剛柔なお前の為。

pom

文字の大きさ
上 下
121 / 171

ep 119 兄弟ゲンカの優しさ

しおりを挟む


大河の胸ぐらを掴み睨み返す翔吾。

大河 「離せっていってんだろぉがぁ゛!」

ドォフン!!

大河は翔吾を一本背負いでソファーに投げ捨てた。

翔吾 「ぐぁ!…やりやがったなぁ!!」

大河は走って、畳の間に逃げる。

翔吾は追いかけていく。


取り残された2人は目を合わせた。

翔磨 「はやく何とかしろよオヤジ。」

翔座 「俺も仕事で疲れてんだょ。。」

2人は、とぼとぼと2人を追う。


心配はさほどしていないようだ。


翔磨と翔座が到着すると大河と翔吾は、今度は肩の掴み合いをしている。


翔吾 「前から、苛ついてたんだよ!透かした顔しやがって!!」

大河 「ああそうかよ、強面で顔付きが悪い人間に言われたくねーよ!!」


翔吾 「てめぇ!!人が気にしてることを!!」



翔磨は翔座に囁く。

翔磨 「気にしてたんだってよ……」
翔座 「…む。ん……」
翔座 (いいトバッチリだ!!!)


大河 「脳筋のくせに、繊細ぶってんじゃねー!!」


翔座 「意外とトゲがあるよな。」
翔磨 「解説すんなっ……」



翔吾 「この陰険野郎がぁ!!!」

翔吾は大河を馬鹿力で壁に教え付ける。

大河 「ぐっ!……何すんだっよ!!」

大河はくるっとひっくり返して壁に押し付ける。

翔吾 「あだっ!!……」

大河 「いっつも、人の部屋勝手に入ってきて、勝手にベットに入りやがって、狭いんだよ!!!」

ドタァ、ドーン!!

翔磨 「あ、巴投げ…」
翔座 「お前も解説すんな。」


大河が翔吾に馬乗りになる。

大河 「お前はずっと勝てねーんだよ!!」

翔吾 「離れろ!どけぇや!!!」

ドタバタと大河の下で暴れる翔吾。


翔座 「はーい、そこまでだぁー」

やっと翔座と翔磨が動きだす。
 
翔座が大河を後ろに転がした。

翔磨が翔吾の襟をを掴み立ち上がらせると同時に翔吾は手で振り払う。


大河も同時に立ち上がる。

翔吾 「離せって!」

翔磨 翔座 「「あ。、」」
ガッ!



