたのよ。暮れのお母様のお誕生日に演奏するの。上手に弾けるようになったら、貴方にも聴かせてあげるわね」
そう言う姫の声色が少し落ちたのに気付いたのか、雀は「チチッ」と鳴いたきり静かに姫の視線の先を見る。
「お父様もお母様も、今は春宮にかかりきりなの。立派な皇子に育てなければならないのだもの、大変なことよ。だから私はお箏を頑張って、綺麗な音でお父様とお母様をお慰めしたいの」
姫は凪いだ目をして雀に話して聞かせる。穏やかに微笑みを湛えて感情を器用に隠す姫をじっと見つめ、そして雀は歌を歌った。出会った日に歌った短い旋律を、まるで姫に手を差し伸べるように――。
「え? 貴方も? ……うふふ。そうね、貴方のその素敵な歌声を私だけの物にするには惜しいわね」
姫がクスリと笑ったのに安心したのか、雀は「チチチッ」と小さく飛んで回った。
「ねえ、貴方は旋律を真似るのは出来るけれど、オルガンに合わせて歌うことも出来るの? 私、お箏ほど上手には弾けないけれど、一つ二つなら貴方の歌に伴奏出来るかもしれない」
姫は立ち上がると、鳥籠を持ってオルガンに向かった。雀は姫の手の上で先ほどの旋律を何度も繰り返している。
鳥籠をオルガンの隣に置くと、鍵盤の蓋を開けた。「チチチッ チチチッ」と落ち着きなく飛び回る雀をそっと捕まえて、鳥籠に入れる。
「ちょっと籠に入っていてね。流石の私も、貴方を手に乗せたままでは両手で弾けないわ」
少しの間、鳥籠の中をあちこち飛んでいた雀が止まり木に落ち着いたのを見届けてから、姫はオルガンに向きあう。息を静かに吐きながら、天井を見上げて思案に暮れる。
「外つ国の歌は知っていて? 私、あの歌が好きなの。ええと……」
姫は迷いながら鍵盤に指を置く。ポーン、と一つ和音を鳴らしてみて、「あ、違った」と指をずらす。
見わたせば 青やなぎ
花桜 こきまぜて ※
そうして姫が弾き語ったのは、外国の曲に、古今和歌集にある一首の歌を元に歌詞が付けられた一曲だった。『小学唱歌集』の中で、姫はこれを最も気に入っている。久しく弾いていなかったが、お気に入りの曲というだけあって、なんとなく指が覚えているらしい。
一番を弾き終えて姫が隣をチラリと見ると、雀は止まり木の上で体を揺らしながら「チチッ チチッ」と続きを催促した。
「貴方も気に入った? そうしたら、この歌を練習しましょう。きっと良いお誕生日のお祝いになるわ」
姫は微笑んで、しかし続きを弾くようすは見せない。鍵盤の蓋を下ろすと、鳥籠の扉に手を掛ける。
「でも、今日はおしまい。お箏も弾いていたから、手が疲れてしまったみたい。まだ時間はたくさんあるわ、急がなくても大丈夫」
雀を鳥籠から出すと、姫はその羽をゆっくりと二度撫でてから立ち上がった。
「少し寝転がって、お話でもしましょうよ」
姫の留守中に敷かれた布団にコロンと寝転がる。雀の乗る手が天井側になるように横を向き、それからそっとその手を布団に下ろす。雀は飛び回ることも手から下りることもせず、話をしようという姫に応えてか「チチチッ チチチチチッ」と鳴いていた。
「ふふふ。貴方が私の鏡なら、貴方も今、楽しいと思ってくれているのよね」
姫は枕に顔の幾らかを沈ませながら雀に言う。
「私ね、貴方が来てくれて本当に嬉しいのよ。もう……、一人で頑張らなくても良いから」
姫は人差し指に食い込む雀の足を、そこにあると確認するように親指でなぞった。
「本当はね、寂しさを感じてしまう時もあったわ。お父様もお母様も、私のことをとても大切にしてくださっていると知っているのに、それでももっとおそばにいたいって思ってしまうの。春宮を大事にしてと、私から身を引いているくせにね」
姫は自嘲して悲し気な目をする。
「私はね、お父様とお母様、そして春宮を一番近くでお支えする為に生まれてきたの。なんて贅沢なことかと思うわ。誰よりもおそばにいられるのだもの。私だけの特権なのよ。我が儘なんて言ったらバチが当たってしまう」
言いながら姫は眉間に皺を寄せ、責任感を逃がさないように言葉を紡いだ。しかしやがて、その言葉の重たい明るさに目を開けていることが出来なくなる。
「こんな誉れって他に無いわ。私だけの幸福。この尊い気持ちも、ほんの少しの寂しさも、全部私だけのもの。この胸に有り余る全て、私だけのものだったのよ」
