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汚れた身体①

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——翌日





今朝も姫島さんはゼリーを持って来なかった。

どうせ飲めないなと思って、机に置かれた薬をただじっと見てたら回収された。

それから、体温計を渡したら雑に取られて、雑に血圧を測られて……





コンコンコン——


藤堂「ひなちゃん、おはよう」





藤堂先生がやっ……





ひな「……っ」


五条「ひな、おはよう」





藤堂先生と五条先生がやってきた。





なんで、五条先生が……





五条「ん?ひな具合悪いのか?」


ひな「え?いえ、そんなことないです。おはようございます……」


藤堂「ご飯は今朝もまぁまぁ食べれてるね。聴診しようか」


ひな「は、はい」





と、パジャマのボタンを外すけど、この状況で聴診なんて地獄みたい。

姫島さんの冷たい視線を感じるし、五条先生に見られるのは恥ずかしいし。





藤堂「ひなちゃん?しんどい?」





わたしがスッと胸元を開けないから、藤堂先生に不思議がられてしまった。





ひな「い、いえ……」


藤堂「五条先生いるから恥ずかしい?(笑)」





なっ……//

と、藤堂先生……。



な、なんで?

も、もしかしてだけど……もしかしてだけどさ、

藤堂先生、わたしの恋の相手は五条先生だって気づいてる……?



そういえば、昨日の宇髄先生も……

もしかしてだけど、黒柱の先生たちみんなわかってたり……する?





チラッと顔を上げて藤堂先生を見ると、とってもキラキラ。

でも、なんだかニヤニヤにも感じる……。

で、そんな藤堂先生の後ろには、ものすごい剣幕な顔した姫島さんがわたしを見てる。





な、なんでよ……。

五条先生もいるのに、五条先生に思ってること隠すの難しいのに。





なるべくいつも通りにしなきゃ怪しまれると、モヤモヤした気持ちを隠してすぐにパジャマを開いて聴診してもらった。





藤堂「うん、いいよ。目もごめんね」





目の下もめくられて、首も触られる。





藤堂「ひなちゃん、今日はゆっくりしてね。次の治療は明後日にするからね」


ひな「はい、わかりました……」


五条「ひな」





ドキッ……





ひな「は、はい」


五条「無理すんなよ。治療頑張ってるからちょっと疲れてるだろ。しんどくなったらくすぐナースコールな」


ひな「は、はい」





と、優しい五条先生に優しい藤堂先生、そして姫島さんは一緒に部屋を出て行った。










***



*五条side



さっきのひな、なんかおかしくないか?



今朝は当直明け。

しばらく家ん中放置してたから今日は帰ろうと思ってたら、ちょうど藤堂先生がひなの回診に行くところだったので、着替える前について行った。

でも、ひなの顔見ると元気がなくて、俺が来たのにいつもみたいにわかりやすく喜んでなくて、恥ずかしがり方もいつもと違った。

それに、藤堂先生が目めくったときの下瞼の色、また貧血悪くなってないか……?





藤堂「悠仁、今日はこれから家帰るんだよね?」


五条「えぇ。しばらく帰れてなかったんで、さすがに掃除とかしたくて。ひなの着替えも持って来てやりたいですし」





更衣室へ行く途中まで、藤堂先生と歩きながら会話する。





藤堂「そういや、悠仁の部屋しばらく行ってないな」





藤堂先生は、道路をひとつ挟んだ隣のマンションに住んでる。

ひながうちに来るまではよく俺の部屋に来てた。

話がしたくて来ることもあるけど、車はあるし信号ひとつ渡るだけなのに、俺の部屋の方が病院から近いっていう謎の理由で寝泊まりすることも多い。

いつからか合鍵まであるから勝手に出入りしてて、まぁアメリカにいる時から世話になってるし、仲良くさせてもらってるし信頼してるから、どうぞご自由に状態だったが……

ひなと住むようになってからは、気を遣ってくれて来なくなった。





五条「ひなの入院中ならむしろ来てもらっていいんですけど。って、ひなのこと見てるのに暇ないですよね。ひなが元気になったらまた家で食事でも」


藤堂「うん、そうする。ところでさ、今朝のひなちゃん、ちょっと具合悪そうだね。貧血が心配なこと以外に診た限り問題はないんだけど、治療がつらいかな?」


五条「なんか変でしたよね。せっかく俺が来てもいつもより反応薄いし」


藤堂「あー、確かに。それはそうだったかも」


五条「まぁ、次の治療は明後日ですし、疲れてるだけなら大丈夫だと思うんですけど」


藤堂「気をつけて見ておくよ。何かあったら連絡するし、悠仁は今日はゆっくりして」


五条「ありがとうございます。では、お疲れ様でした」


藤堂「うん、お疲れ様」


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