剛柔なお前の為。

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ep 102 鷹虎本家

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出雲 「……それで、私等に何か用があるんじゃろ…2人でくるなんて。」


恵比寿は茶をすすっている。


翔座 「はい。…大河の件でお話しがあります。」

浩二 「単刀直入に言う、鷹虎家の武術の文献をあるだけ全部見たい」

翔座が話す前に、浩二が話してしまった。


恵比寿 「これ、浩二。翔座からの話を聞いておるんじゃ、口出しはよせ。」

出雲 「……文献を調べて、何をするつもりじゃ?自身の強化か?それとも孫達への土産か?」


浩二は苛々し始めている。
わざと、翔座の口から言わせたいのだ。


翔座 「…全てお話しします。」

ガタンと音を立てて、浩二が立ち上がった。


浩二 「する必要はねー!…大河の衝動と鷹虎流柔術の真髄の手がかりを探したいだけだ!!」


浩二は翔座が大河の為に身をもって守っている事を知られたくないのだ。

親子との交わりを、本人に言わせる事など浩二には絶対に出来なかった。


ご老体2人は驚きもせず、ただ座っている。


恵比寿 「……衝動か。…大方、お前達のしようとしている事は検討がついておる。」


出雲 「…長年の歴史の中で、衝動を抑える為、和泉が考えたようなやり方を試すものも多くはなかった………じゃが、真髄を会得出来ず不幸への道を辿る。……和泉も会得出来なかったしのう。」


浩介 「和泉は、癌で亡くなったんだぞ?!真髄を会得出来たかもしれねー!希望はある!!」


恵比寿 「じゃが、現在では実例が無いのも事実。」


翔座 「承知しています。ですが、大河には実現出来るという確信が俺にはあります。」


出雲 「ほぅ、なんじゃそれは?」


翔座 「和泉の意思です!!あいつは全て分かっていたんです!!!」


2人は目を広げた。


恵比寿 「……和泉が大河に全てを託したとでも?」

出雲 「……子供には荷が重すぎる…」


翔座 「お二人とも、親なら分かるはずです!!俺は和泉と大河を信じます!」


恵比寿 「………出雲。」

恵比寿は出雲に同意を訴える。


出雲 「はー。。よかろう。探してみるが良い……じゃが、衝動に関する文献は本家にはあまり存在せん……血塗られた武術は分家に多く眠っている筈じゃ……」


翔座 「…弟さんの所ですか。」


出雲 「そうじゃ、次郎の家に行けばあるじゃろう……」

恵比寿 「じゃが、出雲。…あやつが見せてくれるとは到底思えんのだが…」


出雲 「ほほっ、そーじゃろうのぅ。…婚約もせず全て武術に捧げた愚かな男じゃw」


浩二 「じゃー、どーすりゃいんだよ!あんたら2人が腐れた武術が嫌いで分家に横流したんだろうが!」

浩二は2人に食ってかかる。


出雲 「……あやつは、武術が全てじゃ。そこにまだ未知の物が存在すると分かれば、必ず興味を示すじゃろう。…」


浩二 「和泉の時と同じ目に大河を合わせるつもりか、ババァ。」



恵比寿 「…出雲。儂は反対じゃな。…危険過ぎる。あやつの心は読めん。…何を考えておるのか分からん。」


翔座 「もし、次郎さんに鷹虎流柔術を見せる。といえば了承してくれるのでしょうか…」


翔座は少しでも、希望が欲しかったのだ。


浩二 「おい!翔座!!大河を守るんだろーが?!」

恵比寿 「浩二。落ち着かんか。」


出雲 「確実に承諾するじゃろうな……和泉の時は儂が拒否したからのぅ。」


翔座 「大河がいち早く、真髄を会得する為に1つでも多く情報が欲しいんです!!」

翔座はしっかりと出雲を見つめる。


浩二 「翔座っ……」


出雲 「……では、儂から連絡しておこう。ひとまず、うちにある文献探してみるといい………恵比寿さん。鍵を開けてあげて。」


恵比寿 「…出雲ちゃんが言うなら、仕方ないの。……では、翔座約束してくれぬか?子供達を必ず守ると。」


翔座 「…はい。守ります…必ず!」


出雲 「では、恵比寿さん頼むよ…」


浩二 「……行くぞ…。」

3人はすくっと立ち上がり、母屋の離れにある、倉庫に向かう。


南京錠の扉にもう一つ、番号式の鍵扉が、かけられていた。


恵比寿 「ここを開けるのは、和泉が亡くなった時以来じゃな…」

浩二 「…そうだな。…翔座、気になるものから片っ端に調べるぞ……じいさんも手伝え!」


恵比寿 「ぇー。儂は老眼なんじゃよ…」



浩二 「可愛い孫が心配じゃねーのかよ」


恵比寿 「仕方ないのぉ、翔座よ。今度子供達を連れてきなさい。手合わせしてやるw……えー、ルーペ、ルーペとぉ…」


恵比寿は居間にルーペを取りにいく。


2人は大量にある、文献のから衝動や真髄についての情報を探しだす。


恵比寿は居間に向かい、ルーペを探している。


出雲 「恵比寿さん、何をさがしてるの?」


恵比寿 「あー、老眼鏡をな。……文献調査のアルバイトじゃw」


出雲 「あらっ、時給はいくらかのぅw」


恵比寿 「孫達と手合わせじゃw」


出雲 「なら、私も手伝いましょうねw」


恵比寿 「……出雲ちゃんや、本当に良かったのか?」

出雲 「…娘の宝は、私の宝じゃ。孫は可愛いからのぉw………恵比寿さん。私達も鍛え直してみますかな…」

恵比寿 「そうじゃな、若い者に負けられんからの!」

ニカッと笑う顔は浩二と浩介そっくりである。

出雲 (和泉。…貴女の為にもな…)


2人は老眼を探し出して倉庫に向かう。






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