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2度目の生理①
しおりを挟む*ひなのside
——数週間後
あっ……
学校から帰って来てトイレに行くと生理になってた。
五条先生に言わなきゃ……
今日何時に帰ってくるのかな?
LIMEしよ。
"今日何時に帰って来ますか?"
(既読)
"21時くらいだ"
"なんかあったか?"
生理って今言ったら心配かけるかな?
"大丈夫です。ご飯とお風呂先に済ませときます。"
(既読)
"ん"
"ん"って……
五条先生の返事はいつも一文字なんだから。
そして、夜21時。
五条「ただいま」
ひな「五条先生、おかえりなさい」
リビングのソファーでテレビを見てると、五条先生が帰ってきた。
生理のことを伝えようと思ったけど、ご飯を食べるみたいで邪魔しちゃいけないかともう一度テレビに向き合う。
そして、ご飯を食べ終わったから話そうと思ったら、今度はお風呂に行っちゃって話せなくて、またしばらくテレビを見てた。
五条「ゴクッ、ゴクッ……っは~。ん?ひな、今日ずっとテレビ見てるな」
お風呂から上がって、冷蔵庫の前で水を飲みながら五条先生が言う。
ひな「五条先生に言いたいことがあったんですけど、五条先生の邪魔しちゃいけないかなってテレビ見ながら待ってたんです」
五条「は?そんな気遣わないでご飯食べてる時でも言えばよかっただろ。で、どうした?」
と、ソファーへ来て隣に座ってくれた。
ひな「あ、あの……」
こうして隣に座られて、いざ言おうと思うと恥ずかしくて緊張する。
五条「何?しんどいのか?」
ひな「い、いえ違います!その、学校から帰って来たら生理になってました」
五条「そういうことか。ちゃんと教えてくれてありがとう」
ありがとう……
五条先生にありがとうなんて言われたの初めて……かも。
五条「それでちょっと熱ありそうなのな」
と、五条先生の手がおでこに伸びる。
ドキッ……
五条「37度1分か。測ってみ?」
五条先生に体温計を渡されて測ってみると、
ピピッ……
ひな「37度1分。ほんとだ……」
相変わらずブレないセンサーが搭載された手はすごい。
五条「というか、もっと早く言えよ。LIMEで言えばよかったのに」
ひな「仕事中に心配かけるかなと思って」
五条「ひなの心配するのはもう半分仕事だろ。何を今さら」
と、五条先生がソファーから立ち上がって、ステートを手に戻ってくる。
五条「ちょっと前開けてごらん」
ひな「え、だ、大丈夫です。しんどくないし、痛くもないし」
五条「うん。それでもいいから、念のため」
と言われて、パジャマのボタンを外して前を開けようと思ったら、
……開けられない。
五条先生に見られるのなんか恥ずかしい……。
五条「ひな?」
ひな「あっ、や、やっぱり大丈夫です……!」
と、ボタンを留めようとしたら手を掴まれた。
五条「何が大丈夫なんだよ。藤堂先生に言われただろ?いつ具合が悪くなってもおかしくないって。せっかく俺がいるんだから、何かある前にちゃんと診とくぞ」
ひな「あっ……や、やだ……!!」
五条先生にパジャマの前を開けられそうになって、咄嗟にギュッと押さえる。
五条「ひなどうしたんだ?」
ちょっと不思議そうな感じで聞いてくる五条先生。
ひな「そ、その……はっ……」
五条「は?」
ひな「は、恥ずかしくて……」
五条「はぁ?なんで突然恥ずかしがるんだよ。今まで散々見てきただろ」
そ、そうだけど……
今はすごく恥ずかしい気持ちなんだもん。
それに、主治医変わって五条先生に聴診されるのなんか久しぶりだし……
ひな「わかんないけど、恥ずかしいです……」
五条「大丈夫だ。何とも思わん」
と言って、パジャマを捲られてしまった。
ひな「きゃっ‼︎ や、やだ……//」
と、顔を逸らす。
五条「ははっ。きゃってなんだよ。ひなもついに思春期か~?」
思春期……
よくわかんないけどそうなのかも。
高校生になったことだし。
ひな「思春期です……」
五条「そうか。俺に診られるのはもう嫌か?」
ひな「嫌ではないですけど。思春期です」
五条「ははっ、なんだそれ。ひな思春期の意味わかってないだろ(笑)」
と、五条先生に笑われつつ聴診されてしまった。
五条「ん。大丈夫そうだな。熱は生理のせいでちょっと出てるだけだろう。しんどくないうちに今日はもう寝てゆっくり休みなさい」
ひな「はい、おやすみなさい」
***
*五条side
ドタンッ!!
