上 下
33 / 232

臆病なひなの

しおりを挟む


そんなある日。



外は豪雨。

8月の夏真っ只中で、激しい雨が降ることも多い。

お昼だというのに空がすごく暗い。

雨の音もザーザーというよりバチバチ聞こえてくる感じ。



そして……















ピカッ!

ドォーン!ゴロゴロゴロゴロ!!










***



*神崎side





~小児科医局~





神崎「おぉ。今のすごい雷。今日はこれまたひどい天気だね~」





医局で先生たちと会話中、





コンコンコンッ——


真菰「神崎先生!!」





まこちゃんが勢いよく医局に入って来た。





神崎「なに!?まこちゃんどうしたの??」


真菰「はぁ、はぁ、すみません。あの、ひなちゃんが、いなくて。部屋に」


神崎「えぇ!?」





ひなちゃんがいない!?

これはまた大変だ……



と思って、急いで探しに出た。





神崎「五条先生は今オペだよな~……でも、とりあえずオペ室に連絡入れてくれる?俺は探してくるから」


真菰「はい!」





と、まこちゃんと手分けしてひなちゃんを探す。










***



*五条side





オペ終わり、シャワーを浴びて着替えてるとこに、更衣室の外から声が聞こえる。





真菰「五条先生!すみません!ひなちゃんがいなくなりました!!」





まこちゃんか?

ひながいなくなった?





五条「なんで……」





白衣に袖を通しながら急いで更衣室を出た。





真菰「あ!五条先生!!すみません!どこ探してもいなくて、神崎先生も探してくれてるんですけど小児のフロアにはいないみたいで」


五条「屋上は?」


真菰「こんな土砂降りの中ですか!?」





ん?土砂降り?

ずっとオペ室に入ってて外の様子を知らないけど……





五条「外、雨なのか?」


真菰「えぇ。ゲリラなのかすごい雨で雷もずっとゴロゴロ。たまにドーンって落ちた音もしてますよ!」





もしかして……





五条「……まこちゃん、ひな部屋にいない?」


真菰「え?」


五条「部屋の中よく探した?」


真菰「そういえば、扉開けてパッと見たらベッドにひなちゃんいなくて、それからすぐトイレに見に行って……」


五条「……小児に戻る」





と言って、急いでエレベーターに乗りひなの部屋に向かった。










小児フロアにつくと、



ピカッ!……ゴロゴロ!!



窓の外はたしかに大雨で雷も鳴ってる。





神崎「五条先生!」





フロアを探し回ってた様子の神崎先生が来た。





五条「神崎先生すみません。もう一度部屋見に行きます」





と言って、みんなで部屋に向かう。



ガラガラッ——



扉を開けると確かにベッドにひなはいない。

でも、扉側にある洗面台の下にひなが体育座りで小さく座り込んでた。

ブルブル震えながら耳を押さえるように頭を抱え込んで……





五条「出てこい。怖くないから」





ハッとしたように顔を上げたひなの顔は涙で濡れてる。





神崎「ひなちゃん、こんなとこにいたのか。もしかして、雷怖かった?」


ひな「グスン、グスン……コクッ……」


五条「もう大丈夫だ。ほら」





と、とりあえずひなを洗面台の下から出して立たせると、





ゴロゴロゴロー!





ひな「きゃぁ!!」





ひなはまた耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ。





神崎「ひなちゃん!大丈夫大丈夫。先生たちいるから、ね?ベッド戻ろうかっ!」





神崎先生も一緒にひなを落ち着かせて、とりあえずベッドに戻した。





ゴロゴロゴロ……





ひな「ビクッ!!」





徐々に雷は遠くに行ってるようで音も小さくなってきたけど、ひなはまだビクビクしてる。





五条「大丈夫だ。もう時期どっか行く」


神崎「ひなちゃん、そんなに怖い?大丈夫大丈夫っ(笑)」





神崎先生はビビりまくるひなを見て、若干苦笑い。





ひな「グスン、グスン……ケホッ……」


五条「ん?ちょっと音聴くぞ」





ふと、ひなが咳をしたので胸のボタンを外して聴診する。





神崎「ひなちゃん、雷でちょっと疲れちゃったかな?」





と、神崎先生もひなの異変にすぐ気づく。





五条「ん、大丈夫そうだ。ビビりすぎて疲れたんだろ。ちょっと寝ときなさい」


ひな「コクッ……」





いつの間にか雷も鳴らなくなり、ベッドを倒して布団をかけてやると、ひなはすぐに目を閉じた。










***



~小児科医局~





真菰「すみませんでした!!ベッドにいないだけで慌ててしまって、部屋の中よく確認せず本当にすみません!!」





黒柱が集まる中、まこちゃんがペコペコと頭を下げる。





神崎「ははっ。まさか雷が怖くてあんなとこに隠れてたとはね~。でも、五条先生よくわかったね」


五条「昔から雷はよく怖がって、部屋の隅に縮こまってたんで……」


宇髄「さすが五条だな。ところで、ひなちゃんは9月から学校行けそうか?」


五条「はい。このまま調子が良いようであれば問題ないかと」


工藤「退院は?」


五条「同時に退院させることも考えたんですが、学校に慣れるまではやめておこうと思ってます」


藤堂「確かに。一気に環境を変えて、また具合悪くなるといけないしね」


宇髄「まずは病院から通わせて、学校に慣れてきたら退院だな」


神崎「ひなちゃんの制服姿みたいし、学校行く初日の朝はお見送りしよっ」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?

すず。
恋愛
体調を崩してしまった私 社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね) 診察室にいた医師は2つ年上の 幼馴染だった!? 診察室に居た医師(鈴音と幼馴染) 内科医 28歳 桐生慶太(けいた) ※お話に出てくるものは全て空想です 現実世界とは何も関係ないです ※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます

My Doctor

west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生 病気系ですので、苦手な方は引き返してください。 初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです! 主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな) 妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ) 医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

双葉病院小児病棟

moa
キャラ文芸
ここは双葉病院小児病棟。 病気と闘う子供たち、その病気を治すお医者さんたちの物語。 この双葉病院小児病棟には重い病気から身近な病気、たくさんの幅広い病気の子供たちが入院してきます。 すぐに治って退院していく子もいればそうでない子もいる。 メンタル面のケアも大事になってくる。 当病院は親の付き添いありでの入院は禁止とされています。 親がいると子供たちは甘えてしまうため、あえて離して治療するという方針。 【集中して治療をして早く治す】 それがこの病院のモットーです。 ※この物語はフィクションです。 実際の病院、治療とは異なることもあると思いますが暖かい目で見ていただけると幸いです。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

処理中です...