BL学園の姫になってしまいました！

7. Morning！凪は黒騎士なオカン！

　朝、私が起きる頃には凪は弁当と朝ごはんを作っていた。

｢おはようございます｣

｢おはよう、顔洗ってこい｣

　お母さんみたいなことを言うなーと呑気に思いつつ、素直に了承し、顔を洗いに行く。
　顔を洗うと寝惚けて靄がかかっていたような感じが一掃され、スッキリとした。

　一旦部屋に戻り、制服に着替えて髪を一つに結ってからダイニングに行くと、既に朝ごはんがテーブルに並べられていた。

　つやつやご飯に味噌汁、ふわふわな卵焼き、カリッと焼かれた焼き鮭、ほうれん草のおひたしとザ･和食の献立。日本の朝食って感じだ。
　私達はいただきますと手を合わせてから食べ始める。

｢今日の1時間目何でしたっけ？｣

｢数学だ。宿題やったか？｣

｢勿論です｣

　ドヤ顔で返すが、凪はそうか。と無表情で言って、味噌汁を啜る。
　私はその反応にいつもの事だと思い、卵焼きに箸を伸ばした。



　早々に朝ごはんを食べ終われば、私は食器を洗い、凪は学校に行く準備を始める。
　食器を洗い終えて、冷蔵庫から昨日の夜ラッピングしたマカロンを潰れないように丁寧にカバンにしまい、少し準備して凪と合流する。

｢忘れ物はないか？｣

｢大丈夫だと思います｣

｢と言いつつ、弁当忘れてるぞ｣

｢あ、本当ですね。……よし、これで大丈夫です！｣

｢なら、行くぞ｣

　いってきます、と誰もいない部屋に声をかけて学校へ向かった。




　教室に入ると、私達の姿を見たクラスメイトたちに、おはようございます！と挨拶されたため、おはようございます。とにこやかに返して自分の席に着く。凪はおはよう。と返すもその表情は無である。

｢雪月、凪！おはよう！｣

　人目を気にせずに声をかけてきた桜城くん。
　下の名前で呼んでる…？なんであんな毬藻が姫と黒騎士様を？とクラスメイトの目線が鋭くなってしまった……でも、挨拶しないのは非礼ですから。

｢おはようございます、桜城くん｣

｢……おはよう｣

｢そういえば昨日聞いたんだけど、雪月と凪は姫と黒騎士って言われてるんだろ？何でだ？｣

　不思議そうに聞いていた桜城くんに、私は凪と互いに顔を見合わせてから答えた。

｢そうですね……日頃の行い、でしょうか？｣

｢日頃の行い？｣

｢ええ、私というより凪の行いでしょうけど｣

｢いや、お前にも原因はある｣

　私の言葉に凪はすぐに反論する。
　いまいちピンと来なかったのか、桜城くんは首を傾げた。

｢それってどういう……｣


　その時丁度始業のチャイムが鳴った。
　桜城くんは言葉を途中でやめて、渋々といったふうに席へと戻っていった。