52 / 232
初潮②
しおりを挟む*ひなのside
~ひなのの病室~
カチャカチャ……
ん……?
カチャカチャいう音がして目が覚めた。
真菰「ごめんね、ひなちゃん。点滴外させてね」
ちょうどまこちゃんが点滴を外すところだったみたい。
真菰「どう?お腹は今痛くないかな?」
ひな「大丈夫だけど……わたしどうなったんだっけ?なんか別の部屋に連れて行かれた気がするの」
真菰「うん。ひなちゃん生理が来てたみたい。初めてだね。おめでとうっ」
……おめでとう?
何がおめでとうなんだろう。
ひな「なんでおめでとうなの?」
真菰「女の子は生理が来たらおめでとうなんだよ?今日はお赤飯食べなきゃね」
ひな「せいり?……って何?」
真菰「えっ??ひなちゃん、生理知らなかった??」
またまこちゃんが驚いてる。
たぶん、みんな知ってることを知らないパターンだ……
ひな「わたしって物知らずだよね……いつも無知でわからないことばっかりでごめんなさい……」
真菰「そんなことないよ、謝ることじゃないよ。教えてもらわなかったもんわからないよね。あとで五条先生がお話ししてくれると思うから、その時に詳しく聞こうね!」
そして、点滴を外してもらってしばらくすると五条先生が来た。
五条「どうだ?今痛いとかしんどいとかないか?」
ひな「大丈夫です」
五条「ん。そしたら、少し話していいか?」
と、五条先生が丸椅子に座って真剣な顔をしてる。
わたしもピンと背筋が伸びる。
五条「まこちゃんに少し聞いてきたけど、ひなは生理って聞いたことなかったか?」
ゆっくり首を横に振った。
五条「女の子はな、月に1回、1週間くらい血が出るんだ。精子と卵子がくっつく話はわかる?学校で習ったか?」
ひな「コクッ……」
五条「子宮って赤ちゃんを育てるところあるだろ?そこで、卵子は毎月精子がやってくるのを待ってるんだが、その時に子宮の中では赤ちゃんを育てるためのふかふかのお布団を作って血液を蓄える。だけど、精子が来なかったら赤ちゃんはできないから、お布団はいらなくなるよな?そのいらなくなったお布団が血や卵子と外に出ていくのが生理。正しくは月経って言うぞ」
ひな「そういえば、そんなこと『はたらく細胞ズ‼︎』に書いてあった」
五条「そうか。それならもう一度読んでみるといい。さっき月に1回って言ったけど、しばらくは周期が安定しないから、もしかすると数ヶ月おきにしか来ないかもしれない。これから、生理が来た時は毎回一緒に管理していこうな」
ひな「はい……」
五条「なんとなくわかったか?難しかったか?」
ひな「大丈夫です。トイレ行った時、パンツに血がついてるの見てすごく怖かった……。お腹も痛かったし、病気だったらどうしようって思ってたから、病気じゃなくてよかったです」
五条「……ん?ひな、トイレ行った時に血出てたのわかってたのか……?」
……あ、やばい。
しまった、これは……
ひな「あ、いや、血じゃなかったかも……?あれ~?That’s weird(おかしいな)……」
五条「血じゃなかったらなんなんだ?Did you pee your pants(おしっこでも漏らしたのか)?」
ひな「なっ、なんてことを言うんですか……」
五条「はぁ~……ったくお前は本当に…………なぜそういうことをちゃんとすぐに言わないんだ!!今朝は具合も悪かったし何かあったらすぐ呼べってわざわざ言っただろ!!」
ですよね……
もう自分で話した瞬間怒られると思ってました……
ひな「ごめんなさい……」
五条「そうやって、自分でおかしいと思った時にすぐに言わないからいつも大変な思いするんだぞ!今日の生理も、ちゃんとひなが気づいた時にすぐ言ってればあんな痛い思いすることもなかったんだ!!」
ひな「え?そうなの?」
五条「そうなの?じゃない!いつもすぐにナースコールをしなさいと言っとるだろが!!何回言わせる!!」
あー、怖い……
何が柱だよ……
鬼だよ、鬼……
ツノ見えるもん。
ひな「ごめんなさい……」
五条「生理の話の続きだがな、生理は血が出るだけじゃなくていろんな不調が出るんだ。情緒不安定になったり、お腹や頭が痛くなったりする。生理痛って言うが、人によって症状も重さもバラバラ。ひながさっき気失うほど痛かったのも生理痛だ」
ひな「それでお腹も頭も、腰も痛かったんだ。トイレ行く時もすごくフラフラしたし」
五条「んぁ!?」
はっ……!
