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本編

悪役令嬢再び*マリアーノside*

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この馬鹿女は何を言っているのかしら。
『貴女は誰なの?』って、今さっき自分で言ってたじゃない。


「おかしな事を言うのね。私はパルティンヌ公爵家のマリアーノよ。それで本題なのですけれど、貴女、昨日フィーに色目を使ったでしょう?」

「……使ってませんけど」


ムカッ。
とぼけないでよ!ちゃんと知ってるんだから!!


「嘘はいけませんわ。入学式で、ひたすらフィーを見つめていたでしょう?王族の方に不敬ですわよ。それに、フィーは私の婚約者。立場をわきまえなさい!」

「え。いえ、それは……なんて言うか……」


ふふん。本当の事を言われて言い返せないなんて滑稽ね。


「はぁ?アンタ何言って……」

「ちょ、アル!駄目よ……!」

「アリスは黙ってて。パルティンヌ公爵令嬢、殿下は在校生代表として壇上に上がっていたのでしょう?それを見るなとは、些か横暴では?」

「アル?アルですって?」


ちょっと待って!
やたら背の高いイケメンがいると思っていたけど、まさかこの子がアルフォンスなの?!


「貴方がアルなの?」

「……そうですが?というか、僕達初対面ですよね?何故愛称で呼ぶのですか?」

「何故は此方の台詞だわ。貴方、一体どうして……ああ、それもこの女のせいなのね?」


本来ならロリショタの可愛らしいアルが、こんなに雄っぽくなってるなんて!!これはこれで格好良いけど、ロリショタだって必要よ!!きっとこの馬鹿女に魅了の魔法を使われて、本来のルートから外れてしまっているんだわ!!
私が何とかしてあげなくちゃ!!


「……ねぇ、この女って、まさか僕の姉上の事じゃないですよね?」

「ふふ、そんな堅苦しい言い方はお止めになって?私、アルとはお友達になりたいと思っていますのよ?」

「意味分かんない。それより、さっきのこの女って……」

「あ、アル、抑えて……」


あら可愛い。
アルの顔が赤くなったわ。私に友達になりたいと言われて照れてしまったのね。やっぱり中身は可愛いままなんだわ。

悪役令嬢は、相手にきちんと駄目な所を注意すれば、馬鹿なヒロイン以外はちゃんと分かってくれる筈。
王族であるフィーをあんなに不躾に見つめるなんて、色目以外のなにものでもないわ!!
それに、可哀想なアル。魅了の魔法のせいで、この女が間違っていても庇ってしまうのね。この女には一刻も早く退場してもらわなくちゃ!


「とにかく、私は忠告致しましたわよ。フィーは私の婚約者。人の婚約者に色目を使ってはならないと、よく覚えておきなさい!」


まずは状態異常を解除出来るアイテムを攻略対象者達につけさせなくちゃならないわね。既にいくつか用意出来ているし、後はある程度仲を深めてからプレゼントすればいい。イベントをいくつかこなして好感度を上げればすぐだもの。

さぁ、言うべき事は言ったし、早く教室に戻って攻略ノートを確認しなくちゃ。次のイベントは確か……


「待って下さい、マリアーノ嬢」


もう!忙しいのに誰よ?!


「なんですの?!私、今急いで……」

「失礼。貴女は今、この国の第一王子をご自分の婚約者だと仰られましたか?」

「そうよ!だから一体なん……」


え?
あれ?どうしてこんな所に、この人が……??


「それは異な事を仰る。第一王子である私の兄上・・は、まだ誰とも婚約していなかった筈ですが?」

第二王子・・・・エルオット殿下・・・・・・・!」


どうして身体の弱いエルがこんな所・・・・に居るのよおおおお?!



* * *

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