大河 「。……」



翔吾が振り払ったはずみで大河の口元に命中してしまった。



口元が切れて血が流れる。
 

大河 「………うがいしてくる…」

大河は何も言わず洗面所に向かった。


3人は顔を見合わせた。


翔座 「ガチギレだな…」

翔磨 「すまん。…腕掴めばよかったか…」


翔吾 「…………。」

翔吾は立ち尽している。


翔座 「何が原因なんだ?」

翔吾はそのまま自分の部屋に行ってしまった。


2人はため息をつきながら、リビングへ戻ると大河は食事の準備を整えていた。

翔磨 「口大丈夫か?」

大河 「少し開けづらいけど、問題ない…食べよ。」


大河は自分で、切れた所をガーゼで貼り処置をしていた。


翔座 「翔吾は良いのかよ」

大河 「食いたきゃ勝手に来るだろ。ガキじゃあるまいし。」



2人は兄弟ゲンカで本気で怒っている大河を久しぶりに見て、物凄く気まずい雰囲気である。


翔座 「翔吾ぉ!!おりてこーい!!飯だぞー!!」

翔磨 「はやくこーい!」


何も反応がない。

大河 「いただきます。」

大河は2人を見つめる大河。


翔座 翔吾 「「いただきます。」」

黙々と食事を続けていると痺れを切らして翔座が大河に問いかける。

翔磨 「な、なぁ大河、何があったんだよ!こんな空気じゃ、飯の味がしねーよ!」

大河 「醤油でもかければ。」

翔座 「座布団一枚w洒落かよw」

翔磨 「洒落になんねーって………」

大河は箸をおいて、ため息をついた。

大河 「はーー。。滅茶苦茶くだらねーから聞かないほうがいいかと。」

翔磨 「いいから!!はやく言え!!」


大河は事の発端を説明した。


翔座 「呆れた。聞いて損したぜ…」

大河 「だから言ったじゃんw」

翔磨 「んまー、。あれだ。2人で何とかしろw」

翔座と翔磨は安心して食事にもどる。

結局翔吾はリビングへ降りては来なかった。


そして、皆が寝静まった夜。

翔吾が部屋から出てきた。


空腹に耐えられないらしい。


冷蔵庫の中を物色していると、翔吾の夕食だけが残されていた。


翔吾はあえて、何も手につけずアイスを持って部屋に戻った。


しかし、アイスだけでは到底満足できず、逆に食欲が湧いてしまった。


翔吾は布団にくるまり、無理やり眠りに着こうとした。


すると、部屋の扉が開く。

同時に部屋に廊下の薄い光が入ってきた。


翔吾の机にコトッと何が置かれるとすぐにドアは閉められた。


布団の隙間から、いい匂いが入り込んくる。


翔吾はむくっと起きあがる。
電気を付けると、机には先ほど冷蔵庫でみた夕食が温めて置いてあったのだ。

翔吾は箸を手に取ると、ガツガツと食い付き始めた。


食べながら大河の逆鱗に触れた時の事を思い出してしまった。


翔吾 「俺の為?家族のためだぁ??独りよがりにも程々にしろってんだ!」

大河 「おい。言って良い事と悪いこと事があるぞ!!!」


思い出しながら箸を進めていると、翔吾はオボンの下に挟んであったメモを読む。


「しっかり食べろよ」

翔吾は嗚咽をしながら、大河が作ってくれた食事を噛みしめる。


食べ終わった食器を持って、リビングに行きシンクに置く。

すると翔座がトイレから出てきて話しかける。


翔座 「…お前も翔磨も幸せものだな。俺もだが。」

翔吾はまた、無言で二階に上がろうとするが翔座は話を続ける。

翔座 「和泉が亡くなる前、大河が言った言葉覚えてるか?…」

翔吾 「………俺が全部やるから安心して。…」



翔座 「謝るよりも、感謝するのが一番だろーな。……おやすみ。」

翔座は自分の部屋に戻っていく。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

篠崎×安西(旧カルーアミルク2)(R-18)

gooneone
BL
創作BLカルーアミルクの続編です。 R-18ですのでご注意ください。

ただΩというだけで。

さほり
BL
Ωというだけで、つらい過去を抱え自責の念とともに生きる36歳の津田。複雑な出生を持つ1歳半の律との日々は穏やかに流れるが、別れへの長いカウントダウンは始まっている。一方、無愛想なΩの部下を疎ましく思っていた乾は、ある事件から津田が気になって仕方がなくて……? 【オメガバース】 現代社会に、男女の他にα、β、Ωの「第ニの性」があり、男性も妊娠する設定です。αが発情期のΩのうなじを噛むことで、2人は番(つがい)になります。他は本編に説明を入れながら展開しています。 お表紙および挿絵は朔羽ゆき様にいただきました(^ ^) Twitter @sakuhayuki_ *別PNにてエブリスタにも掲載中

【R18】ショタが無表情オートマタに結婚強要逆レイプされてお婿さんになっちゃう話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

