113 / 232
不安定な情緒①
しおりを挟むそれからひと月半。
学校の健康診断があったり、次の定期健診もあったけど、貧血の数値も少し上がってたし、身体の調子はしばらく良かった。
2年生最初の定期テストも終わって、
五条「身体も頭も良くなってるな、この調子だ」
なんて、五条先生に言ってもらったりもした。
なのに、梅雨も本番を迎え、毎日のように雨が降るここ最近。
なんだかこの天気に合わせるように、わたしの体調も悪くなってて……
***
あぁ……気持ち悪い……。
3時間目の授業中、また吐き気に襲われた。
最近いつもこうで、しょっちゅう吐き気が起こる。
ちょうどお腹が空き始めるせいかな、なんて言い聞かせて耐えるけど、お昼を食べても変わらず。
そのうち食欲も出なくなって、ご飯が食べられない。
友達「ひーちゃん、おにぎり一つ……?」
一緒にお昼を食べる友達も心配してくれる。
ひな「うん、ちょっと食欲なくて……」
友達「大丈夫……?ここ最近、具合よくないんじゃない?」
ひな「雨ばっかりで気分が下がってるのかも(笑)大丈夫だよ!」
なんて言いながら、薬を飲むためになんとかおにぎりは食べきった。
そして、下校する頃にはまたひどい吐き気が……
夏樹「ひなの……?」
……っ、しまった……。
下駄箱で靴を履いてると、夏樹くんに会ってしまった。
教室出る時は会わないように気をつけたのに。
夏樹「具合悪いんだろ?顔色悪いぞ。先生に言ってるか……?」
これ、言ってないって言ったらチクられる……
ひな「うん、五条先生には伝えてあるよ!」
夏樹「……そうか。ひとりで帰れるか?って俺も部活なんだけど」
ひな「大丈夫大丈夫。また明日ね!」
もちろん、本当は言ってない。
それに、五条先生はここのところ当直ばかり。わたしが学校行ってる間に帰ってきて、学校から帰る頃にまた家を出てる。
だから、具合が悪いことはまだバレてない。
夏樹くんにチクられるわけにいかなくて、なんとか気丈に振る舞って家に帰ってきた。
けど……
ひな「うっ……気持ち悪っ……」
家に着いて気が緩んだのか、ついにトイレで吐き出してしまった。
はぁ……なんでだろう……。
またどこか悪いの……?
一頻り吐いた後、1人不安になりながら、フラフラとリビングへ行きソファーへ横になった。
さすがに五条先生に言わないとまずいかな。
でも病院行こうってなるのは嫌だし、正直に話せば話すほど、治療とか入院とか嫌なことばっかりになるし……。
なんて考えながら、わたしは夢の中へ。
そして、次に目が覚めると、窓の外には太陽が。
やばっ!!もう朝!?今何時!?
慌てて起きると、6時過ぎ。
セーフ……って思ったけど、昨日帰ってきたまんまで寝てるじゃん!と急いでシャワーをしにバスルームへ。
すると、
ひな「あ……」
パンツに血がついてて、生理が始まってた。
まだ量が少ないからさっき始まったんだなと、シャワーのついでにパンツも手で洗う。
そんなこんなしてたら時間がギリギリになってしまい、朝ごはんも食べず薬も飲まず、制服に着替えたら速攻で家を出た。
そして昼休み。
朝ドタバタしたせいで、薬を忘れたことに気がつく。
朝も飲んでないのにさすがにやばいと思い、こればかりは正直に言おうとLIMEを開いたら、
"朝薬飲んでないだろ?"
"昼の分も持って行ってないだろ?"
と、すでに五条先生からメッセージが……。
薬はお薬カレンダーに入れてあるから、家に帰った五条先生にバレたよう。
五条先生がお薬カレンダーを用意したのは、こんな風にわたしがちゃんと飲んでるか確認するためだったんだと、高2になってようやく気がついた。
"ごめんなさい。寝坊して、朝も昼も薬を忘れました。反省しています。"
と、謝罪メッセージを送信。
"藤堂先生には伝えとく"
"今日も夜一緒にいられないから、夜は忘れずに必ず飲みなさい。"
と、すぐに返事が来た。
そして、夜は忘れずに薬を飲んで、お風呂にも入ってちゃんとベッドへ。
そういえば、今日は久しぶりに吐き気がなかった気がするけど、たぶん生理のせいだったんだよね?
なんだ、治ってよかった!
