剛柔なお前の為。

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ep 18

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翔磨が席にもどる。

すると、翔吾が浩二に問いかける。



翔吾 「仮に、セックスしなかったとして兄貴の自我は何年持つ?」



浩二はタバコの灰を落としながら答えた。


浩二  「”衝動”が起きなくなるころはだいたい、25歳くらいのはずだ、個人差はあるがな。

今の大河は18歳、単純計算して7年衝動が続く。ただ、大河は鷹虎流柔術の真髄を会得できれば、衝動は収まる。だが、いつ出来るかわからん。」



翔磨 「7年…か。」



浩二 「ただ、7年間待てばいいってもんじゃねー。それまでに死合いをずっと続けることになる。

そして大河君は真髄を会得しようと、どんどん強くなる。それにお前らが耐え切れるのか?
戦えば戦うほど”衝動”の回数は多くなる。あまりにも無謀だ。」


浩二はタバコの灰を落とす。


浩二 「7年もありゃ、あいつの自我は完璧に崩れるだろう。」


翔吾 「長すぎる…」



浩二 「そいえば、今の大河君はどれくらい強いんだ?翔磨ぐらいか?」



翔座 「今の大河は確実に俺より強い。今朝、死合いではないが俺は全力であいつを攻撃したが、勝てなかった。…それでも真髄は完成できなかったと、嘆いていたよ。」



翔磨 「……オヤジより強くなっちまったのか、大河。…本来なら喜びてーが、悲し過ぎて泣きそうだぜ。」


 
浩二 「それほどの力量でもまだ、真髄に届かねーとは。……」



4人は驚愕と不安に駆られている。



翔吾 「自我が壊れると兄ちゃんをはどーなるんだ?」



浩二 「殺人鬼になるか、植物人間になるか、だな。」


翔磨 「ほかに、何かほかに方法はないのか?!これしかねーのか?!」



翔磨は一口タバコを吸い、ゆっくりと出すと同時に話す。



浩二 「監禁。」


3人全員が眉を潜め、びくっと動いた。


浩二 「手足を縛り、視覚を塞ぎ、口を猿ぐつわで抑える、自分で息を止める場合は人工呼吸器で」

翔座 「もういい!!………もういいやめてくれ。」


翔座は話を切断した。

想像もしたくなかったのだ。



浩二 「”衝動”を無理矢理抑え込めば、それだけ反動がくるし、リスクもでかい。多分大河君は、自害を選ぶだろうな。……どのみちあまり時間がない。」



翔座 「3回目……か?」



浩二 「あぁ。いつ来てもおかしくはない。
周期は早くなる。大河君には”衝動”について説明するのか?」


翔座 「……言えるわけないだろ。」



浩二 「だろうな、もし俺が大河君だったら自殺するな。確実に。……」
  

気付けば、翔磨もタバコを吸っている。

翔座は腕をくみ、目を閉じている。



翔吾は浩二を見つめている。


浩二 「大切な人間を守るためならな……



翔座 「大河とセックスするのは特定の一人だけでは駄目なのか?」


浩二 「ああぁ。難しいだろ。殺人の欲を押させる為には、それを上回る強力な欲しかない。つまり、快感と興奮だ…」


翔座 「……………」



浩二 「もし、どうしても無理なら鷹虎家で預かる。血縁関係だからな。まー、誰かとセックスする事はかわらねーが。……どうする?翔座?」

翔座 「………………。」






浩二 「大河の父親はお前だ。最終決定はお前にある。…」


翔吾 「っオヤジ!!」

翔磨 「翔吾、少し黙れ。…頼む。」



2人は沈黙を守る。


2分程のはずだが、人生の中で4人が時間をこんなにも、長く感じる事は後先あまり無いだろう。



浩二が立ち上がる。



浩二 「……1ヶ月後だ。…………大河を迎えにくる。それまでに用意をさせておけ。」



翔座 「……まて。…分かった。あの子の為なら俺は何だってやる。それが親としてせめてもの、責任だ。」



浩二 「……男に二言はないな?」

翔座 「ぁぁ。…」



浩二 「手加減したただのセックスじゃだめだ。大河に興奮を極限までさせるんだぞ?」

翔座 「…わかっている。」



浩二 「そうか…… あ、それとだ。ついでだが俺の息子を大河に接触させている。今後、やるなら大河の心のケアと、拠り所が必要だ。あいつなら、助けてやれるだろう。」



翔座 「名前は、確か…こうすけくんか?」



浩二 「お、よく覚えてたなー。滅多に会う事ねーのに。あいつは、俺にもよく分からねーやつなんだ。だけど、不思議と憎めない奴なんだよなーこれが。」



浩二は廊下を進み、玄関に来ると翔座が話す。



翔座 「浩二、すまない。大河を助けてくれて、本当にありがとう。」



翔座は深々と頭をさげるが浩二は振り返らず見ない。



浩二 「まだ、助けてねーよ。それまで、礼はいらねーよ。………大河を本当に助けられるのはお前ら家族だけだからな。」



浩二は坂鬼家を後にする。



---------所変わって大河と武藤------------



武藤は大河が、武術家である事は知っているが実際見たことは一度もなかった。



そんな中武藤は大河へ芽生えていく感情がある。


先程のわけのわからない男には相当腹が立っていたが、大河が鉄槌を下したので少しすっきりしていた。


しかし、彼の芽生えた感情は消えることはなく大きくなる一方だったのである。



武藤 「なー?アイス食うと頭痛くならねーか?」



大河 「???なった事ねーな。歯はあるけどな。」



武藤 「そりゃ知覚過敏だろっ!」


大河 「武藤の頭が悪いからじゃなくて?」


武藤 「そこまでいわなくてもいいだろ……。」


武藤はしょぼくれた真似をする。


大河 「ごめん、ごめん兄ちゃんが悪かったって、ほらアーン?」

武藤 「あーん。んー。大河兄ちゃん、大好きぃー!!」


ふざけ合いながら、2人でアイスを満喫していた。


その時、武藤は気付いた。


武藤 (大河と間接キスしてしまったぁ!)


楽しい時間はあっという間に過ぎ5時半を回った。


大河 「んじゃ、俺夕飯の支度があるから!
また明日なぁ!」


いそいそと、駅に向かう大河に武藤は声を発する。



武藤 「……あ!ぁ!大河あのな!!明日さ、俺ん家に遊びに来ないか?相談したい事があってな………」



大河はただ、優しい顔つきでニッコリ笑い答える

武藤 「いいぞ。」


手を振りながら走っていく大河を武藤はジッと見送った。



大河は電車ので晩ご飯を何にするか考えながら家路を急いだ。

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