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第二章 RLS-九つの世界-

77 この世界から放り出された?!

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グレンヴィル家を総一郎そういちろうと一緒に出て『シャング・リラ』に向かって歩いている時小さな地震の様な揺れを感じた気がした。
「なぁ総一郎?今のって地震?」
『わからん。でも、あの肉に木を挿して焼いてるのはうまいと思う♡』
ハァハァ期待値MAXって感じに目の前の屋台で焼かれている串焼き肉を見ながら答えてくれた。

ちなみにこの屋台ではウサギ肉とオーク肉とミートサウルス肉とよく判らないビッグスパロー肉の4種類の肉を串に刺して焼いてくれるらしい。
ちなみに肉以外にも根菜っぽい野菜類だとか真っ白な体に茶色い頭部を持つ何かの幼虫(全長10cm太さ2cm程度)も指定すれば焼いてくれるみたいだ。
なんとなく新しいファーストフード?

そういえば俺、リリカに少し早い時間に飯食わされたな…ちょっと食っていくか。

いまだ期待値MAXでよだれまで垂らしながら待て状態の総一郎に釣られた訳ではないんだけど店のおっちゃんにとりあえず肉を全種類2本づつ焼いてもらう事にした。
ちなみにお値段は、
ウサギ肉 100я
オーク肉 200я
ミートサウルス肉 300я
ビッグスパロー肉 500я
こんな感じ。

最初の街の焼き串肉の値段からすればかなりお高い感じだけど…こんな肉の値段で気になるのもどうかと思うが、ここってRLSにどんな感じに組み込まれる予定のエリアなのかな?
肉の値段からすれば最初の街の初心者プレイヤーでも買えそうな金額の肉の値段から、『そこそこお高いんじゃないっすか?』ってお値段の肉まで並んでるって言うのが良く判らない。

そんな特に意味の無い事を考えつつ屋台の設備っぽい3人ぐらい並んで座れそうなベンチの所で焼きあがった肉を総一郎に食わせつつ自分でも食べていると、目の前の通りを走ってくるベリーナを見つけた。

何だ?顔とか腹の辺りが黒くなって腫れてる??
「ミューやっと見つけた。あんた気づいてたのね。まったく。ここが街中じゃなかったら10回ぐらい死んでたわ。」
ベリーナはそう言って抜き身の状態で持っていた剣を俺に向けた。
なんか…でっかいおっぱいの谷間が発生する辺りに穴が開いてるのがすごく気になるが…
『キケン…』
総一郎が何かを感じ取ったのかベリーナと俺の間に移動して姿勢を低くして威嚇のうなり声を上げて声を伝えてきた。
「総一郎?」
『バルサ姉さんの攻撃指示マーキングがある。こいつは敵になった。』
「はぁ?攻撃指示?」
総一郎が何を言ってるのか分からなかったのだが、俺の独り言を聞いたベリーナが勝手に答えてくれた。

「やっぱりあのアサシンビーを私に付けていたのね。転送に付いて来れる様な奴を用意するとかもしかしたら少しは記憶が残ってるのかしら?」
気になることを言ってるけど今優先されるのはメリスとリーフとバルサ姉さんがどうなったかだ。
「総一郎がお前がどうも身内に手を出したみたいな事を言ってるけど…本当にメリス達に何かしたのか?」
言葉では伝わらないと思ったのか総一郎がバルサ姉さんと総一郎の間で敵認定をした相手に『特定のにおい』を付ける事を決めていたらしき事を概念っぽい映像で教えてくれた。

たぶん映像の解読は間違ってないと思う。
1コマ目。バルサ姉さんがベリーナのふくらはぎの辺りを俺には絶対に触らせてくれなかった尻の先から出した針で突き刺した映像
2コマ目。足が膨れたベリーナが足を引きづり歩く映像。
3コマ目。総一郎の近くに来てその腫れた部位のにおいを嗅いぐ映像。
4コマ目。総一郎がベリーナに噛み付く映像
って感じに切り替わる4コママンガっぽい説明が意識の中で見えた。

その後に見えてきた総一郎バージョンの映像には1コマ目に敵認定した奴(ベリーナ)の足におしっこをかけている映像だったのだが、若干無理がある気がした。

「ふっ♡何をしたかって聞かれたら『痛い事をした』って答えるしかないんだけどね~♡あっ、ちなみにあの蜂は街中で私を襲ってきたから住人に集団で攻撃されて追い払われていたわ。」
追い払われていたって事は倒された訳ではないって事だな。
とりあえずバルサ姉さんは生きてると…

それにしてもこんな超ドMな奴の言う痛い事って…メリスとリーフは大丈夫なのか?
総一郎が俺が持ってる胴輪付き皮綱をすごい力で引っぱってベリーナに飛びかかろうとしてるのを止めるのが大変で剣を抜けない状態な俺を見て、ベリーナが少し距離をとった場所まで下がり嫌な感じの顔で哂った。

