『観察眼』は便利

Nick Robertson

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さっきの話の最中、俺はウツラウツラしているくらいのものだったが、運転手はかなり真剣に聞いていたようで、自分の考えとキッチリ照らし合わせていく。

「崖を通った理由ってのは一致してるな。俺も、上から火柱を飛ばすためだと思った」
「だよねー」
「???」

崖の上から火柱?どうしてそんなことする必要があるんだ。

「ほら、メモリーカードを…」
「いや、そこは聞いてた。そうじゃなくて、どうして崖の上から焼かなきゃならねぇんだ?」
「門番に見つからないように、さ。自分の目線より高い所で何かやってても、気づきにくいものなんだ。いっつも上を向いてるわけないし、ましてや、あの人達は会話してたり本を読んでたりしてたらしいから、全体を見渡せるように、高い位置で取り付けられてるカメラが壊れても、分かんないんだよ」
「なるほど…」

そうかもしれない。
フミの火柱のレベルは低かったように記憶しているが、それでも地面を抉って黒焦げの線を作るくらいの威力はあった。なら、崖の、一段低くなってる場所くらいから『火柱』を使えば、音もなくカメラを燃やせるのではないか。

(レベルが高すぎたら、カメラを通り越しちゃって、バレるかもしれないしな。ワザと鍛えてなかったのかもしれない)
謎が解けると、スッと頭の紐がほどけていくようだった。
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