【R18】乙女ゲームの主人公に転生してしまったけど、空気になれるように全力を注ごうと思います！！

本編

why？

魔法書が届いた。


もう一度言おう。
魔法書が届きました！！！


ニールたんには怖くて訊けなかったけど、コレさえあれば自分で調べられるっ！！
今日こそは呪い（魅了の魔法）を解く足掛かりを得てみせる！！


さてさて！早速読んでみますかね！


＊ ＊ ＊



「あれ？……あの、お父様。アリス姉さまは一体どうしたんですか？凄く嬉しそうですが」

「ああ、アル。アリスはね、魔法書が届いて嬉しいのさ。我が家に引き取ってからしか知らないが、アリスは恐ろしい程に勉強熱心でね。侯爵家の娘として恥じない人間になれるよう努力しているのか、単に知識欲に貪欲なのか……」

「きっと侯爵家の娘として努力しているんですよ！流石はアリス姉さま！！」

「ああ、そうかもしれないね」

「お父様！僕もアリス姉さまのように、侯爵家子息として恥じない人間になれるよう頑張ります！」


まだ６歳であるアルフォンスの決意を聞いて、アダムは一瞬だけ驚いた顔を見せた後、目元を和らげて優しく微笑んだ。アルフォンスの頭をいつものように優しく撫でる。


「私はアリスとアルフォンスと出会えて、本当に良かった。二人が私の子供になってくれて、本当に嬉しい。……先に逝ってしまった私の妻も、君達二人の事を喜んでくれているだろう」

「お父様……」


二人が涙を滲ませながら笑みを溢して話している時。アリスもまた、その瞳に涙を滲ませていた。




―――なんて事なの。


前世の記憶を取り戻してからというもの、それまで何となくしか解らなかったこの国の文字も死に物狂いで覚えた。難しい古代語も、魔法の為には必須だからと、めっちゃ頑張って習得した。

故に、魔法書はちゃんと読める。
意味だって理解出来る。
出来る、が―――


「意味分かんない……」


私は呪い（魅了の魔法）について書かれているページを見て、愕然とした。そこには信じたくない事が書かれてあったから。

…………………………………………

【魅了の魔法】

精神干渉系。闇属性魔法。
異性に対し効力を発揮するこの魔法は、危険過ぎる為に許可なく使用する事は禁じられている。無断で使用した場合、国家反逆罪として処刑される。

…………………………………………


おうふ。
待て待て待て待て。

処刑？
why？

え、問答無用で処刑？？

確かに危険だよ？分かる分かる。例えば王族だったり、国の重鎮である貴族達が魅了されたらヤバイもんね？分かってたよー分かってたから私も色々努力してた訳なんだけど……


国家反逆罪として処刑？
ギロチン？
へー？

…………

ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ？！！！！
処刑いいいいいいいいい？！！


ヤバイじゃん！！！
あの馬鹿は王子だし、お父様は侯爵閣下だし、ニールたんは国のめちゃめちゃ凄い魔法使いだし、もう私死刑確実じゃんんんんんん！！！

こんなところで死亡フラグ来ちゃったよ！！私一応ヒロインだよ？！悪役令嬢じゃないんだよ？？
なのに逃れられない死亡フラグ！！


「……は……」


私の目頭が熱くなったと思ったら、すぐに視界は滲み、涙が頬を伝った。私は私の意志で発動させていない、この呪いのせいで処刑されるのか……
制作スタッフの皆々様。お前らがこんな呪いをヒロインに付与せず、地道に努力して愛を掴みとる乙女ゲームを作っていればこんな事にはならなかったのに。
制作時間が足りなかったのか？それとも少女漫画のヒロインご都合主義が好きだったの？

というか、この魔法書。魅了の魔法について危ないって事と使ったら処刑としか書かれてないってどゆこと？？
危険だから呪文や使用方法は秘匿されてるって事かな。他に分かる事と言ったら、予想通りの精神干渉系って事と闇属性…………

え？


「闇属性？」


おかしい。
確かこのゲームのヒロインは、やっぱり乙女ゲームのヒロインあるあるで希少な『光属性』だった筈だ。闇なんて持ってる筈ない。


「……なんで？」



＊ ＊ ＊