そこまで言って、姫は二呼吸ほど置いてから目蓋をゆっくりと開けた。薄く潤んだ瞳に、小さな雀の姿を映す。
「だけど貴方が来た。貴方は私に寄り添って、私と同じものを見て、共に歌ってくれる。私と対等に在ってくれる。――貴方がいるから、私はきっとずっと頑張れるのね。寂しさも糧にして、もっと強くなりたいと思える。貴方といれば、私に課せられた務めを必ず果たすことが出来るって確信しているの」
雀を見つめるその瞳が麗しく、姫の周りだけ、まるで春の空のような色に染まったようだった。
「貴方が好きよ。大好き。貴方が私と同じ姿をして、同じ言葉を話せたらって思わないこともないけれど、私は今のままで十分に幸せだわ」
そして姫は雀を近くに寄せる。
「誰にも内緒よ。お父様にも、お母様にも、春宮にだって聞かれてはならないの。貴方だけに言うのよ。よく耳を澄ませて」
静かな部屋に、暖炉で火の爆ぜる音ばかりが時間の流れるのを知らせている。
「貴方が一番。世界で一番大切よ」
姫が雀に囁いた。一途に向けられた愛の音に、雀は思わず飛び上がる。
「チチチッ チチチチチッ チチッ」
浮かれて飛ぶせいで何度も布団の上に落ちながら、その身全体で喜びを現している。
「もう、はしゃがないでよ」
愛らしい雀に堪えきれず、姫は「うふふ。アハハハ……!」と大きく笑う。一人と一羽の重なる笑い声は、広い部屋に暫く響いていた。
――――――
※小学唱歌『見渡せば』より
自室へ帰ってきた姫は扉を丁寧に閉めると、辛抱ならない様子で鳥籠のそばへ駆け寄った。
「ふふふ。良い子にしていたのね。偉いわ」
姫が籠の隙間から指を伸ばすと、「チチッ チチッ」と雀は甘えてその指をつつく。焚かれた暖炉のおかげか部屋は過ごしやすい温度で、雀も元気が溢れているようだった。
「なあに、もう。寂しかったの? 待って。今、籠から出してあげるから」
姫は指先で雀を宥めると、「窓も扉も閉まっているし」と部屋を見回してから扉を開けた。
「さあ、おいで」
優しい誘いに雀は喜び勇んで籠を飛び出した。パタパタと姫の周りばかりを飛び回る。
「お前は相変わらず飛ぶのが下手ね」
言葉を理解しているのかいないのか、雀は姫の顔を覗き込むように何度も前を飛んで見せる。
「それが良いのよ。私のそばにずっと居てくれるのでしょう?」
口を押さえて笑うその手に雀は留まると、あざとく小首を傾げて見せる。その頭を撫でながら、姫は窓辺の椅子に腰かけた。曇った硝子の向こうに、雪のしんしんと降るのが薄く見える。
「今日はね、お箏のお稽古をしていたのよ。暮れのお母様のお誕生日に演奏するの。上手に弾けるようになったら、貴方にも聴かせてあげるわね」
そう言う姫の声色が少し落ちたのに気付いたのか、雀は「チチッ」と鳴いたきり静かに姫の視線の先を見る。
「お父様もお母様も、今は春宮にかかりきりなの。立派な皇子に育てなければならないのだもの、大変なことよ。だから私はお箏を頑張って、綺麗な音でお父様とお母様をお慰めしたいの」
姫は凪いだ目をして雀に話して聞かせる。穏やかに微笑みを湛えて感情を器用に隠す姫をじっと見つめ、そして雀は歌を歌った。出会った日に歌った短い旋律を、まるで姫に手を差し伸べるように――。
「え? 貴方も? ……うふふ。そうね、貴方のその素敵な歌声を私だけの物にするには惜しいわね」
姫がクスリと笑ったのに安心したのか、雀は「チチチッ」と小さく飛んで回った。
「ねえ、貴方は旋律を真似るのは出来るけれど、オルガンに合わせて歌うことも出来るの? 私、お箏ほど上手には弾けないけれど、一つ二つなら貴方の歌に伴奏出来るかもしれない」
姫は立ち上がると、鳥籠を持ってオルガンに向かった。雀は姫の手の上で先ほどの旋律を何度も繰り返している。
鳥籠をオルガンの隣に置くと、鍵盤の蓋を開けた。「チチチッ チチチッ」と落ち着きなく飛び回る雀をそっと捕まえて、鳥籠に入れる。
「ちょっと籠に入っていてね。流石の私も、貴方を手に乗せたままでは両手で弾けないわ」
少しの間、鳥籠の中をあちこち飛んでいた雀が止まり木に落ち着いたのを見届けてから、姫はオルガンに向きあう。息を静かに吐きながら、天井を見上げて思案に暮れる。
