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「ろ、ロックスさん?」
「脱ぐの手伝おうか?…前みたいに」
ロックスさんの手が今度は脇腹に触れてそのままその下にあるパンツに指を差し込まれ、そのまま下ろされる。
「ひゃ…ぁ…」
「相変わらず初心で可愛いな、もう散々互いの恥ずかしいところ見合った仲だろう?」
「こ、こんな明るいところで裸になるのはまた別です」
パンツを下ろして私の足から外そうとかがみ込んだロックスさんはそのまま腰のあたりに口付けをしてイタズラっぽく笑った。
「こうやって少しずつ慣れていこうな?」
そうして裸に剥かれた私はロックスさんに腕を引かれて浴室へと連れて行かれる。一部屋分はありそうな浴室に、到底ここが部屋に隣接した浴室とは思えない。こんなの入浴施設だ。
「ロックスさんって優しいのにたまに強引ですよね」
「そりゃ好きな女の子相手となりゃ多少頭もおかしくなる。」
体を隠しながらジロリと頭一つ半大きな彼を睨むとまた甘い言葉で返されてしまう。こう言えば私が何も言い返せないのだと熟知されているようで顔を背けた。
「そう拗ねないでくれ、全部君に話す。いくつか話してなかったことがあったからな」
自分が王族だということ以外にも話してないことがあるというのだろうか。ロックスさんは私を床に座った自らの膝の間に座らせると丁寧に濯ぐように髪をシャワーで洗った。
「夕飯は肉と魚、どちらがいい…?君の好きな方を持って来させよう」
「お、お魚でお願いします…」
「分かった、じゃあ風呂が終わったら頼んでおくな」
誰かに命じてご飯を作ってもらうのも、お店以外で体験するのは初めてだ。それを自然にやってしまうロックスさんはやっぱり貴族…それも最上位の王族なのだと感じてしまう。
「早速君に話してなかったことを色々と話すとしよう。先ほどの話通り…俺はこの蛇族の王家に第二王子として生まれた」
改めて彼の口からはっきりと言われるとどきりと胸が脈打った。色々と思い返すと…時折見える彼の気品溢れる動作や紳士的な態度は王族として幼い頃から教育を受けてきたゆえなのだろう。ロックスさんは手のひらでシャンプーを泡立てると優しく私の髪を洗い始めた。
「王位継承権は兄上の方が上だったし、特に兄上とも王位を争うことなく過ごしてきた。体質的には俺の方が蛇族としての血は濃いらしいがな…特に不満もなく俺自身幼い頃から兄上の王の剣になるため励んできたつもりだ。」
「子供の頃から…ですか?」
「あぁ、最初の頃は剣を振るのも精一杯で、手はマメだらけだった」
ロックスさんはクックッと笑いながら今は繊細な手つきでマッサージするように頭をほぐしてくれる。
「蛇族ってのは他の獣人と比べても神秘性の高い種族でな、蛇特有の能力を有していて戦闘訓練も初めは大変だった。例えば…そうだな、こうやって君の肩に噛み付いたら毒を流し込むことだってできる」
ロックスさんは私の肩を甘噛みしてぢゅっと吸い付く動作で私を揶揄う。しかしそんなこと言われたら私の体は大袈裟なくらい強張って緊張が走った。
「勿論君にはやらないさ、毒と言っても様々な種類があるんだ。麻酔に痺れ、致死性のものまでよりどりみどりでな。」
「そ、そんなにすごいんですか…?」
「まぁ相手に噛みつけなきゃ意味がないんだがな。あとは蛇の姿になって相手を絞め殺したりなんて術も覚えたりしたな。蛇族の素質が強い者は7、8mほどの大蛇に姿を変えられるんだ。俺もその1人だが…あまりその姿を君には見せたくない」
話を聞けば聞くほどロックスさんは私とは違う生き物なのだと実感させられる。ロックスさんもその自覚があるのかお湯で髪を洗い流すと私の体を自分に向かい合わせて大きな体で私をギュッと抱きしめた。
「ここまで話を聞いて…俺のこと、怖くなってないか?」
「そりゃ…驚きましたけど。ロックスさんはお兄さんや国を守るために選んだ道なんですよね?でしたら私はその気持ちを尊重したいし…応援したいです。」
たとえ彼が獣人で人間離れした力を持っていようと、人を殺めたことがあろうと、私に向ける愛情や優しさに嘘はない。そんな彼を好きになってしまったのだからもうしょうがないのだと筋肉が隆起した、しかし弱々しげな背中を抱きしめ返した。