「そいつもちょっと危険ね。でもここは街中だから綱を離せば住人全ての攻撃がそいつに行くわ♡うまく手を離さない様にしておいてね~♡」
そう言いながら何かの魔法を使い始めた。
「特にこんな事になるって思っていた訳じゃなかったんだけど、私もちょっとだけ細工してたんだよね。本当なら危険な状態になったら私とミューだけを安全な場所に移動させる為の準備だったんだけど、今回はその魔法を使わせてもらうわ。転送ゲート1番起動♡」
そう言って魔法を発動させた。

魔法が発動したと同時に俺の手に感じていた総一郎を止めていた綱を引く力が消えて視界が真っ暗になった。
あっ…そう言えば俺…今と似た様な状態になってここ…ミズガルズに放り込まれたんだったか…

遠くなっていく意識の中で何か…久しぶりに大切な人に出会った様な嬉しい感情を覚えた気がしながら意識が落ちていった。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ここはウィナリアの街から少し離れた草原。ミューがベリーナの魔法でどこかに連れ去られた少し前。
ベリーナの魔法が発動して姿が消えたと思ったらミューが私に護衛として付けてくれたダックス・スレイプニールの圭市けいいち君が私に突進してきた。
「うえっ?!ちょっ!!何?!」
ん?なんとなくだけど焦ってる?

あっ…リーフはこちらもミューが護衛にって付けてくれたシーフ・アンズーのフランク君にマントの首の辺りを噛まれて運ばれ始めてる。
「い~や~♡飛んでる~~~~♡」

…もしかしてリーフって喜んでるの?

あっ、圭市君がひづめで地面を引っ掻く様な事をしながらさっきまで晴れていた空を何度も見て私に視線を向けてくる。

そういえばさっきベリーナが魔法をプレゼントするとか言ってた。
「逃げられるの?」
私の言葉を理解できてる感じで頷く圭市君。

とりあえず圭市君に跨ってみたらすごい勢いで走り出した。
って言うか足が地面に擦れてヒザとか割れそう!!
「痛い!圭市君このまま走ったら足壊れる~!!!」
金属製のブーツを地面に打ちつけながらガンガン音を立てて走ってると目の前の圭市君の首筋辺りが赤く色が付いた気がした。

とりあえず地面に何度も打ち付けられて痛い足を地面になるべく水平に伸ばし、圭市君の首に掴まった状態で首を回して空を見てみるととんでもなく大きな赤く燃える何かが4個私達の方に向かって落ちてきていた。
「あれ何?!ちょっ!圭市君逃げて~~!!!!もっと早く逃げて~!!!!」
地面に打ち付けていた足が当たらない状態になったら圭市君の走るスピードが一気に速くなってマントの首の辺りを噛まれて釣られた状態で飛んで逃げていたリーフに並んだ。

なんとなくリーフの姿と自分の姿が同じ感じになってる様に見えたけど、片や釣られてるだけでもう1人の方は自分の意思で風になってる姿…どっちが恥ずかしいか…ってイヤイヤ!こんな事考えてる場合じゃなかった!
「リーフ!あれ見て!!」
とりあえず圭市君に掴まってる手を片方外して後ろを指差してみたけどリーフは自分で顔の向きを返られなかったみたいで目だけ私が指で指した方を見ようとしてるけどまったく見れてない。

そして背中になんとなく熱さを感じて振り返ると、私達がさっきまで休憩しようとしていた辺りに、だいぶ前にロッキーケープの近くの活火山の所で見た溶岩の燃えてる土が岩みたいに固められた感じの物が地面に落ちる直前だった。

そして最初の1個が地面に落ち、赤い溶岩が海の津波の様に浮き上がろうとしてる所の上にもう一つの塊が落ちた時に私は強い力で全身を殴られた気がして逃げていた進行方向に向かって弾き飛ばされた。


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俺は気が付いたら壁が黒い部屋の中に上向きに寝ていた。
そして両腕と両足がまったく動かない。

それと…さっきから握れん棒が何か気持ちイイ感じがしてる♡
「もっ。もうもまむむまんま」
「とりあえず口から握れん棒君を出してから話をしてくれないかな?」
ちゅっぽん♡
「あんたのこれやっぱりいいねぇ~♡内蔵壊すぐらいまで入れてくれるならもう少し楽しませてあげるんだけどなぁ~♡でもやる事をこっちから指示するのって俺の主義じゃないんだけど…なぁミュー?お前って腕とか切り落としたら怒って俺を無茶苦茶にしてくれる?」
なんかとんでもない事を言い出したベリーナに首から尻尾の辺りにかけて冷や水でもかけられた様な寒気を感じた。
これは…慎重に言葉を選んで対応しないとまずい気がする。

RLSの中って腕を切られたら…完全に死ぬまでそのままだって聞いた事があるけど…それか僧侶系の再生治癒の魔法で元に戻すか…

ベリーナはたぶんレベルがカンストしてるから再生治癒の魔法も使えると思うんだけど、こいつがそれを使うとはちょっと思えない。
って言うかこいつは俺とSM的なプレイする為にここに引き摺り込んだ訳ではないよな?