フラフラしたは言っちゃいけないやつだったかも!!
五条「はぁ……もうどこからツッコんだらいいかわからん……」
五条先生が頭を抱えてる。
珍しい……って、わたしに呆れてるんだよね。
うん。
ひな「ごめんなさい……」
五条「何がごめんなさいなんだ?」
ひな「え?」
五条「え?じゃなくて、謝らないといけないってわかってるからごめんなさいって言ったんだろ?今日のことでごめんなさいと思うこと全部言ってみろ」
ひな「えっと……血が出たりお腹が痛いことをすぐに言わなかったこと……フラフラすることをすぐに言わなかったこと……そもそもフラフラするのに1人でトイレに行ったこともいけなかったです……。あとは……眠くて眠くてお昼ごはんの後に1時間ほどお昼寝もしてしまいました。それでお腹痛くて目が覚めてトイレに行ったんです……」
五条「全部わかってるなら初めからちゃんと言わんか……。あと、眠くなるのも生理だからだ。別に寝るのは構わん」
えぇー!
いつもお昼寝したら怒るのに……
それはちょっと損したかも……
五条「大事なことだからもう少し話すぞ。生理は血が出るだろ。それも1週間出続ける。だから貧血にもなりやすい。ひなは普段から貧血だから、生理の時は特に気をつけないといけないんだ。今日みたいに貧血の状態で生理が来てフラフラするのは当たり前だ」
そうなんだ……
なんか、いろいろ大変なことが多いな。
って、話してる間にまたお腹痛くなってきた気がする……
気のせいかな?
五条「ひな、お腹痛くってきたのか?」
ひな「What!?」
なんでわかった……
そんなに顔に出てたのかな?
五条「そうなんだな」
ひな「なんで……」
五条「見てれば何となくわかる。薬も切れる頃だし。それと、お前は焦るとよく英語が出てくるからわかりやすい。って、さっきまでの話を忘れたのか!お腹痛いなら早く自分から言え!」
ひな「はい……少し痛いです……」
はぁ。もう怒られてしかない。
なんでこうなるの……
五条「生理は病気じゃないけど絶対に無理しちゃいけない。なるべくリラックスして心身ともにゆっくりしないといけないんだ。だから本当は今だって怒りたくないのにだな……」
ひな「す、すみません……」
五条「生理が来て3日目くらいまでは生理痛があって辛いと思う。そんなのがこれから毎月あるんだ。ちゃんと痛み止めの薬も出すから、無理せず必ず言うんだぞ?」
ひな「はい……」
この後、五条先生がさっそく鎮痛剤をくれて、それを飲んでから眠りについた。
14
お気に入りに追加
122
あなたにおすすめの小説
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?
すず。
恋愛
体調を崩してしまった私
社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね)
診察室にいた医師は2つ年上の
幼馴染だった!?
診察室に居た医師(鈴音と幼馴染)
内科医 28歳 桐生慶太(けいた)
※お話に出てくるものは全て空想です
現実世界とは何も関係ないです
※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
双葉病院小児病棟
moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。
病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。
この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。
すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。
メンタル面のケアも大事になってくる。
当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。
親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。
【集中して治療をして早く治す】
それがこの病院のモットーです。
※この物語はフィクションです。
実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる