上 下
105 / 232

なんでもない日常

しおりを挟む


——2週間後





藤堂「ひなちゃん、いい?お薬は忘れず飲むようにしてね。学校に持って行くのも忘れないようにね」


ひな「はい」


藤堂「それと、運動は引き続き控えるように。体育は禁止。走るのも禁止。ダッシュももちろん禁止」


ひな「はい」


藤堂「もうひとつのお約束も忘れずに。覚えてる?」


ひな「身体がおかしなと思ったらすぐに言うことです」


藤堂「はい。絶対守ってね。定期健診も忘れないようにね」


ひな「はい」


藤堂「いいお返事ありがとう。そしたら、退院しようか」


ひな「やったー!!」





ということで、約1ヶ月半の入院生活から無事解放されました。










***



「ひーちゃん!」

「会いたかったよー!」

「久しぶり!もう大丈夫?」





ひな「うん。もう元気になったよ!」





退院して、土日を挟んで久しぶりの学校。

教室に入ると、クラスの子たちがすぐに声をかけてくれた。

そして廊下からは、





夏樹「ひなのー!」





夏樹くんの声が。





ひな「あ、夏樹くんだ」


夏樹「あ、ってなんだよ!心配してたんだぞ?思ったより入院長かったからさ。何があったのかと」


ひな「ごめんごめん。って、そもそも今回は夏樹くんが五条先生にチクったから入院になったんだよ!何があったのかとじゃないよ!」


夏樹「はぁ?俺が言わなかったら今ごろまだ病院かもしれないだろ!ひなのはすぐ隠そうとするんだからな。これからは俺も見張ってるぞ。五条先生にも兄貴にも、ひなのに何かあれば教えてって頼まれてるから!」





なっ……!?

い、いつの間にそんなことを……。





ひな「ひどい……夏樹くん誤診するくせに」


夏樹「それいつの話だよ!しょーもないこと根に持つなバカ!」


ひな「バカ!?夏樹くんの方がバカだもん!」


友達「はいはい(笑)2人とも仲が良いのはわかったから。授業始まるよ~」





と、クラスメイトが止めてくれて、夏樹くんとの言い争いは終了。



そんな退院初日の学校も無事に終わって、家に帰ったら手洗いうがい、着替えを済ませて、宿題とお勉強。

入院中もできる時はずっと勉強してたけど、授業を受けてない分やっぱり遅れを感じた。

あと2週間もしたら学年末テストが待ってるしと、気合を入れて机に向かう。










***



五条「……ひな」


ひな「スー……スー……」


五条「おーい。ひなー」


ひな「……ん?」





……ハッ!!

ね、寝てた……!





ガバッ——!





五条「おいっ!そんな急に起き上がるな、危ないだろ」


ひな「す、すみません。五条先生、おかえりなさい」





さっきまで勉強してたはずなのに、机に突っ伏していつの間にか寝ちゃってたみたい。

五条先生に起こされて慌てて起き上がったけど、急に起き上がるのもダメだったみたい。





五条「LIME見ないと思ったら寝てたのか。久しぶりの学校で疲れたな。大丈夫か?」


ひな「大丈夫です。ごめんなさい、LIME気づかなくて」


五条「病み上がりなんだから頑張り過ぎるなよ。ほら、飯食うぞ」





と、五条先生とリビングへ。










時計を見るともう20時前になってた。

五条先生も帰りが少し遅くなったからか、ご飯はテイクアウトしてきてくれたみたい。



買ってきてくれたのは、入院中に食べたいって話してた韓国料理。

キンパやビビンバ、チキンにチヂミにトッポギも。

2人でシェアするけど、五条先生は食いしん坊だから相変わらず量が多い。





ひな「わぁ!韓国料理だ!初めて!!」


五条「このトッポギは辛いからやめとけな。チキンもこっちは辛くないけど、こっちは辛い。ビビンバはちょっと辛いかもしれないけど……まぁ、食べてみて辛かったらやめとけ」


ひな「はーい。いただきます!」





初めて食べる韓国料理は想像以上に美味しかった。

きっと、わたしの身体で海外旅行に行けることもないだろうから、こうやってちょっとした旅行気分を味わえるのがすごくうれしい。

それに、五条先生と一緒にご飯が食べられるのも、何よりの幸せ。





五条「ひなは本当うまそうに食うな。やっぱり、1人で飯食うより、ひなと一緒がいいな」


ひな「わたしも。五条先生とこうして一緒に過ごせて、本当に幸せです」





なんでもない普通の日常。

だけど、1番幸せを感じられる時間。

またこの日常に戻れたことに、先生たちへの感謝の気持ちで胸いっぱい……。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?

すず。
恋愛
体調を崩してしまった私 社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね) 診察室にいた医師は2つ年上の 幼馴染だった!? 診察室に居た医師(鈴音と幼馴染) 内科医 28歳 桐生慶太(けいた) ※お話に出てくるものは全て空想です 現実世界とは何も関係ないです ※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

処理中です...