とりあえず手の辺りを首を回して見てみると寝てる場所に固定する様に単管クランプの様な物でひじの近くと手首の所を固定されていた。
足の動く感じからもたぶん同じ様な物で片足2ヶ所づつぐらい固定されてる。

そしてたぶん尻尾も。

んっ?尻尾は穴に2ヶ所通されていて…あぁ、台の下側に引き抜けないように尻尾を通して蓋がされてる感じになってると…そして先端部分の50cmぐらいが上に飛び出てる訳か。
全身にちょっと力を入れてみたがまったく壊せそうに無い。
「ふふっ♡そのミューを拘束してるのだけどね、リアル世界で言うならマルエージング鋼とかのレベルの強度だから生身の肉体では壊せないからね。」
ベリーナはそんな事を言いながら俺に跨ってきた。

わ~お♡俺が竜人を使う様になって始めての騎乗位かもしれない♡

「って言うかベリーナさん?そこ間違ってません?入れる場所。」
「大丈夫♡俺な、前はもう形が変わって1m位までなら入る様になってるけど後ろは毎回きっちり再生治癒してきたからまだ処女レベルで細い物しか入らないんだ♡だから今から血まみれプレイを楽しめるゾッ♡」
すっごく『いいでしょ~♡一緒に楽しみましょうネッ♡』的な言われ方したんだけどまったく喜べないって。

そしてベリーナが一気に俺の握れん棒を奥まで受け入れようと勢いをつけて腰を打ち付けようとした時に部屋の中に光が射して、
「おいベリーナ。その先はこっちの処理が終わってからだ。」
なんかどこかで聞いた事のある声が聞こえてきた。

あれっ?この声…何度もすごく近くで聞いた事があるような…おんやぁ??
その声の聞こえてきた頭のてっぺんの方を3点ブリッジみたいな感じで見てみると白い髪の鬼が居た。

なんとなくミズガルズに放り込まれた時の最初の種族の鬼人の時に峰○二子になった時の髪の色が確か同じ感じの真っ白だった様な…
「もしかしてあなたは…俺の親戚か何かですか?」

なんとなく敬語で聞いてしまった。

その白髪の鬼は少しの間考えてる感じだったが一度ため息をついて答えてくれた。
「親戚といえばそうかもしれないな。まぁお前は何も知らなくていい。」
そう言って手を俺の方に向けて何か…魔法?の様なものを使い、手の平を光らせながら俺の顔を掴んできた。

イタッ?!

こいつ信じられない握力もってやがる!!片手で顔を握られてるだけなのに口がまったく動かせない。
っていうか頬骨の辺りがへこんでないか?!
「む~~!!いひゃい~!!!!!」

あっ!やばい!!この感じはあの時と一緒だ!
全身から力が抜けていく感じがしはじめた。

っていうか顔の形が変えられそうな状態で犯されてる俺って何事?!
三国みくにやってくれ。」
白髪の鬼の声を聞いた俺は意識がまた遠のいていった…


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「あ~らら~…ミューのここの先っちょがしぼんじゃったよ?ねぇ真吾しんごさん?これじゃぁ俺楽しめないんだけどぉ?」
ミューの尻尾を指でつまんでフルフルしながら聞いてくるベリーナ。
「後でまた手足を千切り取って犯してやるから待ってろ。」
「あらやだっ♡とっても素敵なご褒美もらえそうなんだけどぉ♡」
『真吾さん抽出及び注入完了です。なにか違ってそうっすか?』
真吾はミューの顔から手を離し開いたり握ったりして目の前でミューに跨っているベリーナの顔をいきなり殴りつけた。

ベリーナはミューの上からそのまま壁まで跳んで行き崩れ落ちる。
全身を痙攣させながら体中から体液を漏らしつつ一言も声を出さないベリーナ。
意識が無い様だ。

「特に何かが変わったって感じは無いな。一度前線まで行ってみるか。」
『了解っすぅ~♪そういえば今回はそいつどうします?さすがにアースガルズには戻せませんよね?』
「…そうだな。そう言えば淵の奥の辺りに奈落の穴があったな?そこに捨ててみてくれ。もしかしたら今までのMマテリアルとは違う反応があるかもしれん。」
『うっへ。真吾さん身内には厳しい人なんっすか?とりあえず捨てるのは構わないっすけどマーカーどうします?』
「…今回は必要無い。死んで戻るならミズガルズの復活の神殿になるはずだから特に問題も無いだろう。」
『了解っす。今回は装備も無い状態にしておくんでどっちにしてもどこにも行けない様にしときま~っす。』
「あぁ、それでいい。」

真吾はそう言ってベリーナに歩いて近づき、ベリーナの頭を片手で掴み足と手を引き摺りながら部屋を出て行った。

部屋のドアが閉まった後…音も無くミューの体が消えた。


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□


ここは…アースガルズのルーマンのカラカルの街…
そのランバー公爵家のお屋敷内にあるアリエルとフィーの部屋。

誰も居ない夕焼け空が窓の外に見える部屋の中で真っ白な繭がピンク色の光の明滅を繰り返していた。






第二章 RLS-九つの世界- 編 終了
少し休んで第三章 RLS-違う世界- 編 が始まります。
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