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体は急にすごく痛むと、涙も出せないんだな。
僕はぼんやりと身体を起こす。
「大丈夫?」男の子が心配そうに聞いてくる。
こっちに来てくれたんだ。
「うん、でも僕、鬼だよ」
「分かってる。でも、まだ10秒数えてないから」
「あ、そーゆーことね。イテテテ、イチ、ニイ、サン、シイ、ゴオ、ロク…」
ハチと言っても男の子はまだ動かない。
「トオ」僕が立ち上がって飛びつく。
そこで初めて男の子が動いた。
僕の手は空を切って地面に落ちる。
かわされた。
僕は、今度はすぐに立って赤い土を払い落とした。
ダッシュする。
男の子は少し僕が近づくのを待ってから走り出した。
僕は男の子の真後ろにいる。
こうなると僕は無敵だ。
何も考えなくなり、体が軽くなるのが感じられる。
視界が狭まって、男の子の背中しか見えなくなる。
他のどのものより、今、優先すべきは追いつくことだ。
僕は、ひたすら足が動くのを、黙って眺めている。
もし男の子が急に曲がっても、僕も曲がるだけだ。
ーー実際は、男の子は曲がらなかったけれど。
僕の体は、男の子の背中と糸でくっついている。
力を入れなくても、たとえ入れても、結果は変わらないと思う。
僕と男の子は、同じ距離を保ったまま、ずっと走り続けていた。
ふふ、と僕のすぐ隣で笑い声がした。
首がそっちの方向に向いてしまう。
黒猫だ、僕の足は急激に回らなくなる。
同時に激しい動悸とめまいがして、足が少し傷をつけられたみたいに痛くなって、地面にへたり込んでしまった。
「あれ?ほんと、おっせーと思ってたら、もうダメなのな。今までどうやって生活してたんだよ」
僕はぼんやりと身体を起こす。
「大丈夫?」男の子が心配そうに聞いてくる。
こっちに来てくれたんだ。
「うん、でも僕、鬼だよ」
「分かってる。でも、まだ10秒数えてないから」
「あ、そーゆーことね。イテテテ、イチ、ニイ、サン、シイ、ゴオ、ロク…」
ハチと言っても男の子はまだ動かない。
「トオ」僕が立ち上がって飛びつく。
そこで初めて男の子が動いた。
僕の手は空を切って地面に落ちる。
かわされた。
僕は、今度はすぐに立って赤い土を払い落とした。
ダッシュする。
男の子は少し僕が近づくのを待ってから走り出した。
僕は男の子の真後ろにいる。
こうなると僕は無敵だ。
何も考えなくなり、体が軽くなるのが感じられる。
視界が狭まって、男の子の背中しか見えなくなる。
他のどのものより、今、優先すべきは追いつくことだ。
僕は、ひたすら足が動くのを、黙って眺めている。
もし男の子が急に曲がっても、僕も曲がるだけだ。
ーー実際は、男の子は曲がらなかったけれど。
僕の体は、男の子の背中と糸でくっついている。
力を入れなくても、たとえ入れても、結果は変わらないと思う。
僕と男の子は、同じ距離を保ったまま、ずっと走り続けていた。
ふふ、と僕のすぐ隣で笑い声がした。
首がそっちの方向に向いてしまう。
黒猫だ、僕の足は急激に回らなくなる。
同時に激しい動悸とめまいがして、足が少し傷をつけられたみたいに痛くなって、地面にへたり込んでしまった。
「あれ?ほんと、おっせーと思ってたら、もうダメなのな。今までどうやって生活してたんだよ」
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