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ノワール学園中等部①
しおりを挟むそして、9月1日。
新しい制服、新しい靴、新しい鞄に、新品の文房具。
いよいよ、今日から学校に行く。
制服に着替えて、まこちゃんが髪を結んでくれるというので、洗面台の前に座ってる。
コンコンコン——
神崎「おはよう!ひなちゃん、制服着てるじゃんっ!いいねっ、似合ってる!」
入ってきたのは神崎先生と、その後ろから宇髄先生、工藤先生、藤堂先生。
な、なんで先生たちが?
ていうか、久しぶりに会った。
あの事件の後、神崎先生は会うけど他の先生には会ってなかった。
ひな「お、おはようございます。」
なんでみんな来たのかわかんないけど、とりあえず挨拶。
藤堂「ひなちゃん、久しぶりだね。まこちゃんに髪結んでもらうの?」
ひな「は、はい……」
久しぶりに見た藤堂先生。
相変わらずの王子様感。
工藤「やっぱ、ポニーテールだな!」
宇髄「は?いや、ハーフアップだろ」
神崎「え~?ツインテールが良くないですかぁ!?」
って、3人はわたしの髪型でなんか論争してる……。
真菰「ふふっ。先生方の好みがわかりました」
って、笑いつつ、
真菰「よし。ひなちゃん、これでかわいくなったよ!」
まこちゃんがしてくれたのは、ふたつ結びのゆるい三つ編み。
髪の結び方なんて知らないわたしは、こんな可愛くできるまこちゃんの手は魔法でも使えるのかと思った。
ひな「まこちゃん、ありがとう」
と言って、立ち上がると、
コンコンコン——
五条先生が入ってきた。
でも、いつもの五条先生じゃない。
学校まで一緒に行ってくれるらしく、白衣じゃなくてスーツを着てる。
ピシッとしたシャツにネクタイをしていて、五条先生のいい感じに鍛えられたがっしりだけどしなやかな体のラインはスーツがよく似合ってる。
五条「準備できてるな。かわいいな」
え?
五条「その三つ編み。さすがまこちゃん、器用だな」
あ、三つ編み……。
五条「あと、制服やっぱでかいな」
制服は体が大きくなるだろうということで少し大きめが用意されてた。
だから、たしかにちょっとまだ緩い。
藤堂「でも、このセーラー服ひなちゃんによく似合ってるね」
と、藤堂先生が褒めてくれて少し照れた。
制服はセーラー服。
今は夏服で、半袖の白いセーラー服にスカートとリボンは襟元と同じグレー。
冬服になると、セーラー服とスカートがノワールというだけあって黒になる。
五条「行くぞ」
五条先生に言われ鞄を持って、
「「いってらっしゃ~い」」
みんなに送り出され、わたしは五条先生の後ろをついて行った。
エレベーターに乗って、五条先生はなぜか地下のボタンを押す。
ひな「え?」
五条「ん?」
ひな「1階じゃないんですか?」
五条「駐車場地下だから」
え?ちゅ、駐車場?
まさか、車で行くの?
学校までは病院から歩いて10分くらいと思うけど……
ひな「歩いて行かないんですか……?」
五条「あぁ。俺戻って来ないといけないし。まだ1人で学校まで歩かせるのは不安だからな。今日の帰りと明日からはバスに乗りなさい」
そうなんですか……
歩いて行けるもんだと思ってた。
駐車場にはちょうど出勤してくる先生が多いのか、車が次々に駐められていた。
どれもこれも、高そうな車……。
五条「ほら、頭気をつけろよ」
と、ドアを開けてくれて後ろの席に乗り込む。
五条先生の車も高そうな真っ白の外車。
汚してしまいそうで緊張する。
それに、学校だって緊張する。
学校に着くまでの間、ひたすらじっと座ってた。
学校に着いて車を降りると、目の前には綺麗で立派な校舎。
お城みたいな佇まいに思わず駆け出すと、
五条「おい!」
と、五条先生に手首を掴まれた。
五条「こら、走るな!さっき言っただろ、聞いてなかったか?」
ひな「え?」
五条「はぁ……車の中で言っただろ。走らない、こまめな水分補給と手洗いうがい、しんどくなったらすぐ先生に言う、終わったら連絡する。緊張して返事しないのかと思ってたら、やっぱり聞いてなかったか」
緊張はしてたんだよ。
でも、全く聞いてなかった。
五条先生がしゃべってることすら気づいてなかった……
五条「発作でも起きたらすぐ連れ戻すぞ」
ひな「ご、ごめんなさい」
そんなこんなでまずは校長先生のところへ行った。
五条先生が校長に挨拶して、わたしもご挨拶。
しばらくして、担任になる先生も入ってきて五条先生が挨拶して、わたしもご挨拶。
この学校の先生方にはわたしの事情がすでに病院から伝えられてるらしく、五条先生は改めてお願いしますって言いに来たみたい。
その様子をぼーっと眺めてたら、なんか、わたしの保護者みたいで、お父さんみたいだなーなんて思ってたら、
校長「……くん?……栗花落くん?」
ひな「え?あ、は、はい!」
ぼーっとしてて、校長先生に呼ばれてるの気づいてなかった。
五条「おい、ぼーっとするな。ちゃんと話聞きなさい」
また怒られた……恥ずかしい……
校長「勉強についていけないと思っても、補修など受けられるから心配はせんで大丈夫じゃよ。体調に合わせて学校に来たらよい。学校にいる間も、調子が悪くなれば遠慮なく先生方に伝えたらよいからの。そしたら、担任の先生と一緒に教室へ行きなさい」
と、仙人のような校長先生に言われた。
ひな「はい」
返事をして、校長室を出る。
そして、
五条「それじゃ、俺は病院戻るから。終わったら連絡するんだぞ」
ひな「はい」
と言って、五条先生と一旦別れる。
ここで、初めて1人になって一気に緊張が増した。
担任の先生に付き添われて、恐る恐る教室に入る。
そして、前に立って、先生に紹介された。
クラスメイトからの視線を一気に浴びて、緊張してうつむいたまま前が見れなくて、自分の名前も小さい声でしか言えなかった。
それから、始業式に参加して、教室に戻ってきて、HR(ホームルーム)を2時間ほどして今日は終わった。
終わった後、担任の先生から教科書を渡すからと少し待ってるように言われた。
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