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4年に一度のBirthday…①
しおりを挟む2月末、2月29日。
今年は4年に一度の閏年。
今日は正真正銘、わたしの16歳の誕生日。
今年の五条先生からのお祝いは、ディナーを食べに連れて行ってくれるって。
ディナーに行くことは数日前から知らされてて、お洒落して行くぞって可愛いワンピースを事前にプレゼントしてもらってた。
学校から帰ってきて、早速ワンピースに着替え、ついでに髪も自分で巻いてアップに。
まこちゃんにたくさん教えてもらったから、今ではヘアアレンジもお茶の子さいさい。
ひな「よし、できた」
鏡で何度も自分の姿を確認して、リビングへ。
リビングには既に着替えを済ませた五条先生が。
五条先生も今日はおしゃれして、ジャケットを着ててすごくかっこいい。
五条「ワンピースよく似合ってるな。かわいい」
ひな「あ、ありがとうございますっ// 五条先生もかっこいいです」
綺麗でちょっと大人っぽいワンピース。
服に着られてないか心配だったけど、かわいいって言ってくれて、うれしくて恥ずかしくてくすぐったい。
そして、五条先生の車に乗って連れて来てもらったのは、丘の上にあるすっごくお洒落なレストラン。
五条先生が予約してくれたみたいなんだけど、異世界に来たのかと思うほどの立派な佇まいに、入るのすら緊張する。
車を降りてモジモジしてると、
五条「ひな、おいで。行くよ」
と、腰に手を添えられて、ドキドキしながら中へ。
「五条様、お待ちしておりました。ご案内いたします」
お店に入ると、ビシッとスーツを着た男性がお出迎えしてくれた。
案内されたのは、綺麗な夜景が見える個室のお部屋。
テーブルにはナイフやフォークが綺麗に並んでいて、お花も飾られてる。
間接照明の中、キラリと光るワイングラスがなんとも大人な雰囲気。
お料理はコースみたいだからドリンクだけ注文。
五条先生はノンアルコールのお洒落な飲み物。
わたしはいつもりんごジュースかオレンジジュースで、今日はオレンジにした。
でも、いつもと違うのはブラッドオレンジジュースってところ。
そして、ドリンクが運ばれてきて……
五条「ひな、お誕生日おめでとう」
ひな「ありがとうございます」
と、2人で乾杯。
ひな「ん~!このジュース美味しい!本物!」
五条「本物ってなんだよ(笑)偽物のジュースなんかないだろ」
ひな「そうじゃなくて、生のオレンジを絞ったものなんです!」
五条「ジュースだけでそんなに驚いてたら、この後どうなるんだか(笑)」
なんて言ってると、スープが運ばれてきてお食事スタート。
どれもこれも美味しくて見た目も綺麗で、食べるのがもったいないほど。お洒落すぎて、どうやって食べるのかわからないような凝ったものまで。
こんなお店に来たことないわたしに、しっかり見て真似して覚えるんだぞって、五条先生からテーブルマナーも教えてもらいながら、大人なディナーを楽しんだ。
そして、一通りお料理が終わって、
ひな「美味しかった~!お腹いっぱい」
五条「ひなすごいな、全部食べたな。多かっただろ?」
ひな「いつもよりは多いけど、どれも本当に美味しくて夢中で食べちゃいました。五条先生は少なくなかったですか?」
五条「こういう店に来たらこんなもんだ。昼飯いっぱい食ったから大丈夫。この後デザートあるけど食べられそうか?」
ひな「デザート!! 別腹だから食べれます!」
五条「ははっ。ひなも女の子だな」
なんて、五条先生と楽しくおしゃべりしていると、
店員「失礼いたします。デザートをお持ちしました」
ウェイターさんが運んで来てくれたのは、
"Happy Birthday, Hinano."
と、チョコレートで書かれたお皿に、いろんなフルーツやケーキが綺麗に盛り付けられた大きなプレート。
小さな花火がついててパチパチ光ってる。
ひな「わぁ……すごい、これわたしのために?ちゃんと、ひなのって書いてある……!」
五条「ひなのために作ってもらったんだよ。おめでとう、ひな。気に入った?」
ひな「はい、とっても……!本当にうれしいです。ありがとうございます」
店員「ひなの様、本日はお誕生日おめでとうございます。よろしければ、おふたりで写真撮影されますか?お撮りいたしますよ」
五条「じゃあ、これでお願いします」
と、五条先生が立ち上がって、ウェイターさんにスマホを渡す。
そして、わたしの椅子の後ろに立って、少し屈んで優しく手を肩に。
"トクン"
店員「それではお撮りします」
五条先生との大切な2ショット。
幸せな気持ちをそのまま笑顔に乗せて……
店員「はい、チーズ」
パシャッ——
写真撮影が終わって、花火の火も消えて、お待ちかねのデザートタイム。
ひな「こんな素敵なサプライズがあったなんて。五条先生、本当にありがとうございます」
五条「こちらこそ、ひなの大事な誕生日をお祝いできてうれしいよ。ありがとうな。16歳、本当におめでとう」
今日は何度もおめでとうって言われるけど、その度に照れちゃって仕方ない。
わたしは少し照れ笑いしながら、もう一度五条先生に、
ひな「ありがとうございます……//」
と言うと、
五条「ひな、今日はもうひとつ伝えたいことがあるんだ」
って、五条先生が。
ひな「伝えたいこと……?」
五条「あぁ。誕生日のおめでとうは伝えたけど、まだもうひとつ、ひなに伝えたいことが残ってる」
五条先生はすごく真剣な顔してる。
いつも以上に真っ直ぐな、綺麗な瞳に見つめられてる。
今日はわたしの誕生日。
おめでとうの他に、五条先生が伝えたいことって……
五条「ひな、俺はひなのことが好きだ——」
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