『観察眼』は便利

Nick Robertson

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その時だった。運転手が、慌てて震える携帯を取り出したのは。
それから、高速で何度も頷き、「分かりました」と呟いて短い通話を終えた。
……しかし、その内容は、恐らく今までの会話の中で最も重要なものであると言うことは既に分かりきったことだった。

「なんて言ってた?あいつは」
「い、行きながら話す」

車の向きが反転する。
そして、運転手はそれを落ち着いて発進させた。

(いくら急いでても、交通違反すれば捕まって時間を取られる。だからあえて通常スピードにしてるわけか。やっぱプロは違うな)
俺は、そんなことを思いながら、運転手の言葉に耳を傾ける。

「一番早く球が到達したのは、タンギ気象台って場所らしい。そこは、ここからそう離れていないんだっ!」
言葉に熱が入っている。

「そ、そのタンギ気象台に何かあるんだな?」
「そうとしか考えられねぇ。大量のエネルギーが発生する場所に気象台なんて普通設置できねぇっての!」
「いや、でも、タンギ気象台?って、タンギ山にあるんじゃ………」
俺はおぼろげな記憶を辿る。聞いたことのある地名だったからだ。

「ああ。そのふもと付近だ」
「ふーん。でも、あそこ、そんなに危険だって話はなかったと思うけど……」
「だから!その気象台がどうにかして封じてるんだ!それを今から調べに行くんだよ!!」

はん、そういうことか。急速に答えへと近づいて言ってるってことは、よく分かった。
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