君の為の不幸だったと貴方は言う

春目よーす
BL
「ボクを救って(狂わせて)くれたその人は、殺人鬼だった」 とある飲み屋街の隅で生きている少年はその日、運悪く、人が何者かによって殺された瞬間を目撃してしまう。 混乱と恐怖により逃げ惑う彼を救ったのは、不思議な雰囲気を持った妙齢の男だった。 紆余曲折あり、彼の提案で男と家族として共に暮らすことになった少年。 男のもとで平穏な暮らしを得た少年だったが、彼は知らなかった。 彼こそがあの日人を殺した犯人であること、あれが最初で最後の殺人ではなかったこと……そして。 「君は俺の理想だ。だからこそ、囚われてくれ、俺の檻に」 割とマイルド(当社比)にしていますが、流血・暴力・残酷描写注意。催眠洗脳、束縛監禁等の内容もあります。 一見物腰柔らかな優しいサラリーマンと体を売って生活していた孤独で寂しがり屋な少年のBLです。 優しいその人を本当に理解した時、彼は狂気を知った。

【R18】お嫁さんスライム娘が、ショタお婿さんといちゃらぶ子作りする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 前話 【R18】通りかかったショタ冒険者に襲い掛かったスライム娘が、敗北して繁殖させられる話 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/384412801 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

つぎのあなたの瞳の色は

墨尽(ぼくじん)
ファンタジー
【ブロマンス風ファンタジー】 病魔に蝕まれてなお、戦いを止めない主人公たつとら そんなたつとらを支えるために、仲間たちが運命を共にするお話 〇あらすじ 人間を本能のまま襲う〈異形〉と呼ばれる魔物が蔓延る世界 世界一の大国であるウェリンク国の軍事育成学園に一人の男が赴任してきた 桁違いに強い彼は、世界の脅威をいとも簡単に撃退していく その強さと反して、主人公が抱えている病魔は深刻だった 彼が死ぬのが先か、世界の脅威が去るのが先か 奮闘し続ける主人公の周りには、仲間たちが増えていく そして次第に明かされる、主人公の強さの理由と世界の成り立ち 果たして彼の正体は 行きつく先にあるのは希望か絶望か __________ 主人公の過去と素性が世界の成り立ちに大きく関わってくるため、主人公が謎の人物設定になっています。 最初は学園モノですが、途中から変わります。 ※ご注意ください (恋愛ものではないのですが、一読ください) 女性が男性に想いを寄せる描写もありますし、男性が男性に想いを寄せる描写もあります(BR要素) しかしこの物語は、恋愛に発展することはありません 女性同士の恋愛の描写もあります 初心者ですので、誤字・脱字等お目汚しが多々あるかと思いますがご了承ください!

ボーダー×ボーダー

まさみ
BL
『学校に爆弾を仕掛けた』 「は?」 『とめてくれないか、俺を』 大晦日、家にかかってきた一本の電話が平凡な高校生・秋山透をトラブルに巻き込む。学校に爆弾を仕掛けたてこもった親友・麻生譲をとめるため透は走る。タイムリミットは0時、はたして彼は間に合うのか。タイムリミテッド学園ミステリ。 表紙:ダム穴様

愛人オメガは運命の恋に拾われる

リミル
BL
訳ありでオメガ嫌いのα(28)×愛人に捨てられた幸薄Ω(25) (輸入雑貨屋の外国人オーナーα×税理士の卵Ω) ──運命なんか、信じない。 運命の番である両親の間に生まれた和泉 千歳は、アルファの誕生を望んでいた父親に、酷く嫌われていた。 オメガの千歳だけでなく、母親にも暴力を振るうようになり、二人は逃げ出した。アルファに恐怖を覚えるようになった千歳に、番になろうとプロポーズしてくれたのは、園田 拓海という男だった。 彼の秘書として、そして伴侶として愛を誓い合うものの、ある日、一方的に婚約解消を告げられる。 家もお金もない……行き倒れた千歳を救ったのは、五歳のユキ、そして親(?)であるレグルシュ ラドクリフというアルファだった。 とある過去がきっかけで、オメガ嫌いになったレグルシュは、千歳に嫌悪感を抱いているようで──。 運命を信じない二人が結ばれるまで。 ※攻め受けともに過去あり ※物語に暴行・虐待行為を含みます ※上記の項目が苦手な方は、閲覧をお控えください。

処理中です...