翌朝、すごい物音がして目が覚めた。
五条「……ひな?」
パッとひなのベッドを見るとひながいない。
そして、微かに呻き声が聞こえてきた。
ひな「……ハァハァ……ゔっ………ッハァ、ハァハァ……」
ひな!?
急いでベッドから起きると、ひながお腹を押さえて床に倒れてる。
五条「ひな!?お腹痛いのか?」
ひな「ゔっ……っく……ハァハァ、ゔぅ……ッハァ、ッハァ、コクッ」
なんとか頷いてくれたが、相当痛いのか反応が鈍い。
それに、ひなの身体がかなり熱い。
すぐに救急車を呼んで宇髄先生と藤堂先生にも連絡を入れた。
***
宇髄「五条、ひなちゃんの状態は?」
病院に着くと、すでに宇髄先生が外で待っててくれていた。
五条「ベッドから起き上がろうとして床に倒れたようです。俺はその音で起きましたが、もうこの状態でお腹抱えてうずくまってました。意識はまだなんとか。それと、熱が9度超えてそうです」
宇髄「熱出たか……炎症起こしたかもしれんな」
初療室までの廊下で宇髄先生に状況を伝える。
生理が来たことと、微熱があるけど問題なさそうというのは、昨日の夜黒柱には連絡してあったので、宇髄先生も把握してくれてる。
宇髄「よーし、エコー用意してー!すぐ体温と血圧確認して酸素もモニターしとけー!ラインは1番上手くて早いやつ取って、採血して点滴すぐ入れろー!」
初療室に入るや否や、宇髄先生の指示が次から次へと飛ぶ。
スピード感を求められる状況とは言え、ライン取るの1番上手くて早いやつって……めっちゃプレッシャーかけるな……。
宇髄先生はどんな場所や状況でもスパルタ指導する。
それでも、スタッフ達も宇髄先生の指示に良く反応してる。
俺は私服のままなので、ひなを宇髄先生に任せそんな様子を部屋の隅で見ていた。
ひな「ハァハァ……ハァハァ……ゔゔっ、ッハァ……っく……ッハァハァハァ」
宇髄「ひなちゃんお腹診るぞー。目開けられるか?」
宇髄先生が声をかけながら、ひなのお腹の上でプローブを滑らせ確認していく。
宇髄先生の声をちゃんと聞いてたのか、重たい瞼をひなは一生懸命持ち上げてうっすら目を開けた。
宇髄「お利口さん。ひなちゃん、意識飛ばさないようにちょっと頑張るぞ」
ひなの様子を観察しながら、次々に検査していく宇髄先生。
この無駄のない動きは本当に尊敬する。
そして、次は内診をするのに看護師の1人がひなのズボンを脱がそうとしたら、
ひな「ん"ー!!!ッハァハァハァ……ゔゔっ、ん"ん"!!!」
ひなはまたこの前みたい大暴れで抵抗し始めた。
痛くて言葉を話せてないが、目からは涙も流して『やめて』と懇願してるようだった。
宇髄「ひなちゃーん、落ち着こうか。痛いな、大丈夫だ。どうして痛いのか調べてみような」
ひな「ハァハァ……ゔっ……ゲホゲホゲホ、ハァハァ……ん"ん"……ゲホゲホッ……」
宇髄「ひなちゃん!しっかり深呼吸!お目目まだ閉じないぞ!」
ひなはパニックになって、発作も起こしそうになってる。
宇髄先生が暴れる身体を押さえて必死に声をかけるが、ひなはもう気を保てる状態じゃない。
ひな「ゲホゲホゲホッ……ッハァ、ハァハァ、ゔゔっ……ゲホゲホッ、ゲホッ……ッハァ……ッハァ……」
宇髄「ひなちゃん!落ち着け!意識保って!!」
そして、ひなは意識を失ってしまった。
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