「脱ぐの手伝おうか?…前みたいに」
ロックスさんの手が今度は脇腹に触れてそのままその下にあるパンツに指を差し込まれ、そのまま下ろされる。
「ひゃ…ぁ…」
「相変わらず初心で可愛いな、もう散々互いの恥ずかしいところ見合った仲だろう?」
「こ、こんな明るいところで裸になるのはまた別です」
パンツを下ろして私の足から外そうとかがみ込んだロックスさんはそのまま腰のあたりに口付けをしてイタズラっぽく笑った。
「こうやって少しずつ慣れていこうな?」
そうして裸に剥かれた私はロックスさんに腕を引かれて浴室へと連れて行かれる。一部屋分はありそうな浴室に、到底ここが部屋に隣接した浴室とは思えない。こんなの入浴施設だ。
「ロックスさんって優しいのにたまに強引ですよね」
「そりゃ好きな女の子相手となりゃ多少頭もおかしくなる。」
体を隠しながらジロリと頭一つ半大きな彼を睨むとまた甘い言葉で返されてしまう。こう言えば私が何も言い返せないのだと熟知されているようで顔を背けた。
「そう拗ねないでくれ、全部君に話す。いくつか話してなかったことがあったからな」
自分が王族だということ以外にも話してないことがあるというのだろうか。ロックスさんは私を床に座った自らの膝の間に座らせると丁寧に濯ぐように髪をシャワーで洗った。
「夕飯は肉と魚、どちらがいい…?君の好きな方を持って来させよう」
「お、お魚でお願いします…」
「分かった、じゃあ風呂が終わったら頼んでおくな」
誰かに命じてご飯を作ってもらうのも、お店以外で体験するのは初めてだ。それを自然にやってしまうロックスさんはやっぱり貴族…それも最上位の王族なのだと感じてしまう。
「早速君に話してなかったことを色々と話すとしよう。先ほどの話通り…俺はこの蛇族の王家に第二王子として生まれた」
改めて彼の口からはっきりと言われるとどきりと胸が脈打った。色々と思い返すと…時折見える彼の気品溢れる動作や紳士的な態度は王族として幼い頃から教育を受けてきたゆえなのだろう。ロックスさんは手のひらでシャンプーを泡立てると優しく私の髪を洗い始めた。
「王位継承権は兄上の方が上だったし、特に兄上とも王位を争うことなく過ごしてきた。体質的には俺の方が蛇族としての血は濃いらしいがな…特に不満もなく俺自身幼い頃から兄上の王の剣になるため励んできたつもりだ。」
「子供の頃から…ですか?」
「あぁ、最初の頃は剣を振るのも精一杯で、手はマメだらけだった」
ロックスさんはクックッと笑いながら今は繊細な手つきでマッサージするように頭をほぐしてくれる。
「蛇族ってのは他の獣人と比べても神秘性の高い種族でな、蛇特有の能力を有していて戦闘訓練も初めは大変だった。例えば…そうだな、こうやって君の肩に噛み付いたら毒を流し込むことだってできる」
ロックスさんは私の肩を甘噛みしてぢゅっと吸い付く動作で私を揶揄う。しかしそんなこと言われたら私の体は大袈裟なくらい強張って緊張が走った。
「勿論君にはやらないさ、毒と言っても様々な種類があるんだ。麻酔に痺れ、致死性のものまでよりどりみどりでな。」
「そ、そんなにすごいんですか…?」
「まぁ相手に噛みつけなきゃ意味がないんだがな。あとは蛇の姿になって相手を絞め殺したりなんて術も覚えたりしたな。蛇族の素質が強い者は7、8mほどの大蛇に姿を変えられるんだ。俺もその1人だが…あまりその姿を君には見せたくない」
話を聞けば聞くほどロックスさんは私とは違う生き物なのだと実感させられる。ロックスさんもその自覚があるのかお湯で髪を洗い流すと私の体を自分に向かい合わせて大きな体で私をギュッと抱きしめた。
「ここまで話を聞いて…俺のこと、怖くなってないか?」
「そりゃ…驚きましたけど。ロックスさんはお兄さんや国を守るために選んだ道なんですよね?でしたら私はその気持ちを尊重したいし…応援したいです。」
たとえ彼が獣人で人間離れした力を持っていようと、人を殺めたことがあろうと、私に向ける愛情や優しさに嘘はない。そんな彼を好きになってしまったのだからもうしょうがないのだと筋肉が隆起した、しかし弱々しげな背中を抱きしめ返した。
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