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第一章 RLS-始まりの街-

33 これこそVRワールドの楽しみ方だな!2/3

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午後4時過ぎ…
俺達は始まりの町に戻って来た。

そう言えばこれまでずっとこの街の事を『始まりの街』って呼んでいたが、実際には『カラカル』という名前の街らしい。
そもそも『始まりの街』という呼称自体俺達みたいなプレイヤーが勝手に呼んでるだけで特にゲーム上そう言う呼び方に決まってる訳では無いそうだ。

しかも新しいゲームが始まる度にこの『最初の街』は違う場所になるらしい。
今回の俺達が参加しているゲームに関してはランバー公爵領のカラカルの街が『始まりの街』として使われているらしい。
「アリエルが参加した前回までの2回も毎回場所は違っていたって事?」
「そうよ。最初が…たしかポールランドのルブリンって所だったわ。次がベロルーシーのホメリだったかな?」
「それで今回がルーマンのカラカルって訳。」
「でもさぁ、ここに来た最初の頃に森が一緒でチョットギャップが違うみたいな話をしてたよな?」
「そうよ。街のイメージと周辺の配置はほとんど一緒。」
「それってまったく同じ様な街がいろんな場所にあるって事なの?」
「そうみたいね。これは想像になるんだけどこのRLSって最終的に勢力争いみたいな事するでしょ?そのせいで『始まりの街』もけっこう壊れるのよ。それを使い回したら足りない施設が有るみたいな事になるじゃない?だからそれを見越して前のゲームの間に次の『始まりの街』を用意してるんだと思うわ。」
「そんな事をしてるのかぁ…そう言えばライナは今回が2回目って言ってた?」
「えぇ、私が前回遊んだ時の始まりの街はオラオランのユトレヒトの街だったわ。」
「なんとなく国の名前が欧米か?」
「そりゃぁそうよ、だってそもそもこのRLSのマップ自体が地球の地形を使ってるんだから。」
「そうね、たぶんだけどここはルーマニアの辺りでアリエルさんが最初に遊んだ場所がポーランドとベラルーシ辺りでしょうね。そして私の前回遊んだ場所がたぶんオランダ。」
「って事は地形とかもその国に近い感じなの?」
「んー…リアルで行った事無いからそこまでは判らないけど気候に感しては…なんとなく暖かい感じがしたかな?北欧に近い所って感じはしなかったわ。ライナさんは?」
「私もそんな感じだったわ。そもそもオランダってそこまで寒いって感じが無かったからそこまで気にした事無かったけど。」
なるほどね…今居る場所はルーマニアの辺りか…だとしたら世界地図と同じ形のマップが作られていると言うなら日本とかアメリカとかも在るって事かぁ~♪

話をしながら歩いていたら庁舎の建物が見えてきた。
中に入り冒険者ギルドへ行くと今日の受付嬢さんは朝と同じ加賀ま○こさんの10代の頃みたいな人。
「まりちゃん清算お願いね。」
「ハァ…私はまりちゃんではありませんが了解しました。」

モンスター退治(Lv.10以上):ハーピー(5/5)=50,000リオン
モンスター退治(Lv.10以上):ガルム(10/10)=75,000リオン
モンスター退治(Lv.10以上):スライム(20/20)=100,000リオン
合計225,000リオン

1割の22,500リオンを共通インベントリに入れておいて、残りを50,625リオンづつに分配。
俺の残高が156,385リオンになった。
1日でこれだけ狩れるってのもなかなかイイ感じだな♪

とりあえず今日のパーティーの作業としてはこれで終わって良いのだが、俺達はそのまま近くにある居酒屋兼食堂の『Pass over 5minutes.』へ来た。
ここは本来であれば冒険者ギルド辺りがやっていても良さそうな求人情報を扱っている場所だったりする。
パーティーの人材を探す場所だったり町中の仕事の斡旋なども少しではあるが扱っているそうだ。
「とりあえず男を1人、できるならば2人確保って事で良いか?」
「そうね。今パーティーに足りない人材としては前衛の壁職の人と魔法を使える人。回復に関してはフィーが育ったら任せられそうな感じだからそんな所ね。」
実は今日の狩りに行く少し前に、ライナさんにフィーの神化した姿を見せておいて、その状態から判る種族の詳細とその種族の巫女の職業に関する情報を調べてもらっていたのだが、種族に関してはツノの形と羽根の変化した色からサキュバスで間違いないだろうと言う報告があった。
そして巫女という名前からも想像出来る様に育って行ったら回復系のスキルを持つ様になるらしい。
そんな事が判ったので、できれば攻撃と壁の新人さんを手に入れてパーティーの安定化を計ろうと言う事になったのだが…

今までがロリ、少女、妖艶女だけだった所に男2人…
ちょっとだけもったいない気がして…

あぁ、アリエルとフィーが俺から離れてそいつらと気持ちイイSEXをするとか考えてないよ?
でも…アリエルはもう俺ゾッコン♡だからそこまで気にしないとしても…フィーって神化したらやりたい放題だよね?
催淫状態にして色々搾り取って…そんな事を日常的にしてそうでちょっとモヤモヤするんだよな。

