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大事な生理②

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そして、生理が終わって定期健診の日。

まずは藤堂先生の健診から。





藤堂「ひなちゃん、こんにちは」


ひな「こんにちは」





今日は宇髄先生の検診があるせいか、普段は緊張する藤堂先生の診察はあまり緊張してない。





藤堂「この後、宇髄先生の診察も受けるんだよね。じゃあ、ささっと終わらせようか」





と、五条先生からすでに伝わっている生理のことを詳しく聞かれ、その他変わったことはないかも聞かれ、血液検査や呼吸機能の検査などなど……

1時間くらいかかったけど、慣れた検査に気持ちとしてはあっという間に終わってしまった。





藤堂「喘息は落ち着いてるね。ただ、貧血はまた数値が下がってよくないかな。生理があったから仕方ないけど、お薬しっかり飲んで、しばらくは目眩や身体の疲れが出やすくなってるから注意してね」


ひな「わかりました」


藤堂「そしたら、ひなちゃん次は婦人科ね。外来の行き方わかるっけ?1回外出て、産婦人科のエントランスから入ってね。あとは、受付の人に聞いてごらん」


ひな「はい。ありがとうございました」





これで、藤堂先生の診察は終わり。

一旦病院の外に出て、産婦人科へ向かった。










産婦人科へ入ると、中は相変わらず高級ホテルのロビーみたい。





ひな「ぁ、あの……検診に来ました……」





この産婦人科独特の雰囲気に緊張して、消え入りそうな声で診察券を受付の人に渡すと、





受付「こんにちは。栗花落さんですね。5番でお呼びしますので、かけてお待ちください」





と、優しいお姉さんに番号札を渡されて、待合室の端っこの椅子に座った。



周りにいるのは大人ばかり。

お腹が大きい人もそうでない人も、彼氏か旦那さんと来てる人も。いろんな人がいるけど、制服着た高校生なんてわたしだけ。

すごく浮いてる気がして、これだから婦人科検診なんて……と俯いたまま、じーっと順番が来るのを待った。



そして、





「ひなちゃん」





少しして聞こえたのは、番号じゃなくてわたしの名前。

聞き慣れた声にパッと顔を上げたら、宇髄先生が。





宇髄「ごめんね、遅くなって。待たせちゃったな」





ん?と思ってモニターを見ると、呼ばれる順番が前後してたみたいで、もう7番の人が診察を終えていた。

宇髄先生はどの科目も診てるけど、さすがに外科以外の外来を担当することは稀なようで、いつもわたしのためにわざわざ来てくれてるそう。





ひな「大丈夫です。ぼーっとしてたので(笑)」


宇髄「ははっ。よし、診察室入ろうか」





と、宇髄先生について行って診察室へ。

まずは椅子に座って問診から。





宇髄「ひなちゃん生理きたってね。4月の23から29日か。ちょうど1週間だな」


ひな「はい」





さっき、藤堂先生の診察で答えた情報……と言ってもほとんど五条先生が伝えてくれてたけど、宇髄先生の手元にもあるみたい。

さすがです……。





宇髄「最後に来たのは……去年の7月、手術前だったか。結構久しぶりだったな」


ひな「はい」


宇髄「量はどうだった?多かった?」


ひな「量……は、えっと……」


宇髄「前と比べてどうだったかはわかる?」


ひな「覚えてないです……」


宇髄「ナプキンどのくらい使った?1日で何回変えたかな?」


ひな「え、えっと……何回かな……」





藤堂先生には生理の間の身体の調子を聞かれたけど、宇髄先生には生理そのもののことを、次から次へと具体的に聞かれる。

自分のことなのに、わたしはちっとも答えられない。





ひな「ごめんなさい……わかりません……」


宇髄「そうか。たくさん聞いてごめんな。でも、それだけ生理は女の子にとって大事なんだ。生理はな、血の量や色の変化で身体の調子も教えてくれるんだよ。次からは意識して見ておいてな」


ひな「はい」


宇髄「それと、今は五条先生から聞いてるけど、いつ生理が来ていつ終わったか、自分では記録してるかな?」


ひな「あ、はい。えっと、五条先生がスマホにアプリを入れてくれて、そこでわかるように……」


宇髄「うん、それなら大丈夫だな。えらいえらい。生理痛のことは五条先生から聞いた話だと、やっぱりひなちゃんは重いと思うんだ。病気がないかどうか、今日もしっかり診とこうな。そしたら、検査しようか」





