呪いから始まる恋

めぐみ

文字の大きさ
上 下
36 / 52

35

しおりを挟む
「ろ、ロックスさん?」

「脱ぐの手伝おうか?…前みたいに」

ロックスさんの手が今度は脇腹に触れてそのままその下にあるパンツに指を差し込まれ、そのまま下ろされる。

「ひゃ…ぁ…」

「相変わらず初心で可愛いな、もう散々互いの恥ずかしいところ見合った仲だろう?」

「こ、こんな明るいところで裸になるのはまた別です」

パンツを下ろして私の足から外そうとかがみ込んだロックスさんはそのまま腰のあたりに口付けをしてイタズラっぽく笑った。

「こうやって少しずつ慣れていこうな?」

そうして裸に剥かれた私はロックスさんに腕を引かれて浴室へと連れて行かれる。一部屋分はありそうな浴室に、到底ここが部屋に隣接した浴室とは思えない。こんなの入浴施設だ。

「ロックスさんって優しいのにたまに強引ですよね」

「そりゃ好きな女の子相手となりゃ多少頭もおかしくなる。」

体を隠しながらジロリと頭一つ半大きな彼を睨むとまた甘い言葉で返されてしまう。こう言えば私が何も言い返せないのだと熟知されているようで顔を背けた。

「そう拗ねないでくれ、全部君に話す。いくつか話してなかったことがあったからな」

自分が王族だということ以外にも話してないことがあるというのだろうか。ロックスさんは私を床に座った自らの膝の間に座らせると丁寧に濯ぐように髪をシャワーで洗った。

「夕飯は肉と魚、どちらがいい…?君の好きな方を持って来させよう」

「お、お魚でお願いします…」

「分かった、じゃあ風呂が終わったら頼んでおくな」

誰かに命じてご飯を作ってもらうのも、お店以外で体験するのは初めてだ。それを自然にやってしまうロックスさんはやっぱり貴族…それも最上位の王族なのだと感じてしまう。

「早速君に話してなかったことを色々と話すとしよう。先ほどの話通り…俺はこの蛇族の王家に第二王子として生まれた」

改めて彼の口からはっきりと言われるとどきりと胸が脈打った。色々と思い返すと…時折見える彼の気品溢れる動作や紳士的な態度は王族として幼い頃から教育を受けてきたゆえなのだろう。ロックスさんは手のひらでシャンプーを泡立てると優しく私の髪を洗い始めた。

「王位継承権は兄上の方が上だったし、特に兄上とも王位を争うことなく過ごしてきた。体質的には俺の方が蛇族としての血は濃いらしいがな…特に不満もなく俺自身幼い頃から兄上の王の剣になるため励んできたつもりだ。」

「子供の頃から…ですか?」

「あぁ、最初の頃は剣を振るのも精一杯で、手はマメだらけだった」

ロックスさんはクックッと笑いながら今は繊細な手つきでマッサージするように頭をほぐしてくれる。

「蛇族ってのは他の獣人と比べても神秘性の高い種族でな、蛇特有の能力を有していて戦闘訓練も初めは大変だった。例えば…そうだな、こうやって君の肩に噛み付いたら毒を流し込むことだってできる」

ロックスさんは私の肩を甘噛みしてぢゅっと吸い付く動作で私を揶揄う。しかしそんなこと言われたら私の体は大袈裟なくらい強張って緊張が走った。

「勿論君にはやらないさ、毒と言っても様々な種類があるんだ。麻酔に痺れ、致死性のものまでよりどりみどりでな。」

「そ、そんなにすごいんですか…?」

「まぁ相手に噛みつけなきゃ意味がないんだがな。あとは蛇の姿になって相手を絞め殺したりなんて術も覚えたりしたな。蛇族の素質が強い者は7、8mほどの大蛇に姿を変えられるんだ。俺もその1人だが…あまりその姿を君には見せたくない」

話を聞けば聞くほどロックスさんは私とは違う生き物なのだと実感させられる。ロックスさんもその自覚があるのかお湯で髪を洗い流すと私の体を自分に向かい合わせて大きな体で私をギュッと抱きしめた。

「ここまで話を聞いて…俺のこと、怖くなってないか?」

「そりゃ…驚きましたけど。ロックスさんはお兄さんや国を守るために選んだ道なんですよね?でしたら私はその気持ちを尊重したいし…応援したいです。」

たとえ彼が獣人で人間離れした力を持っていようと、人を殺めたことがあろうと、私に向ける愛情や優しさに嘘はない。そんな彼を好きになってしまったのだからもうしょうがないのだと筋肉が隆起した、しかし弱々しげな背中を抱きしめ返した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

性欲の強すぎるヤクザに捕まった話

古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。 どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。 「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」 「たまには惣菜パンも悪くねぇ」 ……嘘でしょ。 2019/11/4 33話+2話で本編完結 2021/1/15 書籍出版されました 2021/1/22 続き頑張ります 半分くらいR18な話なので予告はしません。 強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。 誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。 当然の事ながら、この話はフィクションです。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

連続寸止めで、イキたくて泣かされちゃう女の子のお話

まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*)   「一日中、イかされちゃうのと、イケないままと、どっちが良い?」 久しぶりの恋人とのお休みに、食事中も映画を見ている時も、ずっと気持ち良くされちゃう女の子のお話です。

処理中です...