楽園・ゲーム

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第四章 死んだ原因?

90 フベルト救済ストーリー完結3/3

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今回のテラスちゃんの登場曲は喜多○のシルクロー○だった。
そしてとあるたくさんの魔術書の目録ちゃんがヒロインとして出ていたアニメに出てきた、上位階位から降りてきたみーしゃちゃん?とかって名前の少女の魔法陣付きの羽みたいな光臨を纏って降りてきた。

そう言えば俺のスマホにはこの音楽データも昨日テラスちゃんが降臨したときに流れたゲームのサントラ曲も入れてたなぁ…
あいつ俺のスマホから色々情報引っ張り出して楽しんでる様だな。

そして4人で話し合った様にストーリーが進んだ状態で1個だけ問題が残ったんだ。
それは、フベルト村の皆既日食をいつ解除するのか。

元々の台本ではギャスパルが死んでる事が前提だったのでここでフベルトさんが死んだらテラスちやんの言っていた通り2人の命で許されると言った話にして皆既日食を解除したら、スムーズに話が進んでこの茶番が終わったはずだったのだが、ここでは死ぬ寸前のフベルトさんの命しか代償として用意できてない状態になってしまった。

と言う事で、フベルト村の皆既日食はギャスパルが退治された時に解除されると言う事になり、フベルト村のほとんどの住人がサトウ村に引っ越す事が決まった。
何人かの管理人みたいな人が村に残る事になったけどね。

一応その辺りのゴタゴタは裏で俺とレテーナとフベルトさんとテラスちゃんの4者心話と、その更に裏で、俺とテーナとテラスちゃんの3者心話の話し合いが行われ、ギリギリリミットが来るまでになんとか対応方法を纏め上げる事ができた。

テラスちゃんの説明が終わったのと同時ぐらいにフベルトさんが急に倒れて例の『レーヌ…長きに渡ってそばに居てくれてありがとう…』『あなたっ!…ウルウル』『俺はもう…ダメだ…レーヌ…愛してるよ…』『あなたぁ~~!』とかなんとかって二人のテラスちゃん謹製愛情物語的台本通りのやり取りがあり、レーヌさんの巨乳に顔が半分以上埋まった状態で事切れたフベルトさんの体が光の珠になってテラスちゃんの手に戻って行ったのはなかなか良い感じのお話だった。

…あの、幸せそうなフベルトの死に顔を見て『フベルト○ね!』と思ったのは俺だけではないだろう。

そして、そんなシーンの裏でテラスちゃんが『どうどう?こんな話?すっごく感動的じゃない?♪』とかって得意げなドヤ声で聞いてこなければ、もっとニナ達みたいに目に涙を溜めてこのストーリーを楽しめたと思うのだが…

そして俺とテラスちゃんとレテーナとフベルトさんは前回同様あの扉の部屋に連れて来られている訳なんだが…
「なぁテラスちゃん、これってフベルトなのか?」
「そうよ。彼って一応寿命で死んだでしょ?だから新しく体を用意しないといけなかったの。」
「キヨシ、触ってはダメです。あなたも時間が凍結されてしまいますよ。」
俺の正面にはさっきまでの神々しさをまったく感じさせないテラスちゃんが居て、俺の右前にはレテーナの天使姿があり、左にフベルトが10代ぐらいに若返った様に見える若い体の青年が立ってる。

「こいつって召喚された頃ってこんな姿だったのか…」
「フベルトって哨戒任務の途中で敵に見つかって殺されてたみたいよ。」
戦争でもしてる所で哨戒任務かぁ…どの程度の期間戦争が続いていたかによるとは思うけど、何年も戦火に見舞われた地域では兵士の若年化が進むって話だからまぁこんなものなのかもしれないな。
それにしても…フベルトって確か30歳になる前にこっちに来たとか言ってたと思うけど、元々老化が体に現れ難い体質なのかなぁ…いいなぁ…俺…そろそろ下っ腹とかちょっとばかり…こう…

「ではフベルトの新しい任地への移動はこっちでやっておくので、キヨシもスマホの調節をしてきなさい。」
腹筋に少しばかり力を入れて腹をへこませていたらテラスちゃんからそう言われて意識が一瞬途絶えた気がした。


あっ…手がハンドルを握ってる。
シフトレバーはパーキングに入ってサイドブレーキも引かれてる。
インパネの左側に置いているスマホホルダーに置いてあるスマホから端子が出てオーディオに繋がっていて音楽が流れている。
時間はAM7:35
今ガラス越しに俺に見えている景色は、会社に車で通勤をし始めてからこっち毎日見てきた、車を止めた場所の正面にある小さな公園のベンチと自動販売機。

雨が降っているのもあの時と一緒か…

「なるほど、もうこの時間に戻ってきたって訳か。」
ここで考えて動かないとまずい事になるぞ。
とりあえず音楽を止めてエンジンをかけたままの状態にする。
さてと、今回俺がやらなければならない事はひとまずこれで終わったはず。