「外つ国の歌は知っていて? 私、あの歌が好きなの。ええと……」
姫は迷いながら鍵盤に指を置く。ポーン、と一つ和音を鳴らしてみて、「あ、違った」と指をずらす。
見わたせば 青やなぎ
花桜 こきまぜて ※
そうして姫が弾き語ったのは、外国の曲に、古今和歌集にある一首の歌を元に歌詞が付けられた一曲だった。『小学唱歌集』の中で、姫はこれを最も気に入っている。久しく弾いていなかったが、お気に入りの曲というだけあって、なんとなく指が覚えているらしい。
一番を弾き終えて姫が隣をチラリと見ると、雀は止まり木の上で体を揺らしながら「チチッ チチッ」と続きを催促した。
「貴方も気に入った? そうしたら、この歌を練習しましょう。きっと良いお誕生日のお祝いになるわ」
姫は微笑んで、しかし続きを弾くようすは見せない。鍵盤の蓋を下ろすと、鳥籠の扉に手を掛ける。
「でも、今日はおしまい。お箏も弾いていたから、手が疲れてしまったみたい。まだ時間はたくさんあるわ、急がなくても大丈夫」
雀を鳥籠から出すと、姫はその羽をゆっくりと二度撫でてから立ち上がった。
「少し寝転がって、お話でもしましょうよ」
姫の留守中に敷かれた布団にコロンと寝転がる。雀の乗る手が天井側になるように横を向き、それからそっとその手を布団に下ろす。雀は飛び回ることも手から下りることもせず、話をしようという姫に応えてか「チチチッ チチチチチッ」と鳴いていた。
「ふふふ。貴方が私の鏡なら、貴方も今、楽しいと思ってくれているのよね」
姫は枕に顔の幾らかを沈ませながら雀に言う。
「私ね、貴方が来てくれて本当に嬉しいのよ。もう……、一人で頑張らなくても良いから」
姫は人差し指に食い込む雀の足を、そこにあると確認するように親指でなぞった。
「本当はね、寂しさを感じてしまう時もあったわ。お父様もお母様も、私のことをとても大切にしてくださっていると知っているのに、それでももっとおそばにいたいって思ってしまうの。春宮を大事にしてと、私から身を引いているくせにね」
姫は自嘲して悲し気な目をする。
「私はね、お父様とお母様、そして春宮を一番近くでお支えする為に生まれてきたの。なんて贅沢なことかと思うわ。誰よりもおそばにいられるのだもの。私だけの特権なのよ。我が儘なんて言ったらバチが当たってしまう」
言いながら姫は眉間に皺を寄せ、責任感を逃がさないように言葉を紡いだ。しかしやがて、その言葉の重たい明るさに目を開けていることが出来なくなる。
「こんな誉れって他に無いわ。私だけの幸福。この尊い気持ちも、ほんの少しの寂しさも、全部私だけのもの。この胸に有り余る全て、私だけのものだったのよ」
そこまで言って、姫は二呼吸ほど置いてから目蓋をゆっくりと開けた。薄く潤んだ瞳に、小さな雀の姿を映す。
「だけど貴方が来た。貴方は私に寄り添って、私と同じものを見て、共に歌ってくれる。私と対等に在ってくれる。――貴方がいるから、私はきっとずっと頑張れるのね。寂しさも糧にして、もっと強くなりたいと思える。貴方といれば、私に課せられた務めを必ず果たすことが出来るって確信しているの」
雀を見つめるその瞳が麗しく、姫の周りだけ、まるで春の空のような色に染まったようだった。
「貴方が好きよ。大好き。貴方が私と同じ姿をして、同じ言葉を話せたらって思わないこともないけれど、私は今のままで十分に幸せだわ」
そして姫は雀を近くに寄せる。
「誰にも内緒よ。お父様にも、お母様にも、春宮にだって聞かれてはならないの。貴方だけに言うのよ。よく耳を澄ませて」
静かな部屋に、暖炉で火の爆ぜる音ばかりが時間の流れるのを知らせている。
「貴方が一番。世界で一番大切よ」
姫が雀に囁いた。一途に向けられた愛の音に、雀は思わず飛び上がる。
「チチチッ チチチチチッ チチッ」
浮かれて飛ぶせいで何度も布団の上に落ちながら、その身全体で喜びを現している。
「もう、はしゃがないでよ」
愛らしい雀に堪えきれず、姫は「うふふ。アハハハ……!」と大きく笑う。一人と一羽の重なる笑い声は、広い部屋に暫く響いていた。
――――――
※小学唱歌『見渡せば』より
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