剛柔なお前の為。

pom

文字の大きさ
上 下
159 / 171

ep 157 友達の為

しおりを挟む


大河は一通り、相良の肉体を観察し触り終わると解説をしだした。



大河 「相良、今のお前の状態は、下半身は上手く出来上がっている。現に俺を抱えてダッシュが出来るんだからそれが証拠だ。

……だけど、相良は引手に関わる筋肉が少し足りていない。主に前腕の筋力。……長期戦になると握力が無くなったり、相手を引き寄せる力が弱くなったりしてねーか?」


相良 「す、すげぇ。見ただけでわかんのかよ。…じゃー!握力をあげればいいのか?」


大河は相良の腕を持ち上げた。

大河 「ただ筋肉を増やせば良いってわけじゃない、無駄な所につけるとかえって動きが悪くなるし、無駄な時間もかかる。」


相良 「どうしたらいい?」

大河は更衣室に置いてある、和太鼓を見た。


大河 「これ、使ってる??撥はあるか?」


相良 「あぁー。ある!!何か山口先生が試合や組み手するときに、たまに使ってる。」


大河 「んじゃ、これ2発叩いてみて…」

相良 「え??ああ。。」
相良 (何か必ず意味があるはずだ)


相良は撥を握りしめ、和太鼓を力いっぱい叩く。

どぉぉん。どぉぉん。


更衣室の外にいる人間は何事かと思うが、更衣室に入る勇気がない。


相良 「こ、これで良いのか?」

大河 「んじゃ、俺の聴いて。…すっ。」


翔吾は咄嗟に耳を塞いだ。

ドゥーン!!ドゥーーン!!

地響きと、共に壁が振動する。


相良 「うるさっ!!……え?」

大河 「俺、あんまり力入れてないし、振りかぶってもないよ…」


すると、ガチャりと更衣室のドアが開く。


山口教師 「どーした?!更衣室で何やって……え?/////」


相良 「お疲れ様です!すいません、今指導を受けておりまして!」

山口教師はだいぶ混乱していたが、相良が全てを話して説明した。


山口教師 「な、なるほど。だから大河がいるのか……いきなり太鼓の音が聞こえてきたからびっくりしたぞ…相良はパンツ一丁だし。」


翔吾 「先生も音聞いたんですね、どうでした?最初と最後の音。」

山口教師 「ん??音か??最初の2発はボンヤリとしか聞こえて来なかったが、最後の2発はハッキリ聞こえたな。爆音だった。」

相良 「大河!!俺もお前みたいな音を出せたら、引き手が強くなれるのか?!」

勘のいい相良はこの意味を気付く。

大河 「そうだ!厳密には前腕の強化だな。太鼓で1番音が出る為に重要な事は面に当たる瞬間にしっかりと締めること。この動作で使う筋肉は瞬発力と持久力を高めてくれる。」


三人は大河の説明に食い入って聞いている。


山口教師 「……引き手の強化……なる程、確かに締める動作で握力も前腕も鍛えられるし一石三鳥って所だな。」


大河 「ポイントは触れる瞬間にキュっ!と握り締める事だ。家で練習したいのなら、腕をベットに寝かせて、ダンベルを持って、手首だけで動かす。これだけでもだいぶ鍛えられる」



相良 「すげーー……大河。ホントにありがとうっ。」

相良はパンツ一丁のまま、大河の肩を掴む。


大河 「まだ、簡単な方法しか教えてない。相良、ちゃんと内容教えてくれよ! ……よしっ、それじゃ失礼しますっ!!」


大河は荷物を持って帰宅しようとする。

同時に相良も道着に着替えている。


山口教師 「大河、本当に入部する気は無いか?今ならまだ間に合う!!…どーだ?」



山口教師は大河の存在が欲しくてたまらないのである。



勿論、彼が個人的に大河を大好きだという理由もある。



大河 「……すいません。俺は家を守りたいので。…その代わり翔吾をしっかりと使ってください!!」



翔吾 「おい!!俺は良いのかよ!!」



大河は翔吾の背中を押して山口教師に差し出した。

大河 「後で、何んでも言う事聞いてやるから……」



大河は翔吾にささやいて、お辞儀をするとそそくさと更衣室を後にした。



大河が出てきて、他の部員が気付く。


大河 「お邪魔しましたっ。」


大河は会釈をしながら歩いていく。


「大河さーーん!またてきて下さーーい!!」

と大河の背後から声をかけられる。

軽く手を振りながら、大河は柔道場を後にした。


山口教師 「相良。いい友達を持ったなw  翔吾も、すげー兄貴何だぞあれはw」


相良 「そりゃ、タイガーですから!w」

翔吾 「知ってますよw」


三人は大河の優しさと鬼才に興味が絶えないのである。



---------------兄-------------------------



大河は暑いなか、アイスを食べながら帰宅していた。


アブラゼミや、ミンミンゼミがより暑さと湿度を上げていく。


ガチャりと玄関のドアをあけて、真っ先に冷房を入れて着替える。


大河 (汗ぐっしょり…先にシャワー浴びよっかな…)


大河は夕飯の支度をする前にシャワーをあびる。


翔磨 「大河かー?帰ったのかー?」


翔磨の声がリビングに響くが大河はシャワーの音で全く聞こえない。


翔吾はリビングに向かい、見渡すが大河の姿はない。


ほんのり香るお風呂の匂いに翔磨は気付いた。


翔磨 (風呂か………いい事思い付いたw)


翔磨は音を立てずにゆっくりと、風呂場のドアをあける。


大河は頭を洗っている為、背後が確認できない。


翔磨は抜き足、差し足、忍び足を使って確実に大河に近づくそして大河がシャワーを止めた瞬間驚かそうとした。

しかし、大河はついでに風呂掃除もしようと思い、不意に振り向いてしまった。


そして案の定、2人は絶叫してしまった。



大河 「ぅわっぁ゛ー!?!?!!」

翔磨 「だぁっあ゛ー?!!!?!」


風呂場に奇声が響き渡った。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

ずっと女の子になりたかった 男の娘の私

ムーワ
BL
幼少期からどことなく男の服装をして学校に通っているのに違和感を感じていた主人公のヒデキ。 ヒデキは同級生の女の子が履いているスカートが自分でも履きたくて仕方がなかったが、母親はいつもズボンばかりでスカートは買ってくれなかった。 そんなヒデキの幼少期から大人になるまでの成長を描いたLGBT(ジェンダーレス作品)です。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

処理中です...