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ep 119 兄弟ゲンカの優しさ
しおりを挟む大河の胸ぐらを掴み睨み返す翔吾。
大河 「離せっていってんだろぉがぁ゛!」
ドォフン!!
大河は翔吾を一本背負いでソファーに投げ捨てた。
翔吾 「ぐぁ!…やりやがったなぁ!!」
大河は走って、畳の間に逃げる。
翔吾は追いかけていく。
取り残された2人は目を合わせた。
翔磨 「はやく何とかしろよオヤジ。」
翔座 「俺も仕事で疲れてんだょ。。」
2人は、とぼとぼと2人を追う。
心配はさほどしていないようだ。
翔磨と翔座が到着すると大河と翔吾は、今度は肩の掴み合いをしている。
翔吾 「前から、苛ついてたんだよ!透かした顔しやがって!!」
大河 「ああそうかよ、強面で顔付きが悪い人間に言われたくねーよ!!」
翔吾 「てめぇ!!人が気にしてることを!!」
翔磨は翔座に囁く。
翔磨 「気にしてたんだってよ……」
翔座 「…む。ん……」
翔座 (いいトバッチリだ!!!)
大河 「脳筋のくせに、繊細ぶってんじゃねー!!」
翔座 「意外とトゲがあるよな。」
翔磨 「解説すんなっ……」
翔吾 「この陰険野郎がぁ!!!」
翔吾は大河を馬鹿力で壁に教え付ける。
大河 「ぐっ!……何すんだっよ!!」
大河はくるっとひっくり返して壁に押し付ける。
翔吾 「あだっ!!……」
大河 「いっつも、人の部屋勝手に入ってきて、勝手にベットに入りやがって、狭いんだよ!!!」
ドタァ、ドーン!!
翔磨 「あ、巴投げ…」
翔座 「お前も解説すんな。」
大河が翔吾に馬乗りになる。
大河 「お前はずっと勝てねーんだよ!!」
翔吾 「離れろ!どけぇや!!!」
ドタバタと大河の下で暴れる翔吾。
翔座 「はーい、そこまでだぁー」
やっと翔座と翔磨が動きだす。
翔座が大河を後ろに転がした。
翔磨が翔吾の襟をを掴み立ち上がらせると同時に翔吾は手で振り払う。
大河も同時に立ち上がる。
翔吾 「離せって!」
翔磨 翔座 「「あ。、」」
ガッ!
大河 「。……」
翔吾が振り払ったはずみで大河の口元に命中してしまった。
口元が切れて血が流れる。
大河 「………うがいしてくる…」
大河は何も言わず洗面所に向かった。
3人は顔を見合わせた。
翔座 「ガチギレだな…」
翔磨 「すまん。…腕掴めばよかったか…」
翔吾 「…………。」
翔吾は立ち尽している。
翔座 「何が原因なんだ?」
翔吾はそのまま自分の部屋に行ってしまった。
2人はため息をつきながら、リビングへ戻ると大河は食事の準備を整えていた。
翔磨 「口大丈夫か?」
大河 「少し開けづらいけど、問題ない…食べよ。」
大河は自分で、切れた所をガーゼで貼り処置をしていた。
翔座 「翔吾は良いのかよ」
大河 「食いたきゃ勝手に来るだろ。ガキじゃあるまいし。」
2人は兄弟ゲンカで本気で怒っている大河を久しぶりに見て、物凄く気まずい雰囲気である。
翔座 「翔吾ぉ!!おりてこーい!!飯だぞー!!」
翔磨 「はやくこーい!」
何も反応がない。
大河 「いただきます。」
大河は2人を見つめる大河。
翔座 翔吾 「「いただきます。」」
黙々と食事を続けていると痺れを切らして翔座が大河に問いかける。
翔磨 「な、なぁ大河、何があったんだよ!こんな空気じゃ、飯の味がしねーよ!」
大河 「醤油でもかければ。」
翔座 「座布団一枚w洒落かよw」
翔磨 「洒落になんねーって………」
大河は箸をおいて、ため息をついた。
大河 「はーー。。滅茶苦茶くだらねーから聞かないほうがいいかと。」
翔磨 「いいから!!はやく言え!!」
大河は事の発端を説明した。
翔座 「呆れた。聞いて損したぜ…」
大河 「だから言ったじゃんw」
翔磨 「んまー、。あれだ。2人で何とかしろw」
翔座と翔磨は安心して食事にもどる。
結局翔吾はリビングへ降りては来なかった。
そして、皆が寝静まった夜。
翔吾が部屋から出てきた。
空腹に耐えられないらしい。
冷蔵庫の中を物色していると、翔吾の夕食だけが残されていた。
翔吾はあえて、何も手につけずアイスを持って部屋に戻った。
しかし、アイスだけでは到底満足できず、逆に食欲が湧いてしまった。
翔吾は布団にくるまり、無理やり眠りに着こうとした。
すると、部屋の扉が開く。
同時に部屋に廊下の薄い光が入ってきた。
翔吾の机にコトッと何が置かれるとすぐにドアは閉められた。
布団の隙間から、いい匂いが入り込んくる。
翔吾はむくっと起きあがる。
電気を付けると、机には先ほど冷蔵庫でみた夕食が温めて置いてあったのだ。
翔吾は箸を手に取ると、ガツガツと食い付き始めた。
食べながら大河の逆鱗に触れた時の事を思い出してしまった。
翔吾 「俺の為?家族のためだぁ??独りよがりにも程々にしろってんだ!」
大河 「おい。言って良い事と悪いこと事があるぞ!!!」
思い出しながら箸を進めていると、翔吾はオボンの下に挟んであったメモを読む。
「しっかり食べろよ」
翔吾は嗚咽をしながら、大河が作ってくれた食事を噛みしめる。
食べ終わった食器を持って、リビングに行きシンクに置く。
すると翔座がトイレから出てきて話しかける。
翔座 「…お前も翔磨も幸せものだな。俺もだが。」
翔吾はまた、無言で二階に上がろうとするが翔座は話を続ける。
翔座 「和泉が亡くなる前、大河が言った言葉覚えてるか?…」
翔吾 「………俺が全部やるから安心して。…」
翔座 「謝るよりも、感謝するのが一番だろーな。……おやすみ。」
翔座は自分の部屋に戻っていく。
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