と、ようやく席を立って、あの椅子がある奥の部屋へ。





宇髄「パンツ脱いで準備してな。制服のスカートは履いてていいよ」


ひな「はい……」





カーテンを閉めてもらって、パンツを脱いで、この嫌いなピンクの椅子にそっと腰を下ろした。





宇髄「ひなちゃんカーテン開けていい~?」


ひな「はい」



シャッ——



宇髄「椅子動かすな~」


ひな「はぃ……」



ウィ~ン……



宇髄「よし、そしたら消毒するぞ~」


ひな「ハイ……」





今日は外来での検診だから、流れるように進んでいく。

ひとつひとつの動きに心の準備が追いつかなくて、返事がだんだん小さくなってしまう。





宇髄「ひなちゃん、まずは粘液取るからね。前にやったことあるやつだからな。そしたら、力抜いてゆーっくり息吐いてー……」





と言われて、ふぅーと息を吐くと





ビクッ……





ひな「んっ……」





あそこにヒヤッとしたものが入れられて、中を広げられる。





宇髄「痛い?」


ひな「大丈夫です……」


宇髄「ん。次はちょっとチクっとするかも。すぐ終わるから動かないで我慢してなー」





と、今度は何か尖ったようなものが奥に当たる。





ビクッ……





ひな「ぃっ……」


宇髄「ごめんな~、ひなちゃんちょっと我慢な。えらいぞ~」





って、優しく声をかけながら、宇髄先生は手際よく検査してくれた。



そして、器具を抜いてもらうと次は内診。

宇髄先生の指がスッとあそこに入ってきて、動かしたりお腹を押したりしてる。





宇髄「ひなちゃん、中だいぶ柔らかくなったな。治療頑張ったから、前より窮屈さもないだろ?」





言われてみれば、最初の頃より圧迫感がマシになってる。

あんなに治療頑張ったから、痛くなくなってよかった……





宇髄「ん。いいよ。問題ないからね」





宇髄先生が指を抜いてくれて、



はぁ、終わった~。



って思ったら、





宇髄「そしたらひなちゃん。今日は膣の中からエコーするな」





と、全く意味のわからない発言が。





ひな「え?膣の中からエコー?」


宇髄「いつもお腹の上からしてたけど、本当は中から見た方がよくわかるんだ。今まではキツくて痛いかとやってなかったんだが、試してみよう」





何事もないように説明してるけど、もう嫌な予感しかしない。

そして、宇髄先生は何やら準備して、これから入れる機械を見せてくれた。





ひな「う、宇髄先生、それ入らないです……」


宇髄「大丈夫だ。親指くらいの太さだから、力抜いてれば入るよ」





と言いながら、機械にゼリーやゴムみたいなものを付ける宇髄先生。

そして、高まるわたしの緊張感……。





宇髄「よし、そしたらひなちゃん力抜こう。はぁ~って口から大きく息吐いてごらん」


ひな「スー……はぁ~……っ、んっ……痛……」





息は吐いてるけど、機械があそこに押し当てられると痛みが走る。





宇髄「ひなちゃん力入りすぎ。いつもみたいに上手に抜いてごらん」


ひな「こ、怖くて……」


宇髄「そしたら、咳払いできる?」


ひな「咳……?」


宇髄「嘘でいいから、わざと咳するみたいにしてみて」





と言われたので、





ひな「はい……コホンッ、コホッ……っんん!!」


宇髄「ん、入ったぞ」





咳払いのタイミングに合わせて、宇髄先生は機械を奥までスッと入れてきた。





ひな「い、痛い……!怖い……ハァハァ……」


宇髄「ひなちゃん落ち着いてごらん。本当に痛い?痛かったらお尻の穴からにしようか」





お、お尻の穴……!?

まさかの斜め上な発言に、一瞬で冷静になる。





ひな「お尻の穴から入れるって冗談ですか……?」


宇髄「いや、冗談じゃない。痛くて入らなかったら肛門から入れる。ひなちゃんも一度やったことあるぞ。寝てる時だけど」


ひな「え!?」





今度は衝撃の事実を知らされて、思考停止。





宇髄「はははっ。そんなに驚かんでも。でももう痛くないだろ?さっきの痛みは力み過ぎ」


ひな「あれ……ほんとだ。異物感はあるけど、今は痛くないです」


宇髄「だろ?もうすぐ終わるからな~——」





そして、膣からプローブを抜いてもらって、検査は終わり。着替えて再び診察室の方へ。





宇髄「お疲れ様。結果は特に問題はなかったぞ。お腹の分泌液も生理が来たおかげで全部出てたからね」


ひな「ありがとうございます」


宇髄「最後に生理の間隔についてだけど、手術したり治療したり、他にもストレスが重なってたからかなり空いたけど、そろそろ安定してくるはずだ。次の生理は3ヶ月くらいで来ると思うから、びっくりしないように気をつけといてな。逆に、これより遅くなった時は教えてくれるか?」


ひな「はい」


宇髄「それと、次からは検査も必要ないからね。ただ、あんまり生理痛が酷かったり、血が変だったり、遅すぎたり早く来すぎたり。異変があれば検査するから、ちゃんと教えてな」


ひな「わかりました」


宇髄「よし。それじゃあ、今日はおしまい!お疲れ様。気をつけて帰るんだよ」


ひな「はい。ありがとうございました」





と、長い長い定期健診がようやく終わった。


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