ここからは真剣に検討するぞ…

一番最初に気になったのはレテーナの言った『これはテラス様…無理かもしれませんね…』だった。
それまでにも色々と散りばめられていた気付きはあったが、このワードをレテーナが言った事で俺は気付いてしまった訳だ。

あの時レテーナが言った言葉、『ここまでの楽園エデンゲームの世界構築に関しては失敗はありませんよ』と、『テラス様が失敗した時は世界が崩壊するという事です。』
この言葉はコレだけを聞いたら特におかしい訳じゃない。

だが、俺はあの扉の部屋で時間を止められたフベルトを見てる。

そしてこっちに戻った俺が見つけたあの『次の時間リンクは車を駐車場に入れた時に。それとこの時間はあいつらには見えてないから今後も気付かれるな。清』の付箋のメッセージ。

これらの言葉を合わせ、しかも俺の感じた『テラスちゃんってけっこう失敗するのか?』と思わず聞きたくなるほどのテラスちゃんのポンコツ具合を合わせてみると、嫌な想像ができる。

それとあの夢…あまりにもリアルな目の前で見てきた様に感じるほどの夢…今この瞬間にもあの時の死んだニナの顔に残る涙の冷たさを思い出せてしまえるのは…

もしかしたらなんだが…俺って同じ時間を何度も繰り返してないか?
あのニナが死んだ夢だと思ってる記憶って…少し前に実際にあった事なんじゃないか?

あの付箋のメッセージを俺がここで用意するのであれば単に考え過ぎって事もありえるのだが、でもこの時間に来させる為だけならあんなメッセージにする必要は無いはず。
『それとこの時間はあいつらには見えてないから今後も気付かれるな。』の言葉は今回の時間移動では無いこれ以降のこちらへ来た時の事を言ってると読み取れる言葉だと思う…もしくはこっちに自由に来れる?居られる?俺に言ってるとか?
でも、俺は自分の意思でこちらの世界に戻れる訳ではない。
俺が移動するにはテラスちゃんの持つ個人?個体?の能力らしき力を使ってもらわなければならない。

だとすればこの場所には何か次に続くメッセージが残ってるはずなんだが…って言うかこの時間帯に俺を来させる目的を持った俺を自称する奴があの付箋を書いたって事になる。
とりあえず俺は車の中の収納出来る場所に何かメッセージが残ってないかを確認してみた。

…そして、見つけた。
運転席側のサンバイザーの所にメモが残っていた。

『この時間に今の俺が来る事が必要だったのでこれで目的は達成した。これ以降俺は自分の意思でこちらの世界に居続ける事ができる様になるはずだ。もしかしたらお前はこの場所に残れないかもしれないが、その場合を考慮して付箋と硬貨はそのまま維持しておく様に。きよし

明らかに俺が書いた覚えの無いメッセージ。

今の俺が来る事が必要だった?今の俺って言うのは2回目の時間移動をする奴(俺)の事だよな?
自分の意思でこっちに居られる…居られる…居続ける事を選べるって意味だよな?自分の意思で戻れるとも読み取れる言葉だと思うが…
もしかしたらお前はこの場所に残れないかもしれないが…この言葉から分かるのは、今の状態の俺では無い他の俺が居る可能性を示していると読み取れる…俺じゃない俺??
その為に付箋と硬貨を残せ…か…

なんとなく理解できたかもしれないな。
このメッセージとあの付箋を残した奴…これは俺の勝手な想像になるが、もしかしたら、テラスちゃんによって消された俺かもしれない。

ここで再度思い出すのが、レテーナの言った『これはテラス様…無理かもしれませんね…』だ。
この言葉とこれまでの考察を元にして導き出される結論は、テラスちゃんは俺を使って何度もあの楽園エデンゲームをやり直している。かもしれない?

やり直しているのであればそれはそれで悪い状態ではないと言えるのだが、問題になるのは俺というキャラクターを使ってやっているゲームが行き詰った場合だ。
ゲームの機能に任意の所まで巻き戻して再出発出来るようなセーブ機能みたいなのがあったとしたら、それを使うのをためらうだろうか?
自分で自分の再出発を選べるなら安心できると思うが、俺にはその再出発の権限が無い訳だ。

もしかしたら今この瞬間にもテラスちゃんの考えによっては俺は消える可能性がある訳だ。

こんな思考にたどり着いた…消えた…消された俺が、この一連のメッセージを残したと考えるのはさすがにファンタジー思考が過ぎるか?

色々考えていたらそろそろ車を降りて会社に行かなければならない時間になっていた。
AM8:03

雨の中傘を差し、歩いて10分ほどで自分のデスクにたどり着く。
荷物の整理をしながら前日の仕事の進捗やメール報告を確認しながらとりあえず気になった貯金箱を確認したらあの付箋がもう存在していた。

そろそろ俺がこっちの世界に戻ってきて1時間が経とうとしているのだが…戻る気配がまったく無いな。
もしかしたら今の俺があのメッセージにあった、『自分の意思でこちらの世界に居続ける事ができる』状態だったって事なのだろうか?

朝の社内放送を聞きながら記憶にある仕事を思い出しつつ同じ作業を繰り返す俺だった。
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