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「うー、その駅からお目当ての列車に向かって逆走したところで良いことはなさそうだしな。どこに行けば……」
「あのさ、思ったんだけど、街の防犯カメラに何か映ってないの?……えっと、列車に車内カメラってあったっけ」
「情報ルートが断たれたんだぜ?……ってか、電気の供給も止まっててさ。薄暗い非常電灯に切り替わってんだが、そう長くはモタねぇだろ。相手もゲスいことするよなぁ。お偉いさんがたも慌ててるはずだぜ。ウチの大元のパソコンまで何かされてるだろうから」
それは……、俺が相手に回してる連中は……、つまり、そういうことができる……、特殊な……あー、あー、あー。
「この依頼を達成できたら、お前の名も上がるってもんだな」
「うるせぇ」
俺は暗い気持ちで突っぱねる。
…知らないおじさんは、「この依頼を失敗したら」、とは、言ってくれない。そして、言われなくても、その結果は自明なことだ。
「…そろそろだな。………あっ、もう一つ超重要なことがあるぞ」
「?」
「組合の中でお前達の大喧嘩を止めた男、あいつには気をつけとけよ」
「なぜ?」
「フミがあいつに連絡したっていうことが確認取れてるんだ」
「……………」
どうしてそれを先に言わなかったんだ。調査の進行をワザと遅れさせているのか?!
「フミがこっそり発信した赤外線の信号がな、あいつのポケットの中の機械に飛んでたらしいぞ」
「その通信を妨害することはできなかったの??」
「シンプル過ぎる作りでさ。隙がある回線すらなかったんだ。フミがスイッチを押すと、あいつの持ってたヤツが震えるっていう、それだけの機能だった。………しかも、あいつらはあの時、それを初めて使ったんだ。予測もできなかったんだから、当然妨害は無理な話なのさ」
……新たな犯人が出てきやがった。どうすりゃ良いんだ?
「おい、知らないおじさん!」
「どうしたよ、改まって」
「この際、警察と手を組むしかないよ!全てを話して、交通を止めてでも捕まえてもらうべきだ」
「バカ言うな。これは秘密裏で行われてる任務だ。それに、警察はどーせ動いてくれないさ」
おじさんは、警察は手伝ってくれないと決めつけているらしい。
「でも、一度言ってみれば……」
「じゃあお前が言うか?!良いぞ、別に。時間を食うだけだと思うがな。そんな突飛な発言を誰が信じるんだよ。あいつらは、まだ公な事件を起こしてねぇんだ。つまり、証拠がない。そんなことにサツが時間を割くことはねぇんだよ」
知らないおじさんの声が冷たくなったような感じがする。もしかしたら、以前に期待を裏切られたことがあるのかもしれない。
「それでも、あいつらが何かを実行しようとしてるのは明白で……」
「おいおい、ここで共謀罪、いや、テロ等準備罪が通用すると思ってんのか。まだあれは認めてられねぇんだっつーの」
「………っ」
「現場を押さえた方が、冤罪の可能性が少なくなるから俺はそれで良いと思ってるがな。ともかく、お前の思う通りには絶対にならないって理解しろよ」
そうだ。これは、俺達が解決しなけりゃいけないことなのだ。最初は、「スパイが誰か調べろ」という指令だったが、やはり捕縛するのにも参加しなきゃいけないらしい。
「……おい、このまま駅に行くぞ!良いのか?どうなんだ」
少し荒々しく、運転手がもう一度言った。
「あのさ、思ったんだけど、街の防犯カメラに何か映ってないの?……えっと、列車に車内カメラってあったっけ」
「情報ルートが断たれたんだぜ?……ってか、電気の供給も止まっててさ。薄暗い非常電灯に切り替わってんだが、そう長くはモタねぇだろ。相手もゲスいことするよなぁ。お偉いさんがたも慌ててるはずだぜ。ウチの大元のパソコンまで何かされてるだろうから」
それは……、俺が相手に回してる連中は……、つまり、そういうことができる……、特殊な……あー、あー、あー。
「この依頼を達成できたら、お前の名も上がるってもんだな」
「うるせぇ」
俺は暗い気持ちで突っぱねる。
…知らないおじさんは、「この依頼を失敗したら」、とは、言ってくれない。そして、言われなくても、その結果は自明なことだ。
「…そろそろだな。………あっ、もう一つ超重要なことがあるぞ」
「?」
「組合の中でお前達の大喧嘩を止めた男、あいつには気をつけとけよ」
「なぜ?」
「フミがあいつに連絡したっていうことが確認取れてるんだ」
「……………」
どうしてそれを先に言わなかったんだ。調査の進行をワザと遅れさせているのか?!
「フミがこっそり発信した赤外線の信号がな、あいつのポケットの中の機械に飛んでたらしいぞ」
「その通信を妨害することはできなかったの??」
「シンプル過ぎる作りでさ。隙がある回線すらなかったんだ。フミがスイッチを押すと、あいつの持ってたヤツが震えるっていう、それだけの機能だった。………しかも、あいつらはあの時、それを初めて使ったんだ。予測もできなかったんだから、当然妨害は無理な話なのさ」
……新たな犯人が出てきやがった。どうすりゃ良いんだ?
「おい、知らないおじさん!」
「どうしたよ、改まって」
「この際、警察と手を組むしかないよ!全てを話して、交通を止めてでも捕まえてもらうべきだ」
「バカ言うな。これは秘密裏で行われてる任務だ。それに、警察はどーせ動いてくれないさ」
おじさんは、警察は手伝ってくれないと決めつけているらしい。
「でも、一度言ってみれば……」
「じゃあお前が言うか?!良いぞ、別に。時間を食うだけだと思うがな。そんな突飛な発言を誰が信じるんだよ。あいつらは、まだ公な事件を起こしてねぇんだ。つまり、証拠がない。そんなことにサツが時間を割くことはねぇんだよ」
知らないおじさんの声が冷たくなったような感じがする。もしかしたら、以前に期待を裏切られたことがあるのかもしれない。
「それでも、あいつらが何かを実行しようとしてるのは明白で……」
「おいおい、ここで共謀罪、いや、テロ等準備罪が通用すると思ってんのか。まだあれは認めてられねぇんだっつーの」
「………っ」
「現場を押さえた方が、冤罪の可能性が少なくなるから俺はそれで良いと思ってるがな。ともかく、お前の思う通りには絶対にならないって理解しろよ」
そうだ。これは、俺達が解決しなけりゃいけないことなのだ。最初は、「スパイが誰か調べろ」という指令だったが、やはり捕縛するのにも参加しなきゃいけないらしい。
「……おい、このまま駅に行くぞ!良いのか?どうなんだ」
少し荒々しく、運転手がもう一度言った。
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