と、1日を振り返りながら眠りについた。
そして翌朝。
起きてリビングに行くと、いつの間にか帰ってきてシャワーを浴びたところであろう五条先生が。
五条「おはよう」
ひな「五条先生!おはようございます!」
少し久しぶりだったから、うれしくて声も弾む。
すると、
五条「気分が悪いのはいつからだ?」
ひな「え?」
五条「いつから具合悪かった?ご飯も食べれてないんだろ?吐き気はいつから?」
あ……これは、もう……夏樹くんだ……。
ひな「あ、あの……えっと……」
五条「俺がいて気づかなきゃ自分から言えないのか?藤堂先生との約束破るの何回目だ?だいたい自分が1番辛い思いするのになんで我慢する?」
久しぶりに会ったのに、いきなり怒られて涙が……
ひな「ごめんなさい……」
五条「泣かせたいんじゃなくて、ひなが心配だから言ってるんだ。今回みたいにどうしても会えない時間が続くことだってあるだろ。そんな時はひなが自分で声を上げてくれないとさすがにわからん」
朝から正論のシャワーを浴びせられて、何も言い返すこともなくて、ただただ涙だけ流し続けた。
五条先生も言うべきことは言ったのか、お説教タイムは終わったみたいで、
五条「で、今はどうなんだ?今朝も気持ち悪いか?」
って、今度は泣いて立ち尽くすわたしの前にしゃがみ込んで、優しい五条先生に。
ひな「フリフリフリ……今は大丈夫です。具合が悪くなり始めたのは1週間前くらいからで、一昨日は帰ってきてから一度吐きました。でも、そのおかげか昨日は気持ち悪くならなかったです。もう治りました」
五条「治ったかどうかはわからんが、原因は調べとこう。体温もいつもより高いし、病院行くぞ」
って、首元に触れながら言う五条先生。
ひな「え?でも学校行きたい……。今は本当に元気なんです。あっ、そうだ、生理なんです。昨日の朝、生理になったから気持ち悪かったんです、きっと」
五条「なんでそれを早く言わないんだよ……昨日すぐ言わんか……」
ひな「ごめんなさい。薬忘れたから言いにくくて……」
五条「生理痛は?しんどくないか?」
ひな「はい。今のところ大丈夫そうです」
五条「そしたら学校終わってから病院だぞ。いいな?」
ひな「え?でも、宇髄先生が生理の検査はもう必要ないって……」
五条「生理どうこうじゃなくて、こんなに吐き気が続くことあったか?どっちにしろ調べとかないとダメだ。学校終わりでいいから、な?」
ひな「はい……」
と約束をして、学校に行く支度も済ませて朝ごはん。
五条「はい、薬」
ご飯を食べ終わると同時に、五条先生がテーブルに薬を置く。
ひな「ありがとうございます……」
五条「昼の分も持って行くの忘れるなよ」
ひな「はい……」
と、朝の薬を飲んで、昼の薬はかばんにしまった。
そして、時間になってそろそろ家を出ようかという時、
うっ……吐きそう……!
なぜか急に吐き気に襲われて、トイレに駆け込んだ。
ひな「オェッ……ケホケホ……オェッ……」
そして、その様子をがっつり五条先生にも見られてて、トイレのドアを開ければ、五条先生は腕を組んで仁王立ち。
五条「吐いたな」
ひな「……吐きました」
五条「学校休め」
ひな「はい……」
と手を引かれて、気づけば病院に。
4
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
石女を理由に離縁されましたが、実家に出戻って幸せになりました
お好み焼き
恋愛
ゼネラル侯爵家に嫁いで三年、私は子が出来ないことを理由に冷遇されていて、とうとう離縁されてしまいました。なのにその後、ゼネラル家に嫁として戻って来いと手紙と書類が届きました。息子は種無しだったと、だから石女として私に叩き付けた離縁状は無効だと。
その他にも色々ありましたが、今となっては心は落ち着いています。私には優しい弟がいて、頼れるお祖父様がいて、可愛い妹もいるのですから。
婚約者の浮気を目撃した後、私は死にました。けれど戻ってこれたので、人生やり直します
Kouei
恋愛
夜の寝所で裸で抱き合う男女。
女性は従姉、男性は私の婚約者だった。
私は泣きながらその場を走り去った。
涙で歪んだ視界は、足元の階段に気づけなかった。
階段から転がり落ち、頭を強打した私は死んだ……はずだった。
けれど目が覚めた私は、過去に戻っていた!
※この作品は、他サイトにも投稿しています。
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
愛されなかった公爵令嬢のやり直し
ましゅぺちーの
恋愛
オルレリアン王国の公爵令嬢セシリアは、誰からも愛されていなかった。
母は幼い頃に亡くなり、父である公爵には無視され、王宮の使用人達には憐れみの眼差しを向けられる。
婚約者であった王太子と結婚するが夫となった王太子には冷遇されていた。
そんなある日、セシリアは王太子が寵愛する愛妾を害したと疑われてしまう。
どうせ処刑されるならと、セシリアは王宮のバルコニーから身を投げる。
死ぬ寸前のセシリアは思う。
「一度でいいから誰かに愛されたかった。」と。
目が覚めた時、セシリアは12歳の頃に時間が巻き戻っていた。
セシリアは決意する。
「自分の幸せは自分でつかみ取る!」
幸せになるために奔走するセシリア。
だがそれと同時に父である公爵の、婚約者である王太子の、王太子の愛妾であった男爵令嬢の、驚くべき真実が次々と明らかになっていく。
小説家になろう様にも投稿しています。
タイトル変更しました!大幅改稿のため、一部非公開にしております。
え?そちらが有責ですよね?
碧桜 汐香
恋愛
婚約者に浮気をされているはずなのに、声の大きい婚約者たちが真実の愛だともてはやされ、罵倒される日々を送る公爵令嬢。
卒業パーティーで全てを明らかにしてやります!
何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします
天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。
側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。
それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる