りさと3人のDoctors

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合格発表

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そして、2月の2次試験も無事に終わり、今日はいよいよ合格発表の日。



朝10時。

憧れのノワール国際医科大学はノワール国際病院と隣接している。

先生たちはみんな仕事なので、りさはひとりで結果を見にやってきた。

合否の結果は、ひとりで確認した後に医局へ行って伝えることになっている。



少し前に合格者の番号が開示されて、周囲からは歓声や泣き声が聞こえてくる。

そんな中、りさは自分の受験番号を必死に探した。










***



ドタドタドタドタ——





見慣れた外科病棟。

だけど来るのは少し久しぶり。

ナースステーションの前を通ると、看護師さんが声をかけてくれた。





看護師「あら、りさちゃん?ちょっと待ってね、先生呼んできてあげるわね」





そう言って、入院したときに何度か会ったことのある看護師が医局にいる先生たちを呼んでくれた。

椅子に座って待っていると、蒼と豪と蓮がすぐに出てきた。





「「りさ!」」





先生たちはすぐにりさの元へ駆け寄った。

りさは椅子からバッと立ち上がる。





りさ「先生……」


蒼「りさ……?どうだった……?」





りさは先生たちの顔を見るなり、俯いてなかなか結果を言わない。





蓮「りさ、もしかして……」





と蓮が言った時、りさは大きく首を横に振って顔を上げた。

りさの目からは涙が溢れてる。





りさ「……受かってた。わたしの番号、ちゃんとあった……ノワール合格した。うぅ、うわ~ん」


蒼「本当か!?りさ!おめでとう!」





蒼はすぐにりさを抱きしめた。





蓮「よかったねりさ!!おめでとう!!これで、りさもお医者さんの卵だ」


豪「俺はりさは絶対合格するって思ってたぞ。よかったな、りさ。おめでとう」





先生たちはすごく喜んでくれて、周りにいた看護師もおめでとうと、りさに祝福の言葉をかけてくれた。





蒼「……ところで、りさ?もしかして、ここまで走ってきた?さっきからなんか肩で息してない?」


蓮「そういえば、なんかはぁはぁ言ってるね。泣いてるとかじゃなくて」


りさ「は、走ってないよ……」





と言った瞬間、りさはふっと膝の力が抜けて蒼に思いっきりもたれかかった。





蒼「りさ!?」


りさ「ちょっと、疲れた……はぁはぁ……」


蒼「豪、今って特別室空いてたよな?」


豪「あぁ」


蒼「りさ、ちょっと部屋行こう」





と言うと、蒼はりさを抱き上げて特別室に連れて行った。










ベッドに寝かされたりさは、そのまますぐ蒼の聴診を受けた。





蓮「ねぇ、りさ本当に走ってない?」


りさ「コクっ……」





りさが頷くと、豪がりさのおでこに手を当てる。





豪「りさ、また熱あるぞ?」


蒼「胸に少し雑音がある。りさ、しんどいでしょ?
なにしたの?ここまで走ってこなかった?」





3人の目が突然怖くなって、りさは正直に答えた。





りさ「は、走ってきた……うれしくて、早く先生たちに伝えたくて……」


蒼「バカ!いつもいつも走るなって言ってるだろ!?隣とはいえ、ドアtoドアじゃ大学からここまで歩いても20分くらいかかるんだから。そんな距離走ったらしんどくなるに決まってる!」


りさ「ご、ごめんなさい……」





せっかく合格して喜んでたのに、蒼に怒られることになってりさは今度は悲しい涙を流した。





蓮「も~。せっかく合格して喜んでたのに。なんでりさ走ってきちゃったの?蒼兄に怒られるのわかってたでしょ?」


りさ「はい……」


豪「りさはこれから医者になるんだぞ?自分の体調管理できないとダメだろ」


りさ「はい……」





先生たちの言うことが正論すぎて、りさはまったく反論できなかった。





蒼「発作起きるといけないから、もう今日はこのまま入院するよ。俺ら3人とも当直で今日は家帰れないし」


りさ「え……入院するほどでもないと……」


蒼「ダメ!いつも言ってるのに走るりさが悪い。受験も終わったし、ゆっくり体を休めること。大学入ったらもっと大変なんだからな?」


りさ「はい……ごめんなさい……」


蒼「あとでまた来るから、とりあえずこのまま少し寝てて」





そう言って、蒼は最後は優しくりさの頭を撫でて、先生たちは部屋を後にした。










***



りさ「ケホッ……ケホケホッ……」





先生たちが部屋を出た後、りさはしばらく目を閉じてそのまま眠っていたが、突然、咳が出てきて目を覚ました。





りさ「ケホケホッ……」





やばい……発作になりそう……。





と思いながら咳き込んでいると、蒼が部屋に入ってきた。





蒼「りさ!」


りさ「ケホケホッ……はぁはぁ……先生……」





蒼はりさの体を起こして背中をさする。





蒼「落ち着いて、りさゆっくり深呼吸して」


りさ「はぁはぁ……ケホケホッ……ケホッ……はぁはぁ……」





少ししてりさが落ち着いてくると、蒼はりさをもう一度ベッドに寝かせ、体温を測り聴診した。





蒼「りさ、また熱高くなってきちゃってる。発作起きたらすぐ呼ばないと」


りさ「ごめんなさい……久しぶりでちょっと焦っちゃって」


蒼「センターの後も熱出ただろ?受験が終わって安心して、今までの疲れが一気に出てるんだ。しばらくは発作も起きやすくなってるから、ゆっくりするよ」


りさ「はい……」





せっかく大学受験が終わって、無事に医大に、それも、一番行きたかったノワールに合格したのに、りさはまた病院のベッドの上。

せっかくずっと元気だったのもあって、少ししょぼんとしてる。





蒼「そんな顔しないの。この数ヶ月間は元気に過ごせてたんだ。りさの体もだいぶ強くなってきてるし、喘息もそこまで酷くはないよ。ゆっくり休めば良くなるから、ね」





そう言って、蒼はりさのおでこにそっとキスした。


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