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第1章 旅立ちは1人で
5 買い出し
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翌朝、すべてをリュックに詰めて持ち、宿を引き払って買い物に出た。
開拓用の杭はギルドで買えるが、かさばるので岡山村で買えばいいだろう。
今から行くのは、都会にしかない大手魔道具メーカーの直売所だ。
冷蔵庫に洗濯機、強火力コンロ、自炊するなら欲しいものは数々あるが、今はまだ家もない状態なので、追々買い集めることにする。
とりあえず、冷蔵庫よりは安いクーラーボックスを一つ買った。セットする魔石の種類によって、冷凍にも冷蔵にも、保温にもなる便利グッズだ。
そして家を作るのに必要な、魔動工具セット。
細い木ならばウインドカッターかウォーターカッターで切れるが、太い木だと魔力の消耗が激しくて実用的でない。そこで魔動ノコギリだ。最新式のは、エアジェット方式でパワーと使い勝手が向上して、慣れれば木を縦に割って板にもできるらしい。
金槌と釘、ボンドなどの小物は後で雑貨屋で買う予定。
そして、魔動サンダー。雷ではなく、研磨用の工具だ。
最後に魔動ドリル。先端のビットを付け替えればネジ回しから穴あけまで、応用の利く工具だ。もちろん岡山村にも売っているだろうが、最新機器はこの直営店にしかなく、なんとサンドブラスト機能付きだ。
使うかどうかわからない機能だが、魂がその最新機を買えと叫んでいる。そんな時コイルは、ろくに思い出せない前世に思いを馳せるのだった。
旅に絶対に欲しいのが、荷馬車だ。王都トウキョウから各都市へは、アスファルト舗装こそされていないがきれいに整備された青い街道が通っている。魔動車も売られているが、それこそ超高級品なうえ、維持費もばかにならない。その点、荷馬車はお買い得価格で売られている。
なぜ魔道具メーカーかというと、木で作られた簡素な幌付き荷馬車なのだが、重量軽減の魔法がかけられていて、燃料庫に魔石をたくさん突っ込めば、一頭のロバで数トンの荷物を運べる優れものなのだ。しかもたったの50万。お買い得だね。
ただし、燃料の魔石はかなり使う。途中で狩ることができればいいが、ギフトのせいで全く魔物に出会わない可能性もあるので、念のため10万円分の魔石も買い、積み込んだ。
動力は、速度は出ないが温厚で育てやすいロバ。魔物ではなく、動物だ。
魔道具メーカーのはす向かいにある騎獣屋で買った。
「この子、名前はありますか?」
「いや、お客さんが好きにつけたらいいよ。」
「そう。ありがとう。じゃあロバだからポックリ……は死にそうだから、ポックルにしよ。よろしく、ポックル」
「名前もらえて、良かったな、ポックル。お客さん、これ、サービスで荷馬車に入れとくよ。ポックルの餌、三日分。その辺の道端の草も食べるけど、餌のない地域もあるから。三日分の携帯食は旅行者の常識だからな。」
さりげなく、冒険者の心得を注意してくれたらしい。
「ありがとう、おじさん。じゃあ、またね!」
ポックル一頭、18万円。
次に雑貨屋で、釘なんかの消耗品や、毛布、タオル、テントにもなりそうな大きな防水布を何枚か買い込んだ。
最後に食料品を一週間分ほど買い込んでクーラーボックスに入れ、いよいよ出発だ。
開拓用の杭はギルドで買えるが、かさばるので岡山村で買えばいいだろう。
今から行くのは、都会にしかない大手魔道具メーカーの直売所だ。
冷蔵庫に洗濯機、強火力コンロ、自炊するなら欲しいものは数々あるが、今はまだ家もない状態なので、追々買い集めることにする。
とりあえず、冷蔵庫よりは安いクーラーボックスを一つ買った。セットする魔石の種類によって、冷凍にも冷蔵にも、保温にもなる便利グッズだ。
そして家を作るのに必要な、魔動工具セット。
細い木ならばウインドカッターかウォーターカッターで切れるが、太い木だと魔力の消耗が激しくて実用的でない。そこで魔動ノコギリだ。最新式のは、エアジェット方式でパワーと使い勝手が向上して、慣れれば木を縦に割って板にもできるらしい。
金槌と釘、ボンドなどの小物は後で雑貨屋で買う予定。
そして、魔動サンダー。雷ではなく、研磨用の工具だ。
最後に魔動ドリル。先端のビットを付け替えればネジ回しから穴あけまで、応用の利く工具だ。もちろん岡山村にも売っているだろうが、最新機器はこの直営店にしかなく、なんとサンドブラスト機能付きだ。
使うかどうかわからない機能だが、魂がその最新機を買えと叫んでいる。そんな時コイルは、ろくに思い出せない前世に思いを馳せるのだった。
旅に絶対に欲しいのが、荷馬車だ。王都トウキョウから各都市へは、アスファルト舗装こそされていないがきれいに整備された青い街道が通っている。魔動車も売られているが、それこそ超高級品なうえ、維持費もばかにならない。その点、荷馬車はお買い得価格で売られている。
なぜ魔道具メーカーかというと、木で作られた簡素な幌付き荷馬車なのだが、重量軽減の魔法がかけられていて、燃料庫に魔石をたくさん突っ込めば、一頭のロバで数トンの荷物を運べる優れものなのだ。しかもたったの50万。お買い得だね。
ただし、燃料の魔石はかなり使う。途中で狩ることができればいいが、ギフトのせいで全く魔物に出会わない可能性もあるので、念のため10万円分の魔石も買い、積み込んだ。
動力は、速度は出ないが温厚で育てやすいロバ。魔物ではなく、動物だ。
魔道具メーカーのはす向かいにある騎獣屋で買った。
「この子、名前はありますか?」
「いや、お客さんが好きにつけたらいいよ。」
「そう。ありがとう。じゃあロバだからポックリ……は死にそうだから、ポックルにしよ。よろしく、ポックル」
「名前もらえて、良かったな、ポックル。お客さん、これ、サービスで荷馬車に入れとくよ。ポックルの餌、三日分。その辺の道端の草も食べるけど、餌のない地域もあるから。三日分の携帯食は旅行者の常識だからな。」
さりげなく、冒険者の心得を注意してくれたらしい。
「ありがとう、おじさん。じゃあ、またね!」
ポックル一頭、18万円。
次に雑貨屋で、釘なんかの消耗品や、毛布、タオル、テントにもなりそうな大きな防水布を何枚か買い込んだ。
最後に食料品を一週間分ほど買い込んでクーラーボックスに入れ、いよいよ出発だ。
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