悩んでる俺を放っておいて、アリエルとライナは掲示板の所で交渉ビューを開き色々話をしながら文字を打ち込んでる。
「なぁフィー?」
「なーに?」
「お前男が2人増えたらどうする?」
「…どう?何を??」
「あぁ、今ほら俺の首に腕を回してフワフワ飛んでるだろ?そんな事をそいつらにもするのかなぁーってちょっと気になったんだ。」
「知らない人に…しないよ?だって恐いもん。」
そう言えば…フィーって俺と一緒に居るようになって、って言うかこの帽子を被る様になるまでは背中の羽を出す事も無く雨ガッパみたいなのをずっと被ってひっそりと生きて来たんだったか…

今普通にそこらを飛んで色んな人から見られてるから人気者って感じとどんな人でもフィーの事を気に入るみたいに考えたけど…サキュバスとフェアリー…NPC限定だな。そいつらに関しては気にする必要も無かったか。
フィーを気に入るとしたらフェアリー属性持ちとロリ属性持ちと…ギャップ萌え属性持ちのプレイヤー?

…思ったよりもプレイヤー側の受け口は広そうだな。
やっぱりもう少しフィーをデレさせておかないといけないかなぁ…

とりあえずそんな事を考えていたら、アリエルとライナが募集の掲示に使う紙を見せてきた。



パーティーメンバー募集

戦士(受け)1人
魔法使い(攻め)1人


現在のパーティー内容:
アーチャーLv.7(女)
盗賊Lv.6(女)
巫女(サキュバス)Lv.5(女)
戦士(攻め)Lv.5(男)


パーティー名:アリエルと変なご主人様
PR:パーティーはアットホームな感じです。
ランキングトップの男がいますが効率厨は雰囲気に合わないと思うので遠慮願います。

連絡方法:
ここにメッセージを残すか、朝直接声を掛けてください。
それか急ぐならランバー公爵家まで直接連絡下さい。



「なぁ、俺って攻めって扱いになるの?」
「受けのイメージって盾持って攻撃を防いでる感じがしない?」
…しない事も無いな。
そういう意味でならば俺は…エストック2本持ちか…まぁ攻めか。

「でもこれ…変な奴が来ないか?そっち系の。」
「…やっぱりミューってそこらの機微を理解してたのね。」
アリエルの顔が急に真剣になったけど…何が引っかかってるんだ??
「理解してるとはさすがに言えないけど一応そんな概念だけは知ってるよ?昔…まぁ色々現場で無理矢理教え込まれたし…」
たぶん俺…知り合いの女にコミケなんかの売り子の手伝いをさせられた事があるんだ。
その時にそこで売られる作品の説明をする為に、俺の人生にはまったく意味を持たない知識を大量にブースの中で教えられた。
女が大量に目を血走らせながら俺ともう1人手伝わされていた男を何度も見ながら本を見て買って行くのを若干恐怖を感じつつ会計をしてたんだけど…もうあれはしたくないなぁ…
まぁそのおかげで言葉の意味だけは何とか判るんだけどね。


「「色々…現場で…」」


アリエルとライナが揃って俺を見てるけど…んっ?
アリエルはたまにこんな可愛そうな奴を見る顔をするが…あの辛さを知ってるのだろうか?
もしかしたら百合本を売ってる所で売り子をさせられた経験があったりするのだろうか?
だとしたら彼女は俺の同士って事か…
「まぁその顔を見る限り…アリエルも俺の辛さは理解してるみたいだから…頼むな。」
「そう…無理矢理って辛いわよね…判ったわ。そう言う事がない様に気をつけるわね。」
とりあえずこれでそっち系の野郎が来るのは阻止出来そうだな。

アリエルとライナはずっと2人で顔突き合わせて何か相談してるけど…本当に判ってる…よな?
たまにチラチラこっちを見つつ俺を指差してるから俺の話をしてるのは分かるんだが…??

そして俺達は少しだけそこでお酒を飲み、イイ気分でお屋敷に戻った。
ちなみにライナはパトロンの家を転々とする生活をはじめたらしい。
3ヶ所ほどドMな夫婦の屋敷があるらしいが、もう2ヶ所は奥さんにナイショで部屋を用意してもらっているそうで、隠れて相手する事が程よいエッセンスになるって教えてくれた。

そして次の日募集を出していた酒場兼食堂の『Pass over 5minutes.』で朝ライナと待ち合わせをしていたのだが、俺達の募集の掲示を見て、今までソロで活動していたプレイヤーが3人集まっていた。

「俺はミロク、ドMな肉壁だ。絶対に期待に沿えると思う!よろしくな!ランキングトップってのはお前か…♡」
「僕はシューマーです。一応魔法使いなんですけど…そっちの趣味は持ってないですが大丈夫でしょうか?」
「ワシはガーラントじゃ。この筋肉を見れば判ると思うが筋肉には自信が有る。あっちも鍛えとるから安心してガンガン来い!どんなイチモツでも相手をしてやる!トップランカーの攻めを楽しみにしてるぜ!!」

どうも肉壁って書いて募集したのは間違いだったみたいだな。
ちょっとだけ勘違いした人が来ちゃったみたい。

とりあえずアリエルとライナを睨んでおいた。
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