りさと3人のDoctors

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さすが蓮

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コンコンコン——


蓮「入るよ」





ドアを開けると、りさはソファーに座り俯いていた。

蓮は隣に座ると、いつものように優しくりさに話しかけた。





蓮「りさ、どうして治療そんなに頑張っちゃうの?本当はすごく痛いの我慢してるよね?蒼兄も心配してたよ。最近はずっと無理して大丈夫しか言わないって。りさがつらそうだって」


りさ「え……先生が……?」





りさは蒼の名前に反応し、それを見た蓮はなんとなくりさの変化に気づいた。





蓮「蒼兄となんかあった?」


りさ「……なんもないよ」





そういうりさは、どこか落ち着かずそわそわした感じで、なにかを悟られないように隠してるような感じだった。

蓮はりさになにがあったのか考えていると、りさの机の上にクマのボールペンが飾ってあるのを見つける。





ん?あれってたしか、蒼兄がお土産で貰ったって言ってたのと同じ……。

蒼兄、お揃いなんて言ってなかったけど、りさがこっそりお揃いにした?

ということは、好きって気づいたのか……?

そういえば、蒼兄は修学旅行のあとからりさが変わったって言ってたよな……。





さすが蓮だ。

医者より恋愛アドバイザーとかの方が向いてるくらいの名推理をみせた。





蓮「……りさ?もしかして蒼兄のこと好き…?好きだから、いいとこみせたくて、頑張ってるとこみせたくて我慢してるの?」


りさ「……!?」





蓮の核心をついた言葉にりさは固まった。





この反応はビンゴだな。

そういうことだったか……。





蓮「そっか。蒼兄のこと好きになっちゃって、それで無理して頑張っちゃってたんだな」





蓮は嘘のようにりさの気持ちを当て、りさは驚きとバレてしまった焦りと、気持ちをわかってくれる人がいるというほんの少しの安堵と……。

いろんな思いと涙が込み上げてきた。





りさ「うん……そうだよ、全部にぃにの言うとおり……。わたし、先生のことが好き……。ゆきちゃんに恋してるんだよって言われて、それから好きって思うと気持ちが止まらなくて。頑張れば頑張るほど、正直治療もしんどくなってきてつらいけど、でも先生のために頑張らなきゃって思って、痛くても痛いって言えなくなったの。つらいって伝えたくても、弱音吐いて嫌われたらどうしようとか思って言えないの。だからにぃににも嘘ついた……」





そうか、ゆきちゃんがりさに気づかせたんだ。

きっとりさが蒼兄のお土産に悩みまくってて、そういう話になったんだろな……。





蓮「そっか。りさの記念すべき初恋だね。好きな人ができると、突然世界が輝いて見えてなんでも頑張りたくなるよね。それも好きな人の前だと、振り向いてほしいし余計にね」





そう言って蓮はりさを抱きしめた。

りさは、蓮が嘘をついたことに怒らず、自分の気持ちをわかってもらえたことがうれしくて、申し訳なくて、ずっと涙を流している。





蓮「でもねりさ、治療は別だよ。気持ちはわかるけど、蒼兄にいいとこ見せようとかって無理するものじゃない。大事なりさの体のことだからさ。みんな、りさにつらい思いしてほしいくないのに、りさがそうやって無理しちゃうと、蒼兄もりさに痛い思いさせてるなとか、りさに嫌われないかなとか考えちゃうよ。それはりさだって嫌でしょ?」


りさ「わたし、先生にそんなこと思わせちゃってたの……?」


蓮「まだそこまで思ってないにしても、相当心配はしてるよ」


りさ「わたし、先生のこと嫌いどころかむしろ好きなのに。どうしよう……」


蓮「まずは無理しないこと。りさが頑張ってるのはわかってるから、りさのペースで治療すれば蒼兄も安心するよ」





ここで、りさは肝心なことに気づいた。





りさ「……にぃに?先生って、わたしが好きってこと知ってるのかな……?」


蓮「あ~、それはたぶん大丈夫。りさが好きって伝えてないなら、蒼兄はそういうの鈍感だから……。ただ、りさが最近頑張りすぎてどうしたのかなーとは言ってるよ。蒼兄は誰よりもりさのことよく見てるし気にしてる。もちろん医者としてだけど、それ以上にりさのことかわいくて仕方ないんだよ。それは俺や豪兄もね」


りさ「にぃに……。にぃにはどうしてわたしが先生のこと好きってわかったの?」


蓮「そりゃわかるよ、いつもりさのこと見てるんだから。にぃにはずっと知ってたよ。りさは昔から蒼兄が好きだってこと」


りさ「え……?」


蓮「りさはいつから蒼兄が好きと思ってるのか知らないけど、側から見てる限り、りさはずっと前から蒼兄が好きだった。蒼兄といるとうれしそうだし、会えないと寂しそうだし。それに、俺にはなんでも相談するのに、蒼兄にはしないでしょ?それって好きだから恥ずかしくてできなかったんじゃない?俺はお兄ちゃんみたいだからこそ、なんでも話せたでしょ?あとは、不安な時は、寝ながらでも蒼兄のことよく呼んでるしね」


りさ「えっ、じゃ、じゃあ豪先生にもバレてる?」


蓮「豪兄もまだ気づいてないと思う。でも蒼兄よりは鈍感じゃないからそろそろ気づくかもね。あ、姉ちゃんは絶対気付いてるよ。ほら、前に帰ってきたとき、りさと蒼兄がお似合いとか言ってたじゃん?あれは絶対わかってて言ったね」


りさ「そ、そんな……」


蓮「ははっ。まぁ姉ちゃんと俺に隠すのは無理だな~。……ねぇ、りさ?俺から今日の話を誰かにすることはないけど、治療だけは無理しないって約束して?りさがいつも頑張ってることは俺たちみんなちゃんとわかってるから。これからも治療は続くんだから、焦らずりさのペースでしてほしい。りさが痛いつらいって言ったって、蒼兄は決してりさが怠けてるなんて思わないし、むしろ蒼兄もそれを1番望んでるよ」


りさ「はい。にぃに、ごめんなさい……ぐすん」


蓮「んも~、泣かないの。本当にりさは泣き虫なんだから。それに謝ることでもないからね。恋をするって幸せだけど、同時に悩みもたくさんできるんだ。だから、悩んだ時はこれまでみたいに、またにぃにに相談しておいで。ひとりで抱えて苦しくなる前にね」


りさ「うん。にぃにありがとう」





なんでも相談できて、なんでも解決してくれる蓮。

蓮に抱きしめられながら、りさは蒼とはまた別の好きな気持ちと感謝な気持ちを噛みしめていた。



そして、その後の治療でりさが無理することはなくなり、りさのペースで順調に治療を進めることができていた。


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