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本編

海初日、夜の出来事

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昨日、あの後。
私は水着からシンプルな白いワンピースに着替えて、海の幸を堪能した。

帆立にサザエ、お刺身。
醤油があって良かったよ。
海を渡った先にある東方の国から輸入したものなんだって。
醤油最高。懐かしの味。

食べた瞬間、あまりの美味しさに感動してしまい、涙目になった私を見て、伯爵令嬢トリオが友人になりましょうと申し出てきた。


『そんなに感動していただけるなんて、私、今までアリス様を誤解しておりましたわ!!』

『昔の無礼を、どうかお許しになって?実はせっかく招待しても、ここでの食事に手をつけない方も多いんですの』

『私達、共に互いの伯爵領を盛り上げようと頑張っているのですが、ハドリー伯爵領の海の幸はその最たるものですの!!』


どうやらこの伯爵令嬢トリオ、普通の貴族令嬢より、自領の発展をよく考えているようだ。ハドリー伯爵領では海産物を、ハンネス伯爵領では美容品を、ハンク伯爵領ではそれらを服飾品と流通業に力を入れているらしい。

え。
君達はもしかしてアレですか?
モブとして異世界転生して成り上がっていく系の人達ですか??


『アリス様、実は折り入ってご相談したい事がございますの!』

『いまやアリス様は、聖女として周囲に認知され始め、アリス様の知名度はうなぎ登りですわ!』

『是非とも私達の広告塔になって下さいませ!!殿下達へ海の幸の事を話し、社交界で美容品の事を宣伝し、普段着に私共のプロデュースした服を御召しになられて下さいまし!!』


そ れ が 狙 い か !!!

本当に図太いな君達は。
マリアーノ様に入ってた転生者もびっくりの図太さだよ。
貴族令嬢じゃなく、商人になった方がいいよ。


『申し訳ございません。目立つのは苦手ですし、流石に広告塔というのは……』

『承知して下さるのなら、毎年このプライベートビーチにご招待致しますわ!!海の幸も食べ放題でしてよ!!来年には身体のマッサージをしたりする美容施設も出来ますので、そちらも是非ともご利用していただきたいですわ!!』


食べ放題?!
毎年食べ放題?!
海の幸が毎年……?!

前世で熱海に旅行へ行った時、焼きサザエが一個500円だったけど、それが食べ放題?!というか、帆立もアワビも海鮮丼も?!
そして美容施設って、エステじゃないの?!それエステだよね?!


は、話が美味しすぎる……
本当に?

私がゴクリと生唾を飲み込んで真剣に考え込んでいると、横からアルとマックスがジト目で私を見つめてきた。

……その目は一体なんでしょうか。


『すみません、姉上は少々疲れているようなので、この返事はまた後日』

え?!
こんな美味しい話、今を逃したらもう無いかもしれないのに?!

『アルの言う通りですね。アリスは疲れているようなので、今夜はもう休みましょう』

ちょ?!
マックスも何言い出しちゃったの?!私、疲れてないよ!海にも入ってないし、全然疲れてないのに!!

『そうですか。ではお返事はまた今度という事でお願い致しますわ。良い返事を期待しております』

えっ?えっ?
ちょ、なんでなんで?!
マックス?!なんで自然な感じにお姫様抱っこするの?!

『ああ、アリス様!水着も毎年新作をお贈り致しますわね!今日は布で隠しておられましたけど、とてもお似合いでしたもの!!』


『それはいらないからっ!!!』
『それはいりませんからっ!!!』


おうふ。
アルとマックスがシンクロした……



* * *

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